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未実装大陸編
114話 リベンジに向けて
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-アニマ国 謁見の間-
翌日の早朝、まだ朝日が昇り切る前に用件を聞かされないままにアニマ城に緊急で呼び出された。
私達はまず国王に謁見し、昨日の発見した海底遺跡の報告を行った。
アルフォンス国王は海底遺跡の事を既に把握していたが、海の沖合なので場所的に調査が難しいと話していた。
そして、本日呼び出された本題へと話しが進んだ。
東の大陸の北部より使者が来国し救援要請の依頼をされたらしい。
東の大陸には北に「バンボゥ国」。
山脈に囲まれた大き砂漠が有り、砂漠の中央にオアシスを中心に発展した「コダ国」。
大陸愛南端に位置する雪に覆われた国「ピトゥリア国」が存在する。
ゲーム内で期間限定イベントとして実装されたブラックドラゴン討伐の内容そのままの事象が現在起きているらしい。
隣の大陸に位置するサイリーン大陸の北側に位置するバンボゥ国がブラックドラゴンの集団に襲われ危機的状況に有るらしい。
イベント内容はバンボゥ国とコダ国を隔てる山脈に生息するブラックドラゴンが眷属を率いてバンボゥ国を襲撃すると言う内容だ。
何度か小型ドラゴンとレイド戦をすると大型のブラックドラゴンが現れ、そのブラックドラゴン討伐すると言うイベントだ。
「いよいよ、黒龍でござるか。」
「おや?ご存知の様ですね?・・・と言うよりも戦った事の有るのですか?ゲーム?とは何でしょうかにゃ。」
心を読んだ国王が少しだけ困惑する。
心の中でゲーム内で戦ったと言っても意味が分からないだろうな。
まぁ戦闘経験が有ると言う事だけ伝われば良いか。
「私自信無いかも・・・」
「私も期間中に倒せませんでした。」
「拙者もでござる。」
サービス開始2年目のイベントでブラックドラゴンは暗黒神ザナファよりも能力的に強く、イベント実装から初討伐まで2週間掛かったと言う高難易度イベントだった。
2ヶ月間の期間限定という事も有り約半数以上のプレイヤーがクリア出来なかった「糞イベント」として有名な側面も有る。
一応、ブラックドラゴンを討伐出来なくても一定数の報酬はランダムで貰えるが糞イベントとして名高い原因は他にも有り有名ブロガーや生配信を中心に活動するインフルエンサーの様なプレイヤーは高性能レア武器がドロップする等、SNS上で一般プレイヤーのレアドロップ報告が余りにも少な過ぎた。
その事で有名プレイヤーに忖度してレアドロップ率を意図的に弄っていんじゃないかと疑惑の高い期間限定イベントだった。
今思えばブラックドラゴン討伐出来なかったプレイヤーやドロップ率弄り疑惑を信じたプレイヤーが大量引退した事がサービス終了に向けての「終わりの始まり」だったのかも知れない。
もちろん私もブラックドラゴンを倒せなかったプレイヤーの1人だったんだけどね。
「何だか皆さん私が頼むまでも無く、内容理解した上でバンボゥ国を救援に行く気十分ですね。私も大変助かりますにゃ。」
私達の心を読んだアルフォンス国王は嬉しそうに微笑む。
ゲーム内でのイベントがこの世界に反映されている事がリアル世界に帰還する方法のヒントが隠れている知れない。
その為、私達は最初から全ての国を回るつもりでいたからだ。
「それにしても・・・ぷぷ。皆さんの声随分可愛らしくなりましたにゃ。それに特産品のお買い上げありがとうにゃ。にゃははっ!」
自国の特産品を使い声変わりした皆の声を聞いた国王は大笑いする位に上機嫌だった。
完全体となった皆は、さもそれが普通の様な感じで自然に振舞っていた。
しかし元々の男声を知っていると違和感が有るんだろうなぁ。
シャルも最初尻尾の毛を逆立てて威嚇していたし。
ブラックドラゴン討伐イベント実装初日と以降何度か「深紅の薔薇」のメンバー全員で挑んだが当然倒せなかった。
イベント終了までにブラックドラゴン討伐出来たのはギルドメンバーではミカさんとDOSと暗黒神ハーデスのみ。
他の皆は倒した実績を持っていないのでリベンジマッチ的な感覚なのだ。
アルフォンス国王から現状の説明を受け、戦士隊長シャルと魔法師団長の蜥蜴人間種「エウルゥ」を同行させると言う話だった。
国王に呼ばれ謁見の間にエウルゥが入ってくる。
紫がかった赤いロングストレートの髪。
整った顔立ちで人間種寄りの外見、首から下が赤黒い強固な鱗に覆われた素肌が見える。
動き易そうな軽鎧を装備した長身の少女が入室し国王の前で跪く。
「ごくろうさま。エウルゥ。皆さんにご挨拶してください。」
「初めまして!私はアニマ国魔法師団長エウルゥと申します!英雄の称号を得た方々と御同行させて頂けるのは大変恐縮であります!」
ガチガチに緊張している様子で挨拶を済ませる。
国王の話では彼女は蜥蜴人間種と言うより半龍人間種の先祖返りで魔力量が高いらしい。
職業は魔法騎士で上位魔法と【魔法剣】を得意とする。
基本防御も高くバランスが良いが特質する物が無いという器用貧乏タイプと言う事らしい。
各種属性攻撃を得意とするが、ゲームでも最終職業に魔法騎士を選ぶ人は少なかった。
「皆さんにも気に入っていただけた様で良かったです。」
半龍人間種の女性魔法騎士と言う事でネカマ達が脳内で何を考えていたのかは想像に足りないが心を読んだ国王は終始笑顔だったのが答えだろう。
この島の西側に国王が所有する船を準備させているとの事で準備が出来次第、出向出来る運びらしい。
バンボゥ国までは片道4日間の航海となる為、今日の夕刻には出向準備を済ませて欲しいとの事だ。
旅の資材や食料や救援物資等は同行する兵士達が準備を始めているらしい。
希少鉱石の売上と言う臨時収入が有ったので国庫はかなり潤った様で救援物資も多く送る様だ。
バンボゥ国からの救援補助金も後から期待出来ると言う話で、何とも羽振り良く準備をしているらしい。
私達にもアニマ国とバンボゥ国から謝礼金が頂ける様だ。
「アルフォンス国王、では我々「深紅の薔薇」はバンボゥ国救援に向かいます。数日でしたが、お世話になりました。」
皆を代表してミカさんが挨拶をして王宮を後にする。
ホテルの宿泊代金支払いや簡単な買出しを済ませ島の西側に有る船着き場に着くと木造の割には豪華な造りの大型船舶が停泊していた。
船体の側面には可愛らしい猫の絵が何個も描かれていた。
国が所有する船にとやかく言うつもりは無いが「痛車」的に何かを感じるのは私だけだろうか?
まぁ、最近は公用の電車や旅客機にもアニメの絵が描かれた物も珍しく無いし良いのかな。
余談では有るがホテルには実質2日間しか泊まって無いが、王宮に泊まった1日と空白の7日間も含め実質10日間借りていたので結構な宿泊代金を取られてしまった。
何だか納得がいかないが仕方が無い。
結局、シャル率いる戦士隊20名とエウルゥ率いる魔導士団20名と共にバンボゥ国を目指す事となる。
救援要請で動く人数にしては少ない様に感じたが人間種よりも身体能力が高いので局地戦では100人の精鋭に匹敵するらしい。
私達は国王が用意した痛船「ゴーイングマイウェイ号」に乗り込み、バンボゥ国に向けて4日間の船旅へと乗り出した。
翌日の早朝、まだ朝日が昇り切る前に用件を聞かされないままにアニマ城に緊急で呼び出された。
私達はまず国王に謁見し、昨日の発見した海底遺跡の報告を行った。
アルフォンス国王は海底遺跡の事を既に把握していたが、海の沖合なので場所的に調査が難しいと話していた。
そして、本日呼び出された本題へと話しが進んだ。
東の大陸の北部より使者が来国し救援要請の依頼をされたらしい。
東の大陸には北に「バンボゥ国」。
山脈に囲まれた大き砂漠が有り、砂漠の中央にオアシスを中心に発展した「コダ国」。
大陸愛南端に位置する雪に覆われた国「ピトゥリア国」が存在する。
ゲーム内で期間限定イベントとして実装されたブラックドラゴン討伐の内容そのままの事象が現在起きているらしい。
隣の大陸に位置するサイリーン大陸の北側に位置するバンボゥ国がブラックドラゴンの集団に襲われ危機的状況に有るらしい。
イベント内容はバンボゥ国とコダ国を隔てる山脈に生息するブラックドラゴンが眷属を率いてバンボゥ国を襲撃すると言う内容だ。
何度か小型ドラゴンとレイド戦をすると大型のブラックドラゴンが現れ、そのブラックドラゴン討伐すると言うイベントだ。
「いよいよ、黒龍でござるか。」
「おや?ご存知の様ですね?・・・と言うよりも戦った事の有るのですか?ゲーム?とは何でしょうかにゃ。」
心を読んだ国王が少しだけ困惑する。
心の中でゲーム内で戦ったと言っても意味が分からないだろうな。
まぁ戦闘経験が有ると言う事だけ伝われば良いか。
「私自信無いかも・・・」
「私も期間中に倒せませんでした。」
「拙者もでござる。」
サービス開始2年目のイベントでブラックドラゴンは暗黒神ザナファよりも能力的に強く、イベント実装から初討伐まで2週間掛かったと言う高難易度イベントだった。
2ヶ月間の期間限定という事も有り約半数以上のプレイヤーがクリア出来なかった「糞イベント」として有名な側面も有る。
一応、ブラックドラゴンを討伐出来なくても一定数の報酬はランダムで貰えるが糞イベントとして名高い原因は他にも有り有名ブロガーや生配信を中心に活動するインフルエンサーの様なプレイヤーは高性能レア武器がドロップする等、SNS上で一般プレイヤーのレアドロップ報告が余りにも少な過ぎた。
その事で有名プレイヤーに忖度してレアドロップ率を意図的に弄っていんじゃないかと疑惑の高い期間限定イベントだった。
今思えばブラックドラゴン討伐出来なかったプレイヤーやドロップ率弄り疑惑を信じたプレイヤーが大量引退した事がサービス終了に向けての「終わりの始まり」だったのかも知れない。
もちろん私もブラックドラゴンを倒せなかったプレイヤーの1人だったんだけどね。
「何だか皆さん私が頼むまでも無く、内容理解した上でバンボゥ国を救援に行く気十分ですね。私も大変助かりますにゃ。」
私達の心を読んだアルフォンス国王は嬉しそうに微笑む。
ゲーム内でのイベントがこの世界に反映されている事がリアル世界に帰還する方法のヒントが隠れている知れない。
その為、私達は最初から全ての国を回るつもりでいたからだ。
「それにしても・・・ぷぷ。皆さんの声随分可愛らしくなりましたにゃ。それに特産品のお買い上げありがとうにゃ。にゃははっ!」
自国の特産品を使い声変わりした皆の声を聞いた国王は大笑いする位に上機嫌だった。
完全体となった皆は、さもそれが普通の様な感じで自然に振舞っていた。
しかし元々の男声を知っていると違和感が有るんだろうなぁ。
シャルも最初尻尾の毛を逆立てて威嚇していたし。
ブラックドラゴン討伐イベント実装初日と以降何度か「深紅の薔薇」のメンバー全員で挑んだが当然倒せなかった。
イベント終了までにブラックドラゴン討伐出来たのはギルドメンバーではミカさんとDOSと暗黒神ハーデスのみ。
他の皆は倒した実績を持っていないのでリベンジマッチ的な感覚なのだ。
アルフォンス国王から現状の説明を受け、戦士隊長シャルと魔法師団長の蜥蜴人間種「エウルゥ」を同行させると言う話だった。
国王に呼ばれ謁見の間にエウルゥが入ってくる。
紫がかった赤いロングストレートの髪。
整った顔立ちで人間種寄りの外見、首から下が赤黒い強固な鱗に覆われた素肌が見える。
動き易そうな軽鎧を装備した長身の少女が入室し国王の前で跪く。
「ごくろうさま。エウルゥ。皆さんにご挨拶してください。」
「初めまして!私はアニマ国魔法師団長エウルゥと申します!英雄の称号を得た方々と御同行させて頂けるのは大変恐縮であります!」
ガチガチに緊張している様子で挨拶を済ませる。
国王の話では彼女は蜥蜴人間種と言うより半龍人間種の先祖返りで魔力量が高いらしい。
職業は魔法騎士で上位魔法と【魔法剣】を得意とする。
基本防御も高くバランスが良いが特質する物が無いという器用貧乏タイプと言う事らしい。
各種属性攻撃を得意とするが、ゲームでも最終職業に魔法騎士を選ぶ人は少なかった。
「皆さんにも気に入っていただけた様で良かったです。」
半龍人間種の女性魔法騎士と言う事でネカマ達が脳内で何を考えていたのかは想像に足りないが心を読んだ国王は終始笑顔だったのが答えだろう。
この島の西側に国王が所有する船を準備させているとの事で準備が出来次第、出向出来る運びらしい。
バンボゥ国までは片道4日間の航海となる為、今日の夕刻には出向準備を済ませて欲しいとの事だ。
旅の資材や食料や救援物資等は同行する兵士達が準備を始めているらしい。
希少鉱石の売上と言う臨時収入が有ったので国庫はかなり潤った様で救援物資も多く送る様だ。
バンボゥ国からの救援補助金も後から期待出来ると言う話で、何とも羽振り良く準備をしているらしい。
私達にもアニマ国とバンボゥ国から謝礼金が頂ける様だ。
「アルフォンス国王、では我々「深紅の薔薇」はバンボゥ国救援に向かいます。数日でしたが、お世話になりました。」
皆を代表してミカさんが挨拶をして王宮を後にする。
ホテルの宿泊代金支払いや簡単な買出しを済ませ島の西側に有る船着き場に着くと木造の割には豪華な造りの大型船舶が停泊していた。
船体の側面には可愛らしい猫の絵が何個も描かれていた。
国が所有する船にとやかく言うつもりは無いが「痛車」的に何かを感じるのは私だけだろうか?
まぁ、最近は公用の電車や旅客機にもアニメの絵が描かれた物も珍しく無いし良いのかな。
余談では有るがホテルには実質2日間しか泊まって無いが、王宮に泊まった1日と空白の7日間も含め実質10日間借りていたので結構な宿泊代金を取られてしまった。
何だか納得がいかないが仕方が無い。
結局、シャル率いる戦士隊20名とエウルゥ率いる魔導士団20名と共にバンボゥ国を目指す事となる。
救援要請で動く人数にしては少ない様に感じたが人間種よりも身体能力が高いので局地戦では100人の精鋭に匹敵するらしい。
私達は国王が用意した痛船「ゴーイングマイウェイ号」に乗り込み、バンボゥ国に向けて4日間の船旅へと乗り出した。
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