特に呼ばれた記憶は無いが、異世界に来てサーセン。

黄玉八重

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閑話休題 -|霹靂《へきれき》のナユタ討伐祝い休暇-

閑話休題 -94話-[再会+対策+事後報告②]

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 ソニューザの戻りを待つ間に俺達はネフィリナに招かれ、ソニューザ一家とも挨拶を交わして今はご両親と別室にてネフィリナ相手に交渉中だ。

「以前竜製魔石を魔糸に変換していただろう? それをひと工夫して再度依頼したい」
「魔糸製作? それくらいならちゃちゃっと出来るけど、ひと工夫ってのはどんなだい?」

 混血とはいえドワーフの血を引くドラゴドワーフだ。
 仕事があるなら興味はあるのか瞳を輝かせて話を催促して来た。
 当然、自然の中で生活していた彼らの生活圏にゴムの木は無いし合成ゴムなんて尚更知らないだろう。それを考慮して俺もインベントリから資料となる合成ゴムそのものを手に取り差し出した。

「コレは何さ?」
「ゴムっていう伸縮する素材だ。魔糸にこの伸縮を付与したい。
 さらに言えば普段は伸びた状態で魔力を流したら縮むようにしたいんだけどどうだろうか?」
「う~~ん……。伸縮出来るようには出来ると思うよ? 形成を緩くするだけで良いからね。
 でも伸縮に関しては内部魔力が満杯の状態で魔糸にすると縮ませる際に要求される魔力量は膨大になっちまうよ」

 説明されると確かに納得できる理由だった。
 器としての竜製魔石は高濃度魔力で組まれている。その内部の高濃度魔力も合わせて加工をする為、器としての加工品はさらに容量が増える事となる。俺の[青竜の蒼天籠手フリューアネイシア・ブレイサー]も同様の作成方法で加工され組み上げられているから常日頃から莫大な高濃度魔力を貯蔵し余剰分は垂れ流して自然魔力マギウスヴィスルの回復を促している。

 アルシェの武器へ組み込む予定の魔糸の問題点は、規定値の上昇にある。
 器容量が100なら貯蔵魔力が100になって初めてという扱いになるので常に99で保つか戦闘開始後から魔力を込めてしばらくしてやっと武器として利用が可能となるわけだ。逆に俺の様に魔力を込めっぱなしでは持ち運びする為の折り畳み機能が意味を為さない。

「とりあえず伸縮の要求ラインを下げる為に超蔵している高濃度魔力は抜くよ。
 そのアルシェ用の魔石で何本くらい作れる?」
「そもそもどのくらいの長さを想定しているのさ……。それによって試作本数も変わって来るってなもんだよ」
「俺もアルシェが振るいやすい正確な長さを知らないからアクアを呼び出して聞いてみよう」

 アルシェが武器として扱うのは棒術・槍術・薙刀術を用いた槍剣そうけんだ。
 成長期のアルシェは剣の部分を抜きにした場合の柄の長さを都度調整していたはずだから最新情報はアルシェ本人かアクアに聞くしかない。

「(アクア、ちょっとこっち来てもらえるか?)」
『(いいよ~♪ 丁度おやつ食べ終わったところなんだぁ~♪)』

 そうか。朝から動き回ってもう15時になっていたか……。
 俺が子供の頃に親が決めたおやつの時間を今度は俺が子供達に決めてクッキーなどのお菓子を振舞っていた。
 アクアがネフィリナに伝えている間に俺に同行しているアニマ・クー・ベルにおやつをあげるとしよう。

「《召喚サモン:アクアーリィ》」
『第一長女アクアーリィ!家族に這い寄る悪は全て洗い流す~!魔法少女アクアちゃん、参☆上☆!』
「おぉー!ちびっ子がいきなり出て来た!」
『お姉様、ようこそいらっしゃいました』
『アクア姉様が来たああああ!』

 この恥ずかしい登場台詞をいつまで言い続けられるだろうか。
 成長を見守れる限り、俺はしっかりと彼女たちの姿を一分一秒でも目に焼き付け。その一挙手一投足を脳内保存しておこう。
 皆に出迎えられた長女を次女と五女と共に抱き上げて胸に掻き抱く。あぁ……大きくなったなぁ…。

『わぷっ!もう!抱っこする為に喚んだんじゃないでしょ~!』
「朝以来の可愛らしくて愛らしくて愛おしい愛娘が格好付けて現れたなら抱き締めない訳にはいかないだろ」
『お父様、クー達はずっと一緒でしたよ?』
『パパ、ベル達の事好き過ぎぃいいいい!』

 当たり前だろのキス乱舞と脳天スーハ―をお見舞いしてやる。
 ぷんぷん怒りながらも嬉しそうに抱かれているアクア達。存分に愛で終えるとようやく解放に至った。
 その間5分以上。ネフィリナが舟を漕ぐには十分な時間だった。

『ネフィリナ様、お待たせ致しました。よろしくお願いします』
「んおっ!親子の過剰なスキンシップは終わったかい? 危うく寝ちまうところだったよ」
『危うくというか普通に眠りそうだったけどなぁ~』
「すまんかった。やばいと思ったが、欲望を抑えきれなかった」

 反省はしつつ後悔はない謝罪に意味があったかは置いておいて。
 最後の言葉だけを拾ってドアから入って来た乱入者には少々刺激の強い言葉であった。

「な……なななん……俺のネフィリナに何をした!宗八そうはちぃぃぃぃぃぃ!!」


 * * * * *
 勘違いしたソニューザを軽く往なしてこんこんと説明して場を収めた。
 まずお前を呼び出しているのに手を出す馬鹿は居ない事。そして、ご両親もいるのに婚約者に手を出す馬鹿は居ない事。
 最後に自意識のはっきりしている娘たちが居るのにエロい事なんて情操教育上行えない事を懇切丁寧に腕を捻りながら説明したらきちんと理解を示してくれた。
 ドアの外ではソニューザを呼びに行ったドワーフが某家政婦の様に「はわわ!凄い現場を見ちゃったぞ☆」みたいに固まっていたので仕事に戻した。余計な詮索は失業を招くぞ、気を付けろ。

「おー、痛ちち。手加減してこれかよ……。
 それで何しに来たんだ? もしかして、もう島の問題が解決したわけでもないだろ?」
「いや、解決はしたぞ。異界の方だけは。
 残る問題は異界の住人をどうするかだけど、それも数日中に解決予定だからそろそろ島に戻る準備はしといて欲しいって伝言に来たんだ」

 俺がソニューザと話し始めるその背後では、アクアがネフィリナ相手にお仕事の話を詰めてくれている。
 シンクロを用いて俺の意図する武器の構想を理解したアクアは氷で造り出した槍剣そうけんを4分割にして提示。それぞれの先端に凸凹を造って噛み合う形になりますと説明している。
 他の娘たちは先の二人にアニマが合流して俺のソニューザの隣でおやつタイムを堪能している。

「早いなぁ…。一か月かそこ等だろ?」
「場を整えてくれる仲間もいるし目的もはっきりしていたからな。
 今は異界の住人がエルダードワーフの村を間借りしているから早めに引き渡せる様に根回し中だ。出来る限り早めに元の生活に戻すからもうちょっと待っててくれ」
「生活が戻るのは嬉しいけどネフィリナ達ドラゴドワーフはこっちに居た方が怠惰な生活をしなくて済んでいるんだよ。
 島の外の生活を行商人から聞いた連中の一部が残りたがる可能性もある。その辺はこっちで話をしておくけど、もしも残りたいって奴が居たらどうすりゃいい?」
「基本はここで仕事を続けて欲しいかな…。エルダーが居れば都会ドワーフが何故かやる気を出すらしいし……。
 他にしたいことがある連中に関しては自由には責任が伴う事を伝えておいてくれ。冒険者なり他の職に就くなり好きにしてもいいけど支援できるのはこっちで要求している仕事に雇われている間だけだから」

 フォレストトーレ王国が発行した仕事をするなら衣食住はある程度保障できるものだが、この仕事を辞めて別の所へ移動するなら雇い主は当然変わるし衣食住は自分でなんとか確保する必要がある。島外の生活を始めて経験した彼らが憧れるのは仕方がない所なのだが、田舎者が大志を抱くのとなんら変わりは無い。
 島の中で自給自足出来ていた彼らが甘く考えている事は容易に想像出来るので、その辺りは自己責任で決めてもらわないといけない。

「仕事で言えば土木工事は当然向いていたからドワーフ達に普段の生活を聞いておこう。
 他の仕事については残る連中が自分達で聞き込みするしかないかな」
「あとは食生活も問題が出るかもしれないぞ。ドワーフはエルダードワーフが都会暮らしをする為に変化した姿とされている。交配なり退化なりの差は今後顕著に出てくるだろう。いずれ生活に合わない何かが出てくると思うぞ」
「うぅ~ん……。その辺りもドワーフに聞き取りしてエルダーとの差を認識しておきたいな」
「俺達もドワーフの知り合いとか居ないからこの職場で聴取しておいた方が良い」

 実際生態保護の観点からエルダードワーフは都会に染まらず島の生活に全員戻ってほしい所。
 少なくともソニューザは島に戻るつもりの様子だけどネフィリナ達ドラゴドワーフの今後も考えて悩みもある、ってところか。
 俺に協力出来ることなら出来る限り力になってやりたい。嫁さんにはお世話になっているしな。

『パパ~、ネフィがいくつか試作品作ったよぉ~』
「はいはい。とりあえず1週間程度で島に戻せる様に動くから準備だけは進めておいてくれよ」
「了解だ。最後まで世話になるがよろしく頼む」
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