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屋敷を案内される
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朝食でお腹いっぱいになった後、竜神サマが私を屋敷の外へと連れ出した。
(外へ出てもいいの? 私が逃げるとは思わないのかしら)
この後食べるつもりの人間に竜神サマはなぜか庭の案内をしてくれた。
「あっちの小川に橋がかかっているが、その向こうには行くな」
「え? なんでだめなんですか?」
「その先の森には危険な生き物がいる」
「へー、そうなんですね……」
(危険な生き物が――って、どうせ私はあなたに食べられるんだから危険も何もあったもんじゃないじゃない)
その後屋敷内をひと通り案内され、一日好きに過ごしていいと言われた。
部屋には和洋問わず様々な種類の衣類が、しかもかなり高級だとわかる物がたくさん用意されていた。どれを着ても良いと言われ、どうせ死ぬんだからと馬鹿みたいにヒラヒラしたシルクの白いドレスを着た。
(うわ、適当に選んだのにこのドレスサイズぴったりじゃん)
10時頃には良い匂いのお茶と和菓子が出てきた。
お昼もまた豪華な食事が用意され、午後にもまたお茶とお菓子が出て来た。
「は~、何だろう。ここがもう天国なのかな?」
実は既に食べられた後で極楽に来たんじゃないのかと思うほどの待遇だ。
ただ実家に帰ったのだとしたら、田舎の「おふくろの味」を堪能して終わりだったはずなのに。
(これでこの後竜神サマに食べられるんじゃなきゃなぁ……)
正直就職先は決まったものの、めちゃくちゃやりたい仕事ってわけでもない。彼氏とも別れたし、東京に帰ってもそこまで楽しいことも無い。
(服もまだたくさんあってもったいないし、あと何日か食べないでって命乞いしてみようかな)
夕食後部屋でゴロゴロしていたら、使用人の女性がやってきた。
「禊をしますのでおいで下さい」
「ミソギ?」
「はい。さ、こちらへ」
(ミソギね……、お清めってやつ?)
いよいよ体を清めて食べられるわけだ。そうと知ると急に恐怖が込み上げてきた。
「あの……もう少し後じゃダメですか」
「申し訳ありませんが、旦那様をお待たせするわけには参りませんので」
ですよね、と私は答えて渋々重い腰を上げた。
(外へ出てもいいの? 私が逃げるとは思わないのかしら)
この後食べるつもりの人間に竜神サマはなぜか庭の案内をしてくれた。
「あっちの小川に橋がかかっているが、その向こうには行くな」
「え? なんでだめなんですか?」
「その先の森には危険な生き物がいる」
「へー、そうなんですね……」
(危険な生き物が――って、どうせ私はあなたに食べられるんだから危険も何もあったもんじゃないじゃない)
その後屋敷内をひと通り案内され、一日好きに過ごしていいと言われた。
部屋には和洋問わず様々な種類の衣類が、しかもかなり高級だとわかる物がたくさん用意されていた。どれを着ても良いと言われ、どうせ死ぬんだからと馬鹿みたいにヒラヒラしたシルクの白いドレスを着た。
(うわ、適当に選んだのにこのドレスサイズぴったりじゃん)
10時頃には良い匂いのお茶と和菓子が出てきた。
お昼もまた豪華な食事が用意され、午後にもまたお茶とお菓子が出て来た。
「は~、何だろう。ここがもう天国なのかな?」
実は既に食べられた後で極楽に来たんじゃないのかと思うほどの待遇だ。
ただ実家に帰ったのだとしたら、田舎の「おふくろの味」を堪能して終わりだったはずなのに。
(これでこの後竜神サマに食べられるんじゃなきゃなぁ……)
正直就職先は決まったものの、めちゃくちゃやりたい仕事ってわけでもない。彼氏とも別れたし、東京に帰ってもそこまで楽しいことも無い。
(服もまだたくさんあってもったいないし、あと何日か食べないでって命乞いしてみようかな)
夕食後部屋でゴロゴロしていたら、使用人の女性がやってきた。
「禊をしますのでおいで下さい」
「ミソギ?」
「はい。さ、こちらへ」
(ミソギね……、お清めってやつ?)
いよいよ体を清めて食べられるわけだ。そうと知ると急に恐怖が込み上げてきた。
「あの……もう少し後じゃダメですか」
「申し訳ありませんが、旦那様をお待たせするわけには参りませんので」
ですよね、と私は答えて渋々重い腰を上げた。
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