罪と魔女

大田ネクロマンサー

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<番外編> 僕の魔女 (※)

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 僕の魔女は時間に厳しい。彼女の事務所で働かせてもらっている僕は、事務作業と食事係を担当している。昼食はきっかり12時と決まっているので、仕事中に一度炊飯器のスイッチを入れに上の住居スペースに上がる。以前までタイマーを使っていたが、一度タイマーが作動せずとても恐ろしいことになったので、こうやってスイッチを押しに行くのが日課になっていた。
 今日もスイッチを押して事務所に戻ると、彼女は依頼人を送り出そうとしていた。ここは探偵事務所で、人には頼みづらい調査をお願いしに来る人で溢れている。

「真下さん、本当にありがとうございました。またなにかあったら相談にのってください」

 依頼人の女性は深々と頭を下げて彼女にお礼を述べる。

「なにかなんて無いほうがいい。でもお茶くらい出すから近くを通ったら寄ってくれ」

 彼女は清々しく言いニカっと笑う。依頼人は複雑な離婚調停の証拠調査のためにこの事務所を訪れた。真下さんのスキルは高く他の探偵事務所で解決できなかった問題もこうやって無事に完了することができた。依頼人は何度も謝辞を述べ、事務所を後にする。戸がしまって依頼人が階段を降りる音が途切れたら、真下さんは僕の方を物欲しそうに見つめた。

 僕は彼女の髪を撫でてそっと近づく。早く早くと背伸びをする仕草が可愛くて、頬にキスをする。

「真下さん、今日の案件すごく長かったですね。お疲れ様です」

 頭を撫でて真下さんを褒める。

「ノブ……」

 僕の名前を呼び少し口を開けて待つ魔女に自分の舌を差し込んだ。彼女は僕の舌に吸い付き、時々息を漏らす。舌を絡ませて彼女の要求を満たせたらそっと肩を掴んで唇を離した。魔女は下唇を噛んで照れ笑いをしている。僕は彼女のこの顔がこの世で一番好きだ。
 案件が片付いたらこうやって労うことを彼女は魔女のしきたりという。そのかわいい決まり事は生活の中でいくつもあった。僕がそれに従うのは、この笑顔を見たいがためだ。
 僕のかわいい魔女が気づかれないようにゆっくりと僕の下半身に手を伸ばす。

「ノブ……今日……口でさせて……少しだけでいいから……」

 伸びてきた手を掴んで触られることを拒否する。

「真下さん、仕事中ですよ」

「お願い……ノブ……我慢ができない……」

「もうこれは童貞の陰茎じゃありません」

「な……童貞などもう古い! 時代はノブ! これからはノブのものしか絶対に口にしないぞ!」

 よっぽど咥えたいのか、言ってることもテンションもおかしかった。

「困った魔女ですね……とりあえず、そろそろ昼休憩なので上がりましょうか?」

 肩を抱くと魔女は嬉しそうに華奢な体を震わせ、胸にしなだれる。住居スペースに上がると真下さんが僕の股間から性器を出そうとベルトを緩める。

「真下さん、ダメですよ。昼ごはんの時間遅れてしまいます」

「今日の昼ごはんこれがいい……ノブ……お願い……」

 僕が本当に困った顔をすると、魔女は悲しみに打ちひしがれ、ベルトを外そうとしていた手を止めた。

「今日はしてくれると思って、準備してたのに……なんでノブは夜しかしてくれないんだ……」

 なんだか可哀想になってきて、キスをしながらベッドまで連れて行った。到着するなり真下さんはベッドに手をついて腰を突き出す。

「スカート……」

 スカートが汚れるのを気にしているのだろうか、催促されるがまま真下さんのスカートをめくり絶句する。何がどうなっているのかわからなかった。前はしっかりと隠れているが、後ろは露わになった下着をつけていた。

「こんないやらしい下着をつけて……僕が見なかったら誰に見せるつもりだったんですか……」

 尻の頬にそっと触れて下着に指を這わせる。

「あっ……ノブにしか……見せない……わかってるくせに……」

 物欲しそうに痙攣するその入り口にそっと指を近づける。

「あ……ノブの、ノブの太くて熱いのが欲しい……ノブ、ノブ……」

 もうこれ以上卑猥なことを言わせないよう、その窄まりに唇を寄せる。

「あ……ノブ……違う……」

 その否定を無視してその窄まりに舌を這わせる。触れるたびに収縮しもっと奥に欲しいと懇願するそれを執拗に濡らす。

「あ……んっ……んっ……!」

 いやらしい下着を辿って前の膨らみにも手を這わす。下着がはちきれんばかりに張っており窮屈そうだった。下着の横から指を差し入れその膨らみの熱さを逃すように撫でる。いやらしい水音と真下さんの歪んだ声が部屋に響き渡る。明るい室内には似つかわしくない音だった。

「真下さん、僕が好きなところちゃんと見せてください」

「あ……あ……ああ、もうこのまま……入れて……ノブの太くて……熱いの……」

「見せてくれたら奥まで入れてあげますから」

 真下さんはベッドに手をついて起き上がり僕に向き直った。そしてとても素直にブラウスのボタンを外し始めたので、頭を撫でて労う。真下さんが唇を尖らせて上目遣いで僕を見る。彼女は言ってもらいたいことがあるといつもこうやって僕を見る。

「僕の魔女はいい子ですね」

 また僕の大好きな顔ではにかんで笑う。

「ちゃんと見せてください?」

 魔女はブラウスの前を開けて肌を晒す。その少年のような透き通った肌が昼の光を浴びて一層白く輝く。吸い込まれるように胸の先端を喰みしばらくその白い体から唇を離すことができなかった。

「うん……っ、んっ、ノブ……見せるだけって……ずるいぞ……」

「何がずるいんですか?」

「ノブの咥えさせてくれなかったくせに!」

 先ほどまで唇で喰んでいたそれを吸って柔らかく噛んだ。魔女の歪んだ嬌声が部屋に響く。

「あとで下のお口で奥まで咥えてくださいね」

 魔女は嬉しそうに肩をすぼめて震える。

「もう一回……言って……ノブ……」

 僕の魔女はいやらしい言葉を言わせたがる。僕の胸にすがって上目遣いで懇願している。

「スカート持ってください」

 魔女はどうしても言わせたいのか、僕の指示には従わなくなった。

「あとで僕に解されてトロトロになったいやらしい下のお口で奥まで飲み込んでくださいね」

 慣れとは恐ろしいもので、調教された奴隷のようにスラスラといやらしい言葉が出てくる。

「ノブの熱いの……どうやって入れてくれるの……?」

 魔女は目を輝かせてもっともっとと懇願する。

「かわいい魔女のいやらしくて恥ずかしいところを何度も突いてあげますよ。ほら、スカート持ってそのかわいい下着をよく見せてください」

 魔女は嬉しさのあまりか細めた目に薄ら涙を湛えて、スカートをゆっくりたくし上げる。スカートの奥から現れた下着は布面積が極端に少なく、よくはみ出さないなと感嘆する。その布の上から魔女自身をそっと触り、中身を取り出そうとした。

「あっ……今日はこれつけたまましたい……」

「こんなかわいい下着つけたままだと僕があんまりもたなくなりますよ?」

「ああっ……もう一回言ってぇ……」

「ただでさえかわいい魔女にいつも堪えるのが大変なのに……」

 自分で言えと言いながら最後まで聞かずに魔女は僕の口を塞ぐ。

「今日はどうやって抱いてもらいたいですか?」

「う……うしろからぁ……!」

「真下さんはうしろからされるの好きですね」

 顔を見ながらできるほうが僕は好きなのに。

「ノブのものだって、うしろからだと、ノブのものだってわかるからぁ……」

「そんなことしなくても僕だけの魔女です」

 涙を堪えて俺を見る魔女の魅力に従う他ないと、僕は髪の毛を撫でた。そのまま魔女をひっくり返してスカートをたくし上げた時に、玄関の方で物音がした。反射的にスカートを元に戻し真下さんを起こす。はだけたブラウスの前を閉めて抱き寄せた。

 施錠を忘れた玄関が乱暴に開かれて人影が飛び込んでくる。

「お……お前ら……昼間から何やってるんだ?」

 久遠さんが驚愕の顔でこちらを見るが僕も相当驚いた顔をしていたと思う。

「お前は時間も守れないのか! いいところだったのに!」

 真下さんが僕に抱かれながら叫ぶ。今日久遠さんが来るとは聞かされていなかったのでびっくりして真下さんを見る。

「遅れるならともかく、早く来て何が悪いんだ! いい大人が仕事中に……」

 そう言いかけた久遠さんが俺を見て黙る。重苦しい沈黙の最中、炊飯器から完了のアラームが響き渡る。

「ははーん、さてはお前、やきもち妬いてるな? 私とノブが仲良くしているのが許せないのだろう?」

 心臓に悪い冗談を言う真下さんを強めに抱きしめる。僕を見上げた真下さんが少し怯えたように見る。多分僕は怒った顔を隠せていなかった。

「なにか言うことはないんですか」

 真下さんは眉を下げて悲しそうな顔で言葉を振り絞る。

「ごめんなさい……もうこんなこと言いません……」

 魔女は泣き出しそうな勢いだったので頭を撫でて、ブラウスの前を閉めるように促す。

 奥から久遠さんの笑いを堪える息遣いが響く。

「世良さんが彼氏になってくれて本当によかった……ふふっ……」

「久遠さん、うちの魔女は時間に厳しいんです。もっと恐ろしい制裁を加えられたくなかったら時間は守ってください」

「あ、はい……申し訳ございませんでした……」

 久遠さんが申し訳なさから存在感が薄れてそのまま消えて無くなってしまいそうだった。僕は冗談ですよ、と笑って食事の用意を始めようと歩き出した。その僕の袖を魔女が掴む。振り返ると魔女はまだ申し訳なさそうに僕を見ていた。

「後でしましょうね?」

 久遠さんには聞こえない音量でそう言うと、僕だけの魔女は下唇を噛んで恥ずかしそうに笑った。僕は彼女のこの顔がこの世で一番好きだ。

<END>
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