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12.俺たちは友達なんだから
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「ねぇ、塁」
狭いベットの中でキスをして、敏感な部分に触れ合って、そこからはいつも通りなし崩し。
二人とも種が枯渇するほどにぐちゃぐちゃに縺れ合って欲を出しきった。
圭人は、昨夜のように強引に後ろに触れることはなかった。
まだ荒い二人分の呼吸が薄暗い部屋に響き渡る中、圭人は俺の身体を抱いて髪をさらりと撫でた。
「いつの間にか日付越してたから……この場合って、記念日って今日?それとも昨日っすかね」
「俺、付き合うなんて言ってねーし……」
「え~?またまたぁ」
圭人はヘラヘラと笑いながら、ちゅ、と触れるだけのキスをした。
「はぐらかそうとすんな」
「こんなにたくさん愛し合ってんのに、なんで逆に嫌なんすか」
「愛し合うとか言うなよ……なんかざわっとするわ」
嫌悪とか不快とはまた違う違和感で全身がぞくりと逆撫でされたような気分になった。
愛とか恋とか、俺たちの関係にはくすぐったいし、きっと似合わない。
「真面目な話、俺は本当に塁と付き合いたいよ」
向き合って寝転がる親友は、本当に物欲しそうに、恋焦がれている感情の乗った眼差しをまっすぐ自分に向ける。
「なんで俺なんだよ……」
「顔とか損得じゃなく俺のそばにいてくれる、塁が良い」
「そんなの、友達だったら普通のことじゃん」
「周りは、俺の見た目しか見てない人ばっかだって、塁だって気づいてたでしょ」
返す言葉がすぐには見つからず、俺はただ「うーん、」と意味の成さない言葉を漏らすだけ。
薄々、感じてはいた。
女の子は圭人の顔の良さだけに惹かれているように見えたし、男子だって、友達だと言いつつ圭人のおこぼれにあずかろうと必死な人種も多かっただろう。
だけど圭人自身、あまり気にしていないようにも見えたし、俺が転校してからは二人だけで過ごすことばかりだったから、そんな現実を感じる暇がなかったと言う方が正しいかもしれない。
「ただの友達として見てくれる唯一の存在の塁を、好きになっちゃったんだよね」
「ずいぶんと皮肉が効いてんな」
「単純だから、俺って」
苦々しく目を細める圭人。
俺はますます、自分が圭人の恋人になんてなるべきではないと思った。
今まではたまたま、圭人の内面の良さに気づく人間が現れなかっただけ。
それなのに男で見た目もスペックも平凡な俺なんかを選んでしまったら、こいつの黒歴史になるだけなんじゃないのか。
もうとっくに、なるくらいの行為はしてるけど……。一線を超えたらもっとアウトだ。
「鈍感な塁にずーっと片思いだったかわいそうな俺に、せっかく巡ってきたチャンスだから、もう逃したくないんすよ」
「そんなこと言って、同僚とはやることやってたじゃねーか」
「やだ、塁さんてば嫉妬?」
「ちげーよ!」
「そりゃ俺だって男ですし?好きな人に手出せないからムラムラするし……身体だけでもいいって言ってたから」
「お前、今結構最悪なこと言ってんぞ」
逆に、あんな綺麗な人と身体の関係になれたのにわざわざ手放すに至る思考回路が俺には一ミリも理解できなかった。
モテる男は違う、ってこういうこと?
「それに塁だって、俺のこと好きだよ」
「はぁ?何、勝手なこと……」
「塁は好きでもない人とキスしたりペッティングする人?」
「生々しい単語やめろや」
「だからさ、もう観念して恋人になろう。そうしよ」
「うまく丸め込もうとすんな」
圭人は畳み掛けるように俺を口説き落としにかかる。
そりゃ俺だって、お前以外の野郎とキスしたり裸で抱き合えるかって言われたら、想像しただけで吐きそうだよ。
自信を持って言える。圭人だから大丈夫なんだって。
だけど、それと付き合う付き合わないはまた別問題だ。
「友達じゃ、だめなのかよ。友達ならずっと一緒にいれるだろ」
俺だって、圭人が一番大事だ。
何歳になっても、隣に圭人がいてくれたら嬉しいって思うし。
「恋人でも、ずっと一緒に居られるよ」
「付き合ったら、いつか別れがくるし、友達には戻れないだろ」
「なんで別れる前提なんすか。俺、絶対別れないよ、塁が逃げてもどこまででも追いかけますって」
「いや、逆にこえーよ……」
圭人には何を言っても堪えないのか、と思うほどに喰いさがってくる。
なんで、そんなに俺に対して必死になれるのかが分からない。
このままの関係の、何が不満なんだ。
セックスだって、異性とした方が気持ちいいだろ。
「とにかく、付き合うとかは考えられないって」
「……なら、好きでは居させてよ。それもダメ?」
「そりゃ……お前の勝手だろ。俺にダメなんて言う権利はない」
人を好きになる気持ちばっかりは、他人にはどーにも出来ないことを、20歳にもなれば良く理解しているつもりだ。
だけどいつか圭人が、世の中そんなに悪い奴ばっかりじゃないって、中身をちゃんと見てくれる人が居るって気が付けば、この片想いとやらにも終わりが来るだろう。
「あと、恋人もつくらないで欲しいし、キスもしたいし、身体も触らせて欲しい」
「後付けが多いなオイ!」
圭人にまっとうな恋が訪れて、俺とこうして会う時間が減ったら、それはそれでさみしいけど。
元の健全な友人関係に戻ることができる。
キスをされることもないし、エロいことをされることもないし、
「だって、どーしても塁のこと、諦められそうにないから」
こうして想いをぶつけられることだって、なくなる。
少し先の未来を想像すると、細い針で刺されたような、少しばかりの胸の痛みが通り過ぎていったが、問題ない。
きっと、すぐに慣れる。
俺たちは、友達なんだから。
狭いベットの中でキスをして、敏感な部分に触れ合って、そこからはいつも通りなし崩し。
二人とも種が枯渇するほどにぐちゃぐちゃに縺れ合って欲を出しきった。
圭人は、昨夜のように強引に後ろに触れることはなかった。
まだ荒い二人分の呼吸が薄暗い部屋に響き渡る中、圭人は俺の身体を抱いて髪をさらりと撫でた。
「いつの間にか日付越してたから……この場合って、記念日って今日?それとも昨日っすかね」
「俺、付き合うなんて言ってねーし……」
「え~?またまたぁ」
圭人はヘラヘラと笑いながら、ちゅ、と触れるだけのキスをした。
「はぐらかそうとすんな」
「こんなにたくさん愛し合ってんのに、なんで逆に嫌なんすか」
「愛し合うとか言うなよ……なんかざわっとするわ」
嫌悪とか不快とはまた違う違和感で全身がぞくりと逆撫でされたような気分になった。
愛とか恋とか、俺たちの関係にはくすぐったいし、きっと似合わない。
「真面目な話、俺は本当に塁と付き合いたいよ」
向き合って寝転がる親友は、本当に物欲しそうに、恋焦がれている感情の乗った眼差しをまっすぐ自分に向ける。
「なんで俺なんだよ……」
「顔とか損得じゃなく俺のそばにいてくれる、塁が良い」
「そんなの、友達だったら普通のことじゃん」
「周りは、俺の見た目しか見てない人ばっかだって、塁だって気づいてたでしょ」
返す言葉がすぐには見つからず、俺はただ「うーん、」と意味の成さない言葉を漏らすだけ。
薄々、感じてはいた。
女の子は圭人の顔の良さだけに惹かれているように見えたし、男子だって、友達だと言いつつ圭人のおこぼれにあずかろうと必死な人種も多かっただろう。
だけど圭人自身、あまり気にしていないようにも見えたし、俺が転校してからは二人だけで過ごすことばかりだったから、そんな現実を感じる暇がなかったと言う方が正しいかもしれない。
「ただの友達として見てくれる唯一の存在の塁を、好きになっちゃったんだよね」
「ずいぶんと皮肉が効いてんな」
「単純だから、俺って」
苦々しく目を細める圭人。
俺はますます、自分が圭人の恋人になんてなるべきではないと思った。
今まではたまたま、圭人の内面の良さに気づく人間が現れなかっただけ。
それなのに男で見た目もスペックも平凡な俺なんかを選んでしまったら、こいつの黒歴史になるだけなんじゃないのか。
もうとっくに、なるくらいの行為はしてるけど……。一線を超えたらもっとアウトだ。
「鈍感な塁にずーっと片思いだったかわいそうな俺に、せっかく巡ってきたチャンスだから、もう逃したくないんすよ」
「そんなこと言って、同僚とはやることやってたじゃねーか」
「やだ、塁さんてば嫉妬?」
「ちげーよ!」
「そりゃ俺だって男ですし?好きな人に手出せないからムラムラするし……身体だけでもいいって言ってたから」
「お前、今結構最悪なこと言ってんぞ」
逆に、あんな綺麗な人と身体の関係になれたのにわざわざ手放すに至る思考回路が俺には一ミリも理解できなかった。
モテる男は違う、ってこういうこと?
「それに塁だって、俺のこと好きだよ」
「はぁ?何、勝手なこと……」
「塁は好きでもない人とキスしたりペッティングする人?」
「生々しい単語やめろや」
「だからさ、もう観念して恋人になろう。そうしよ」
「うまく丸め込もうとすんな」
圭人は畳み掛けるように俺を口説き落としにかかる。
そりゃ俺だって、お前以外の野郎とキスしたり裸で抱き合えるかって言われたら、想像しただけで吐きそうだよ。
自信を持って言える。圭人だから大丈夫なんだって。
だけど、それと付き合う付き合わないはまた別問題だ。
「友達じゃ、だめなのかよ。友達ならずっと一緒にいれるだろ」
俺だって、圭人が一番大事だ。
何歳になっても、隣に圭人がいてくれたら嬉しいって思うし。
「恋人でも、ずっと一緒に居られるよ」
「付き合ったら、いつか別れがくるし、友達には戻れないだろ」
「なんで別れる前提なんすか。俺、絶対別れないよ、塁が逃げてもどこまででも追いかけますって」
「いや、逆にこえーよ……」
圭人には何を言っても堪えないのか、と思うほどに喰いさがってくる。
なんで、そんなに俺に対して必死になれるのかが分からない。
このままの関係の、何が不満なんだ。
セックスだって、異性とした方が気持ちいいだろ。
「とにかく、付き合うとかは考えられないって」
「……なら、好きでは居させてよ。それもダメ?」
「そりゃ……お前の勝手だろ。俺にダメなんて言う権利はない」
人を好きになる気持ちばっかりは、他人にはどーにも出来ないことを、20歳にもなれば良く理解しているつもりだ。
だけどいつか圭人が、世の中そんなに悪い奴ばっかりじゃないって、中身をちゃんと見てくれる人が居るって気が付けば、この片想いとやらにも終わりが来るだろう。
「あと、恋人もつくらないで欲しいし、キスもしたいし、身体も触らせて欲しい」
「後付けが多いなオイ!」
圭人にまっとうな恋が訪れて、俺とこうして会う時間が減ったら、それはそれでさみしいけど。
元の健全な友人関係に戻ることができる。
キスをされることもないし、エロいことをされることもないし、
「だって、どーしても塁のこと、諦められそうにないから」
こうして想いをぶつけられることだって、なくなる。
少し先の未来を想像すると、細い針で刺されたような、少しばかりの胸の痛みが通り過ぎていったが、問題ない。
きっと、すぐに慣れる。
俺たちは、友達なんだから。
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