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ブラックドラゴン討伐編
115話 バンボゥ王国
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船に乗る事約5日間。
私達は眩しい朝焼けの中、目的の港に到着した。
シケの影響も有り到着予定時刻より時間が掛かったが、無事バンボゥ国の船着き場に着く事が出来た。
今回の船旅は海賊や巨大モンスターの襲来も無く安全な船旅と言えた。
船内での共同生活でシャルやエウルゥ、それに兵士の面々達と皆打ち解けていた。
この大陸には南北に巨大な港が存在している。
私達が到着したのは北西に当たるバンボゥ国の港だ。
早朝の船着き場にはバンボゥ国より送られた数名の使者達が私達の到着を待っていた。
30代後半位の高位の服を着用した使者が待機しており大型の荷馬車が10台近く用意されていた。
「お待ちしておりました、シャル様とエウルゥ様ですね。そちらが・・・英雄と名高い「深紅の薔薇」の方々ですね。私はバンボゥ国を代表して貴女方を迎える様に国王より遣わされたレグストと申します。以後、お見知りおきをお願いいたします。」
「まさか公爵様直々にお出迎え頂くとは恐縮です。」
シャルとエウルゥが即座に頭を下げる。どうやら2人は知り合いの様だ。
公爵と言う事はこの国は貴族階級制度が存在する様だ。
「初めまして、「深紅の薔薇」のギルドマスターをしているミカエル=アルファと申します。よろしくお願いします。」
ミカさんの挨拶と共に、皆が頭を下げる。
アニマ国の特産品で変えた透き通る様な女性声と超絶世美人、そしてモデル顔負けのスタイルの彼のスマイルでレグスト公爵は状態異常「魅了」されているのが表情で分かる。
同性・・・いや、今は異性か。
異性に対する効果は抜群だ。
こっそり呪い設定を教えたシャルとエウルゥは少し苦笑いをしていた。
こうしゃく・・・「公爵」と「侯爵」って有るんだっけ?あと「男爵」とか?
爵位とか漫画や小説で出て来る程度の知識でしか知らない。
私はエウルゥに軽く耳打ちして詳しく教えて貰う。
バンボゥ国は貴族階級制度が有りレグスト公爵は爵位1位に該当する「公爵」と言う高い位の方らしく、簡単に要約するとかなりのお偉い様だそうだ。
エウルゥの説明に合わせサクラが爵位序列の説明が始まる。
そして何故か聞いて無いのに軍人の階級の説明に流れて行く。
何で男子はこう説明好きなんだろうか?そして何故軍人でも無いのに階級とかに詳しいんだろうか?
永遠の謎である。
そしてエウルゥに「サクラ様は博識ですね。」と褒められ、気を良くしたサクラの説明がよりディープになり加速するのだった。
「私の従者が王都までご案内させて頂きます。どうぞ馬車にお乗りください。護衛の冒険者も雇っておりますので皆様の手を煩わせる事は無いと思います。」
「御厚意感謝いたします。」
「レグスト公爵様、よろしくお願いします。」
船の管理に数人を残し補給物資を荷馬車に積み終えた私達は馬車に乗り込みバンボゥ国の王都へと向かった。
道中のモンスターは公爵が雇った腕の立つ冒険者が排除し私達は特に戦闘する事無くバンボゥ国へ入国した。
「綺麗な街でござるな。」
「所々襲撃の跡がありますね。」
街の外周を幅10メートルは有る大きな運河が流れ運河と街を隔てる4メートル以上の巨大な外壁が覆った都市で、街並みはオスロウ国に似ている印象を受けた。
整備されている運河や街を覆う外壁には戦闘の跡が色濃く残り、住宅街もいくつか破壊された痕跡が有り大工職人が修繕作業を行っていた。
「市街への侵入は今の所少ないですが、小型のドラゴンの集団は空を飛べるので・・・国の騎士を集めても全てを防ぎきる事が出来なくて、この有様です。」
レグスト公爵は悲しげな目で乾いた笑いを浮かべる。
ゲームでは街の損害が少ない程レアドロップ率が上昇する仕様だったはず。
小型のドラゴンなら多分私達でも余裕だとは思うけど問題はボスのブラックドラゴンだ。
ゲームでは一定時間が過ぎると撤退する。
要はDPS制限が有るクエストなのだ。
時間内に高火力で逃げる前に倒さなければならない。
むしろゲームよりも戦闘自由度がリアル寄りなので撤退させない為の対策が立てれるかも知れない。
「小型のドラゴンの被害だけの様ですね。」
「ボス級のブラックドラゴンが現れたらこんなもんじゃ済まないでしょうね。」
以前と違う事は、この世界はゲーム内の最高難易度よりも高いレベルのモンスターに置換されている事。
復活アイテムがミカさんの持つ【ヒルドルの盾】と私が持つアイテム1個で終了だからミカさんの死守は最優先にしなければならない事。
有利になった事はアビスダンジョン下層レイドボスのアルラトが仲間になり、伝説の防具【神衣カヴァーチャ】と伝説の長銃【アグネイヤ】を手に入れた事だ。
高レベルプレイヤー30人でギリギリ勝てるクエストだったので、当時ゲーム開始して1年ちょっとだった私はレベルも装備ランクも低く足手纏いでしか無かった。
しかし、今なら少しは役に立てると思う。
「レグスト公爵、少し労働組合に寄らせて貰って良いでしょうか?」
「はい、心得ております。」
王宮に向かう同中にこの大陸の労働組合に寄りギルドカードの更新を行う。
見た感じ機械都市ギュノス国によりも大きな施設で、多くの冒険者達で賑わっていた。
ドラゴン討伐には多額の報奨金が掛けられ、酒場では多数の冒険者達がその話題で持ち切りだった。
私達は酒場で昼食を取り休憩をする事となった。
「おい!見ろよ、あれは噂の英雄様御一行じゃないか?復活した暗黒神を倒したって噂の・・・」
「まじかよ!スゲー美人揃いじゃねぇか。お前パーティーに誘ってみろよ!」
「馬鹿か!無理に決まってるだろ!国王直々に招集したって噂だぞ。」
「それにしても美人ばかりだな、あの華奢な体で戦えるのか?」
ギュノス国内にしかテレビみたいな映像技術が浸透して無い世界観で、海を隔てた大陸に噂が轟くとは驚きである。
転送装置も有るには有るが使用出来ないし、伝書鳩でも飛ばしているのだろうか?
声を変更するアイテムを使用しているネカマ達は堂々と女性の振りをして、愛想を振りまいている。
現実を知っている私からしたら滑稽以外の何物でも無い。
この感情は彼らが女性としてチヤホヤされる事に対する嫉妬なのだろうか?
うん、良く分からない・・・
まぁ本人達が満足なら良いんだけどね。
「すみませんね。別室が用意出来なくて。皆様には不愉快な思いをさせてしまいました。」
「王様謁見前なので、お酒が飲めないのが不満なメンバーも居ますが問題無いですよ。」
「逆に公爵様が庶民の酒場に居る事が凄いですけどね。」
ミカさんとエウルゥは公爵の相手をしてくれている。
サクラと咲耶と暗黒神ハーデスは掲示板に有る依頼書を見ながら冒険者達と談笑をしている様だ。
私とシャルとアルラトは名物の肉料理をテーブル一杯に注文し堪能していた。
討伐された小型ドラゴンの肉は調理加工する事で身体能力が向上すると言う噂で、この界隈でも名物の高級料理として珍重されていた。
オスロウ国で食べたA5和牛よりも硬く歯応えが有るが、肉の旨味はドラゴンの方が深い様な気がした。
皮とか牙に角や骨も武具の素材として高値で流通しているらしい。
冒険者の話を聞いていると貴族連中の中には民達の安全よりドラゴンの素材を貿易素材として他国に売る事で至福を肥やしている人間も居るらしい。
後は法律で禁止されている妖精種や亜人種の奴隷売買を影でしているマフィア的な組織も有るらしい。
ゲームでは聞き流す程度の設定だがシャルやエウルゥと仲良くなった今では不愉快極まりない話だ。
約1時間の休憩を終え、王都の中心を通る道路を真直ぐ馬車で城へ向かう。
かなり大きな都市で人口も多い、ドラゴンがいつ襲来するか分からないので市民の活気は少なかった。
この国は平民街、貴族街、王都と上級国民が住む地域に向かう程都市の中央に進む事になる。
国が発展し広い領地が有るのも考え物だなと思った。
私達は馬車に揺られながら王宮へと向かった。
私達は眩しい朝焼けの中、目的の港に到着した。
シケの影響も有り到着予定時刻より時間が掛かったが、無事バンボゥ国の船着き場に着く事が出来た。
今回の船旅は海賊や巨大モンスターの襲来も無く安全な船旅と言えた。
船内での共同生活でシャルやエウルゥ、それに兵士の面々達と皆打ち解けていた。
この大陸には南北に巨大な港が存在している。
私達が到着したのは北西に当たるバンボゥ国の港だ。
早朝の船着き場にはバンボゥ国より送られた数名の使者達が私達の到着を待っていた。
30代後半位の高位の服を着用した使者が待機しており大型の荷馬車が10台近く用意されていた。
「お待ちしておりました、シャル様とエウルゥ様ですね。そちらが・・・英雄と名高い「深紅の薔薇」の方々ですね。私はバンボゥ国を代表して貴女方を迎える様に国王より遣わされたレグストと申します。以後、お見知りおきをお願いいたします。」
「まさか公爵様直々にお出迎え頂くとは恐縮です。」
シャルとエウルゥが即座に頭を下げる。どうやら2人は知り合いの様だ。
公爵と言う事はこの国は貴族階級制度が存在する様だ。
「初めまして、「深紅の薔薇」のギルドマスターをしているミカエル=アルファと申します。よろしくお願いします。」
ミカさんの挨拶と共に、皆が頭を下げる。
アニマ国の特産品で変えた透き通る様な女性声と超絶世美人、そしてモデル顔負けのスタイルの彼のスマイルでレグスト公爵は状態異常「魅了」されているのが表情で分かる。
同性・・・いや、今は異性か。
異性に対する効果は抜群だ。
こっそり呪い設定を教えたシャルとエウルゥは少し苦笑いをしていた。
こうしゃく・・・「公爵」と「侯爵」って有るんだっけ?あと「男爵」とか?
爵位とか漫画や小説で出て来る程度の知識でしか知らない。
私はエウルゥに軽く耳打ちして詳しく教えて貰う。
バンボゥ国は貴族階級制度が有りレグスト公爵は爵位1位に該当する「公爵」と言う高い位の方らしく、簡単に要約するとかなりのお偉い様だそうだ。
エウルゥの説明に合わせサクラが爵位序列の説明が始まる。
そして何故か聞いて無いのに軍人の階級の説明に流れて行く。
何で男子はこう説明好きなんだろうか?そして何故軍人でも無いのに階級とかに詳しいんだろうか?
永遠の謎である。
そしてエウルゥに「サクラ様は博識ですね。」と褒められ、気を良くしたサクラの説明がよりディープになり加速するのだった。
「私の従者が王都までご案内させて頂きます。どうぞ馬車にお乗りください。護衛の冒険者も雇っておりますので皆様の手を煩わせる事は無いと思います。」
「御厚意感謝いたします。」
「レグスト公爵様、よろしくお願いします。」
船の管理に数人を残し補給物資を荷馬車に積み終えた私達は馬車に乗り込みバンボゥ国の王都へと向かった。
道中のモンスターは公爵が雇った腕の立つ冒険者が排除し私達は特に戦闘する事無くバンボゥ国へ入国した。
「綺麗な街でござるな。」
「所々襲撃の跡がありますね。」
街の外周を幅10メートルは有る大きな運河が流れ運河と街を隔てる4メートル以上の巨大な外壁が覆った都市で、街並みはオスロウ国に似ている印象を受けた。
整備されている運河や街を覆う外壁には戦闘の跡が色濃く残り、住宅街もいくつか破壊された痕跡が有り大工職人が修繕作業を行っていた。
「市街への侵入は今の所少ないですが、小型のドラゴンの集団は空を飛べるので・・・国の騎士を集めても全てを防ぎきる事が出来なくて、この有様です。」
レグスト公爵は悲しげな目で乾いた笑いを浮かべる。
ゲームでは街の損害が少ない程レアドロップ率が上昇する仕様だったはず。
小型のドラゴンなら多分私達でも余裕だとは思うけど問題はボスのブラックドラゴンだ。
ゲームでは一定時間が過ぎると撤退する。
要はDPS制限が有るクエストなのだ。
時間内に高火力で逃げる前に倒さなければならない。
むしろゲームよりも戦闘自由度がリアル寄りなので撤退させない為の対策が立てれるかも知れない。
「小型のドラゴンの被害だけの様ですね。」
「ボス級のブラックドラゴンが現れたらこんなもんじゃ済まないでしょうね。」
以前と違う事は、この世界はゲーム内の最高難易度よりも高いレベルのモンスターに置換されている事。
復活アイテムがミカさんの持つ【ヒルドルの盾】と私が持つアイテム1個で終了だからミカさんの死守は最優先にしなければならない事。
有利になった事はアビスダンジョン下層レイドボスのアルラトが仲間になり、伝説の防具【神衣カヴァーチャ】と伝説の長銃【アグネイヤ】を手に入れた事だ。
高レベルプレイヤー30人でギリギリ勝てるクエストだったので、当時ゲーム開始して1年ちょっとだった私はレベルも装備ランクも低く足手纏いでしか無かった。
しかし、今なら少しは役に立てると思う。
「レグスト公爵、少し労働組合に寄らせて貰って良いでしょうか?」
「はい、心得ております。」
王宮に向かう同中にこの大陸の労働組合に寄りギルドカードの更新を行う。
見た感じ機械都市ギュノス国によりも大きな施設で、多くの冒険者達で賑わっていた。
ドラゴン討伐には多額の報奨金が掛けられ、酒場では多数の冒険者達がその話題で持ち切りだった。
私達は酒場で昼食を取り休憩をする事となった。
「おい!見ろよ、あれは噂の英雄様御一行じゃないか?復活した暗黒神を倒したって噂の・・・」
「まじかよ!スゲー美人揃いじゃねぇか。お前パーティーに誘ってみろよ!」
「馬鹿か!無理に決まってるだろ!国王直々に招集したって噂だぞ。」
「それにしても美人ばかりだな、あの華奢な体で戦えるのか?」
ギュノス国内にしかテレビみたいな映像技術が浸透して無い世界観で、海を隔てた大陸に噂が轟くとは驚きである。
転送装置も有るには有るが使用出来ないし、伝書鳩でも飛ばしているのだろうか?
声を変更するアイテムを使用しているネカマ達は堂々と女性の振りをして、愛想を振りまいている。
現実を知っている私からしたら滑稽以外の何物でも無い。
この感情は彼らが女性としてチヤホヤされる事に対する嫉妬なのだろうか?
うん、良く分からない・・・
まぁ本人達が満足なら良いんだけどね。
「すみませんね。別室が用意出来なくて。皆様には不愉快な思いをさせてしまいました。」
「王様謁見前なので、お酒が飲めないのが不満なメンバーも居ますが問題無いですよ。」
「逆に公爵様が庶民の酒場に居る事が凄いですけどね。」
ミカさんとエウルゥは公爵の相手をしてくれている。
サクラと咲耶と暗黒神ハーデスは掲示板に有る依頼書を見ながら冒険者達と談笑をしている様だ。
私とシャルとアルラトは名物の肉料理をテーブル一杯に注文し堪能していた。
討伐された小型ドラゴンの肉は調理加工する事で身体能力が向上すると言う噂で、この界隈でも名物の高級料理として珍重されていた。
オスロウ国で食べたA5和牛よりも硬く歯応えが有るが、肉の旨味はドラゴンの方が深い様な気がした。
皮とか牙に角や骨も武具の素材として高値で流通しているらしい。
冒険者の話を聞いていると貴族連中の中には民達の安全よりドラゴンの素材を貿易素材として他国に売る事で至福を肥やしている人間も居るらしい。
後は法律で禁止されている妖精種や亜人種の奴隷売買を影でしているマフィア的な組織も有るらしい。
ゲームでは聞き流す程度の設定だがシャルやエウルゥと仲良くなった今では不愉快極まりない話だ。
約1時間の休憩を終え、王都の中心を通る道路を真直ぐ馬車で城へ向かう。
かなり大きな都市で人口も多い、ドラゴンがいつ襲来するか分からないので市民の活気は少なかった。
この国は平民街、貴族街、王都と上級国民が住む地域に向かう程都市の中央に進む事になる。
国が発展し広い領地が有るのも考え物だなと思った。
私達は馬車に揺られながら王宮へと向かった。
応援ありがとうございます!
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