ハンティング・プレイヤー

日々菜 夕

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【ファースト・デート10】

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 克斗の地元にある私立の学園――
 その屋上には影のない者が二人居た。
 深夜ということもあり周りには他に人はいないのにも関わらずステルス機能を使っているからだ。
 ここが、彼らサイレントと呼ばれる者達の情報共有の場所である。
 一人は、黒いライダースーツを身にまとい、もう一人はブルーのライダースーツをまとっていた。
 本来は5名だったのだが昨晩の戦闘においてリーダーが戦線を離脱。今は名誉の負傷と称されて病院のベットの上。
 後の二人は、恐怖から自らリタイアを申し出た。
 そして、残ったのがブラックとブルーだけだったはずである。

「どうやら、新しいプレイヤーが参入したらしい」

 ブラックが今日の報告を始めた。男なのか女なのかわからない中性的な声は作った声色だ。
 すこしでも身元が割れないようにとの配慮からである。

「マジっすか⁉」

 その一方でブルーはそのまま、素で返事を返す。
 彼にはブラックのような技能もなければ、今みたいにコソコソすること自体に不満を持っていた。

「あぁ。得られるはずだったポイントが少なからず足りない。正規プレイヤーが今朝の戦闘に参加していたと考えるべきだ」
「やっぱり、あの書き込みって――」
「おそらくは、キミの推察通りだろうな。だが不可思議な点がいくつかある」
「ですよね! 俺らだって沸いてからじゃなきゃ分からないはずなのに」
「それに、あの場でシールドスーツを着ている者はいなかったのだよ」
「はぁ⁉ レベル1の敵に対して素手で戦ったって言うんですか⁉」
「正直なところ、私も自殺行為だとしか思えない」
「まさか……」
「あぁ、おそらくはカネルが何か企んでの事だろうな」
「ちっ……」

 ブルーはカネルの事をほとんど信用していなかった。
 命を救ってくれた事には感謝しているが、本音を隠してるようなヤツを信頼なんてできない。
 これはサイレントの創意でありブラックも同じだった。
 レベル3のボスを倒せばこのゲームは終了となりカネルに出来る事ならどんな願いでも叶えてくれるって話になっていた。
 そして、その願いはすでに決まっているし。いずれにせよレベル3のボスを倒すまでゲームは終わらない仕様になっている。
 もっとも、この話すらカネルの嘘という可能性もあるが、サイレント達に選択肢はなかった。
 続けるしかかなったのだ。
 互いの願いを叶えるためにも――

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