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それはまるで絵画のように
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3月9日、卒業式。
その日はとても良い天気だった。晴れの日を祝うかのような清々しいほど雲一つない青空に、満開の桜が淡い桃色をアクセントに散りばめた……まさに絵に描いた天気だった。
僕はなんとなく、学校最後の日を何も思い出に残さないまま帰りたくなくて写真を撮ることにした。それは本当に単なる気まぐれで、桜と空が綺麗だったから撮ろうとしたに過ぎなかった。
この学校に来ることはもう二度とないだろう。そう思って、校門を出る前に携帯のカメラを向けた。
その気まぐれで撮った、たった一枚の写真は僕を魅了した。撮るつもりだった美しい景色に惹かれたわけじゃない。目を奪われたのは偶然映りこんだ一人の女の子だった。
突き抜ける青に、淡い桃色が舞う中で……濡れ羽色の長髪を風に靡かせて振り向いている。揺れる髪を片手で押さえ、伏し目がちに視線を落としている。
――綺麗だ。
画面越しでしか見ていない女の子に、そう感じた。
多分、僕はあの子に恋をしてしまったのだろう。別れの日に、出会ってしまった。いや、出会ってさえいないだろう。すれ違ってもいないのだから。
ただ、今でも残っているこの写真だけが僕の心を惹き付けてやまない。きっと会うことは叶わないだろう。だが、それでも。綿毛のように柔らかい何かが、ずっと胸の奥に刺さっている。
その日はとても良い天気だった。晴れの日を祝うかのような清々しいほど雲一つない青空に、満開の桜が淡い桃色をアクセントに散りばめた……まさに絵に描いた天気だった。
僕はなんとなく、学校最後の日を何も思い出に残さないまま帰りたくなくて写真を撮ることにした。それは本当に単なる気まぐれで、桜と空が綺麗だったから撮ろうとしたに過ぎなかった。
この学校に来ることはもう二度とないだろう。そう思って、校門を出る前に携帯のカメラを向けた。
その気まぐれで撮った、たった一枚の写真は僕を魅了した。撮るつもりだった美しい景色に惹かれたわけじゃない。目を奪われたのは偶然映りこんだ一人の女の子だった。
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