特に呼ばれた記憶は無いが、異世界に来てサーセン。

黄玉八重

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第12章 -廃都フォレストトーレ奪還作戦-

†第12章† -45話-[瘴気に狂う高貴な樹姫④]

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 勇者プルメリオ=ブラトコビッチが決戦を始めた頃、
 精霊使い水無月宗八みなづきそうはちは……。

「たーだいまー!」
『お~かえり~!』

 サーニャ達アナザー・ワンを教国陣営に送った後にゲートを繋げて戻ったアスペラルダ陣営。
 後のお仕事は見つけた核をどうやって破壊するかが俺たちの仕事という事もあり、
 考えることは単純に一つ。
 気楽に帰ったことを口にしながらゲートを潜ると、
 姉弟の第一長女で一番の甘えん坊のアクアーリィがすぐに返事を返して胸に飛び込んできた。

「『ん~~~~♪』」

 抱きしめてアクアボデーを堪能した後はもちろん頬を堪能する。
 両手で抱き上げながら頬をスリスリしようとしてもモチモチの頰に俺の頬は吸い付かれて、
 ただただ互いの頰肉が右に左に動くだけだが親子のスキンシップはこれで十分なのだ!

『お父さま、お姉さま。
 ニルがまだ全体支援を続けている中での過剰なスキンシップは控えてください』
「はーい」
『ごめ~ん』

 アクアに続いてアルシェ達も俺に寄ってきた際に次女の真面目なお説教が飛んできた。
 足元で腰に手を当ててプンプンしているクーデルカへ素直に謝り従おう。
 身を屈めて抱き上げていたアクアを地面に降ろすと、
 アクアはすぐにアルシェの元へと向かおうと足を進め始める。

 そして俺の立ち上がりに合わせてリフトアップしてきたのは、
 先ほどアクアと俺の行いを注意してきたクーデルカその人…いや、その精霊であった。
 オプションである[閻手えんじゅ]の掌に乗って胸元まで登ってきたようだ。
 しかも無言で両手を広げて『さぁ、クーも抱いてください』という態度である。
 愛い奴め。かわいいので抱き上げてから歩き始めた。

『あっ!?クーも抱いてもらってる~!
 さっきアクアになんて言ったか忘れたとは言わせないよぉ~!』
『クーは過剰なスキンシップを控えるように言っただけです。
 お父さまの足を止めてはいませんもの。
 お姉さまも抱いてもらうだけならいいのでは?』
『あっ、そういう事!わぁ~い!』

 駆け寄ってきたお馬鹿な第一長女を拾い上げてアルシェの先導に付いていく。
 クーも長い戦闘にストレスが溜まっているのか、
 普段はアクアへの尊敬した態度を忘れない淑女なのに甘えることを優先するとは…。

『抱っこだけで騒がしいです…』
『ノイ姉様は肩車されているでしょう!』
『ノイはずっとパパと一緒でしょ~!』
『『っね~~~~~!!』』

 肩車されているノイの一言でまた二人がプンプンと怒り始めたけど、
 どうせ互いに手を出す気が無いのはわかっているし放置しよう。
 最後は胸に抱かれる姉妹が共通の敵を見つけた結果、元の仲良しに戻ったし。
 これは育児放棄ネグレクトではない。
 姉弟同士でぶつかり合うことで成長を促しているだけなのだ。

 そしてぶつかり合った結果、
 2対1で文句を言われたノイが黙る代わりに俺の髪を毟るかの勢いでグイグイしてくる。
 やめなさい。ハゲ散らかったらどうするんや。

「お兄さんこっちへ来てください」
「あいよ」

 案内された先はギルド員が詰めている…なんていうの。
 原っぱにテーブルが出されていて、
 申し訳程度に風避けがあるだけの作戦本部かな?

 テーブルの上にはすげぇリアルに描かれた[キュクレウス=ヌイ]の絵が広げられていて、
 今からコイツの攻略を話し合うぞという準備が万全で整えられていた。
 あとベルとフラムもテーブルの上に添えられていた為、
 俺が傍まで寄るとお姉ちゃん達と同じ様に体を登山し始めた。

「お疲れ様です、水無月みなづき様。
 アルカンシェ様方と話し合う際に分かりやすいかと思い職員に用意させましたのでご活用ください」
「ありがとうございます、アインスさん」
『さっそくですが核の位置と対処方法に考えがあればお願いいたしますわ』

 娘に群がられている俺の姿に何も言わずに話を進めるとは…。
 流石はギルドマスター。
 セリア先生も戻っていた様で絵を指さしながら再び攻略会議は始まった。

「核はここですね。
 大きさはキュクロプスの時より一回り大きい感じです」
「表面を抉って辿り着けますか?」
「いやぁ、難しいと思う…。
 相性がいいのは火属性だけど、加護持ちも居ないしフラムはまだ幼いから出力も足りない。
 もしもアクア達くらいの位階まで進化が進んでいても、
 植物らしい異常な再生力で対抗されると現実的じゃない」
加階かかいが進んでいる子でアクアが等倍、ノイが不利相性ですわね。
 クーも属性的に攻撃は得意ではありませんね。
 火力が足りないのであれば中位階の火精かせいは如何です?』

 中位階の火精かせいってアクアとアルシェが倒した赤鬼クリムゾンオーガになってた奴か。
 名前も無かったから中の下って程度だろ?
 ポシェントは名前があったから、
 彼を基準にすると少なくともポシェントよりは弱いんじゃね?
 一応俺もいろいろと試してキュクレウス=ヌイに攻撃を加えてみたけどアレの防御力はちょっとやそっとじゃ抜けらんないってばよ。

「アレには無理!」
『まぁ、ですわよねぇ……』

 ポシェント並みに信頼があれば火力不足でも手伝ってもらおうとか思うだろうが、
 拾っただけの力不足を最後に使う奴なんか居るかいな。
 それなら色々出来る弟子のトワイン連れて行くわ。連れて行かんけど。

「お兄さん、ずいぶん落ち着いて話してますね。
 もうある程度対処の目途が立っているんじゃありませんか?」
『え? 本当ですの?』
「これしかないとは思っているけど、
 確実に出来るとかそういう検証とか情報収集はこれからですけどね」
「ほぉら。アクアちゃん達で元気を補給しながらでいいので、
 ちゃんと説明してください」

 鋭いアルシェにはすぐ看破されたけど、セリア先生とアインスさんは予想もしていなかった様だ。
 ちなみに姉弟たちは俺に抱かれてご機嫌なので話を聞いてはいない。
 基本的には決まったことを伝えるだけでうちの子供たちは仕事をこなしてくれる。

 とりあえず考えを説明するために絵に人差し指を伸ばして話し始めた。

「グランハイリアほどで無くとも幹の太さはかなりのもんだし、
 核までの距離はおおよそ70mくらいかな……。
 10mでも抉るのに苦労する硬さと再生力と高ランク雑魚の妨害で横からと上からは厳しい」
『なるほど…』
「下からというわけですか…」
「えっと、どういう事でしょうか?」

 指の動きと俺の説明。
 その2点で賢いセリア先生とアルシェはすぐに伝えんとしている内容を理解したけれど、
 アインスさんは未だ理解は出来ておらず戸惑いの声をあげた。

「絵をよく見てください。
 ここに核があって……ここ。これはなんでしょうか」
「王城への入場門……そういうことですか。
 ですが今はダンジョンになっていて上に辿り着くまではかなり時間を要してしまいますよ?」
「ついでに言えば最上階はボスフロアであると考えられるので、
 俺たちが進んでいったとしても勇者がボスを倒すまでは立ち入ることが出来ません」
「その問題もありますが、先ほど勇者様はボスフロアに入られた模様です」

 おぉ!良い報告!
 じゃあボス倒して隷霊れいれいのマグニを追い払うのに成功したら、
 タイミングを見て俺たちが最上階に一気に移動して核を破壊すればなんとかなるかもしれない。

『考えは分かりましたわ。
 ただ、全力を尽くすには情報不足ですわね』
「王城はダンジョン化している関係で今は無事かもしれませんが、
 勇者様がダンジョン核を破壊した後はキュクレウス=ヌイに完全に取り込まれるまでの余裕はあまり無いでしょう。
 城の大きさとキュクレウス核までの距離ははっきり理解しなければいけませんね」
「勇者がボスと戦い始めたなら1~2時間程度しか猶予が無いな。
 すぐにラフィート王子に情報をもらおう」

 王城にはアルシェも多少情報を持っていても正確ではない。
 だったら生活していたラフィート王子に話を聞くと同時に突入メンバーも検討を始めないといけない。
 勇者たちも魔神族を相手にして100%元気とは言えんだろうし、
 あまり当てにしない人選を考えたほうがいいだろうな。
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