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機械都市編
059話 潜入!クリスタルタワー
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-クリスタルタワー-
この機械と金属で囲まれた都市で一際異彩を放つ建造物が都市中央に位置する場所に存在する。
青く輝きを放つ魔法的建造物、その名をクリスタルタワー。
汚れの無い海の様に深く青く透き通り、芸術的な造形で魔力を帯びた淡い輝きを放つ巨大な塔だ。
薄っすらと血管の様に魔法幾何学模様が刻まれなんとも神秘的だ。
内部は機械質な通路が縦横無尽に広がり、無数の機械兵が配置されている。
ゲームでは様々な素材がドロップするので比較的人気の高いダンジョンとしてプレイヤーからも支持が高かった。
階段状の石垣の頂上の高地に建設されている為、この都市で1番高い建造物に見える。
階段の下から見上げると果てしなく高いと感じる。
頂上まで繋がる階段は何段あるだろうか・・・気が遠くなる。
「これは、骨が折れますね。ゲームの時は一瞬だからね。」
「うん、1番上まで何段有るか考えたくないな。」
「修行僧とかが上り下りする感じですね。」
「エレベーターとかエスカレーターとかロープウェイとかないかな?」
頂上付近で魔法による大爆発が数発起きたのが見える。
警報が鳴り響き白煙が立ち上る。
そして幾つも光が瞬き、何者かが交戦している様に見える。
この場所からは遠くて詳細は見えないが、暗黒神と警備機械兵が交戦しているのか?
「シノブ!急ぎましょう!」
「うん、行こう!」
私達は階段を登り始める。
両側面の草むらから配置されていたドローン機械兵が侵入者を迎撃する為に飛び出して来る。
翌々見ると、地面に無数の残骸が転がっている。
上層で交戦中の侵入者が破壊した物だろう。
なるべく無駄な戦闘は回避する為に階段中央を真直ぐ走る。
ドローン機械兵が押し寄せ2人で各個撃破しながら長い長い階段を登り続ける。
私は不意に中学生の頃の部活合宿を思い出す。
隣町のお寺で合宿をした時に階段上り下りダッシュがメニューに有った事を思い出す。
今思うと凄い練習メニューだったなと感心する。
友人たちとワイワイ騒ぎながらトレーニングしていたから苦痛に感じなかったんだろうな。
キャラクターデータの身体能力が反映されているので肉体的苦痛は少ない。
しかし少なからず疲労やストレスは感じる。
その事がこの場所は本当に現実と錯覚する原因となっているんだろう。
その時、クリスタルタワーの頂上で再度大きい爆発が起きる。
「げっ!?シノブ!し、下!下を見てください!」
私が頂上を眺めていると、咲耶が焦った様子で叫ぶ。
何事かと思い途中で立ち止まって階段下の方に目を向け驚く。
「うん?何・・・うぇ!?」
そこには恐ろしい光景が広がっていた。
周囲一面埋め尽くす程のドローン機械兵が犇めき合いながら此方に向かって飛んで来ている。
何者かがクリスタルタワーに直接攻撃をしている為、恐らく都市中の機械兵がクリスタルタワー防衛する為に目指しているのだろう。
遠くから飛んで来ている数を合わせると軽く1000機以上だろう。
ルンバ型の機械兵は上手く登って来れない様で階段と道路にギッシリと詰まっていた。
「咲耶!アレだよ!ここは俺に任せて先へ行け的な事が出来るシーンだよ!」
「確かに!残ったヤツが死んだ様な描写出しておいて、最終的に生きてる的な感じですね!」
「そうそう!自己犠牲で仲間を守る恰好良いシーン!どうかな?」
「はい、今回は流石に遠慮しますね。」
感動のシーン演出作戦は駄目か、サクラだったら喜んで引き受けそうだけどね。
もし咲耶がOKしてくれたら【縮地】で一気に走破しようと思ったのに。
1機1機は左程強くはないが、死角をついて多方向から一斉に攻撃されると厄介だ。
【手裏剣】を投げて牽制するがドローン機械兵に到達する前に複数の銃器により迎撃される。
・・・数の暴力超怖い。
2人で全力で階段を登り切る。
周囲を見渡すと破壊されたドローン・ルンバ・人型の各種機械兵の残骸が多数散らばっており、戦闘の後をまざまざと物語っていた。
クリスタルタワー正面入口は破壊されており内部侵入は容易に出来た。
入口を潜った所で外の機械兵が追い付いてきたがタワー内部には侵入出来ない様に設定されているらしく入口前で停滞していた。
ゲームでも設定上、別フィールド扱いだったのでその設定が反映されているのか?
どうもこの世界の理屈が現実的なのかプログラム寄りなのか理解しかねる。
それとも単純に機械兵に組み込まれたAIプログラムの設定の関係だろうか。
まるで光に群がる羽虫の様にワラワラと戸惑いながら犇めいている。
「シノブ、どうしますか?【弱体化ウィルス】を入手する為に上を目指すか、マザー直行で最下層を目指しますか?」
「ちょっと待って!今調べてみる。」
私は【索敵】を再度使用する。
クリスタルタワーは上層に10階、下層に10階の造りとなっている。
上層最上部が真っ赤に染まる程の多数の機械兵反応が有る。
そして下層に向かうにつれて機械兵の反応が少なくなっている。
良く見ると、下層に向かう通路には機械兵の残骸が多数転がっている。
恐らく、私達よりも先に侵入した人物は下層に直行したんだ。
多分、下層の反応が少ないのは既に破壊して減っていると言う事だ。
しかし上層の反応の多さも気になる。
上部の9階と最上階は【索敵】範囲外だ侵入者らしきマーカーが居たとしても確認する事が出来ない。
侵入者は下層に向かった?
すなわちウィルスを取らずに最短距離で攻略するパターンだ。
侵入者はウィルスの事を知らないのだろうか?単純にマザーブレインの破壊が目的なのか?
もう一つ可能性が有るとしたら、この場所の攻略方法を知っている高レベルプレイヤー。
それなら最下層直行コースを選ぶはず。
・・・迷っている時間は無い。
追おう!
「最下層に向かおう!」
「私達は機械兵壊しまくっているので超犯罪者認定されていると思いますが、マザーブレインは話を聞いてくれるでしょうか?」
「分からないけど、行こう!」
【索敵】範囲内に暗黒神のらしき赤いマーカー反応が見当たらない。
もしかしてNPCキャラ扱いなのか?
いや、どの道「赤」=敵勢、「青」=仲間勢力、「黄色」=中立・NPC、「灰色」=仲間勢力死者とどれかに表示されるはずだ。
敵勢力で死んだ場合は【索敵】から消えるのだけど・・・。
私達は侵入者が破壊した機械兵の残骸をなぞる様に下層に向けて走り出す。
この機械と金属で囲まれた都市で一際異彩を放つ建造物が都市中央に位置する場所に存在する。
青く輝きを放つ魔法的建造物、その名をクリスタルタワー。
汚れの無い海の様に深く青く透き通り、芸術的な造形で魔力を帯びた淡い輝きを放つ巨大な塔だ。
薄っすらと血管の様に魔法幾何学模様が刻まれなんとも神秘的だ。
内部は機械質な通路が縦横無尽に広がり、無数の機械兵が配置されている。
ゲームでは様々な素材がドロップするので比較的人気の高いダンジョンとしてプレイヤーからも支持が高かった。
階段状の石垣の頂上の高地に建設されている為、この都市で1番高い建造物に見える。
階段の下から見上げると果てしなく高いと感じる。
頂上まで繋がる階段は何段あるだろうか・・・気が遠くなる。
「これは、骨が折れますね。ゲームの時は一瞬だからね。」
「うん、1番上まで何段有るか考えたくないな。」
「修行僧とかが上り下りする感じですね。」
「エレベーターとかエスカレーターとかロープウェイとかないかな?」
頂上付近で魔法による大爆発が数発起きたのが見える。
警報が鳴り響き白煙が立ち上る。
そして幾つも光が瞬き、何者かが交戦している様に見える。
この場所からは遠くて詳細は見えないが、暗黒神と警備機械兵が交戦しているのか?
「シノブ!急ぎましょう!」
「うん、行こう!」
私達は階段を登り始める。
両側面の草むらから配置されていたドローン機械兵が侵入者を迎撃する為に飛び出して来る。
翌々見ると、地面に無数の残骸が転がっている。
上層で交戦中の侵入者が破壊した物だろう。
なるべく無駄な戦闘は回避する為に階段中央を真直ぐ走る。
ドローン機械兵が押し寄せ2人で各個撃破しながら長い長い階段を登り続ける。
私は不意に中学生の頃の部活合宿を思い出す。
隣町のお寺で合宿をした時に階段上り下りダッシュがメニューに有った事を思い出す。
今思うと凄い練習メニューだったなと感心する。
友人たちとワイワイ騒ぎながらトレーニングしていたから苦痛に感じなかったんだろうな。
キャラクターデータの身体能力が反映されているので肉体的苦痛は少ない。
しかし少なからず疲労やストレスは感じる。
その事がこの場所は本当に現実と錯覚する原因となっているんだろう。
その時、クリスタルタワーの頂上で再度大きい爆発が起きる。
「げっ!?シノブ!し、下!下を見てください!」
私が頂上を眺めていると、咲耶が焦った様子で叫ぶ。
何事かと思い途中で立ち止まって階段下の方に目を向け驚く。
「うん?何・・・うぇ!?」
そこには恐ろしい光景が広がっていた。
周囲一面埋め尽くす程のドローン機械兵が犇めき合いながら此方に向かって飛んで来ている。
何者かがクリスタルタワーに直接攻撃をしている為、恐らく都市中の機械兵がクリスタルタワー防衛する為に目指しているのだろう。
遠くから飛んで来ている数を合わせると軽く1000機以上だろう。
ルンバ型の機械兵は上手く登って来れない様で階段と道路にギッシリと詰まっていた。
「咲耶!アレだよ!ここは俺に任せて先へ行け的な事が出来るシーンだよ!」
「確かに!残ったヤツが死んだ様な描写出しておいて、最終的に生きてる的な感じですね!」
「そうそう!自己犠牲で仲間を守る恰好良いシーン!どうかな?」
「はい、今回は流石に遠慮しますね。」
感動のシーン演出作戦は駄目か、サクラだったら喜んで引き受けそうだけどね。
もし咲耶がOKしてくれたら【縮地】で一気に走破しようと思ったのに。
1機1機は左程強くはないが、死角をついて多方向から一斉に攻撃されると厄介だ。
【手裏剣】を投げて牽制するがドローン機械兵に到達する前に複数の銃器により迎撃される。
・・・数の暴力超怖い。
2人で全力で階段を登り切る。
周囲を見渡すと破壊されたドローン・ルンバ・人型の各種機械兵の残骸が多数散らばっており、戦闘の後をまざまざと物語っていた。
クリスタルタワー正面入口は破壊されており内部侵入は容易に出来た。
入口を潜った所で外の機械兵が追い付いてきたがタワー内部には侵入出来ない様に設定されているらしく入口前で停滞していた。
ゲームでも設定上、別フィールド扱いだったのでその設定が反映されているのか?
どうもこの世界の理屈が現実的なのかプログラム寄りなのか理解しかねる。
それとも単純に機械兵に組み込まれたAIプログラムの設定の関係だろうか。
まるで光に群がる羽虫の様にワラワラと戸惑いながら犇めいている。
「シノブ、どうしますか?【弱体化ウィルス】を入手する為に上を目指すか、マザー直行で最下層を目指しますか?」
「ちょっと待って!今調べてみる。」
私は【索敵】を再度使用する。
クリスタルタワーは上層に10階、下層に10階の造りとなっている。
上層最上部が真っ赤に染まる程の多数の機械兵反応が有る。
そして下層に向かうにつれて機械兵の反応が少なくなっている。
良く見ると、下層に向かう通路には機械兵の残骸が多数転がっている。
恐らく、私達よりも先に侵入した人物は下層に直行したんだ。
多分、下層の反応が少ないのは既に破壊して減っていると言う事だ。
しかし上層の反応の多さも気になる。
上部の9階と最上階は【索敵】範囲外だ侵入者らしきマーカーが居たとしても確認する事が出来ない。
侵入者は下層に向かった?
すなわちウィルスを取らずに最短距離で攻略するパターンだ。
侵入者はウィルスの事を知らないのだろうか?単純にマザーブレインの破壊が目的なのか?
もう一つ可能性が有るとしたら、この場所の攻略方法を知っている高レベルプレイヤー。
それなら最下層直行コースを選ぶはず。
・・・迷っている時間は無い。
追おう!
「最下層に向かおう!」
「私達は機械兵壊しまくっているので超犯罪者認定されていると思いますが、マザーブレインは話を聞いてくれるでしょうか?」
「分からないけど、行こう!」
【索敵】範囲内に暗黒神のらしき赤いマーカー反応が見当たらない。
もしかしてNPCキャラ扱いなのか?
いや、どの道「赤」=敵勢、「青」=仲間勢力、「黄色」=中立・NPC、「灰色」=仲間勢力死者とどれかに表示されるはずだ。
敵勢力で死んだ場合は【索敵】から消えるのだけど・・・。
私達は侵入者が破壊した機械兵の残骸をなぞる様に下層に向けて走り出す。
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