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第16章 -勇者 VS 魔王-
†第16章† -32話-[友人の国政にまた提案してみた]
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勇者プルメリオが魔族領の旅を再開して、まだ幾日も経たぬ頃——。
水無月宗八の姿はフォレストトーレの王政府にあった。
「国立総合学園の設立と学園都市?」
ソファに座る宗八とテーブルを挟んだ向こうのソファに座るのはラフィート=セリアティア=フォレストトーレ。
この風の国フォレストトーレの国王にして、宗八の数少ない友人の一人でもあった。
「何故我が国に設立したいのだ?」
ラフィートの質問に宗八も答える。
「この国が大陸の中心部にあるから都合が良い。あとは人材も集めやすいだろう?」
そこに打算が介在していることは否定しない。
しかし、宗八が籍を置くアスペラルダの成長具合に比べて、魔神族が関わり旧王都が壊滅状態のフォレストトーレとの力関係は歪だ。大陸の中心にありながら周辺国に比べると力を失っている事は誰の眼から見ても明らかだった。
その支援策として宗八は巨大牧場街の構築を唆し、ラフィート王もそれに応えた。
それだけに留まらず、新たな話も持ち込んだ宗八に睨みを利かしたラフィート王の眼光が鋭くなる。
「確かに人材不足が目下の課題とはいえ、学園設立というのは話が突飛すぎる気がするのだが?」
人材を育てるには時間が掛かる。
旧王都の人材が全滅した事で国政もままならなくなったラフィート王は、ハルカナムという街に政府を設立し国を発展させ続けている。
人材は当然、一から探し、育てねばならなかった。その苦労は計り知れない。
希少な蜂蜜の採取と販売を中心に経済を回復させる為、宗八の話に乗って巨大牧場街テラフォームの開拓は始まっている。
「今後、貴族籍が整理されることで俺が懸念しているのは身分差別だ。貴族であるだけで市民よりも顔も人脈もその分広がる。だからこそ高等な知識を持った人物を家庭教師として確保され人材の無駄遣いを事前に潰しておきたい」
宗八の言い分に理解を示すラフィートは、数年前の自分の態度を思い出していた。
確かに、王族は特別な立場だ。
しかし、国を支えているのは臣民であることも今は十分すぎる程に理解している。民失くして国は無し。今やフォレストトーレ王政府を運用している多くの人材は市井から公募して採用しているのだから。
「よしんば俺が貴様の提案を飲んだとして、各国はどのような考えなのか聞かせてもらおうか」
本来ならば王族間で通信をして相談が必要な話のはずだ。
それが、王族の頭を飛び越えて宗八がまた話を持ち込んだのだ。それなりの準備が整っているのだろうとラフィートは察していた。
「もちろん快諾は頂いている……。というよりは、乗り遅れる事で発生するデメリットが大きすぎて断れなかった、が正解かな。その分、物資支援が行われるし人材も送り込まれる事になるけど、学園以外に手を出す様ならラフィートの背後に俺が居る事も釘は打っているから安心してくれ」
サムズアップで心強さをアピールする宗八に、いつもの厳しい視線を送るラフィート。
もちろんラフィートとしては事のうま味をわかっている。
人材不足はいつまで経っても解決せず、半年毎に募集を募っていてもなかなか眼鏡に掛かる人材は見つからないものだ。
となれば、教育機関を設立すべきなのだが、これもなかなかに資金運用が大変になるので現在の政府では対応できないと判断し諦めていた話だった。
だが、その“諦めた理由”の大半が他国の出資で解決できるのなら——。
為政者として、これほど甘美な話もない。
「場所は当然、旧王都だろう?」
ラフィートの確信している言葉に宗八は頷き説明を追加する。
「瓦礫もほぼ手付かずだろう? 整地は俺がやってもいいし、その後は建材の持ち込みも各国と調整すればいい」
「本当に貴様は……。これが無理難題の我儘ならばいざ知らず、長期的な金策案としてのギガフォームに続いて、人材確保案の学園都市か……。破滅を解決したあとはうちの外交官にでもなるつもりか?」
ラフィートは目尻を抑えながら回想する。
以前のギガフォームの話も突然だった。友人になってから目の前の男の凄まじさを改めて理解させられたのだ。
宗八との出会いはお互いに最悪だった。
王族として確かに傲慢であったが、宗八の対応もラフィートの腕骨を粉々に粉砕するという洗礼だった。
当時の宗八達の状況としてはフォレストトーレ王都が危険かもしれない為、確認に急ぎたいところに我儘放題の王族が現れたのだから邪魔と考えても致し方ないだろう。そこは納得するが、腕骨を複雑骨折させる必要は無かっただろう……だが、今となっては——いや、今でも思い出す度にラフィートは腹を立てていた。
治療をしている間に王都は瘴気に蝕まれ、挙句の果てには王都に住んでいた臣民並びに貴族連中に全滅。
その中には当然、王族であった父王と弟も含まれており現時点で直系はラフィートのみ。
王都から離れていた遠縁筋にはいくつか血縁者が居たおかげで今の妻も娶る事が出来たのは幸いだった。
とはいえ、嫁に来てもらったは良いが普通の王族としての豪華な暮らしは出来ないし城も無い。仕事も多いので手伝ってもらう始末なのだが、妻にしてみればやりがいがあるとの事で文官に紛れて今も働いてもらっている。
近々、側室も設ける予定だ。
そんな訳で宗八から分からされたラフィート王子はフォレストトーレ国王として立場を改め国の復興に注力し始めた。
今思えば、出会った時点でこの腐れ縁は結ばれてしまったのだろう。
宗八の所属としてはアスペラルダ国なのだが、なんだかんだとフォレストトーレ国の事も気にしてくれる。
それどころか何故か国政にも口を挟み、蜂蜜を中心とした巨大牧場街ギガフォームのプレゼンテーションまで行う始末。当然、他国の国政に口を出した事を現在の婚約者でもあるアルカンシェ王女に咎められていたのも記憶に新しい。
今回も似た状況だが、すでに各国から何故か承諾を貰い、事後報告でここに来ている。
話しを聞けば全寮制なので、その間は子育てから手が離れているにも拘らず貴族や騎士として、もしくは平民は文官や戦闘技術を磨く為、親は時間的な事由がある程度確保出来るようになる。
また、各国の中心にあるフォレストトーレに学園都市を建設する事で、長期休みでの帰省もしやすくなる点も理解を得やすかったのだろう。
学費に付いては無料。
と言うよりは、各国協力の国政なので国が学費を負担する事となる。
ただし、食費や小遣いは家族からの仕送りに頼る予定なので、親が定めたお金の管理の勉強も視野に入れている点も評価に当たる。
宗八に甘いアスペラルダはともかく、各国が前のめりでこの政策に協力的なのはそういう観点からだろう。
貴族は家庭教師を奪い合い、庶民は私塾にも通えぬ。生まれの違いが教育の差を生み、やがて国力の差へと繋がる現状。
——それを解消できるなら、貴族や庶民の中から不満の声が上がることは無いと予測できる。
つまり、ほぼ文句の言い様が無いほどに外堀を埋めた状況でどの立場なのかは知らないが、この能天気な男は今回の話を持ち込んで来たのだ。本当に頼りになる迷惑な友人だ。
「いいだろう、その話には乗ってやる」
正確には乗らざるを得ないのだが、ラフィートの性格をしる宗八には十分な返答だった。
「だが、今年の予算案はすでにある程度確定してしまっているからな……。追加収益次第で来年に回さざるを得ないかもしれん」
巨大牧場街ギガフォームも今年は二度目の風の月。
マザーワスプ達は順調に分蜂を始め、蜂蜜だけでなく酒や飴、蜜蝋製品も市場に並び始めていた。
去年は巣を作り始めてから半年ほどで1度目の風の月を迎えた為、不安もあったがマザーワスプはしっかりとした巣を作り、次期マザーワスプも三体産んでいた。そこから更に今年も分蜂となるとひとつの巣から三体のマザーがそれぞれ新しい巣を作る事を考えると一気に経済が回り始める事になるだろう。
今は予算が足りず着手が遅れるかもしれないが、一年遅れる程度なら焦る必要は無い。
人手も足りないのだ。仕事を増やす前にある程度余裕を作る必要もある。
そう考えていたラフィートだったが、次の宗八の発言に耳を疑った。
「じゃあ、先に他四ヶ国からの人員と資金と建材の運び込みとかは進めておくぞ」
丁度カップを傾け紅茶を口に含み始めたタイミングだったので、思わず吹きかけ咳き込んだ。
「——ッ!ゴッホゴホゴホ!ゴッホゴホ!はぁあああああああああ!?」
その時、ラフィートは思い出した。
宗八の性急さを……。動くなら最短距離を走ろうとすることを……。
事はすでに動き始めていたのだ。
「各国に話を持ち込んだ際に言われたんだよ。多分すぐには動き出せないだろうから、職人地区と学園の下地をアスペラルダで担ったりなどの分割で工事を進める必要があるだろうってね。だから、はい!」
宗八が取り出した資料には学園都市の大まかな計画表が乗っていた。
まだ仮決定しか書かれていないが、それでも各国の希望する担当などが掛かれた計画書は数枚にも及ぶ。
あまりに杜撰な内容に、ラフィートは思わず頭を抱えた。
要約すれば”あとはラフィートが調整してね”と言う事だ。
「丸投げする気マンマンの内容ではないかっ!案だけ出して整地したら逃げるつもりであろうっ!」
資料を通して宗八の浅はかな考えが透けて見えた。
確かに国政に宗八が口を挟む事は出来ない。しかし、動き出してみれば発案者が失踪するなど許される事ではない。
ラフィートは激怒した。
「———友であると同時にフォレストトーレ国王として命じる!<万彩>水無月宗八、貴様はスペシャルアドバイザー兼雑用としてこの件から逃げる事を禁ずる!———良いなっ!」
その宣言は屋敷中に響いたという。
屋敷に宗八が訪れたことは周知されていたし、宗八のある意味傍若無人振りを知る屋敷の面々は「また、陛下を怒らせているなぁ」。
そんな呟きとともに、屋敷の者たちはそっと笑った。
「———貴様の「自分の仕事は終わった」とでも言う様な態度は本当に気に入らんっ!」
フォレストトーレは、今日も平和であった。
水無月宗八の姿はフォレストトーレの王政府にあった。
「国立総合学園の設立と学園都市?」
ソファに座る宗八とテーブルを挟んだ向こうのソファに座るのはラフィート=セリアティア=フォレストトーレ。
この風の国フォレストトーレの国王にして、宗八の数少ない友人の一人でもあった。
「何故我が国に設立したいのだ?」
ラフィートの質問に宗八も答える。
「この国が大陸の中心部にあるから都合が良い。あとは人材も集めやすいだろう?」
そこに打算が介在していることは否定しない。
しかし、宗八が籍を置くアスペラルダの成長具合に比べて、魔神族が関わり旧王都が壊滅状態のフォレストトーレとの力関係は歪だ。大陸の中心にありながら周辺国に比べると力を失っている事は誰の眼から見ても明らかだった。
その支援策として宗八は巨大牧場街の構築を唆し、ラフィート王もそれに応えた。
それだけに留まらず、新たな話も持ち込んだ宗八に睨みを利かしたラフィート王の眼光が鋭くなる。
「確かに人材不足が目下の課題とはいえ、学園設立というのは話が突飛すぎる気がするのだが?」
人材を育てるには時間が掛かる。
旧王都の人材が全滅した事で国政もままならなくなったラフィート王は、ハルカナムという街に政府を設立し国を発展させ続けている。
人材は当然、一から探し、育てねばならなかった。その苦労は計り知れない。
希少な蜂蜜の採取と販売を中心に経済を回復させる為、宗八の話に乗って巨大牧場街テラフォームの開拓は始まっている。
「今後、貴族籍が整理されることで俺が懸念しているのは身分差別だ。貴族であるだけで市民よりも顔も人脈もその分広がる。だからこそ高等な知識を持った人物を家庭教師として確保され人材の無駄遣いを事前に潰しておきたい」
宗八の言い分に理解を示すラフィートは、数年前の自分の態度を思い出していた。
確かに、王族は特別な立場だ。
しかし、国を支えているのは臣民であることも今は十分すぎる程に理解している。民失くして国は無し。今やフォレストトーレ王政府を運用している多くの人材は市井から公募して採用しているのだから。
「よしんば俺が貴様の提案を飲んだとして、各国はどのような考えなのか聞かせてもらおうか」
本来ならば王族間で通信をして相談が必要な話のはずだ。
それが、王族の頭を飛び越えて宗八がまた話を持ち込んだのだ。それなりの準備が整っているのだろうとラフィートは察していた。
「もちろん快諾は頂いている……。というよりは、乗り遅れる事で発生するデメリットが大きすぎて断れなかった、が正解かな。その分、物資支援が行われるし人材も送り込まれる事になるけど、学園以外に手を出す様ならラフィートの背後に俺が居る事も釘は打っているから安心してくれ」
サムズアップで心強さをアピールする宗八に、いつもの厳しい視線を送るラフィート。
もちろんラフィートとしては事のうま味をわかっている。
人材不足はいつまで経っても解決せず、半年毎に募集を募っていてもなかなか眼鏡に掛かる人材は見つからないものだ。
となれば、教育機関を設立すべきなのだが、これもなかなかに資金運用が大変になるので現在の政府では対応できないと判断し諦めていた話だった。
だが、その“諦めた理由”の大半が他国の出資で解決できるのなら——。
為政者として、これほど甘美な話もない。
「場所は当然、旧王都だろう?」
ラフィートの確信している言葉に宗八は頷き説明を追加する。
「瓦礫もほぼ手付かずだろう? 整地は俺がやってもいいし、その後は建材の持ち込みも各国と調整すればいい」
「本当に貴様は……。これが無理難題の我儘ならばいざ知らず、長期的な金策案としてのギガフォームに続いて、人材確保案の学園都市か……。破滅を解決したあとはうちの外交官にでもなるつもりか?」
ラフィートは目尻を抑えながら回想する。
以前のギガフォームの話も突然だった。友人になってから目の前の男の凄まじさを改めて理解させられたのだ。
宗八との出会いはお互いに最悪だった。
王族として確かに傲慢であったが、宗八の対応もラフィートの腕骨を粉々に粉砕するという洗礼だった。
当時の宗八達の状況としてはフォレストトーレ王都が危険かもしれない為、確認に急ぎたいところに我儘放題の王族が現れたのだから邪魔と考えても致し方ないだろう。そこは納得するが、腕骨を複雑骨折させる必要は無かっただろう……だが、今となっては——いや、今でも思い出す度にラフィートは腹を立てていた。
治療をしている間に王都は瘴気に蝕まれ、挙句の果てには王都に住んでいた臣民並びに貴族連中に全滅。
その中には当然、王族であった父王と弟も含まれており現時点で直系はラフィートのみ。
王都から離れていた遠縁筋にはいくつか血縁者が居たおかげで今の妻も娶る事が出来たのは幸いだった。
とはいえ、嫁に来てもらったは良いが普通の王族としての豪華な暮らしは出来ないし城も無い。仕事も多いので手伝ってもらう始末なのだが、妻にしてみればやりがいがあるとの事で文官に紛れて今も働いてもらっている。
近々、側室も設ける予定だ。
そんな訳で宗八から分からされたラフィート王子はフォレストトーレ国王として立場を改め国の復興に注力し始めた。
今思えば、出会った時点でこの腐れ縁は結ばれてしまったのだろう。
宗八の所属としてはアスペラルダ国なのだが、なんだかんだとフォレストトーレ国の事も気にしてくれる。
それどころか何故か国政にも口を挟み、蜂蜜を中心とした巨大牧場街ギガフォームのプレゼンテーションまで行う始末。当然、他国の国政に口を出した事を現在の婚約者でもあるアルカンシェ王女に咎められていたのも記憶に新しい。
今回も似た状況だが、すでに各国から何故か承諾を貰い、事後報告でここに来ている。
話しを聞けば全寮制なので、その間は子育てから手が離れているにも拘らず貴族や騎士として、もしくは平民は文官や戦闘技術を磨く為、親は時間的な事由がある程度確保出来るようになる。
また、各国の中心にあるフォレストトーレに学園都市を建設する事で、長期休みでの帰省もしやすくなる点も理解を得やすかったのだろう。
学費に付いては無料。
と言うよりは、各国協力の国政なので国が学費を負担する事となる。
ただし、食費や小遣いは家族からの仕送りに頼る予定なので、親が定めたお金の管理の勉強も視野に入れている点も評価に当たる。
宗八に甘いアスペラルダはともかく、各国が前のめりでこの政策に協力的なのはそういう観点からだろう。
貴族は家庭教師を奪い合い、庶民は私塾にも通えぬ。生まれの違いが教育の差を生み、やがて国力の差へと繋がる現状。
——それを解消できるなら、貴族や庶民の中から不満の声が上がることは無いと予測できる。
つまり、ほぼ文句の言い様が無いほどに外堀を埋めた状況でどの立場なのかは知らないが、この能天気な男は今回の話を持ち込んで来たのだ。本当に頼りになる迷惑な友人だ。
「いいだろう、その話には乗ってやる」
正確には乗らざるを得ないのだが、ラフィートの性格をしる宗八には十分な返答だった。
「だが、今年の予算案はすでにある程度確定してしまっているからな……。追加収益次第で来年に回さざるを得ないかもしれん」
巨大牧場街ギガフォームも今年は二度目の風の月。
マザーワスプ達は順調に分蜂を始め、蜂蜜だけでなく酒や飴、蜜蝋製品も市場に並び始めていた。
去年は巣を作り始めてから半年ほどで1度目の風の月を迎えた為、不安もあったがマザーワスプはしっかりとした巣を作り、次期マザーワスプも三体産んでいた。そこから更に今年も分蜂となるとひとつの巣から三体のマザーがそれぞれ新しい巣を作る事を考えると一気に経済が回り始める事になるだろう。
今は予算が足りず着手が遅れるかもしれないが、一年遅れる程度なら焦る必要は無い。
人手も足りないのだ。仕事を増やす前にある程度余裕を作る必要もある。
そう考えていたラフィートだったが、次の宗八の発言に耳を疑った。
「じゃあ、先に他四ヶ国からの人員と資金と建材の運び込みとかは進めておくぞ」
丁度カップを傾け紅茶を口に含み始めたタイミングだったので、思わず吹きかけ咳き込んだ。
「——ッ!ゴッホゴホゴホ!ゴッホゴホ!はぁあああああああああ!?」
その時、ラフィートは思い出した。
宗八の性急さを……。動くなら最短距離を走ろうとすることを……。
事はすでに動き始めていたのだ。
「各国に話を持ち込んだ際に言われたんだよ。多分すぐには動き出せないだろうから、職人地区と学園の下地をアスペラルダで担ったりなどの分割で工事を進める必要があるだろうってね。だから、はい!」
宗八が取り出した資料には学園都市の大まかな計画表が乗っていた。
まだ仮決定しか書かれていないが、それでも各国の希望する担当などが掛かれた計画書は数枚にも及ぶ。
あまりに杜撰な内容に、ラフィートは思わず頭を抱えた。
要約すれば”あとはラフィートが調整してね”と言う事だ。
「丸投げする気マンマンの内容ではないかっ!案だけ出して整地したら逃げるつもりであろうっ!」
資料を通して宗八の浅はかな考えが透けて見えた。
確かに国政に宗八が口を挟む事は出来ない。しかし、動き出してみれば発案者が失踪するなど許される事ではない。
ラフィートは激怒した。
「———友であると同時にフォレストトーレ国王として命じる!<万彩>水無月宗八、貴様はスペシャルアドバイザー兼雑用としてこの件から逃げる事を禁ずる!———良いなっ!」
その宣言は屋敷中に響いたという。
屋敷に宗八が訪れたことは周知されていたし、宗八のある意味傍若無人振りを知る屋敷の面々は「また、陛下を怒らせているなぁ」。
そんな呟きとともに、屋敷の者たちはそっと笑った。
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