446 / 450
第16章 -勇者 VS 魔王-
†第16章† -38話-[大魔王城前:前編]
しおりを挟む
宗八が神格位を得た日から二ヶ月後———。
破滅対策が水面下で動く裏側で、勇者プルメリオ一行はついに“大魔王城”の目前へ辿り着いた。
大魔王領を囲む山々は鋭く屹立し、その隙間にぽっかりと空いた巨大な大穴が麓に口を開けている。
地形そのものが抉られているのだ。
戦か、災害か——何が起きれば、あれほどの穴が生まれるのか。
誰も答えを持たないまま、ただこの大穴が出来上がった背景を想像し唖然とするしかなかった。
その険しく、人の足では登れない岩壁を軽々とカモシカの如く登っていく五つの影がある。
魔族のセントールだ。
その背には勇者パーティが必死にしがみ付き、地面との距離を目視して肝を震わせる。
セントールは半人半獣のいち種族名だ。有名な所がエリート枠のケンタウロス。
走れば音を置き去りにし、弓を射ればすべてが強弓となり、近接となれば戦神が如くと謳われた。
多くの物語では同種とされるこの二種だが、この世界では平原のケンタウロス、山岳のセントールという形で住み分けされている。
「あれが……大魔王城か」
プルメリオは風に髪を揺らしながら呟いた。
一年足らずの今回の旅路が、一気に胸に去来する。
苦しさも喜びも、ここへ続く一本の道だったのだと。
「本当に……ありがとうございました」
「ありがとうございました」
山の頂まで運んでもらった感謝を込め、ミリエステとプーカが深々と頭を下げる。
「礼など不要だ。お前たちが暴走サイクロプスを討ってくれた恩を返しただけだ」
隣の戦士の肩に手を置き、セントールの青年は微笑む。
「魔族と人族の戦に加わる気はない。だが、恩を踏みにじるのは我らの矜持に反する」
感謝に対する彼らのその声音は、静かだが半人半獣としての確かな誇りを含んでいた。
「それにしても想像していたよりも酷ぇところだなぁ」
拳闘士クライヴが低く唸る。
無理もない。眼下の大魔王城は、フォレストトーレ旧王都を思わせる惨状だった。
無数の黒いオベリスクが大地に林立し、その内側で瘴気が濃く、ねっとりと凝り固まっている。
まるで大地そのものが腐敗し、呼吸しているようだった。
「魔王オーティスと相対には、先に城周りを掃除する必要がありますね」
重騎士マクラインも険しい顔で城を見下ろす。
「なぁ、メリオ」
「こりゃ……手ぇ借りた方がいいんじゃねぇか」
クライヴとマクラインが視線を送ってくる。
分かっている。
勇者として、この場に立った直後に助けを求めるのは情けない——。
そんな見栄が胸を締めつけていた。
だが現実として、自分たちだけでやれば膨大な時間がかかる。
その間、大魔王が更なる攻勢に動かない保証などどこにもない。
「尊師が忙しくしているのも知っているけれど、流石は大魔王城と言った所かしらね」
ミリエステが呟き、プーカも続ける。
「この前、苛刻のシュティーナから宣戦布告が来たって聞いたよ。進軍が始まったら——もう時間は残ってない」
その言葉は、決定的だった。
影ながら彼らの旅を支えていた諜報侍女からの情報だ。嘘偽りは万が一にも無い。
自分が紡いでいる物語は確かに”勇者プルメリオ”の物語だが、この世界”アルストロメリア”の物語の一つに過ぎない。
プーカがあえて口にした台詞がプルメリオの心を———彼も無駄と分かっている葛藤を捨てる覚悟が出来た。
「……分かった。助力を頼もう。この旅を、終わらせるために」
少しずつ削ぎ落したはずの勇者としての矜持が疼いたが、それでも蓋をする。
四年半もこの世界で過ごしたのだ。守りたいものが増えた。失いたくない景色も、仲間も。
勇者は確かに一つの物語の主人公である。
しかし、この世界に関しては勇者とは別の主人公の物語がメインとして存在する事をプルメリオは理解していた。
魔王討伐———。それはこの世界の中での些事だ。
破滅侵攻———。それがこの世界の大事だ。
瘴気が風に流れ、彼のマントを揺らす。
それはまるで、大魔王城が勇者を待ち構えているかのようだった。
* * * * *
勇者プルメリオからの要請を受けた宗八は、数日の準備期間の後に大魔王城近辺で合流した。
話を受けた直後に現地に赴き直接現状を確認した宗八が今回同行させたのは、光精使いサーニャとアネスと、護衛役に直弟子の七精使いトワインとディテウスの計四人だ。
「思ったよりも少ない人数で来たんですね……」
呆気に取られるほどの少人数で合流して来た事に、プルメリオが思わず言葉を漏らす。
大魔王城は言ってしまえばラストダンジョンなのだ。
当然、敵の本拠地であるからしてフォレストトーレ城よりも巨大で内部構造も複雑だろう事は見て分かる。
突入の手助けに外周掃除とはいえ、宗八を含めた五人で参加してくるとは思っていなかったのだ。
「別に手抜きをしているわけじゃないぞ。この程度の仕事はこの人数で出来てもらわないと本番で不安だからな……。腕試しも兼ねて敢えての五人でもある……」
それだけではなく、破滅侵攻がこのタイミングで発生することへの懸念の意味合いもある。
苛刻のシュティーナが宣戦布告したからといって「じゃあ、今から準備期間を設けますね」と言った訳じゃない。本来する必要のない宣戦布告をしたうえで翌日にも侵攻してきてもおかしくはなかったのだ。
協力者だからと全面的に信用は出来ない為、戦力の多くは破滅に向けておく必要があった。
「絶対に今日攻略する必要は無い。そもそもダンジョン化していなければ天井をぶち抜いて謁見すれば良いだけだしな」
宗八の発言に勇者PTはドン引きした。
四年半の旅路の果てが大魔王城の天井を抜いて相対すればいい、とは……。改めて水無月宗八という人物が効率重視の為にめちゃくちゃをやって来たのだと思い出す。
「魔神族がどの程度関わっているか次第ですね……。フォレストトーレ城がダンジョン化していたのは、ダンジョンコアを魔神族が持ち込んだからでしたから……」
魔法使いミリエステだけが唯一ドン引きせず冷静に現状を憂う。
「そ、そうだな。同じ様に超大型禍津核モンスターとまた戦う羽目になるかもしれない……」
彼女の声に引っ張られる形で重騎士マクラインも不安要素を口にするが。
「何言ってやがる。結局、俺達はアレを倒すときは手伝いくらいして出来てなかっただろうが」
それを拳闘士クライヴが鼻で笑い飛ばした。
ただ一人、当時PT参入していなかった義賊プーカは、共有できない寂しさからミリエステの側に少しだけ寄った。
フォレストトーレ城が全壊した理由は、木精ファウナを用いて顕現したキュクレウス=ヌイの影響だった。
大きい建造物である城を幹の中に閉じ込め、持ち上げ。周囲には多くの触手や眷族モンスターを放ち厄介で苦労した。
ただ、今回は大魔王城が相手だ。同じ状況になったとしても城が全壊しようとこちらが気にする必要も無い。
「とりあえず、突っ込んでみてからのお楽しみ……ですねっ!」
勇者プルメリオのいつにない強気な発言に宗八も口角を上げて気分を上げる。
その様子を連れて来られた四人が微妙な表情を浮かべつつ、自分達の仕事量に嘆息した。
「その調子だ。とりあえず前面が片付いたらタイミングをみて攻略を開始してくれ」
「はいっ!」
宗八の宣言と勇者の返事を皮切りにそれぞれが準備に入る。
* * * * *
「まず何をする?」
宗八の簡潔過ぎる質問に、視線を向けられた棍使いディテウスが素早く答える。
「オベリスクを破壊します」
瘴気を浄化するには光魔法が必要だ。
しかし、オベリスクは魔法に関わる全てを弱体化させる力がある。
今の宗八達ならば魔力量の力押しでどうとでもなるのだが、そんなことをしていては徐々に魔力は解かれ効率が落ちてしまうのは目に見えている。オベリスクを後回しにする選択は、長期戦を見越せば下策だ。
「まず何をする?」
同じ質問が今度はサーニャに向けられた。
ただし、役割が違うことを理解している彼女の答えはディテウスとは違うものだった。
「ディテウスへの瘴気耐性付与と範囲外からの広範囲浄化魔法の展開です」
瘴気は魔力が悪性に変わったものであり、常人や精霊にとって毒となる。
長く吸えば死に至るほどの瘴気が、今や気体でありながら粘度が出る程に凝縮された状態なのだ。
遠距離から破壊するトワインはともかく、あの瘴気の海に突っ込むディテウスが十全に働くには耐性を付与する必要がある。
また、オベリスク一本の効果範囲は決まっている。
数百本同じところに設置されているからといって相乗的に範囲が広がることは無い。
その範囲外から効果の届く浄化を行えば、最大浄化率で継続して仕事を進める事が可能だ。
「まず何をする?」
三度目の質問は弓使いトワインへ向けられた。
今回呼び出された四人の仕事はオベリスクの破壊と瘴気の浄化だ。
先の二人がすでに答えたとなると、別の回答を希望していると考えたトワインは、少しの間を置いて答えを出した。
「正面の掃除……です」
最近は宗八に似て自信家な面が増えて来たトワインが、珍しく不安げだったのが面白く宗八は微笑む。
「そうだ。あくまでメリオ達勇者パーティのサポートが俺達の仕事だからな」
正解だったことにホッと息をつくトワインとは裏腹に、次に視線を向けられた魔法使いアネスの胸は不安でいっぱいだった。
これ以上「何をする?」と聞かれても答えようがない。
「何がしたい?」
その不安に反して質問内容は少し変わっていた。
相変わらず簡素な言葉選びだったが、真剣な表情の宗八を見て一度アネスは考えを整理する時間を設ける。
何がしたい。つまり自分が浄化するのは当たり前として、そのうえでの行動を聞かれている……。
「……神力の運用を試します」
アネスの答えを聞いた三人も思い至ったように表情を変える。
実戦の中で神霊核へと成長した精霊との連携をここで高める為に挑戦しよう、と宗八は問い掛けていたことにアネスは気付き応えた。
「よし、じゃあ仕事に取り掛かろう!」
勇者の道を切り開く。
こういう役割も宗八は嫌いでは無かった。
破滅対策が水面下で動く裏側で、勇者プルメリオ一行はついに“大魔王城”の目前へ辿り着いた。
大魔王領を囲む山々は鋭く屹立し、その隙間にぽっかりと空いた巨大な大穴が麓に口を開けている。
地形そのものが抉られているのだ。
戦か、災害か——何が起きれば、あれほどの穴が生まれるのか。
誰も答えを持たないまま、ただこの大穴が出来上がった背景を想像し唖然とするしかなかった。
その険しく、人の足では登れない岩壁を軽々とカモシカの如く登っていく五つの影がある。
魔族のセントールだ。
その背には勇者パーティが必死にしがみ付き、地面との距離を目視して肝を震わせる。
セントールは半人半獣のいち種族名だ。有名な所がエリート枠のケンタウロス。
走れば音を置き去りにし、弓を射ればすべてが強弓となり、近接となれば戦神が如くと謳われた。
多くの物語では同種とされるこの二種だが、この世界では平原のケンタウロス、山岳のセントールという形で住み分けされている。
「あれが……大魔王城か」
プルメリオは風に髪を揺らしながら呟いた。
一年足らずの今回の旅路が、一気に胸に去来する。
苦しさも喜びも、ここへ続く一本の道だったのだと。
「本当に……ありがとうございました」
「ありがとうございました」
山の頂まで運んでもらった感謝を込め、ミリエステとプーカが深々と頭を下げる。
「礼など不要だ。お前たちが暴走サイクロプスを討ってくれた恩を返しただけだ」
隣の戦士の肩に手を置き、セントールの青年は微笑む。
「魔族と人族の戦に加わる気はない。だが、恩を踏みにじるのは我らの矜持に反する」
感謝に対する彼らのその声音は、静かだが半人半獣としての確かな誇りを含んでいた。
「それにしても想像していたよりも酷ぇところだなぁ」
拳闘士クライヴが低く唸る。
無理もない。眼下の大魔王城は、フォレストトーレ旧王都を思わせる惨状だった。
無数の黒いオベリスクが大地に林立し、その内側で瘴気が濃く、ねっとりと凝り固まっている。
まるで大地そのものが腐敗し、呼吸しているようだった。
「魔王オーティスと相対には、先に城周りを掃除する必要がありますね」
重騎士マクラインも険しい顔で城を見下ろす。
「なぁ、メリオ」
「こりゃ……手ぇ借りた方がいいんじゃねぇか」
クライヴとマクラインが視線を送ってくる。
分かっている。
勇者として、この場に立った直後に助けを求めるのは情けない——。
そんな見栄が胸を締めつけていた。
だが現実として、自分たちだけでやれば膨大な時間がかかる。
その間、大魔王が更なる攻勢に動かない保証などどこにもない。
「尊師が忙しくしているのも知っているけれど、流石は大魔王城と言った所かしらね」
ミリエステが呟き、プーカも続ける。
「この前、苛刻のシュティーナから宣戦布告が来たって聞いたよ。進軍が始まったら——もう時間は残ってない」
その言葉は、決定的だった。
影ながら彼らの旅を支えていた諜報侍女からの情報だ。嘘偽りは万が一にも無い。
自分が紡いでいる物語は確かに”勇者プルメリオ”の物語だが、この世界”アルストロメリア”の物語の一つに過ぎない。
プーカがあえて口にした台詞がプルメリオの心を———彼も無駄と分かっている葛藤を捨てる覚悟が出来た。
「……分かった。助力を頼もう。この旅を、終わらせるために」
少しずつ削ぎ落したはずの勇者としての矜持が疼いたが、それでも蓋をする。
四年半もこの世界で過ごしたのだ。守りたいものが増えた。失いたくない景色も、仲間も。
勇者は確かに一つの物語の主人公である。
しかし、この世界に関しては勇者とは別の主人公の物語がメインとして存在する事をプルメリオは理解していた。
魔王討伐———。それはこの世界の中での些事だ。
破滅侵攻———。それがこの世界の大事だ。
瘴気が風に流れ、彼のマントを揺らす。
それはまるで、大魔王城が勇者を待ち構えているかのようだった。
* * * * *
勇者プルメリオからの要請を受けた宗八は、数日の準備期間の後に大魔王城近辺で合流した。
話を受けた直後に現地に赴き直接現状を確認した宗八が今回同行させたのは、光精使いサーニャとアネスと、護衛役に直弟子の七精使いトワインとディテウスの計四人だ。
「思ったよりも少ない人数で来たんですね……」
呆気に取られるほどの少人数で合流して来た事に、プルメリオが思わず言葉を漏らす。
大魔王城は言ってしまえばラストダンジョンなのだ。
当然、敵の本拠地であるからしてフォレストトーレ城よりも巨大で内部構造も複雑だろう事は見て分かる。
突入の手助けに外周掃除とはいえ、宗八を含めた五人で参加してくるとは思っていなかったのだ。
「別に手抜きをしているわけじゃないぞ。この程度の仕事はこの人数で出来てもらわないと本番で不安だからな……。腕試しも兼ねて敢えての五人でもある……」
それだけではなく、破滅侵攻がこのタイミングで発生することへの懸念の意味合いもある。
苛刻のシュティーナが宣戦布告したからといって「じゃあ、今から準備期間を設けますね」と言った訳じゃない。本来する必要のない宣戦布告をしたうえで翌日にも侵攻してきてもおかしくはなかったのだ。
協力者だからと全面的に信用は出来ない為、戦力の多くは破滅に向けておく必要があった。
「絶対に今日攻略する必要は無い。そもそもダンジョン化していなければ天井をぶち抜いて謁見すれば良いだけだしな」
宗八の発言に勇者PTはドン引きした。
四年半の旅路の果てが大魔王城の天井を抜いて相対すればいい、とは……。改めて水無月宗八という人物が効率重視の為にめちゃくちゃをやって来たのだと思い出す。
「魔神族がどの程度関わっているか次第ですね……。フォレストトーレ城がダンジョン化していたのは、ダンジョンコアを魔神族が持ち込んだからでしたから……」
魔法使いミリエステだけが唯一ドン引きせず冷静に現状を憂う。
「そ、そうだな。同じ様に超大型禍津核モンスターとまた戦う羽目になるかもしれない……」
彼女の声に引っ張られる形で重騎士マクラインも不安要素を口にするが。
「何言ってやがる。結局、俺達はアレを倒すときは手伝いくらいして出来てなかっただろうが」
それを拳闘士クライヴが鼻で笑い飛ばした。
ただ一人、当時PT参入していなかった義賊プーカは、共有できない寂しさからミリエステの側に少しだけ寄った。
フォレストトーレ城が全壊した理由は、木精ファウナを用いて顕現したキュクレウス=ヌイの影響だった。
大きい建造物である城を幹の中に閉じ込め、持ち上げ。周囲には多くの触手や眷族モンスターを放ち厄介で苦労した。
ただ、今回は大魔王城が相手だ。同じ状況になったとしても城が全壊しようとこちらが気にする必要も無い。
「とりあえず、突っ込んでみてからのお楽しみ……ですねっ!」
勇者プルメリオのいつにない強気な発言に宗八も口角を上げて気分を上げる。
その様子を連れて来られた四人が微妙な表情を浮かべつつ、自分達の仕事量に嘆息した。
「その調子だ。とりあえず前面が片付いたらタイミングをみて攻略を開始してくれ」
「はいっ!」
宗八の宣言と勇者の返事を皮切りにそれぞれが準備に入る。
* * * * *
「まず何をする?」
宗八の簡潔過ぎる質問に、視線を向けられた棍使いディテウスが素早く答える。
「オベリスクを破壊します」
瘴気を浄化するには光魔法が必要だ。
しかし、オベリスクは魔法に関わる全てを弱体化させる力がある。
今の宗八達ならば魔力量の力押しでどうとでもなるのだが、そんなことをしていては徐々に魔力は解かれ効率が落ちてしまうのは目に見えている。オベリスクを後回しにする選択は、長期戦を見越せば下策だ。
「まず何をする?」
同じ質問が今度はサーニャに向けられた。
ただし、役割が違うことを理解している彼女の答えはディテウスとは違うものだった。
「ディテウスへの瘴気耐性付与と範囲外からの広範囲浄化魔法の展開です」
瘴気は魔力が悪性に変わったものであり、常人や精霊にとって毒となる。
長く吸えば死に至るほどの瘴気が、今や気体でありながら粘度が出る程に凝縮された状態なのだ。
遠距離から破壊するトワインはともかく、あの瘴気の海に突っ込むディテウスが十全に働くには耐性を付与する必要がある。
また、オベリスク一本の効果範囲は決まっている。
数百本同じところに設置されているからといって相乗的に範囲が広がることは無い。
その範囲外から効果の届く浄化を行えば、最大浄化率で継続して仕事を進める事が可能だ。
「まず何をする?」
三度目の質問は弓使いトワインへ向けられた。
今回呼び出された四人の仕事はオベリスクの破壊と瘴気の浄化だ。
先の二人がすでに答えたとなると、別の回答を希望していると考えたトワインは、少しの間を置いて答えを出した。
「正面の掃除……です」
最近は宗八に似て自信家な面が増えて来たトワインが、珍しく不安げだったのが面白く宗八は微笑む。
「そうだ。あくまでメリオ達勇者パーティのサポートが俺達の仕事だからな」
正解だったことにホッと息をつくトワインとは裏腹に、次に視線を向けられた魔法使いアネスの胸は不安でいっぱいだった。
これ以上「何をする?」と聞かれても答えようがない。
「何がしたい?」
その不安に反して質問内容は少し変わっていた。
相変わらず簡素な言葉選びだったが、真剣な表情の宗八を見て一度アネスは考えを整理する時間を設ける。
何がしたい。つまり自分が浄化するのは当たり前として、そのうえでの行動を聞かれている……。
「……神力の運用を試します」
アネスの答えを聞いた三人も思い至ったように表情を変える。
実戦の中で神霊核へと成長した精霊との連携をここで高める為に挑戦しよう、と宗八は問い掛けていたことにアネスは気付き応えた。
「よし、じゃあ仕事に取り掛かろう!」
勇者の道を切り開く。
こういう役割も宗八は嫌いでは無かった。
11
あなたにおすすめの小説
家の庭にダンジョンができたので、会社辞めました。
希羽
ファンタジー
都内のブラックIT企業で働く社畜・佐藤健太(27歳)。
手取り18万、残業100時間。唯一の資産は、亡き祖母から相続した郊外のボロ戸建てだけ。
「このまま死ぬのかな……」
そう絶望していたある夜、庭の物置の裏に謎の穴が出現する。
そこは、なぜか最弱モンスターしか出ないのに、ドロップアイテムだけは最高ランクという、奇跡のボーナスダンジョンだった。
試しにスライムを叩いたら、出てきた宝石の査定額はなんと――【1,000,000円】。
「……え、これ一個で、俺の年収の3分の1?」
スマホアプリで即換金、ドローン配送で手間いらず。
たった10分の庭仕事で5000万円を稼ぎ出した健太は、翌朝、上司に辞表を叩きつけることを決意する。
優の異世界ごはん日記
風待 結
ファンタジー
月森優はちょっと料理が得意な普通の高校生。
ある日、帰り道で謎の光に包まれて見知らぬ森に転移してしまう。
未知の世界で飢えと恐怖に直面した優は、弓使いの少女・リナと出会う。
彼女の導きで村へ向かう道中、優は「料理のスキル」がこの世界でも通用すると気づく。
モンスターの肉や珍しい食材を使い、異世界で新たな居場所を作る冒険が始まる。
【完結】辺境の魔法使い この世界に翻弄される
秋.水
ファンタジー
記憶を無くした主人公は魔法使い。しかし目立つ事や面倒な事が嫌い。それでも次々増える家族を守るため、必死にトラブルを回避して、目立たないようにあの手この手を使っているうちに、自分がかなりヤバい立場に立たされている事を知ってしまう。しかも異種族ハーレムの主人公なのにDTでEDだったりして大変な生活が続いていく。最後には世界が・・・・。まったり系異種族ハーレムもの?です。
五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~
よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】
多くの応援、本当にありがとうございます!
職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。
持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。
偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。
「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。
草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。
頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男――
年齢なんて関係ない。
五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!
最弱スキルも9999個集まれば最強だよね(完結)
排他的経済水域
ファンタジー
12歳の誕生日
冒険者になる事が憧れのケインは、教会にて
スキル適性値とオリジナルスキルが告げられる
強いスキルを望むケインであったが、
スキル適性値はG
オリジナルスキルも『スキル重複』というよくわからない物
友人からも家族からも馬鹿にされ、
尚最強の冒険者になる事をあきらめないケイン
そんなある日、
『スキル重複』の本来の効果を知る事となる。
その効果とは、
同じスキルを2つ以上持つ事ができ、
同系統の効果のスキルは効果が重複するという
恐ろしい物であった。
このスキルをもって、ケインの下剋上は今始まる。
HOTランキング 1位!(2023年2月21日)
ファンタジー24hポイントランキング 3位!(2023年2月21日)
転生したらスキル転生って・・・!?
ノトア
ファンタジー
世界に危機が訪れて転生することに・・・。
〜あれ?ここは何処?〜
転生した場所は森の中・・・右も左も分からない状態ですが、天然?な女神にサポートされながらも何とか生きて行きます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
初めて書くので、誤字脱字や違和感はご了承ください。
転生貴族の移動領地~家族から見捨てられた三子の俺、万能な【スライド】スキルで最強領地とともに旅をする~
名無し
ファンタジー
とある男爵の三子として転生した主人公スラン。美しい海辺の辺境で暮らしていたが、海賊やモンスターを寄せ付けなかった頼りの父が倒れ、意識不明に陥ってしまう。兄姉もまた、スランの得たスキル【スライド】が外れと見るや、彼を見捨ててライバル貴族に寝返る。だが、そこから【スライド】スキルの真価を知ったスランの逆襲が始まるのであった。
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる