恋愛騎士物語1~孤独な騎士の婚活日誌~

凪瀬夜霧

文字の大きさ
144 / 167
12章:ルシオ・フェルナンデス消失事件

9話:ユーミル祭準備

しおりを挟む
 ユーミル祭を三日後に控えたこの日、ファウストは師団長を集めて最終的な警備と役割を伝えていた。

「第三師団、第四師団混合でいく。第三師団は二グループに分け、城と大聖堂に配置。第四師団は三グループに分け、城と大聖堂と町に配備」
「「はっ」」

 ウルバスとオリヴァーが引き締まった表情で返事をする。それに頷き、ファウストは残る三人へと視線を向けた。

「第一、第二、第五師団も混合でいく。前に話した通り、今この町にはそれと分からないようレンゼール派のテロリストが拠点を複数置いている。パレードの時間を目指し、動くだろう。奴らが拠点を出てきた所を抑える」
「編成は」
「今春入った一年目はパレードの警備だ。見物人とパレードコースの間に入り、コース内に人が入らないように警備させる」
「取り逃がしたり、既に知られずに見物人に紛れている可能性もあると思いますが」
「それについては二年目にやらせる。町中で起こる混乱や見落とされたテロリストの確保だ。一班五人のチームを組ませる。残り全員で、テロリストの拠点を抑える。明け方には配置につくから、そのつもりでいてくれ」
「分かりました」

 アシュレー、ウェイン、グリフィスが頷いて早速チーム編成を話し出す。そこに割って入るように、ファウストは声をかけた。

「今回二年目で、特別編成を組ませる。全体把握をさせ、手に負えない事態には俺達を呼ぶなどの判断をさせる」

 ファウストの言いように、三人の師団長は目を丸くした。二年目でも百人以上いる。これらの統率は本来青ラインでは出来ない。それをさせようというのだから、当然の反応だろう。

「一つの訓練だ。何より、俺達が容疑者を全て抑えられれば二年目の役目はない。あいつらに仕事をさせない事が上官としての理想だ」
「分かりました。では、誰を呼びましょう」
「東地区を、ランバート、ゼロス、トレヴァー、コナン、レイバン、シュテルの六人。西地区を、コンラッド、ボリス、チェスター、トビー、ハリー、ドゥーガルドの六人。東西の町の異変をいち早く察知し、的確に指示が出せるようにする」
「分かりました。個別に呼んだほうがよろしいですね」
「頼む」

 師団長達が立ち上がり、一礼して出ていく。そして三十分もすると、上げられた十二人の隊員がファウストの前に立った。

「お呼びですか、ファウスト様」

 ランバートが前に出て言うのに、ファウストは静かに頷いた。

「この十二人に、東西に別れ二年目の統率をしてもらいたい」
「統率……ですか?」

 ゼロスが困惑した顔をした。当然だろう、その力も経験もまだ彼らにはない。
 だが、出来ると信じている。その実力は昇級試験で示されているのだから。

「俺達はテロリストの拠点を潰す。だが、間違いなく捕らえられるとは限らない。逃げる者もいるだろうし、既に拠点を離れて潜んでいる者もいるかもしれない。それらを民に近づけさせるな。怪しい奴を即座に捕らえろ」

 ファウストの言葉に、コンラッドやゼロス、ボリスといった冷静な奴らは難しい顔をした。だがランバートはとても静かに全てを聞いている。青い瞳は深く多くを飲み込んでいる。

「編成を言い渡す。東地区担当、ランバート、ゼロス、トレヴァー、コナン、レイバン、シュテル。総指揮はランバートが取れ。ゼロス、ランバートのサポートについてくれ」
「畏まりました」
「努力いたします」

 名を上げた二人が深々と頭を下げ、仲間は頼もしい視線を二人に向けている。

「西地区担当はコンラッド、ボリス、チェスター、トビー、ハリー、ドゥーガルド。総指揮はコンラッドが取れ。ボリスは補佐としてついてくれ」
「「はっ」」

 同じように返った了承の言葉に、ファウストは頷く。昇級試験において優秀な成績を収めた二チームだからこそ、任せたいと思った。彼らの成長はめざましく、期待しているのだから。

「当日の動き、注意点などを話し合い、動きのシミュレーションを行っておいてくれ。不審者を捕らえたら各砦へ連行しろ」

 指示を出し、それに全員がよい顔で見る。解散を言い渡したファウストはそのまま執務室へと向かい、大きく溜息をついた。

◆◇◆

 その夜、ファウストはクラウルの部屋を訪ねた。執務室ではなく、自室に行くのは久しぶりだった。相変わらず片付いた部屋にいたのは、ファウストだけではなかったようだ。シウスと、そしてオスカルもいる。二人はファウストを見て、「やっぱりか」という顔をした。

「どうしたんだ、俺に用なら執務室で聞くが」
「ならぬ。私は暗府団長のクラウルに問いたい訳ではない。クラウル・ローゼンとして問いたいからここへ来たのじゃ」

 シウスの厳しい声に、クラウルは苦笑する。ファウストもそのつもりで訪ねてきた。団長としての判断ではなく、彼の私的な気持ちを聞きたくて。

「のぉ、クラウル。お前、ルシオとはどうしたいのじゃ」

 代表するようにシウスが問いかける。クラウルは辛そうに目を細め、視線を外した。言いたくはないという頑なな彼の姿勢だ。

「クラウル、どうするかを聞いているんじゃない。どうしたいかを聞いているんだよ」
「そこに何か差があるのか?」

 威嚇する表情は自己防衛だ。都合が悪い時にこいつはよくこういう顔をする。こういう顔をするようになったのはカール暗殺事件後、ルシオ・フェルナンデスが離れてからだ。 こいつは本来、情が深く親身で面倒見のいい奴だ。昔はもう少し心の内を話してくれていた。それが、あの事件以降そうではなくなった。

「大ありじゃ! お前の心を問うておる。責務ではない、お前の心じゃ。お前とルシオの関係を私たちが知らぬと思うたか。お前が望むならば、私はお前の味方をしよう。例え側に置く事叶わなくとも、見逃すことはする。だがお前が事を焦って他にそれが見とがめられれば出来なくなるのだぞ。クラウル、お前」
「シウス、オスカル、ファウスト。お前達に心配を掛ける事はない。俺の問題だ。俺が」
「ルシオ・フェルナンデスは王都にいる」

 確信を持ってファウストは言い当てる。クラウルの瞳が僅かに見開かれたのが分かった。

「別人を装い、ランバートに密かにコンタクトを取っていた。俺もその手紙を見た」
「何も聞いていない」
「ならばランバートがあえてお前に伏せたのだろう。俺には情報を伝えてきた。レンゼール・ブラハムが王都近辺で目撃されていること。教会に協力者がいること。シウス、お前も聞いているな」
「聞いておる。大方の予想がついておった故、大きく騒ぐような事はせなんだ」

 ランバートは明らかにクラウルだけにこの情報を伝えなかった。何を狙っているのか今は分からないが、ヒッテルスバッハの家に帰った事は知っている。随分ぐったりとしていた奴に問うと、「少し根回しを」と言っていた。
 コンコンと、戸を叩く音がする。その相手をファウストは知っていた。呼んだのがファウストなのだから。
 扉を開けるその先で、ランバートは静かに待っていた。迫力のある少し暗い瞳で。

「悪いな」
「構いません。むしろ、助かります」

 ランバートは静かに進み出て、呆然とするクラウルの前に立つ。暗い瞳はそのまま、気迫はより強くなった。

「ルシオは死ぬつもりです」

 開口一番、ランバートがクラウルに伝えたのはこの言葉だった。これには流石にファウストも驚いた。事務的な情報しか伝わっていなかったから。

「な……に?」
「ユーミル祭が終われば、二度と姿を現さない。疲れたのだと言っていました。俺が『死ぬつもりか』と問うても、曖昧に誤魔化していました。でもあの目は既に生きる力を失っている。疲れたというあの人の言葉が、全てだと取りました」

 クラウルの表情に恐れが広がっていく。目に見えて震えているのがわかる肩を、ランバートは両手で掴んだ。

「助けに行ってください。引き留められるのは、貴方かカーライル様だけです。貴方が引き留め、守らないとあの人はダメになります」
「だが、どうしろと。あいつはA級犯罪者だ。逃がす事が精々の俺では、結局役に立たない」

 死を望む者を留める事は難しい。側にいられないならなおのことだ。クラウルがカーライルの側を離れられないなら、ルシオは一人。説得に応じるような人物には思えない。
 だがランバートは薄く、困った顔で笑った。

「あの人を、二人の側に戻します」
「どうやって」
「忘れないでください。俺は、ヒッテルスバッハの息子です。建国の王より賜った責務は未だ、我が家の責務なのです」

 その言葉に思い当たったファウストとシウスは、途端に表情を引きつらせた。彼の言わんとしている事を知っているからだ。
 闇のヒッテルスバッハ。
 建国の王は現在の四大貴族家にそれぞれ重要な役割を与えた。ファウストの家、シュトライザーは国の剣であり武としての役割を得た。そしてヒッテルスバッハ家は国の闇を背負った。他国の闇商人や、国にとっての暗い部分を請け負ってきたのだ。表は名門貴族、だがその裏では暗い組織との関係や暗殺、情報操作などをしている。

「家に話をつけました。父も兄も説得しました。俺が請け負う事を条件にルシオを国政に戻す算段をつけました。クラウル様は彼を説得し、ヒッテルスバッハの隠れ屋敷につれてきてくれるだけでいいのです」
「だが、それでは!」
「表に出ません。疑いが出ても、消します。俺達にはそれだけのノウハウと人脈があります。後は説得だけなのです」

 戸惑いと困惑がクラウルの表情に浮かぶ。鬼気迫るランバートの表情に、飲まれているのだろう。
 暗い部分が多いとは思ったし、随分多才な面を持つと思っていた。だが、必要スキルだったのだろう。背負うものの大きさと深さを考えると達観したのも頷ける。そして同時に、悲しかった。

「クラウル、当日は一人で動け」
「ファウスト」
「ルシオ・フェルナンデスを探し、説得しろ。幸い祭りで人も多い、他人の事など構う者もいない。ランバートの誘いに乗らなければ、二度とチャンスはない」
「そうだよ、クラウル。僕も暗い顔をするクラウル見てるの嫌だし、陛下が悲しむのも嫌。今陛下は頑張ってるんだから、最高のご褒美用意しないとさ」
「左様ぞ。あの男が死ねばお前も陛下も悲しみ苦しむ。それを見続けるこちらの気持ちにもなってみよ。友を放っておけるほど、私は冷血ではないのだぞ」

 五年。長い間苦悩するクラウルを見てきた。少しでも噂があると表情を曇らせる姿を知っていた。西に行く用事は率先して出ていたのも知っている。そんな事までして会いたい相手を失ったら、こいつはおかしくなるだろう。

「俺を信じてください、クラウル様」

 ランバートの顔を見つめ、頼りない瞳を三人にも向ける。だがやがてその瞳に力が戻ってきた。奴らしい、強情な瞳だ。

「すまない、みんな。すまない、俺の事で煩わせる」
「クラウル」
「有り難う。俺は、やはりあいつを放置できない。知らぬ顔をできない。大切な友なんだ。大切な、幼馴染みなんだ」

 深く腰を折ったまま顔を上げないクラウルを見て、全員が笑みを浮かべ、強く頷いた。
しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

「自由に生きていい」と言われたので冒険者になりましたが、なぜか旦那様が激怒して連れ戻しに来ました。

キノア9g
BL
「君に義務は求めない」=ニート生活推奨!? ポジティブ転生者と、言葉足らずで愛が重い氷の伯爵様の、全力すれ違い新婚ラブコメディ! あらすじ 「君に求める義務はない。屋敷で自由に過ごしていい」 貧乏男爵家の次男・ルシアン(前世は男子高校生)は、政略結婚した若き天才当主・オルドリンからそう告げられた。 冷徹で無表情な旦那様の言葉を、「俺に興味がないんだな! ラッキー、衣食住保証付きのニート生活だ!」とポジティブに解釈したルシアン。 彼はこっそり屋敷を抜け出し、偽名を使って憧れの冒険者ライフを満喫し始める。 「旦那様は俺に無関心」 そう信じて、半年間ものんきに遊び回っていたルシアンだったが、ある日クエスト中に怪我をしてしまう。 バレたら怒られるかな……とビクビクしていた彼の元に現れたのは、顔面蒼白で息を切らした旦那様で――!? 「君が怪我をしたと聞いて、気が狂いそうだった……!」 怒鳴られるかと思いきや、折れるほど強く抱きしめられて困惑。 えっ、放置してたんじゃなかったの? なんでそんなに必死なの? 実は旦那様は冷徹なのではなく、ルシアンが好きすぎて「嫌われないように」と身を引いていただけの、超・奥手な心配性スパダリだった! 「君を守れるなら、森ごと消し飛ばすが?」 「過保護すぎて冒険になりません!!」 Fランク冒険者ののんきな妻(夫)×国宝級魔法使いの激重旦那様。 すれ違っていた二人が、甘々な「週末冒険者夫婦」になるまでの、勘違いと溺愛のハッピーエンドBL。

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

【完結】少年王が望むは…

綾雅(りょうが)今月は2冊出版!
BL
 シュミレ国―――北の山脈に背を守られ、南の海が恵みを運ぶ国。  15歳の少年王エリヤは即位したばかりだった。両親を暗殺された彼を支えるは、執政ウィリアム一人。他の誰も信頼しない少年王は、彼に心を寄せていく。  恋ほど薄情ではなく、愛と呼ぶには尊敬や崇拝の感情が強すぎる―――小さな我侭すら戸惑うエリヤを、ウィリアムは幸せに出来るのか? 【注意事項】BL、R15、キスシーンあり、性的描写なし 【重複投稿】エブリスタ、アルファポリス、小説家になろう、カクヨム

冤罪で追放された王子は最果ての地で美貌の公爵に愛し尽くされる 凍てついた薔薇は恋に溶かされる

尾高志咲/しさ
BL
旧題:凍てついた薔薇は恋に溶かされる 🌟2025年11月アンダルシュノベルズより刊行🌟 ロサーナ王国の病弱な第二王子アルベルトは、突然、無実の罪状を突きつけられて北の果ての離宮に追放された。王子を裏切ったのは幼い頃から大切に想う宮中伯筆頭ヴァンテル公爵だった。兄の王太子が亡くなり、世継ぎの身となってからは日々努力を重ねてきたのに。信頼していたものを全て失くし向かった先で待っていたのは……。 ――どうしてそんなに優しく名を呼ぶのだろう。 お前に裏切られ廃嫡されて最北の離宮に閉じ込められた。 目に映るものは雪と氷と絶望だけ。もう二度と、誰も信じないと誓ったのに。 ただ一人、お前だけが私の心を凍らせ溶かしていく。 執着攻め×不憫受け 美形公爵×病弱王子 不憫展開からの溺愛ハピエン物語。 ◎書籍掲載は、本編と本編後の四季の番外編:春『春の来訪者』です。 四季の番外編:夏以降及び小話は本サイトでお読みいただけます。 なお、※表示のある回はR18描写を含みます。 🌟第10回BL小説大賞にて奨励賞を頂戴しました。応援ありがとうございました。 🌟本作は旧Twitterの「フォロワーをイメージして同人誌のタイトルつける」タグで貴宮あすかさんがくださったタイトル『凍てついた薔薇は恋に溶かされる』から思いついて書いた物語です。ありがとうございました。

希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう

水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」 辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。 ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。 「お前のその特異な力を、帝国のために使え」 強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。 しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。 運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。 偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!

【完結】ホットココアと笑顔と……異世界転移?

甘塩ます☆
BL
裏社会で生きている本条翠の安らげる場所は路地裏の喫茶店、そこのホットココアと店主の笑顔だった。 だが店主には裏の顔が有り、実は異世界の元魔王だった。 魔王を追いかけて来た勇者に巻き込まれる形で異世界へと飛ばされてしまった翠は魔王と一緒に暮らすことになる。 みたいな話し。 孤独な魔王×孤独な人間 サブCPに人間の王×吸血鬼の従者 11/18.完結しました。 今後、番外編等考えてみようと思います。 こんな話が読みたい等有りましたら参考までに教えて頂けると嬉しいです(*´ω`*)

ぼくが風になるまえに――

まめ
BL
「フロル、君との婚約を解消したいっ! 俺が真に愛する人は、たったひとりなんだっ!」 学園祭の夜、愛する婚約者ダレンに、突然別れを告げられた少年フロル。 ――ああ、来るべき時が来た。講堂での婚約解消宣言!異世界テンプレ来ちゃったよ。 精霊の血をひく一族に生まれ、やがては故郷の風と消える宿命を抱えたフロルの前世は、ラノベ好きのおとなしい青年だった。 「ダレンが急に変わったのは、魅了魔法ってやつのせいじゃないかな?」 異世界チートはできないけど、好きだった人の目を覚ますくらいはできたらいいな。 切なさと希望が交錯する、ただフロルがかわいそかわいいだけのお話。ハピエンです。 ダレン×フロル どうぞよろしくお願いいたします。

ざまぁされたチョロ可愛い王子様は、俺が貰ってあげますね

ヒラヲ
BL
「オーレリア・キャクストン侯爵令嬢! この時をもって、そなたとの婚約を破棄する!」 オーレリアに嫌がらせを受けたというエイミーの言葉を真に受けた僕は、王立学園の卒業パーティーで婚約破棄を突き付ける。 しかし、突如現れた隣国の第一王子がオーレリアに婚約を申し込み、嫌がらせはエイミーの自作自演であることが発覚する。 その結果、僕は冤罪による断罪劇の責任を取らされることになってしまった。 「どうして僕がこんな目に遭わなければならないんだ!?」 卒業パーティーから一ヶ月後、王位継承権を剥奪された僕は王都を追放され、オールディス辺境伯領へと送られる。 見習い騎士として一からやり直すことになった僕に、指導係の辺境伯子息アイザックがやたら絡んでくるようになって……? 追放先の辺境伯子息×ざまぁされたナルシスト王子様 悪役令嬢を断罪しようとしてざまぁされた王子の、その後を書いたBL作品です。

処理中です...