【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜

あーる

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第2章

炎と氷

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「ハアアアッ!」
「セアアアッ!」

 俺と氷刃の剣が、火花と氷片を散らしながら激しく交差する。氷刃の剣技は、前回の戦いよりもさらに鋭さを増していた。魔力増幅炉から断続的に力を得ているのか、その動きには衰えが見られない。冷気を纏った剣が振るわれるたびに、俺の体の熱が奪われ、動きが鈍るのを感じる。

「レント、回復!」
「ぷるっ!」
 プルの回復魔法が俺の体を癒すが、氷刃の冷気はプルの魔法の効果すら減衰させているようだった。彼女は懸命に、氷刃の足元に水の魔法を放って動きを牽制しようとするが、それも瞬時に凍りついてしまう。

 さらに厄介なのは、魔力増幅炉そのものだった。俺たちの戦闘の衝撃か、あるいは氷刃による無理なエネルギー吸収の影響か、炉は不規則な唸りを上げ、その脈動を早めていた。
 ゴゴゴ…! ドクンッ!
 突然、炉から赤黒いエネルギーパルスが迸り、周囲に拡散する!

「うわっ!?」
「チィッ!」

 俺も氷刃も、咄嗟にそのエネルギーパルスを回避、あるいは防御する。さらに、足元のマグマ溜まりが呼応するように激しく噴き上がり、灼熱の飛沫が降り注ぐ!

(くそっ、敵は氷刃だけじゃない…この場所自体が牙を剥いている!)

 だが、この危険な状況は、俺にとって必ずしも不利なだけではなかった。
「おっと!」
 氷刃が、噴き出したマグマを避けようとした瞬間、俺は【収納∞】スキルを発動! 彼の着地点の空間に、一瞬だけ、以前回収しておいた巨大な岩を実体化させた!

「なっ!?」
 着地点に突然現れた岩に、氷刃は体勢を崩す!
「今だ、プル!」
「ぷるしゅー!」

 プルがその隙を見逃さず、水の刃を連射! 氷刃は咄嗟に氷の盾で防ぐが、数発が彼の鎧の隙間を捉え、浅い傷を負わせた!

「小賢しい真似を……!」
 氷刃は忌々しげに舌打ちする。俺のスキルが単なる収納ではないこと、そしてこの不安定な環境を利用してくることに、彼は苛立ちを募らせていた。

 俺はさらに仕掛ける。氷刃が放った氷結魔法の弾丸を、【収納∞】で受け止め、時間停止空間に一瞬だけ保存! そして、彼が次の攻撃に移ろうとした瞬間に、その氷弾を彼の背後から撃ち出した!

「なにぃ!?」
 自らの攻撃による不意打ちに、氷刃はさすがに反応しきれず、背中に直撃を受けてよろめいた!

「やるな、レント! だが、その程度の小細工で、この俺が止められると思うなよ!」
 氷刃の瞳に、焦りと共に、危険な光が宿る。炉の制御もままならず、俺の予想外の抵抗にあい、彼は短期決戦を決意したようだった。
「もはや、加減はせん! この炉の力、そして我が理想の絶対零度の世界、その片鱗を見せてくれる!」

 氷刃は魔力増幅炉に再び手をかざし、これまで以上に強引に、膨大なエネルギーを自身の体へと注ぎ込み始めた! 炉が悲鳴のような甲高い唸りを上げ、彼の体がバキバキと音を立てて、さらに異形な「氷の化身」へと変貌していく! 周囲の温度が急激に低下し、マグマの湖ですら表面が凍りつき始めた!

「まずい! あれは危険すぎる!」
 俺は本能的な危機感を覚えた。あの状態の氷刃とは、まともに打ち合ってはならない!

(リンド…!)
 俺は外部で待機しているリンドに、テレパシーで合図を送ろうとした。彼が突入してくれれば、この状況を打開できるかもしれない!

「終わりだ、レントォォォ!」
 完全に氷の怪物と化した氷刃が、絶対零度の冷気を纏った巨大な氷の槍を生成し、俺目掛けて突き出してきた! その一撃は、空間ごと凍てつかせるかのような、必殺の威力を秘めている!

「我が理想の氷世界と共に、塵と消えろ!」

 絶望的な冷気と殺意が、俺を包み込む! 俺は『星穿』を構え、最後の抵抗を試みる!
「リンド! 今だぁぁぁーーっ!!」

 俺の叫びが、廃坑の最深部に木霊した。
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