幽閉塔の早贄

大田ネクロマンサー

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2部 焼け落ちる瑞鳥の止まり木

第12話 外道(ルーク視点)

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地下は音が響く。アシュレイの言う通りジルの歩行音は特徴的な気がした。

「やけに用心深いですな。出来の悪い兄に聞かれたくないことでもありますかな?」

メルヒャー卿はジルの体の大きさから、兄弟の生まれた順序を誤認しているようだった。

「図体だけはデカくてな。脳に栄養がいかなかったのであろう。あっちが弟だ」

地下は湿度が高く、どこからか水が滴り落ちる音が響いてくる。私の腹を探り、さっきまでの饒舌さからは考えられないくらい彼は静かになった。

「さっきの出来損ないの弟の他に、もう1人庸人の弟がいてな。それがどこからかで手に入れた媚薬の後遺症に悩んでいる、という建前で来た」

「ほほほ、建前とは。他に聞き出したいことでもありますかな?」

メルヒャー卿の目が怪しく光る。きっと人には言えない欲望があると、彼が救世主のように見えるのであろう。彼はそういった人の闇を嗅ぎ分ける才があるのだ。

「その媚薬を辿ると貴殿にたどり着いた。さっきの役立たずはどうにかして庸人の後遺症を取り払いたいと考えているようだが……」

ここで敢えて言葉を区切って、遠くを見た。

「貴兄は違うと?」

「きっと貴殿には理解ができないとは思うが……私は庸人が視界に入るだけでも虫唾が走る。不治の病のようなものだ。同じ兄弟とわかってはいても、こればかりは治らなくてね」

「なにを滅相もございません。この国の大半がその病を罹っております」

メルヒャー卿と視線が絡み合う。しばらくその目に宿る邪気を眺めたら、自らの欲望が溢れ出していく。

「だがな、そんなちっぽけな庸人を力で捻じ伏せ、小さな穴を犯すのがこの上なく愉しくてな。魔人のこどもとは違う、生まれながらのちっぽけな体に自らをねじ込み、何度も何度も腹の中を犯す。腸が破けるほど擦り付けてやると、小さな体からは考えられないくらいいい声で鳴くのだ。やめて、殺さないでと、穴という穴から体液を垂れ流して命乞いする、それが……」

ハッとして、メルヒャー卿を見る。瞳が柔和に細められ、その光景に息を飲む。

「私めは死刑囚にございます。なにを怖がることがございましょう。貴兄の愉悦を咎める者などここには居りません。さっきの出来損ないにはわからない嗜みでございます」

「ああ……。あいつは庸人の弟に入れあげていてな。普段から庸人の弟はあの役立たずに懐いるのだ。だからこっそり庸人をあの媚薬で躾けてやっていたのだ。やめてくれと懇願するのに、体中が熱く体液塗れで……泣きながらあの木偶の坊の名前を呼ぶ。支配とはこういうことをいうのだ。それを庸人に教えてやっていたのに……。あの木偶が、友人から譲り受けた媚薬に勘付きやがった……。出来損ないの分際で……」

メルヒャー卿はゴクリと喉を鳴らした。だから私は股間に手をあてがって、自身を慰めるように摩った。
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