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第11章 -休日のユレイアルド神聖教国-
†第11章† -10話-[エピローグ]
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色々と酷かった龍の攻撃を受けようの会が終わった。
後片付けは超人みたいなのが多かったおかげで氷の処理や救出は着々と進み、
崩れてしまった会場もうちの優秀なノイがさっさと修繕してしまった。
「水無月様、ノイティミル様も最後までありがとうございました」
「まぁ計画が杜撰だったのと一応アレの保護者にもなっていますからね。
不本意ながら尻ぬぐいもやりますよ」
「人事で申し訳ありませんが、
自分が龍の保護者で無いことに今は心底ほっとしております」
「でしょうね」
あんなデカい図体の奴が暴れれば建物が壊れ、
息吹を吐けば生態系も破壊しかねない。
まだ言うことを聞いてくれる知能があるからこの程度で抑えられたけど、
暴れ者で評判の火龍にあったら面倒な事になるのが既に目に浮かんでいる。
「俺達はまたアルシェ達の方へ戻りますけど・・・」
「はい、残りはこちらで対応致しますので。
あ、そうでした!水無月様!」
「なんですか?」
先ほどの訓練の続きかもしくは魔法の話し合いに参加するか、
2つの選択肢を頭に浮かべながらその場を後にしようとした矢先、
クレチアさんから呼び止められた。
なんじゃい。
「リッカの事なのですが・・・。
あー、ごほん。単刀直入に伺いますが、お試しで使ってみませんか?」
「俺にも意見を言う権利はあるけど、
うちの大将は一応アルシェなんですよ」
「ツートップと伺っておりますので逃げても無駄ですよ。
私たちアナザー・ワンは数が揃わなかったので教国のみでの活動でしたが、
今後は数も徐々に増えてきましたので先の訓練云々に合わせて、
各国の要人向けの教育を進めたいと思っているのです。
もしも気に入っていただければ、そのまま契約をしていただいてもよろしいですよ?」
「いやいや、聖女の護衛も居るんだし教育はある程度出来るでしょう?
うちにはアナザー・ワンには及ばなくとも、
メリーとクーが侍女も戦闘もこなします。
護衛にはマリエルという戦力も居ますからリッカはいらないんじゃないかと」
欲しいかと聞かれれば貰える者は貰いたい。
今は魔法が使えなくても戦力としては俺と同等、
いや俺以上の戦力になるか・・・。
ただ、もし大きな動きをするなら七精の門がいる。
俺は地上も空も動けるし、
マリエルもニルと一緒であれば同じくらいの機動力を持てる。
メリーも空は飛べないけれど支援行動で俺達を支えてくれている。
というわけで、いまの俺達の戦力は増やさなきゃいけないけれど、
なんかしっくり来ないという理由からリッカは不要と俺は判断した。
「そうですか・・・。
アルカンシェ姫に伝えても同じでしょうか?」
「俺は俺の考えで言ってるだけですから、
アルシェは彼女の考えを言ってくれますよ。
最終的にアルシェの護衛としての一生を送る気概があるなら俺は受け入れてもいいと伝えてみてください」
「わかりました、折りをみて話をしてみます」
これにてやっとアルシェ達の元へと足を動かし始めた訳だが。
う~ん、面倒なことになった。
確かにリッカの防衛力を見ればノイと力を合わせると良いかもと妄想をした。
しかし、実際のところ彼女はメリーと同じく魔法の才能は無さそうだった。
剣一筋の人生を歩んできたようにしか見えなかった。
なら、仲間になったところでメリーと同程度の魔法が扱えるようになるのは1年後・・・。
『でも、急ぐべきとも思うですよ?』
「そこなんだよなぁ。
でもノイとの相性も見ないとだし」
すぐに決めてしまうのはもったいないか。
俺は育てるのが面倒だからパスをしたけれど、
アルシェが使ってみようと思えばそれはそれで使い方を考えてみるか。
もしノイと契約をさせてサブマスターにするとしたら、
メリーやマリエルの様に加護をどうにかする手立てを考えないとなぁ。
メリーは既に・・・だし、
マリエルはもう2ヶ月先でどうにか工面出来る予定だ。
人間だから真の加護がいいだろうけど、
ティターン様には一度しか顔を合わせていないから頼みづらい。
それに精霊使いとして精霊との絆や親和性は重要視される傾向にある。
メリーもやっとの思いだった。
・・・面倒だけど少しアルシェに話しておくか。
* * * * *
「いかがでしょうか?」
クレア達と魔法の開発や改造の話をしていたらクレチアさんが面倒な案件を持ち込んできた。
お兄さんはお兄さんで条件付き採用。
私としても戦力が増えるのは良いことだと思っています。
今のところお兄さんが帰った後の近衛としては、
メリーとマリエルが枠に入る予定になっている。
この二人はアスペラルダ出身者だから下から上からあれこれ言われることは無い。
ですがリッカさんは他国の人間ですし、
兵士から繰り上がったわけではなく私たちがどこからか拾ってきたポッと出の印象は強い。
「アルシェは何を迷っているのですか?
アナザー・ワンの戦力なら即決かと思っていました」
「護衛隊としての隊長はお兄さんですけれど、
私たちと一緒に行動すると言うことは=精霊使いとして育てるということに繋がります」
「繋がるんだぁ・・・」
いまのクレアの言い方可愛いですね。
「お兄さんは無駄な事はしたくない人ですから、
同行するなら育てる!育てるなら最後までアルシェの側に居ろ!って感じなんでしょう。
そうなるといずれ私の近衛に配属されますから反発とか色々と考えないといけないんですよ」
「アルシェは考えすぎだと思いますよ?」
「そうですね。
反発についてはリッカ自身がどうにか撥ね除ける必要がある壁ですし、
同盟国をテスターにして正式な契約をするまで信頼をいただければ、
アナザー・ワンの価値はさらに高まります」
「教国はアナザー・ワンを育てて手放すことになりますけど、
利があるのですか?状況的には奴隷売買との違いが見えないのですが・・・」
お試し期間に料金が掛からなくとも、
正式な契約をすれば多額の人身売買に繋がる。
ですが、クレチアさんの説明だとお金が発生しない。
あくまで本人と契約者の意思の話だという。
教国に利はなく、
本人の意思とはいえ高い戦力を各国に配る行為は先の危険を意識してしまう。
「教国は自身を高める事を国是としています。
それは戦闘力であったり賢さだったりと様々ですが、
アナザー・ワンを外の世界へ出すのは元からの計画だったそうですよ」
「外に出たら後はご自由に、ですか?」
「まさかっ・・!アナザー・ワンという立場は側仕えがメインです。
主を生かす事が第一ですが色々と制限は内々に決めてはおりますので、
アルカンシェ姫が気になされている戦争への介入は違反行為です」
ちゃんとこちらの懸念は伝わっていたようですね。
最終的にはクレチアさんと同程度まで成長すると考えると、
各国の・・・国王としておきましょうか。
その国王に1人ずつアナザー・ワンが就いた場合、
代理戦争に利用する事が一番血が流れず効率の良い方法になってしまう。
それでは国が持たない。
常に兵士達が汗水垂らして訓練に明け暮れるのは、
自国に何か起こった場合にすぐ対処出来るように毎日準備している為だ。
もし代理戦争が始まれば大きな争いを意識しなくなり、
突発的な災害や戦争に対処出来ない弱い国ばかりになってしまう。
「その違反を起こした場合は?」
「我が国で育成した正式なアナザー・ワンの粛正部隊が動きます。
その際の相手側の被害は考慮に入れずに・・・です」
普通に戦争した場合は要人が死なないことに尽力。
介入して前に出てしまえば違反行為で粛正ですか。
う~~~~~~ん・・・難しいかなぁ・・・。
「いかがでしょうか?」
商人みたいにぐいぐい来ますね・・・。
もういっそ転職して第2の人生を歩まれてはどうでしょうか。
「今の様子からは間違いなく私の側での護衛役になるでしょうけれど、
残念ながら私たちの戦闘は別々の戦場での場合がありますので、
違反行為になると思います。
それではアナザー・ワンの違反行為でしょう?」
「なんと、残念ながらアルカンシェ姫の部隊への加入であれば、
条件付きで違反行為とは見なされません」
押し売りをしておいて何を言っているのでしょうか。
戦力は増やしたい。
アナザー・ワンは欲しい。
でもその裏を考えればアスペラルダだけの部隊では無く、
教国も加わっているという実績が欲しいのでしょう。
まぁ話は聞きますけどね。
「それは?」
「フォレストトーレでの大戦は戦争扱いですが、
通常の姫様方の行動内容であれば平和の為の諜報行為。
そもそもテスター1号なので違反行為をしても報告をする人材が居りません」
「フォレストトーレは三カ国が全面的に参入するから戦争。
いつもの戦闘であれば大戦ではないし相手も国ではないので問題ないという事ですか」
アスペラルダは別にお兄さんの諜報成果を独占するつもりはない。
だからリッカさんが加入して成果に教国の名が連なることについては気にしていない。
チラリ。
あ!お兄さん!何か既に教育に入ってる感じがする!
さっきまで回避に集中していたのに少し目を離した隙に動きながらの戦闘が出来るようにと何か教え始めてる!
「検討します・・・」
「やっぱりアルシェは慎重ですね」
「人身の委譲ですよ?慎重にもなります。
帰りまでには回答しますので」
「かしこまりました」
一旦預かってマリエルとメリーにも話してみよ。
お兄さんや私とは違う視点から答えてくれるから見落としに気づくかも知れません。
「そうです!リッカさんの資料などはありませんか?」
「なんと偶々こちらにございます」
「偶々!クレチアは運がいいですね!」
クレアは純粋ですねぇ。
えっと・・・出身はリクオウ、歳は18歳、女性。
おぉ胸が大きい!メリーよりも大きい!
チラリ。
アナザー・ワンの装備はメリーと同じ侍女を称しているだけあってシスター服なんですよねぇ。
たゆんたゆん。
確かに大きい。うちの陣営に来たらブラジャー付けさせないと。
しかし、お兄さんは一体どの胸に興味を示すのでしょうか?
ツルペタのマリエルでもなく、美乳の私でもなく、大きめのメリーでもない。
もし、リッカの加入で反応を示したらあそこまで育てないといけないのかぁ。
この1年で当初の微乳から美乳に成長したけれど、
あの大きさに・・・いや彼女は18歳。私は14歳。
後4年!まだまだ希望はある!
お母様もたぶん同じくらいだし大丈夫なはず!
「あの、アルカンシェ姫?」
「アルシェ?どうしましたか?」
あら、ちょっと考え事に集中しちゃったみたいですね。
「すみません。じゃあ検討はしますので」
「かしこまりました」
* * * * *
と言うわけで帰る前に合流したメリーとマリエルに相談しました。
一応お兄さんも話を受けたときには資料を見ていなかったらしく、
一緒になって見ています。
「5年前に教国に来てるな。誰と来たんだ?」
「両親と数名の東方人?
当時13歳なら姫様と同い年で旅に出たんですね」
「お父様が鍛冶師でお母様が教国の宣教者だったようです。
どうやってリクオウに上陸したんでしょう?」
リクオウは鎖国している島国。
船でしか行くことが出来ないはずですが、
上陸にしても許可をしない為、基本的には補給後に帰される。
「親父が鍛冶師!?
確かリクオウの鍛冶師は腕が良くてプチレア以上の修理も出来ると聞いたぞ!?」
「あ、じゃあ隊長の[イグニスソード]がやっと直せるんですね。
ずっと大事にしていましたもんね」
「ですが、手札は増えますが魔神族戦には使えません」
「ランク1ダンジョンで手に入る武器ですからね。
アイスピックも同じランクの武器ですし、
ちょっと辛いところではありますが思い入れもありますから」
確かに今更感があるのは仕方ありません。
通常ランク差は武器でも2つまでが限度と言われています。
ランク1ダンジョンで手に入る武器は良いところランク3までしか通用しない。
そして私たちのレベルは50を超えたところなので、
適正ダンジョンで言えばランクは5~6。
「とりあえず、目処が立つなら渡りは付けておきたいな」
「それは後回しです。
今はうちに入れるかどうかの判断を優先してください」
「あ~悪い悪い。
もし仲間にする場合はノイの契約者候補にはなる。
だが、あの極大剣は見た目でもわかるが実際エクスカリバーよりも要求ステータスが高かったぞ」
片手剣 :エクスカリバー
希少度 :爆レア
要求ステ:STR/70 MEN/70 DEX/70
ステ増減:ALL+3
特殊効果:敵ノックバック補正+10%/最大HP補正+10%
エクスカリバーも片手剣カテゴリの中でも最上級。
それを超えるっていうのはどうなんでしょう。
「お兄さん、伺ったんですか?」
「普通に聞いたら教えてくれたよ。
要求ステ:STR/120 VIT/80 DEX/70 だってさ」
姫らしからぬ言葉が漏れないようサッと口を押さえるのに間に合いました。
危うく「うげぇ~」と言いそうでした。危ない危ない。
装備出来ている事からステータスはクリアしていて、
クルルクス姉妹より後にアナザー・ワンになったならレベルは彼女達よりも下。
おそらく70~60くらい。
単純計算で1レベル毎に3ジェム。
必要なのは270ジェム。レベル60なら180。全然足りない。
だったら称号で稼いでいるという事でしょうか?
「クルルクス姉妹の武器より要求が大きいんですね」
「あの武器はドロップ品じゃなくて造られた物って聞いたから、
親父が造ったのか先祖代々の物かは知らんけど世界に1本しかないらしい」
「聖剣より強い武器ですか・・・」
「聖剣はあくまで精霊が姿を変えていただけだし、
所詮は片手剣だから極大剣より低くて当たり前なんだけどな。
ドロップ品だからどこか妥協している部分があって要求ステが低いのかも知れないな」
片手剣の要求ステは高くとも精々50止まりと言われています。
対して両手剣は100止まり。極大剣はどちらかと言えばこちらに属する。
そしてもっとも高いのは斧カテゴリの[巨人の斧]。
これがSTR/120 VIT/72だったからそれよりも条件が厳しい。
どんな違いがあるのかは分かりませんが、
装備出来るというだけで心強さは感じますね。
「私としては参加することに反対はありません。
動けないというならアルシェ様の最終防衛戦としての壁にも出来ますから。
しかしながら、雑事の分担がどうなるか・・・」
「メリーがアルシェの、クーが俺の侍女として動いているからな。
リッカもアナザー・ワンだから通常の扱いは侍女と同じ・・・。
いっそマリエルの侍女にするか?」
「いや、私は自分のことは自分で出来ますからいらないですよ」
「私も出来るけど色々と必要なのよ、マリエル!」
「姫様や隊長は資料作りだったり考えたりとやる事が多いから侍女も必要ですけど、
私は指示された事を実行して敵を倒すだけですから」
そう言われるとマリエルには必要ありませんね。
「アスペラルダに専属侍女の空きはありません。
ですがPTとして活動するならば我々と行動を共にしなければ成りません」
「いっそ、戦力だけを目当てにしていると告げて引き込むか?
こんな内々の問題で手放すのはおしい気がする。
契約者にするしないを別にしてな」
「異議な~し」
「ご主人様の仰せのままに」
マリエルとメリーの許可を出ましたね。
おっと、お兄さんと目が合いました。
結局はクレチアさんの案に乗るというわけですね。
「「お試しで!」」
* * * * *
「お世話になりました」
メリーと一緒に鍛えてもらったメイド達は教国内にある俺達の拠点に戻らせた。
七精の門メンバーのゼノウPTとセーバーPTも同様だ。
今は大聖堂から出発する為に見送りに数人来ていた。
「水無月さん、リッカをお願いしますね。
あまり虐めないでくださいよ?」
「クレアは俺が誰かを虐めているところを見たことがあるのか?
えぇおい」
「あうぅ小突かないでくださいぃ」
小生意気な奴め。
小突かれて嬉しそうにしやがって。
まぁ、初めて会ったときに比べれば顔も動くようになったか。
「アルカンシェ様、次にフォレストトーレでお目見えする際には、
必ずやお役に立ってご覧にいれます」
「勇者様、あまり自分を追い込まないようにください。
仲間を見て、周囲もみて、無理だと思ったら迷わず助けを求めてください。
勇者は完璧で無くてもいいのですから」
「・・・ありがとうございます」
「あと、差し出口かとは思いますが・・・よろしいですか?」
「なんなりと」
「アーティファクトの扱いは優先して覚えた方がいいかと。
フォレストトーレでは空を飛ぶモンスターもかならず出てきますから、
うちだけでは手が足りません。
魔法で撃ち落とせるようにこちらも準備を進めておりますが、
空中戦が出来る近接要員は多いに越したことはありません」
「わかりました、肝に銘じます」
俺にはメリオが何を言っているのか相変わらずわからんな。
でもアルシェの言葉に頷いているし大丈夫かな?
空中戦は俺とマリエルしか現状出来ないし、
メリー達もこれからの訓練次第と言えなくもない。
とりあえずは逃げ回ったり出来る程度には扱えてもらわないと俺達が困る。
「リッカしっかりとお勤めを果たしなさい」
「極東魂を見せてこい!」
あれがリッカの親か・・・。
片や茶髪の奥さんに対して片や筋肉隆々の旦那さん。
鍛冶師って話だし納得は出来るけど、傍目にみりゃ美女と野獣カップルだな。
「隊長さん!」
「は、はい」
お、おぉ!俺のところに来たぁ!!!
「娘をお願いしますね」
「こちらこそ娘さんをお預かり致します。
しかし、最終的にはどう転ぶかわかりませんので」
「娘が決めた道なら喜んで見送りますよ!
今までずいぶんと不自由を掛けて来ましたからねぇ・・・」
「定期的にでも顔を出せるように取り計らいますので、
年に数回は元気な顔を見ることは出来ますよ。
昔の話は娘さんから伺ってもいいんでしょうか?」
「あぁ!もう過ぎた話だしな!
聞きたきゃ勝手に聞いてくれ!」
奥さんは大和撫子の様に旦那さんの後ろに控えていて奥ゆかしい。
だが、旦那の影から微笑みながらも強い眼光を光らせていて、
明らかに旦那さんほどに娘の出立を捉えてないみたいですよ!
「奥さんも安心してください」
・・・コクリ。
おっかねぇ!
あんなに重たい頷きを俺は未だかつて見たことがない!
マリエルの親父さんもここまで重たくは無かった!
「マリエル殿、この度はお付き合いいただき感謝しております」
「あはは、止めてくださいよマクラインさん。
私も楽しめましたし、私だけじゃ無くてゼノウさん達もお相手したでしょう?」
「そりゃな。あいつらにも感謝は伝えた」
「フランザやアネスにも姫様にも感謝は伝えたわ」
「ミリエステとマクラインはちゃんと気づいていた差を、
ここで理解するに至れたのは大きいわ」
「・・・最後なのでちょっと年上でレベルも高い皆さんに言っちゃってもいいですか?」
「あぁ、かまわない」
マリエルは今し方までの朗らかな顔つきから一変させ、
真剣な表情で勇者の仲間に語り始めた。
しかし、傍目から見れば小さいマリエルを大人が囲って揺すってるみたいに見えなくもない。
「私もまだまだ弱いので隊長と姫様には助けられてばかりです。
しかし、この度皆様の戦力を把握した結果、
以前のフォレストトーレでの戦闘で誰1人掛けなかったのは幸いだったと思いました。
こんなに弱いのに突入させた隊長の采配ミスだと思いました」
「・・・」
「私は姫様が好きです。
いずれ近衛にすると言われて護衛隊に加入しました。
死んでもアルシェだけは守れ。
これは隊長からずっと言われている言葉です」
「・・・」
「皆さんは勇者を死んでも守れますか?
今のままでは無駄死にするようにしか見えません。
私もまだ無駄死にする方だと思いますが、
皆さんは関係のないところで死にそうです」
「・・・」
「無駄死には良くありません。
それならば勇者の仲間を離れた方があの人も甘えずに済むと思います。
うちと違うのはまぁ・・・大きいでしょう。
うちは姫様と隊長がお互いを支えてツートップのPTですから、
互いが刺激を与え合っていますし条件も色々と違います。
それはうちの正解で、皆さんは皆さんの正解を模索した方が良いと思いました」
「・・・」
「あはは、思ってばかりですみません。
でも模擬戦の間に何度か殺せる瞬間があったのは事実です。
骨を折れるタイミングはもっとありました。
もっと、もっともっと死なない為に、
勇者を支えるのであればもっともっともっといっぱい考えてください。以上です」
あっちゃあ・・・。
マリエルがちょっと爆発してやがる。
少し離れたところで話しているから気づくのに遅れちまった。
あんだけボコボコに言われたら響いてない奴が1人でも居れば反感を買って逆効果だぞ。
「ご忠告に感謝する」
おや?
「確かにマクラインが後方を守り切れない場面はあったし、
フェリシアと私への攻撃は全部寸止めでしたね」
「俺は移動しながらだからまだ捕まらない方だが、
それでも位置調整がかなりシビアだった・・・」
「体も小さく動きは素早い、
魔法も蹴り飛ばすし拳も硬いですからね」
「精霊使いは遠近どちらも出来ますけど、
隊長は総合力への要求がエグイですからねぇ・・・。
対策が立てられていれば弓も、汎用魔法も相手になりませんよ」
「普通はそんな事はないんだけどな・・・」
「ともかく、立場にふさわしい成長はしたいと思いますわ」
奴らが思ったよりも大人で良かった。
最悪殴り合いに・・・なっても勝てるか。
「あ、あの!水無月隊長!」
「応、挨拶回りは終わったか?」
「ひ、一通りは終わりました。
えと、私はアスペラルダへの移籍後はどのような・・・」
「第一候補はアルシェの護衛に参入。
この場合はアナザー・ワンと言うより傭兵に近い立場になる。
第二候補は王様と王妃様の側仕え。
こっちは既に隊長格が就いているからどうなるかわからん。
第三候補が教国に依頼していたうちの強化対策に協力してもらう事」
「姫様の護衛に参入しか伺っておりませんでした・・・」
しょんぼりしとる。
アナザー・ワンとは主に使えるスーパー側仕え。
故に希望としては第二でも問題ないと思うんだが?
「姫様は優しく気さくと伺っておりましたので、
もしかしたらお、お友達になってもらえるかと・・・」
「側仕えが主と友達ってなんだ?」
「詳しくは長くなるので省きますけれど、
わ、私は国の偉い立場にありまして、
お友達が居なかったのでお、お友達になってくれればなぁと・・・」
リクオウが異世界の日本なら殿様とかが偉い立場か?
その立場にあるにしては親父が鍛冶師?
奥さんと子供を作って隠してた?
バレたから国を出ざるを得なかった?
「リッカ、自分の立場は理解しているか?」
「は、はい・・・そうですよね・・・」
「マリエルは護衛だがアルシェの友達とあいつらは言うだろう。
それは幼なじみという下地があったからだ。
お前はポッと出だし歳も4つ上だから友達は難しい」
「は、はい・・・」
「お姉さん役はメリーが居る。
あいつもアルシェとの関係は長いから信頼があってのことだ。
偉かったという立場に拘らなければ友達なんぞいくらでも作れるぞ?」
「う、うぅぅ・・・フギャッ!」
とりあえずマリエルよりも世間知らずで箱入りで育ったのはわかった。
この歳で子供っぽいメソメソ顔をするリッカへデコピンを食らわす。
「面倒くさいのはわかった」
そんでクレチアさんがアスペラルダへ押し付けたのもわかった。
戦力にはなるけど扱いが面倒くさいし、
元の立場が偉いのであまり粗末に扱うともしもが起こった際にさらに面倒に成る。
だから監視の目が無くなるアスペラルダに押し付けた。
あわよくば姫の護衛であればさらに人目に付きづらいとでも思ったか?
「まず、うちに来るなら実家の事は考慮しない。
落ちぶれたか追い出されたか逃げてきたのかは知らないが、
リッカの立場はお試しアナザー・ワン。それだけだ」
「・・・はい」
「今は良いけど、アスペラルダに着いたら切り替えろ。
お前は選ばれたアナザー・ワンだからな」
本人が知らぬいろいろな思惑が裏にあるけどな。
「わかりました」
「素直でよろしい。
頑張ればお父さんとお母さんに会う機会も作ってやるからな」
「あ、ありがとうございます!」
一通り見送りに出てきた奴らとの挨拶回りも終わったかな。
アルシェとも目が合ったので帰るぞとアイコンタクトを送るまでもなく、
アルシェはクレアとの話を切り上げて俺の元へと寄ってくる。
「いいのか?」
「雑談していただけですから。どうせすぐに会えますし」
それもそうか。
アルシェの動きをちゃんとチェックしていたマリエルも駆け寄ってきた。
「説教は終わりか?」
「説教なんてしてませんよ、純粋なエールです!」
「傍目から聞いていた限りでは立派な説教だったぞ」
「え~?おかしいなぁ~・・・わふっ!」
まぁ良い方向にへの舵取りに役立ちそうだしいいか。
無造作に頭を撫で回すとされるがまま「わふわふ」言ってる。
カエル妖精なんだから「ケロケロ」言えよ。
「では、皆様。ごきげんよう。
リッカはアスペラルダで大切に扱わせていただきます」
「こちらこそこの度はありがとうございました。
リッカの事はよろしくお願い致します」
アルシェとクレアの挨拶が終わればもうここには用は無い。
俺とアルシェが翻すと、
マリエルと新たに加わったリッカがその背後に付き俺達はユレイアルド神聖教国をあとにした。
次に会うのは本当にフォレストトーレである。
それもあと1ヶ月もない。
後片付けは超人みたいなのが多かったおかげで氷の処理や救出は着々と進み、
崩れてしまった会場もうちの優秀なノイがさっさと修繕してしまった。
「水無月様、ノイティミル様も最後までありがとうございました」
「まぁ計画が杜撰だったのと一応アレの保護者にもなっていますからね。
不本意ながら尻ぬぐいもやりますよ」
「人事で申し訳ありませんが、
自分が龍の保護者で無いことに今は心底ほっとしております」
「でしょうね」
あんなデカい図体の奴が暴れれば建物が壊れ、
息吹を吐けば生態系も破壊しかねない。
まだ言うことを聞いてくれる知能があるからこの程度で抑えられたけど、
暴れ者で評判の火龍にあったら面倒な事になるのが既に目に浮かんでいる。
「俺達はまたアルシェ達の方へ戻りますけど・・・」
「はい、残りはこちらで対応致しますので。
あ、そうでした!水無月様!」
「なんですか?」
先ほどの訓練の続きかもしくは魔法の話し合いに参加するか、
2つの選択肢を頭に浮かべながらその場を後にしようとした矢先、
クレチアさんから呼び止められた。
なんじゃい。
「リッカの事なのですが・・・。
あー、ごほん。単刀直入に伺いますが、お試しで使ってみませんか?」
「俺にも意見を言う権利はあるけど、
うちの大将は一応アルシェなんですよ」
「ツートップと伺っておりますので逃げても無駄ですよ。
私たちアナザー・ワンは数が揃わなかったので教国のみでの活動でしたが、
今後は数も徐々に増えてきましたので先の訓練云々に合わせて、
各国の要人向けの教育を進めたいと思っているのです。
もしも気に入っていただければ、そのまま契約をしていただいてもよろしいですよ?」
「いやいや、聖女の護衛も居るんだし教育はある程度出来るでしょう?
うちにはアナザー・ワンには及ばなくとも、
メリーとクーが侍女も戦闘もこなします。
護衛にはマリエルという戦力も居ますからリッカはいらないんじゃないかと」
欲しいかと聞かれれば貰える者は貰いたい。
今は魔法が使えなくても戦力としては俺と同等、
いや俺以上の戦力になるか・・・。
ただ、もし大きな動きをするなら七精の門がいる。
俺は地上も空も動けるし、
マリエルもニルと一緒であれば同じくらいの機動力を持てる。
メリーも空は飛べないけれど支援行動で俺達を支えてくれている。
というわけで、いまの俺達の戦力は増やさなきゃいけないけれど、
なんかしっくり来ないという理由からリッカは不要と俺は判断した。
「そうですか・・・。
アルカンシェ姫に伝えても同じでしょうか?」
「俺は俺の考えで言ってるだけですから、
アルシェは彼女の考えを言ってくれますよ。
最終的にアルシェの護衛としての一生を送る気概があるなら俺は受け入れてもいいと伝えてみてください」
「わかりました、折りをみて話をしてみます」
これにてやっとアルシェ達の元へと足を動かし始めた訳だが。
う~ん、面倒なことになった。
確かにリッカの防衛力を見ればノイと力を合わせると良いかもと妄想をした。
しかし、実際のところ彼女はメリーと同じく魔法の才能は無さそうだった。
剣一筋の人生を歩んできたようにしか見えなかった。
なら、仲間になったところでメリーと同程度の魔法が扱えるようになるのは1年後・・・。
『でも、急ぐべきとも思うですよ?』
「そこなんだよなぁ。
でもノイとの相性も見ないとだし」
すぐに決めてしまうのはもったいないか。
俺は育てるのが面倒だからパスをしたけれど、
アルシェが使ってみようと思えばそれはそれで使い方を考えてみるか。
もしノイと契約をさせてサブマスターにするとしたら、
メリーやマリエルの様に加護をどうにかする手立てを考えないとなぁ。
メリーは既に・・・だし、
マリエルはもう2ヶ月先でどうにか工面出来る予定だ。
人間だから真の加護がいいだろうけど、
ティターン様には一度しか顔を合わせていないから頼みづらい。
それに精霊使いとして精霊との絆や親和性は重要視される傾向にある。
メリーもやっとの思いだった。
・・・面倒だけど少しアルシェに話しておくか。
* * * * *
「いかがでしょうか?」
クレア達と魔法の開発や改造の話をしていたらクレチアさんが面倒な案件を持ち込んできた。
お兄さんはお兄さんで条件付き採用。
私としても戦力が増えるのは良いことだと思っています。
今のところお兄さんが帰った後の近衛としては、
メリーとマリエルが枠に入る予定になっている。
この二人はアスペラルダ出身者だから下から上からあれこれ言われることは無い。
ですがリッカさんは他国の人間ですし、
兵士から繰り上がったわけではなく私たちがどこからか拾ってきたポッと出の印象は強い。
「アルシェは何を迷っているのですか?
アナザー・ワンの戦力なら即決かと思っていました」
「護衛隊としての隊長はお兄さんですけれど、
私たちと一緒に行動すると言うことは=精霊使いとして育てるということに繋がります」
「繋がるんだぁ・・・」
いまのクレアの言い方可愛いですね。
「お兄さんは無駄な事はしたくない人ですから、
同行するなら育てる!育てるなら最後までアルシェの側に居ろ!って感じなんでしょう。
そうなるといずれ私の近衛に配属されますから反発とか色々と考えないといけないんですよ」
「アルシェは考えすぎだと思いますよ?」
「そうですね。
反発についてはリッカ自身がどうにか撥ね除ける必要がある壁ですし、
同盟国をテスターにして正式な契約をするまで信頼をいただければ、
アナザー・ワンの価値はさらに高まります」
「教国はアナザー・ワンを育てて手放すことになりますけど、
利があるのですか?状況的には奴隷売買との違いが見えないのですが・・・」
お試し期間に料金が掛からなくとも、
正式な契約をすれば多額の人身売買に繋がる。
ですが、クレチアさんの説明だとお金が発生しない。
あくまで本人と契約者の意思の話だという。
教国に利はなく、
本人の意思とはいえ高い戦力を各国に配る行為は先の危険を意識してしまう。
「教国は自身を高める事を国是としています。
それは戦闘力であったり賢さだったりと様々ですが、
アナザー・ワンを外の世界へ出すのは元からの計画だったそうですよ」
「外に出たら後はご自由に、ですか?」
「まさかっ・・!アナザー・ワンという立場は側仕えがメインです。
主を生かす事が第一ですが色々と制限は内々に決めてはおりますので、
アルカンシェ姫が気になされている戦争への介入は違反行為です」
ちゃんとこちらの懸念は伝わっていたようですね。
最終的にはクレチアさんと同程度まで成長すると考えると、
各国の・・・国王としておきましょうか。
その国王に1人ずつアナザー・ワンが就いた場合、
代理戦争に利用する事が一番血が流れず効率の良い方法になってしまう。
それでは国が持たない。
常に兵士達が汗水垂らして訓練に明け暮れるのは、
自国に何か起こった場合にすぐ対処出来るように毎日準備している為だ。
もし代理戦争が始まれば大きな争いを意識しなくなり、
突発的な災害や戦争に対処出来ない弱い国ばかりになってしまう。
「その違反を起こした場合は?」
「我が国で育成した正式なアナザー・ワンの粛正部隊が動きます。
その際の相手側の被害は考慮に入れずに・・・です」
普通に戦争した場合は要人が死なないことに尽力。
介入して前に出てしまえば違反行為で粛正ですか。
う~~~~~~ん・・・難しいかなぁ・・・。
「いかがでしょうか?」
商人みたいにぐいぐい来ますね・・・。
もういっそ転職して第2の人生を歩まれてはどうでしょうか。
「今の様子からは間違いなく私の側での護衛役になるでしょうけれど、
残念ながら私たちの戦闘は別々の戦場での場合がありますので、
違反行為になると思います。
それではアナザー・ワンの違反行為でしょう?」
「なんと、残念ながらアルカンシェ姫の部隊への加入であれば、
条件付きで違反行為とは見なされません」
押し売りをしておいて何を言っているのでしょうか。
戦力は増やしたい。
アナザー・ワンは欲しい。
でもその裏を考えればアスペラルダだけの部隊では無く、
教国も加わっているという実績が欲しいのでしょう。
まぁ話は聞きますけどね。
「それは?」
「フォレストトーレでの大戦は戦争扱いですが、
通常の姫様方の行動内容であれば平和の為の諜報行為。
そもそもテスター1号なので違反行為をしても報告をする人材が居りません」
「フォレストトーレは三カ国が全面的に参入するから戦争。
いつもの戦闘であれば大戦ではないし相手も国ではないので問題ないという事ですか」
アスペラルダは別にお兄さんの諜報成果を独占するつもりはない。
だからリッカさんが加入して成果に教国の名が連なることについては気にしていない。
チラリ。
あ!お兄さん!何か既に教育に入ってる感じがする!
さっきまで回避に集中していたのに少し目を離した隙に動きながらの戦闘が出来るようにと何か教え始めてる!
「検討します・・・」
「やっぱりアルシェは慎重ですね」
「人身の委譲ですよ?慎重にもなります。
帰りまでには回答しますので」
「かしこまりました」
一旦預かってマリエルとメリーにも話してみよ。
お兄さんや私とは違う視点から答えてくれるから見落としに気づくかも知れません。
「そうです!リッカさんの資料などはありませんか?」
「なんと偶々こちらにございます」
「偶々!クレチアは運がいいですね!」
クレアは純粋ですねぇ。
えっと・・・出身はリクオウ、歳は18歳、女性。
おぉ胸が大きい!メリーよりも大きい!
チラリ。
アナザー・ワンの装備はメリーと同じ侍女を称しているだけあってシスター服なんですよねぇ。
たゆんたゆん。
確かに大きい。うちの陣営に来たらブラジャー付けさせないと。
しかし、お兄さんは一体どの胸に興味を示すのでしょうか?
ツルペタのマリエルでもなく、美乳の私でもなく、大きめのメリーでもない。
もし、リッカの加入で反応を示したらあそこまで育てないといけないのかぁ。
この1年で当初の微乳から美乳に成長したけれど、
あの大きさに・・・いや彼女は18歳。私は14歳。
後4年!まだまだ希望はある!
お母様もたぶん同じくらいだし大丈夫なはず!
「あの、アルカンシェ姫?」
「アルシェ?どうしましたか?」
あら、ちょっと考え事に集中しちゃったみたいですね。
「すみません。じゃあ検討はしますので」
「かしこまりました」
* * * * *
と言うわけで帰る前に合流したメリーとマリエルに相談しました。
一応お兄さんも話を受けたときには資料を見ていなかったらしく、
一緒になって見ています。
「5年前に教国に来てるな。誰と来たんだ?」
「両親と数名の東方人?
当時13歳なら姫様と同い年で旅に出たんですね」
「お父様が鍛冶師でお母様が教国の宣教者だったようです。
どうやってリクオウに上陸したんでしょう?」
リクオウは鎖国している島国。
船でしか行くことが出来ないはずですが、
上陸にしても許可をしない為、基本的には補給後に帰される。
「親父が鍛冶師!?
確かリクオウの鍛冶師は腕が良くてプチレア以上の修理も出来ると聞いたぞ!?」
「あ、じゃあ隊長の[イグニスソード]がやっと直せるんですね。
ずっと大事にしていましたもんね」
「ですが、手札は増えますが魔神族戦には使えません」
「ランク1ダンジョンで手に入る武器ですからね。
アイスピックも同じランクの武器ですし、
ちょっと辛いところではありますが思い入れもありますから」
確かに今更感があるのは仕方ありません。
通常ランク差は武器でも2つまでが限度と言われています。
ランク1ダンジョンで手に入る武器は良いところランク3までしか通用しない。
そして私たちのレベルは50を超えたところなので、
適正ダンジョンで言えばランクは5~6。
「とりあえず、目処が立つなら渡りは付けておきたいな」
「それは後回しです。
今はうちに入れるかどうかの判断を優先してください」
「あ~悪い悪い。
もし仲間にする場合はノイの契約者候補にはなる。
だが、あの極大剣は見た目でもわかるが実際エクスカリバーよりも要求ステータスが高かったぞ」
片手剣 :エクスカリバー
希少度 :爆レア
要求ステ:STR/70 MEN/70 DEX/70
ステ増減:ALL+3
特殊効果:敵ノックバック補正+10%/最大HP補正+10%
エクスカリバーも片手剣カテゴリの中でも最上級。
それを超えるっていうのはどうなんでしょう。
「お兄さん、伺ったんですか?」
「普通に聞いたら教えてくれたよ。
要求ステ:STR/120 VIT/80 DEX/70 だってさ」
姫らしからぬ言葉が漏れないようサッと口を押さえるのに間に合いました。
危うく「うげぇ~」と言いそうでした。危ない危ない。
装備出来ている事からステータスはクリアしていて、
クルルクス姉妹より後にアナザー・ワンになったならレベルは彼女達よりも下。
おそらく70~60くらい。
単純計算で1レベル毎に3ジェム。
必要なのは270ジェム。レベル60なら180。全然足りない。
だったら称号で稼いでいるという事でしょうか?
「クルルクス姉妹の武器より要求が大きいんですね」
「あの武器はドロップ品じゃなくて造られた物って聞いたから、
親父が造ったのか先祖代々の物かは知らんけど世界に1本しかないらしい」
「聖剣より強い武器ですか・・・」
「聖剣はあくまで精霊が姿を変えていただけだし、
所詮は片手剣だから極大剣より低くて当たり前なんだけどな。
ドロップ品だからどこか妥協している部分があって要求ステが低いのかも知れないな」
片手剣の要求ステは高くとも精々50止まりと言われています。
対して両手剣は100止まり。極大剣はどちらかと言えばこちらに属する。
そしてもっとも高いのは斧カテゴリの[巨人の斧]。
これがSTR/120 VIT/72だったからそれよりも条件が厳しい。
どんな違いがあるのかは分かりませんが、
装備出来るというだけで心強さは感じますね。
「私としては参加することに反対はありません。
動けないというならアルシェ様の最終防衛戦としての壁にも出来ますから。
しかしながら、雑事の分担がどうなるか・・・」
「メリーがアルシェの、クーが俺の侍女として動いているからな。
リッカもアナザー・ワンだから通常の扱いは侍女と同じ・・・。
いっそマリエルの侍女にするか?」
「いや、私は自分のことは自分で出来ますからいらないですよ」
「私も出来るけど色々と必要なのよ、マリエル!」
「姫様や隊長は資料作りだったり考えたりとやる事が多いから侍女も必要ですけど、
私は指示された事を実行して敵を倒すだけですから」
そう言われるとマリエルには必要ありませんね。
「アスペラルダに専属侍女の空きはありません。
ですがPTとして活動するならば我々と行動を共にしなければ成りません」
「いっそ、戦力だけを目当てにしていると告げて引き込むか?
こんな内々の問題で手放すのはおしい気がする。
契約者にするしないを別にしてな」
「異議な~し」
「ご主人様の仰せのままに」
マリエルとメリーの許可を出ましたね。
おっと、お兄さんと目が合いました。
結局はクレチアさんの案に乗るというわけですね。
「「お試しで!」」
* * * * *
「お世話になりました」
メリーと一緒に鍛えてもらったメイド達は教国内にある俺達の拠点に戻らせた。
七精の門メンバーのゼノウPTとセーバーPTも同様だ。
今は大聖堂から出発する為に見送りに数人来ていた。
「水無月さん、リッカをお願いしますね。
あまり虐めないでくださいよ?」
「クレアは俺が誰かを虐めているところを見たことがあるのか?
えぇおい」
「あうぅ小突かないでくださいぃ」
小生意気な奴め。
小突かれて嬉しそうにしやがって。
まぁ、初めて会ったときに比べれば顔も動くようになったか。
「アルカンシェ様、次にフォレストトーレでお目見えする際には、
必ずやお役に立ってご覧にいれます」
「勇者様、あまり自分を追い込まないようにください。
仲間を見て、周囲もみて、無理だと思ったら迷わず助けを求めてください。
勇者は完璧で無くてもいいのですから」
「・・・ありがとうございます」
「あと、差し出口かとは思いますが・・・よろしいですか?」
「なんなりと」
「アーティファクトの扱いは優先して覚えた方がいいかと。
フォレストトーレでは空を飛ぶモンスターもかならず出てきますから、
うちだけでは手が足りません。
魔法で撃ち落とせるようにこちらも準備を進めておりますが、
空中戦が出来る近接要員は多いに越したことはありません」
「わかりました、肝に銘じます」
俺にはメリオが何を言っているのか相変わらずわからんな。
でもアルシェの言葉に頷いているし大丈夫かな?
空中戦は俺とマリエルしか現状出来ないし、
メリー達もこれからの訓練次第と言えなくもない。
とりあえずは逃げ回ったり出来る程度には扱えてもらわないと俺達が困る。
「リッカしっかりとお勤めを果たしなさい」
「極東魂を見せてこい!」
あれがリッカの親か・・・。
片や茶髪の奥さんに対して片や筋肉隆々の旦那さん。
鍛冶師って話だし納得は出来るけど、傍目にみりゃ美女と野獣カップルだな。
「隊長さん!」
「は、はい」
お、おぉ!俺のところに来たぁ!!!
「娘をお願いしますね」
「こちらこそ娘さんをお預かり致します。
しかし、最終的にはどう転ぶかわかりませんので」
「娘が決めた道なら喜んで見送りますよ!
今までずいぶんと不自由を掛けて来ましたからねぇ・・・」
「定期的にでも顔を出せるように取り計らいますので、
年に数回は元気な顔を見ることは出来ますよ。
昔の話は娘さんから伺ってもいいんでしょうか?」
「あぁ!もう過ぎた話だしな!
聞きたきゃ勝手に聞いてくれ!」
奥さんは大和撫子の様に旦那さんの後ろに控えていて奥ゆかしい。
だが、旦那の影から微笑みながらも強い眼光を光らせていて、
明らかに旦那さんほどに娘の出立を捉えてないみたいですよ!
「奥さんも安心してください」
・・・コクリ。
おっかねぇ!
あんなに重たい頷きを俺は未だかつて見たことがない!
マリエルの親父さんもここまで重たくは無かった!
「マリエル殿、この度はお付き合いいただき感謝しております」
「あはは、止めてくださいよマクラインさん。
私も楽しめましたし、私だけじゃ無くてゼノウさん達もお相手したでしょう?」
「そりゃな。あいつらにも感謝は伝えた」
「フランザやアネスにも姫様にも感謝は伝えたわ」
「ミリエステとマクラインはちゃんと気づいていた差を、
ここで理解するに至れたのは大きいわ」
「・・・最後なのでちょっと年上でレベルも高い皆さんに言っちゃってもいいですか?」
「あぁ、かまわない」
マリエルは今し方までの朗らかな顔つきから一変させ、
真剣な表情で勇者の仲間に語り始めた。
しかし、傍目から見れば小さいマリエルを大人が囲って揺すってるみたいに見えなくもない。
「私もまだまだ弱いので隊長と姫様には助けられてばかりです。
しかし、この度皆様の戦力を把握した結果、
以前のフォレストトーレでの戦闘で誰1人掛けなかったのは幸いだったと思いました。
こんなに弱いのに突入させた隊長の采配ミスだと思いました」
「・・・」
「私は姫様が好きです。
いずれ近衛にすると言われて護衛隊に加入しました。
死んでもアルシェだけは守れ。
これは隊長からずっと言われている言葉です」
「・・・」
「皆さんは勇者を死んでも守れますか?
今のままでは無駄死にするようにしか見えません。
私もまだ無駄死にする方だと思いますが、
皆さんは関係のないところで死にそうです」
「・・・」
「無駄死には良くありません。
それならば勇者の仲間を離れた方があの人も甘えずに済むと思います。
うちと違うのはまぁ・・・大きいでしょう。
うちは姫様と隊長がお互いを支えてツートップのPTですから、
互いが刺激を与え合っていますし条件も色々と違います。
それはうちの正解で、皆さんは皆さんの正解を模索した方が良いと思いました」
「・・・」
「あはは、思ってばかりですみません。
でも模擬戦の間に何度か殺せる瞬間があったのは事実です。
骨を折れるタイミングはもっとありました。
もっと、もっともっと死なない為に、
勇者を支えるのであればもっともっともっといっぱい考えてください。以上です」
あっちゃあ・・・。
マリエルがちょっと爆発してやがる。
少し離れたところで話しているから気づくのに遅れちまった。
あんだけボコボコに言われたら響いてない奴が1人でも居れば反感を買って逆効果だぞ。
「ご忠告に感謝する」
おや?
「確かにマクラインが後方を守り切れない場面はあったし、
フェリシアと私への攻撃は全部寸止めでしたね」
「俺は移動しながらだからまだ捕まらない方だが、
それでも位置調整がかなりシビアだった・・・」
「体も小さく動きは素早い、
魔法も蹴り飛ばすし拳も硬いですからね」
「精霊使いは遠近どちらも出来ますけど、
隊長は総合力への要求がエグイですからねぇ・・・。
対策が立てられていれば弓も、汎用魔法も相手になりませんよ」
「普通はそんな事はないんだけどな・・・」
「ともかく、立場にふさわしい成長はしたいと思いますわ」
奴らが思ったよりも大人で良かった。
最悪殴り合いに・・・なっても勝てるか。
「あ、あの!水無月隊長!」
「応、挨拶回りは終わったか?」
「ひ、一通りは終わりました。
えと、私はアスペラルダへの移籍後はどのような・・・」
「第一候補はアルシェの護衛に参入。
この場合はアナザー・ワンと言うより傭兵に近い立場になる。
第二候補は王様と王妃様の側仕え。
こっちは既に隊長格が就いているからどうなるかわからん。
第三候補が教国に依頼していたうちの強化対策に協力してもらう事」
「姫様の護衛に参入しか伺っておりませんでした・・・」
しょんぼりしとる。
アナザー・ワンとは主に使えるスーパー側仕え。
故に希望としては第二でも問題ないと思うんだが?
「姫様は優しく気さくと伺っておりましたので、
もしかしたらお、お友達になってもらえるかと・・・」
「側仕えが主と友達ってなんだ?」
「詳しくは長くなるので省きますけれど、
わ、私は国の偉い立場にありまして、
お友達が居なかったのでお、お友達になってくれればなぁと・・・」
リクオウが異世界の日本なら殿様とかが偉い立場か?
その立場にあるにしては親父が鍛冶師?
奥さんと子供を作って隠してた?
バレたから国を出ざるを得なかった?
「リッカ、自分の立場は理解しているか?」
「は、はい・・・そうですよね・・・」
「マリエルは護衛だがアルシェの友達とあいつらは言うだろう。
それは幼なじみという下地があったからだ。
お前はポッと出だし歳も4つ上だから友達は難しい」
「は、はい・・・」
「お姉さん役はメリーが居る。
あいつもアルシェとの関係は長いから信頼があってのことだ。
偉かったという立場に拘らなければ友達なんぞいくらでも作れるぞ?」
「う、うぅぅ・・・フギャッ!」
とりあえずマリエルよりも世間知らずで箱入りで育ったのはわかった。
この歳で子供っぽいメソメソ顔をするリッカへデコピンを食らわす。
「面倒くさいのはわかった」
そんでクレチアさんがアスペラルダへ押し付けたのもわかった。
戦力にはなるけど扱いが面倒くさいし、
元の立場が偉いのであまり粗末に扱うともしもが起こった際にさらに面倒に成る。
だから監視の目が無くなるアスペラルダに押し付けた。
あわよくば姫の護衛であればさらに人目に付きづらいとでも思ったか?
「まず、うちに来るなら実家の事は考慮しない。
落ちぶれたか追い出されたか逃げてきたのかは知らないが、
リッカの立場はお試しアナザー・ワン。それだけだ」
「・・・はい」
「今は良いけど、アスペラルダに着いたら切り替えろ。
お前は選ばれたアナザー・ワンだからな」
本人が知らぬいろいろな思惑が裏にあるけどな。
「わかりました」
「素直でよろしい。
頑張ればお父さんとお母さんに会う機会も作ってやるからな」
「あ、ありがとうございます!」
一通り見送りに出てきた奴らとの挨拶回りも終わったかな。
アルシェとも目が合ったので帰るぞとアイコンタクトを送るまでもなく、
アルシェはクレアとの話を切り上げて俺の元へと寄ってくる。
「いいのか?」
「雑談していただけですから。どうせすぐに会えますし」
それもそうか。
アルシェの動きをちゃんとチェックしていたマリエルも駆け寄ってきた。
「説教は終わりか?」
「説教なんてしてませんよ、純粋なエールです!」
「傍目から聞いていた限りでは立派な説教だったぞ」
「え~?おかしいなぁ~・・・わふっ!」
まぁ良い方向にへの舵取りに役立ちそうだしいいか。
無造作に頭を撫で回すとされるがまま「わふわふ」言ってる。
カエル妖精なんだから「ケロケロ」言えよ。
「では、皆様。ごきげんよう。
リッカはアスペラルダで大切に扱わせていただきます」
「こちらこそこの度はありがとうございました。
リッカの事はよろしくお願い致します」
アルシェとクレアの挨拶が終わればもうここには用は無い。
俺とアルシェが翻すと、
マリエルと新たに加わったリッカがその背後に付き俺達はユレイアルド神聖教国をあとにした。
次に会うのは本当にフォレストトーレである。
それもあと1ヶ月もない。
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