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機械都市編

058話 体臭は誰しも気なる

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-機械都市ギュノス国 西地区-

ギュノス内部は30階建て程度のビルが乱立し今までの街とは異質な造りの情景となっている。
現代日本を思わせる様な都市造りに少し懐かしさを覚える。

国民を誘導をする為に各種配置場所に向かう兵士に紛れ、都市内部に潜入しなるべく監視カメラの無い場所を進む。

監視カメラを発見次第破壊しながら都市中央を目指す。

監視カメラに補足されると都市防衛を統括しているAIがIDと監視カメラのデータを照合しID登録の無い人間は銃器を装備した機械兵が襲撃してくる。

空からはドローン型、地面をホバー走行するルンバの様な小型の機械兵は多数押し寄せ排除される。

騒ぎを起こすと誘導中の市民がパニックを起こす可能性が有る為、入口付近では気を使いながら進む必要が有る。

私は忍者の特殊技能スキル【抜き足】を使用し、機械兵の優先攻撃順位ヘイトを完全に無効化出来る。

咲耶は【黒猫スーツ】を着る事で、多少は優先攻撃順位ヘイトが抑えられている様だけど監視カメラ自体には影響が無いらしい。

咲耶を庇いながら避難経路以外のルートで都市中央のクリスタルタワーを目指す。
後方の咲耶が着ている【黒猫スーツ】をクンクンと嗅いで居るのを見かける。

「ねぇ、ちょっと聞きたいんだけどさ・・・・さっきから頻りに【黒猫スーツ】の匂いを嗅いでるみたいだけど、やっぱり汗臭いのかな?ご、ごめんね。」

「い、いやシノブの香りが気になって興奮・・・集中力が落ちているだけです。」

「・・・やっぱり匂うのかな。」

「え?何か言いましたか?」

「何でもないです。」

サクラから借りた【黒猫スーツ】は洗濯設備が存在しないこの世界では、何度か水洗いはしているが綺麗になっているかは微妙だ。

自身の体臭は自分では分からない。
もしかしたら凄く臭いんじゃないか?

知らない内に不快感を与えているかも知れない。
咲耶は大人だから私に気を使ってくれているのだろう。

早くクリスタルタワーに着かないと。

国民の避難誘導は順調に進んでいる様で、都市中央に近付くにつれ人通りは減って行った。

DOSどっちゃんとサクラは一体何処に居るのだろう?
ゲームでは疑似的にダンジョンと化した都市を中央部に向かい進んで行く。

都市中央に有るクリスタルタワーの地下10階層に存在するマザーブレインを破壊しなければならない。

クリスタルタワー最上階の管理ルームが有り、厳重に保管して有る研究ディスクの中にマザーブレインを弱体化するウィルスデータが存在する。

遠回りになるが、そのウィルスディスクを使用すればゲーム難易度が下がる仕組みとなっている。

考え事をしていたら都市の北側から爆音と衝撃波と共に巨大な爆発が起きた。
地面は揺れ爆風が起き、周囲のビルの窓ガラスが衝撃波の影響で一斉に割る。

割れた窓ガラスが頭上から降り注ぎ、思わず回避行動をする。
降り注いだガラスが目に入る想像をして思わず目を瞑る。

「あっぶな!あれは極大攻撃魔法アルティメルスペル級の魔法威力ですね。」

「あれは暗黒神が!?どうしよう咲耶止めに行かなきゃ!都市が破壊されちゃう!」

「ヤツの狙いがマザーブレインなら、クリスタルタワーに向かえば必ず出会えるはずです。私達も向かいましょう。DOSドス達が何処で何をやっているのか分からないですが、騒ぎが起きれば間違い無くクリスタルタワーへ目指すはずです。」

2人で話していると上空にドローン機械兵が10体迫って来た。

やばい!
何処かに監視カメラが有ったのだろう。

すぐに【索敵】を使用する。
脳内に周囲のMAPが3Dの格子形状で表示される。

赤いマーキングがぞろぞろと私達の方向へ移動してくるのが見える。

地上からもルンバ型の機械兵が数体迫って来た。
ドローン機械兵に対して素早く手裏剣を飛ばし破壊する。

その瞬間に機械兵全員のマーキングが私達に向く。

「咲耶!走ろう!!」

「了解です!」

ルンバ型機械兵は咲耶が大槌で粉砕しながら都市中央のクリスタルタワーに向けて走り出す。
機械兵が波状的に幾重にも連なる様に襲い掛かって来る。

「ここまで来たら、もう【黒猫スーツ】を脱いでも良いと思うよ!」

「うっ・・・そ、そうですね。でも大丈夫です、気にしないで下さい。」

「え?いや、でも耐性とか無いし、防御力も皆無でしょ。」

「え、ええ。そうですね、後で着替えますね。」

えっ、何で動揺するの?
何か挙動不審なんだけど。

理由も意味も分からない。
気にしない様にしておこう。

【黒猫スーツ】は咲耶のOLスーツみたいに強化されて無い為、各種防御・耐性向上効果は無い。

むしろ基本防御力すら無い。
ただの見た目変化と優先攻撃順位ヘイトが少し下がる程度の装備だ。

あのままで大丈夫なのだろうか?

都市全体まで【索敵】の範囲を広げると、大多数の赤いマーカーが二ヶ所に分散しているのが見える。

私達の場所ともう一つクリスタルタワーの付近に赤いマーカーが集中している。

IDを持たないまま強制侵入した私達と暗黒神に機械兵の追撃が集中しているんだ。

ある意味、北大門から侵入して来た暗黒神のお陰で機械兵の襲撃が分散されて敵の数が減っているのは大変助かる。

周囲に住民の姿はほぼ見えない為、避難は完了したのだろうか。
リナとリオも無事だと良いけど。

防衛システムが送り込んで来る機械兵を破壊しながら都市中央を目指し2人で走る。

少しずつ道幅が広くなり、遥か道の先に限りなく透明に近い青色に輝くクリスタルの巨塔が薄っすらと見え始める。

見えた!アレが中央管理塔クリスタルタワーだ。
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