神々のストーリーテラー

みん

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厚顔無恥の末路

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「……お前の魂胆わかったわ。さいっあく」
「そりゃどーも」

 キジトは面倒見のいい男である。人に慣れていなさすぎて、頼られたらなんだかんだ文句をいいつつも請け負ってしまう。
 ヤタマルはにやり、と笑って、文章を目で追うキジトを見つめた。

「うわっわかんねー……」

 数秒後にキジトの口から放たれたのは、お手上げしかりといった声だった。

 ヤタマルの文章が悪いのか、その経緯から結果までもが書き散らされた書類は、一から作った方が早いのではないか? という有様だった。
 いつものことであるが。

 ヤタマルは派手な戦闘を好むが故に、始末書の提出も多い。
 描き慣れているはずではあるが、その経験はまったくもって活かされていない。
 アホだからである。

「……これ、誰宛のですか?」

 唐突に挟まれた声に、ヤタマルは視線をキジトから隣に移した。
 声の主はイスミである。

 いつの間にか一緒になって書類を覗き込んでいたイスミは、さっとその文章に目を通すと、ヤタマルを下から覗き込んで問いかけた。

「……マルさんだけど」

 イスミの問いの理由が分からず、ヤタマルは訝しげに眉を顰めながらC区域の担当管理官である男の名前を出した。
 聞いてどうする?
 キジトも同じ気持ちだろう。
 聞かなくとも、ヤタマルにもそれはわかった。

「マルさんだったら、ここをこの位置にもってきて、ここをまとめたら、すぐ通ると思いますよ」
「は?」

 イスミは何でもないことのようにアドバイスを告げると、書類の中の文章を指差した。


「お前! イスミ! わかんのかよ!」

 キジトが叫ぶ。
 ヤタマルも同じ気持ちだった。

 きょとんとするイスミは、何のことでもないように二人の疑問に答えた。

「はい? 僕は一般隊員になる前は管理部にいたので、書類も作ってましたし」

 まじか。

「お前、まじかよ~!」

 とんでもない掘り出し物である。

「じゃあこの書類、お前に任せてもいい?」
「は?! なんでコイツにお前がたかるんだよ!」
「いーじゃん! テキザイテキショだろ!」

 キジトがぎゃんぎゃんと噛み付くが、どこ吹く風である。
 ヤタマルはイスミの手を取って大袈裟に喜び、イスミの返事を待つ前にその場を去った。

「今度見回りのときはよろしくな!」

 忘れずにそう言い残して。

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