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異世界崩壊編 前編
191話 未実装の魔人
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「この世界の為に自分を犠牲にする?元々サービス終了と同時に消えるはずの世界だったではござらんか!これがこの世界の現実で受け入れるべき確定未来でござる!」
「そ、そうだけど・・・何か方法が有るかも知れないじゃないか!」
普段軽口のサクラが語気を荒げて叫ぶ。
彼の反論に対して少しだけ苛立ちを覚え、思わず声高に反論してしまう。
「ヨグトスを倒しても倒さなくても、この世界ごと我々も消えるかもな。そして現実世界には意識の無い肉の塊が残る・・・と。」
暗黒神ハーデスが怖い事を言う。
私とサクラは睨み合う様な形になってしまった。
運命論とか私には分からないけど、今この世界が自立して成り立っているなら維持も出来るはず。
その事を説得したいが、語彙力の無い私は年上の皆とディベートをして勝てる気がしない。
視界の端に映る表情の無いDOSも苛立っているのは雰囲気で分かる。
サクラの発言を聞いて、この世界に暮らすセーニアも怒りが表情に出ている様子だ。
「DOSにサクラ、シノブも落ち着いて下さい。現状私達にも分からない事が多過ぎます。未知の力を持った魔人ヨグトスを倒せる保障も有りません。ただ倒すにせよ説得をするにせよ、残りの魔人を倒し魔人ヨグトスの居る場所まで辿り着くのは必須です。」
ミカさんがこの場を治め解散となった。
私は部屋に戻り【破壊刀イレース】をアイテムストレージから取り出す。
レイは無反応だ、話掛けて見るけど反応が無い。
寝ているのか?いや、そもそも刀だから睡眠とか必要無いはずだ。
最初は突然話しかけて来た癖にまったく気まぐれなモノだ。
話しを聞いて貰いたい気分なのに出てこないとは・・・。
私は気を取り直して部屋の入口に粘着麻痺罠をしかけてベッドに潜り込む。
明日から防衛作戦の立案、コダ国の兵士団でピトゥリア国の王族の捜索も行われる様だ。
窓の外の空は常に赤く染まり昼夜の違いが分からない、そんな空を眺めながら溜息を付く。
この世界を救う方法何て思いつくはずも無い。
そして私は何時の間にか眠りに付いてしまった。
・
・
・
目を覚ますと部屋の外が少し騒がしい。
カーテンを開けて外を眺めると多数の冒険者が中庭に集まっていた。
また寝過ごしたかも、朝日と言うものが無くなってから時間の感覚が良く分からない。
部屋の入口の粘着罠には誰も掛かっておらず、設置した状態が保たれていた。
私は大きなアクビをして急いで着替える。
2階の広間に降りると咲耶と暗黒神ハーデスの姿が見えた。
「おはよう。」
「シノブ、おはようございます。」
「最近寝不足みたいだな、大丈夫か?」
ミカさんとDOSとクリス君は兵士長ギースと共に集まった冒険者の対応をしているらしい。
この国は街を守る為の巨大な防壁が存在しない。
街を囲う様にモンスターが避ける特殊な魔法結界を施した石が埋められており、ディワームを中心としたモンスターの侵入を阻害している。
強化ディワーム程度なら街に近付く事は無いが、先日その結界能力の効かないモンスターに襲撃されたと聞く。
ミカさんは前回よりも多くのモンスターが襲来すると踏んでいる。
その為即席では有るがバランスの良い40名で構成されたパーティーメンバーを複数作り街を囲う様に配置をするらしい。
「サクラとシャルは?」
「そう言えば朝から見てませんね。」
「我も知らんぞ。うん?」
暗黒神ハーデスが街の異変に気付き私達もそちらに目を向ける。
街の東に巨大な竜巻が見える。
私達は急いで城のテラスへと出て確認する。
1本、2本と竜巻は増えていき街中に何本もの竜巻の柱が聳え立つ。
中庭の冒険者達も異常な事態に気が付き騒めき立つ。
何本もの竜巻によって街の建物が倒壊し巻き上げられる、その中心となる街の上空に人影が見えた。
あれは・・・アルラト!?・・・・いや違う、とても似ているが少し違う。
長く黒い髪をたなびかせ小学生位の体型で黄土色のマントを着用している。
男性か女性か判別出来無い位中性的でパっと見た感じアルラトと見間違えてしまう様な外見だ。
もしかして、あれが魔人ハスタなのか?どのみち人間では無い。
暗黒神ハーデスが2階のテラスから、その人物目掛けて炎属性最強の極大攻撃魔法【ネオクエクスリア】を放つ。
しかし余りにも距離が遠すぎて目標に届く前に徐々に小さくなり消滅する。
しかしその人物も魔法攻撃に気が付き、此方を見て軽く微笑む。
その人物がパチンを指を鳴らす動作を取ると街を破壊していた複数の竜巻が一瞬で消滅する。
その人物は浮遊したままゆっくりと城に近付いて来た。
『俺様は魔人ハスタだ・・・異物を排除しに来た。本来この世界に居てはならない・・・異物のな。』
「そ、そうだけど・・・何か方法が有るかも知れないじゃないか!」
普段軽口のサクラが語気を荒げて叫ぶ。
彼の反論に対して少しだけ苛立ちを覚え、思わず声高に反論してしまう。
「ヨグトスを倒しても倒さなくても、この世界ごと我々も消えるかもな。そして現実世界には意識の無い肉の塊が残る・・・と。」
暗黒神ハーデスが怖い事を言う。
私とサクラは睨み合う様な形になってしまった。
運命論とか私には分からないけど、今この世界が自立して成り立っているなら維持も出来るはず。
その事を説得したいが、語彙力の無い私は年上の皆とディベートをして勝てる気がしない。
視界の端に映る表情の無いDOSも苛立っているのは雰囲気で分かる。
サクラの発言を聞いて、この世界に暮らすセーニアも怒りが表情に出ている様子だ。
「DOSにサクラ、シノブも落ち着いて下さい。現状私達にも分からない事が多過ぎます。未知の力を持った魔人ヨグトスを倒せる保障も有りません。ただ倒すにせよ説得をするにせよ、残りの魔人を倒し魔人ヨグトスの居る場所まで辿り着くのは必須です。」
ミカさんがこの場を治め解散となった。
私は部屋に戻り【破壊刀イレース】をアイテムストレージから取り出す。
レイは無反応だ、話掛けて見るけど反応が無い。
寝ているのか?いや、そもそも刀だから睡眠とか必要無いはずだ。
最初は突然話しかけて来た癖にまったく気まぐれなモノだ。
話しを聞いて貰いたい気分なのに出てこないとは・・・。
私は気を取り直して部屋の入口に粘着麻痺罠をしかけてベッドに潜り込む。
明日から防衛作戦の立案、コダ国の兵士団でピトゥリア国の王族の捜索も行われる様だ。
窓の外の空は常に赤く染まり昼夜の違いが分からない、そんな空を眺めながら溜息を付く。
この世界を救う方法何て思いつくはずも無い。
そして私は何時の間にか眠りに付いてしまった。
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目を覚ますと部屋の外が少し騒がしい。
カーテンを開けて外を眺めると多数の冒険者が中庭に集まっていた。
また寝過ごしたかも、朝日と言うものが無くなってから時間の感覚が良く分からない。
部屋の入口の粘着罠には誰も掛かっておらず、設置した状態が保たれていた。
私は大きなアクビをして急いで着替える。
2階の広間に降りると咲耶と暗黒神ハーデスの姿が見えた。
「おはよう。」
「シノブ、おはようございます。」
「最近寝不足みたいだな、大丈夫か?」
ミカさんとDOSとクリス君は兵士長ギースと共に集まった冒険者の対応をしているらしい。
この国は街を守る為の巨大な防壁が存在しない。
街を囲う様にモンスターが避ける特殊な魔法結界を施した石が埋められており、ディワームを中心としたモンスターの侵入を阻害している。
強化ディワーム程度なら街に近付く事は無いが、先日その結界能力の効かないモンスターに襲撃されたと聞く。
ミカさんは前回よりも多くのモンスターが襲来すると踏んでいる。
その為即席では有るがバランスの良い40名で構成されたパーティーメンバーを複数作り街を囲う様に配置をするらしい。
「サクラとシャルは?」
「そう言えば朝から見てませんね。」
「我も知らんぞ。うん?」
暗黒神ハーデスが街の異変に気付き私達もそちらに目を向ける。
街の東に巨大な竜巻が見える。
私達は急いで城のテラスへと出て確認する。
1本、2本と竜巻は増えていき街中に何本もの竜巻の柱が聳え立つ。
中庭の冒険者達も異常な事態に気が付き騒めき立つ。
何本もの竜巻によって街の建物が倒壊し巻き上げられる、その中心となる街の上空に人影が見えた。
あれは・・・アルラト!?・・・・いや違う、とても似ているが少し違う。
長く黒い髪をたなびかせ小学生位の体型で黄土色のマントを着用している。
男性か女性か判別出来無い位中性的でパっと見た感じアルラトと見間違えてしまう様な外見だ。
もしかして、あれが魔人ハスタなのか?どのみち人間では無い。
暗黒神ハーデスが2階のテラスから、その人物目掛けて炎属性最強の極大攻撃魔法【ネオクエクスリア】を放つ。
しかし余りにも距離が遠すぎて目標に届く前に徐々に小さくなり消滅する。
しかしその人物も魔法攻撃に気が付き、此方を見て軽く微笑む。
その人物がパチンを指を鳴らす動作を取ると街を破壊していた複数の竜巻が一瞬で消滅する。
その人物は浮遊したままゆっくりと城に近付いて来た。
『俺様は魔人ハスタだ・・・異物を排除しに来た。本来この世界に居てはならない・・・異物のな。』
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