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三十五章
援軍
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「ほうら。ご覧になられて下さい。カーリャ殿」
その声にはほんのわずかに笑いが含まれている様にカーリャは感じる。そのノーラが剣で指し示す方向を横目で見る。修道騎士が主を後ろに壁になる様に並び変えている。面倒だった。あれを蹴散らして命令者を倒さねばこの戦いは勝利にはならないのに。ここで仲間に隠れるとはつくづく腐った騎士で……
え?
「動かないで!」
カーリャのよく知る綺麗な声がこの場の全員の間に響き渡ったのだった。
「全員動かないで。射ちますよ!」
丘の頂上だった。人影がある。ドレス姿だ。女? いや、あれはまごうことなく――
「ナディ殿……」
カーリャの口がぽかんと開く。夢か? 想いすぎたのか? あの叡知の賢女が丘に立ち、全てを見下ろして、しかも両手に大きな銃を抱えているのが見えた。
「カーリャ様あっ! お救いに参りましたあっ!」
夢ではなかった。本物だ。清楚なドレス姿のナディが銃を構え、銃口を向けている。不安定ではあっても意思は明らかに。
「な、なんだ⁉ 貴様あっ!」
驚いたのは修道騎士らも同じだった。いきなり背後を取られたのだ。しかも銃口を向けられている。聖友堂騎士団等の教会勢力は火薬を使う銃砲の類いを異教徒がもたらした卑怯な武器と侮蔑しているが、その威力を知らぬ訳ではない。
「動かないでと言ったはず!」
ナディが構えているのは城の衛兵から無理矢理借りた本物の銃だ。弾を込め火薬もたっぷり装填している。火縄も薄い煙をあげている。あとは引き金を引くだけだ。
「武器を捨てなさい。でないとそこの偉そうなお人のお身体に大きな風穴が開きますよ?」
慌てて馬頭を巡らせようとしていた修道騎士らを脅す。狙われた修道騎士もその他もこれで動けない。身軽な従兵は左右に展開したが近づく事も出来ない。弓兵と弩兵がそれぞれ武器を構えただけである。
「くっ、例の小娘だな?」
主が歯軋りする。報告は受けていて、カーリャが女性をお供している事は知っていた。素性まではわからなかったが、まさか聖友堂騎士団相手にこんな真似をしでかすとは。
「カーリャ様の髪一筋でも傷つける事はわたしが許しません。さあ、命が惜しければ降伏しなさい」
ナディは武術も学んだ事はない。命のやり取りも未経験だ。だが、この目的の為なら震えもせず、堂々と、敵が誰であれ、立ち向かう事が出来た。
「ふざけた事を抜かしおって。どうせ射てても一発だろうが。知っておるのだぞ」
修道騎士は歯を剥いて笑った。
「その一発を射ってしまえばどうする? こちらはこの数だ。女に生まれた事を後悔する羽目になるぞ?」
脅す気らしい。確かに一発射ってしまえば女一人のナディに出来る事はない。その後は想像するのもおぞましい運命だろう。
「その最初の一人になりたいの?」
「射てるものなら射ってみろ。我らには神の御加護がある!」
不遜にも修道騎士は言いきった。それに押される様に他の修道騎士もこっそり馬を進める。主を取り囲み、守るつもりだろう。
「……」
ナディは息を飲む。まだ? そう、もう少し。もう少し引き付けてから。
「どうした? 怖いか? 小娘が。あんな男娼と二人旅などどこのアバズレかは知らんが、教会に逆らってただですむと思うなよ」
ナディが沈黙したの怯えととった修道騎士が馬の手綱を握り直す。機を見計らって一気に突っ込む。馬蹄で銃ごと蹴散らす気だ。
「ナディ殿! お逃げ下さい! せめてあなただけでも!」
丘の下方からカーリャが叫んだ。ノーラが盾でその動きを制しているせいか、急行出来ないでいる。
「カーリャ様……」
それが合図の様にナディがうなだれた。構えた銃を下ろす。ばかりか両手で横に携え、引き金から指も外れる。
「へっ、降伏か? 情けだ。多少早く殺してやるわ!」
修道騎士は勝利を確信した。銃だけは取り上げねばならない。無造作に馬を進めた。他の騎士も倣う。
それをナディは待っていた。
「せーーの」
両手で掴んでいる銃を膝の辺りまで下ろし、身体も前に曲げて――から大きく反り返ってその銃を上へ高く放り上げた。
「えっ」
いきなりの動きに修道騎士らを反応出来ない。上がって、次に落ちた銃は真っ直ぐに眼下の主に当たる。謂わば鉄の棒の攻撃であって衝撃は本物だ。だが、それ以上に――
雷鳴の様な爆発音が丘いっぱいに轟いた。
「ぎゃああぁっ!」
銃は主に命中した。その衝撃で事前に細工してあった火縄が動き、火薬に着火する。発射ではない。銃身そのものが四散する程に爆発したのだ。
「がはあっ!」
悲鳴を上げて主が落馬する。火薬を定量以上にいっぱいいっぱいに装填された銃の暴発だ。その破片が顔に飛び散って切り裂き、爆風が肌を焼く。
「よしっ」
火縄銃が一発しか射てない事は知っている。ナディが狙ったのはこの威力と、もう一つこの大きすぎる爆発音だった。
「うわあっ!」
他の修道騎士にも破片は飛び、身を穿つ。だがそれ以上に、銃声に馴れていない馬は今の爆発音に驚き、怯え、暴れた。棹立ちになって修道騎士を振り落とし、暴れて周囲の人間を蹴り上げ、あらぬ方向へ駆け出そうとする。
一瞬で騎士も兵も馬も恐慌状態になった。
「ナディ様!」
その混乱の中にさらに新手が飛び込んできたのである。
「お見事です!」
賞賛の声と共に、ここまで待ち構えていた二名が左右から敵に襲いかかった。メイド姿の長身――ブリッタとオクタビアである。ぎりぎりまで丘の向こうに伏せて潜んでいたのだ。
「後は我らにお任せを!」
ブリッタは槍を、オクタビアは両手持ちの大槌矛で武装していた。真っ先に左右に展開していた弓兵と弩兵を蹴散らす。身体を貫かれ、頭を粉砕されて四つの死体がすぐにも転がった。
「ナディ殿!」
カーリャが下から傭兵を斬り倒しながら駆け上がる。いきなりの爆発音に驚き、命令者が悲鳴を上げて落馬した光景に傭兵達も浮き足立っている。幸運な何人かは逃げだし、不幸な何人かはカーリャとノーラの容赦ない斬撃を受けて血飛沫をあげた。
「大胆な作戦とそれ以上に大胆な行動。お見事ですわ。ナディ様」
くすくすと声だけで笑いながらノーラがカーリャに続く。自由騎士の背中を守ってやるつもりだ。
女を守る男と、その男の為に命をかけた女。なんて美しくも楽しい光景なのでしょう。
その声にはほんのわずかに笑いが含まれている様にカーリャは感じる。そのノーラが剣で指し示す方向を横目で見る。修道騎士が主を後ろに壁になる様に並び変えている。面倒だった。あれを蹴散らして命令者を倒さねばこの戦いは勝利にはならないのに。ここで仲間に隠れるとはつくづく腐った騎士で……
え?
「動かないで!」
カーリャのよく知る綺麗な声がこの場の全員の間に響き渡ったのだった。
「全員動かないで。射ちますよ!」
丘の頂上だった。人影がある。ドレス姿だ。女? いや、あれはまごうことなく――
「ナディ殿……」
カーリャの口がぽかんと開く。夢か? 想いすぎたのか? あの叡知の賢女が丘に立ち、全てを見下ろして、しかも両手に大きな銃を抱えているのが見えた。
「カーリャ様あっ! お救いに参りましたあっ!」
夢ではなかった。本物だ。清楚なドレス姿のナディが銃を構え、銃口を向けている。不安定ではあっても意思は明らかに。
「な、なんだ⁉ 貴様あっ!」
驚いたのは修道騎士らも同じだった。いきなり背後を取られたのだ。しかも銃口を向けられている。聖友堂騎士団等の教会勢力は火薬を使う銃砲の類いを異教徒がもたらした卑怯な武器と侮蔑しているが、その威力を知らぬ訳ではない。
「動かないでと言ったはず!」
ナディが構えているのは城の衛兵から無理矢理借りた本物の銃だ。弾を込め火薬もたっぷり装填している。火縄も薄い煙をあげている。あとは引き金を引くだけだ。
「武器を捨てなさい。でないとそこの偉そうなお人のお身体に大きな風穴が開きますよ?」
慌てて馬頭を巡らせようとしていた修道騎士らを脅す。狙われた修道騎士もその他もこれで動けない。身軽な従兵は左右に展開したが近づく事も出来ない。弓兵と弩兵がそれぞれ武器を構えただけである。
「くっ、例の小娘だな?」
主が歯軋りする。報告は受けていて、カーリャが女性をお供している事は知っていた。素性まではわからなかったが、まさか聖友堂騎士団相手にこんな真似をしでかすとは。
「カーリャ様の髪一筋でも傷つける事はわたしが許しません。さあ、命が惜しければ降伏しなさい」
ナディは武術も学んだ事はない。命のやり取りも未経験だ。だが、この目的の為なら震えもせず、堂々と、敵が誰であれ、立ち向かう事が出来た。
「ふざけた事を抜かしおって。どうせ射てても一発だろうが。知っておるのだぞ」
修道騎士は歯を剥いて笑った。
「その一発を射ってしまえばどうする? こちらはこの数だ。女に生まれた事を後悔する羽目になるぞ?」
脅す気らしい。確かに一発射ってしまえば女一人のナディに出来る事はない。その後は想像するのもおぞましい運命だろう。
「その最初の一人になりたいの?」
「射てるものなら射ってみろ。我らには神の御加護がある!」
不遜にも修道騎士は言いきった。それに押される様に他の修道騎士もこっそり馬を進める。主を取り囲み、守るつもりだろう。
「……」
ナディは息を飲む。まだ? そう、もう少し。もう少し引き付けてから。
「どうした? 怖いか? 小娘が。あんな男娼と二人旅などどこのアバズレかは知らんが、教会に逆らってただですむと思うなよ」
ナディが沈黙したの怯えととった修道騎士が馬の手綱を握り直す。機を見計らって一気に突っ込む。馬蹄で銃ごと蹴散らす気だ。
「ナディ殿! お逃げ下さい! せめてあなただけでも!」
丘の下方からカーリャが叫んだ。ノーラが盾でその動きを制しているせいか、急行出来ないでいる。
「カーリャ様……」
それが合図の様にナディがうなだれた。構えた銃を下ろす。ばかりか両手で横に携え、引き金から指も外れる。
「へっ、降伏か? 情けだ。多少早く殺してやるわ!」
修道騎士は勝利を確信した。銃だけは取り上げねばならない。無造作に馬を進めた。他の騎士も倣う。
それをナディは待っていた。
「せーーの」
両手で掴んでいる銃を膝の辺りまで下ろし、身体も前に曲げて――から大きく反り返ってその銃を上へ高く放り上げた。
「えっ」
いきなりの動きに修道騎士らを反応出来ない。上がって、次に落ちた銃は真っ直ぐに眼下の主に当たる。謂わば鉄の棒の攻撃であって衝撃は本物だ。だが、それ以上に――
雷鳴の様な爆発音が丘いっぱいに轟いた。
「ぎゃああぁっ!」
銃は主に命中した。その衝撃で事前に細工してあった火縄が動き、火薬に着火する。発射ではない。銃身そのものが四散する程に爆発したのだ。
「がはあっ!」
悲鳴を上げて主が落馬する。火薬を定量以上にいっぱいいっぱいに装填された銃の暴発だ。その破片が顔に飛び散って切り裂き、爆風が肌を焼く。
「よしっ」
火縄銃が一発しか射てない事は知っている。ナディが狙ったのはこの威力と、もう一つこの大きすぎる爆発音だった。
「うわあっ!」
他の修道騎士にも破片は飛び、身を穿つ。だがそれ以上に、銃声に馴れていない馬は今の爆発音に驚き、怯え、暴れた。棹立ちになって修道騎士を振り落とし、暴れて周囲の人間を蹴り上げ、あらぬ方向へ駆け出そうとする。
一瞬で騎士も兵も馬も恐慌状態になった。
「ナディ様!」
その混乱の中にさらに新手が飛び込んできたのである。
「お見事です!」
賞賛の声と共に、ここまで待ち構えていた二名が左右から敵に襲いかかった。メイド姿の長身――ブリッタとオクタビアである。ぎりぎりまで丘の向こうに伏せて潜んでいたのだ。
「後は我らにお任せを!」
ブリッタは槍を、オクタビアは両手持ちの大槌矛で武装していた。真っ先に左右に展開していた弓兵と弩兵を蹴散らす。身体を貫かれ、頭を粉砕されて四つの死体がすぐにも転がった。
「ナディ殿!」
カーリャが下から傭兵を斬り倒しながら駆け上がる。いきなりの爆発音に驚き、命令者が悲鳴を上げて落馬した光景に傭兵達も浮き足立っている。幸運な何人かは逃げだし、不幸な何人かはカーリャとノーラの容赦ない斬撃を受けて血飛沫をあげた。
「大胆な作戦とそれ以上に大胆な行動。お見事ですわ。ナディ様」
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