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4日目
第21話 四日目:スウィーツ@北菓楼
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さて、ラーメンで塩気の腹が満たされたので、次は甘いものを食べる番だ。
小雨が降る中、私と親友は札幌を散策した。
札歩道に植樹されている木のまわりにラベンダーが植わっているところがあったので、私たちは歩きながら、ラベンダーを手で摘まんで匂いを移し、クンクン嗅ぎながら歩いた。いい匂いだ。
私と親友が向かった先は、「北菓楼」。北海道の和菓子、洋菓子、生菓子を取り揃えているお菓子屋さんだ。
「北菓楼」のお菓子を食べたいのもあったが、なにより建物が美しいので選んだ。
「北菓楼」札幌本館の建物は、大正十五年に建てられた。もともと図書館として、美術館として建てられたのだが、二千十六年に「北菓楼札幌本館」として生まれ変わったそうだ。
中に入ると、歴史を感じながらもスタイリッシュなデザインの内装になっている。一階部分は販売スペースになっていて、おかきやチョコレート、シュークリームなどが豊富に揃っていた。
私と親友は二階のカフェに行った。そこに繋がる階段が、ルーブル美術館のようにおしゃれだ。あの階段を見るためだけに来店しても損ではないだろう。
早速私たちはスウィーツと飲み物を頼んだ。
私はチョコレートケーキとシフォンケーキ(ソフトクリーム添え)、そして紅茶。
さてさてここのソフトクリームは果たしてどんな味なのかな? と私は挑発的な目でソフトクリームをすくい、口に入れる。
ふむ、庶民的な甘さで悪くない。子どもにも大人にも愛される味だ。
シフォンケーキはふわっふわで一瞬でなくなった。あんなにふわふわだったらほぼ空気だ。カロリーゼロだ。うまい空気だなオイ。
チョコレートケーキは、まあ普通だ。よくある味だった。
しかし「北菓楼」は値段が安い。コンビニスウィーツより安いんだから困ったもんだ。北海道の物価は一体どうなっているんだ。キレちらかしそうだ。
うまい空気を胃いっぱいに吸い込んで満足した私は、店内を見渡した。
天井が高い店内の壁のいくつかには、壁いっぱいの本棚が埋め込まれている。美女と野獣の、野獣がベルにプレゼントした図書館のようなイメージだ。あそこまでビッシリではないが。
紙媒体の本が好きな私は、黄ばんだ紙束に囲まれて幸せだった。
近くで子どもが大きなパフェを食べていた。
それを見ていたらお腹が空いてきた。
私と親友は一度ホテルに戻り、昨日購入した白ワインとイカスミチーズをつまみながら休憩した。
こうしてぼうっと時間を過ごすのも悪くない。ほんの少し疲れていたのか、このなんでもない時間を親友と過ごせたのが幸せだった。
ちなみに、北海道から帰ってきた私は、お土産として購入した「北菓楼」のおかき「北海道開拓おかき」を我慢できずに自分で食べてしまった。驚くほどうまかった。
「北海道開拓おかき」とは、七日間にもわたる工程を経て作られる手の込んだおかきであり、熟成や乾燥の仕方で味や風味が変化することを最大限に活かした最強のおかきだ。素材も良質な北海道のものにこだわっている。
私は五種類のおかきが一袋ずつ入った詰め合わせを購入し、五人にお土産として渡すつもりだった。
味は標津秋鮭、函館いか、枝幸帆立、えりも昆布、増毛甘エビ。
どうだ。どれも小難しいネーミングで漏れなくうまそうだろう。私は未だに読み方が分からない。
どの味もサクッと明快な噛み応え、しかし硬すぎないほろろ感。海鮮の味がほどよくまぶされたそれは、一度食べ出したら止まらない。サイズ感も手に取りやすいので、気軽にぽんぽん口に放り込んでしまう。
私はおかきはそこまで好んで食べないのだが、こればっかりは止められなかった。
一瞬でなくなった。もっと買っておけばよかったと後悔した。
そして友人たちへのお土産はなくなった。ごめん。
小雨が降る中、私と親友は札幌を散策した。
札歩道に植樹されている木のまわりにラベンダーが植わっているところがあったので、私たちは歩きながら、ラベンダーを手で摘まんで匂いを移し、クンクン嗅ぎながら歩いた。いい匂いだ。
私と親友が向かった先は、「北菓楼」。北海道の和菓子、洋菓子、生菓子を取り揃えているお菓子屋さんだ。
「北菓楼」のお菓子を食べたいのもあったが、なにより建物が美しいので選んだ。
「北菓楼」札幌本館の建物は、大正十五年に建てられた。もともと図書館として、美術館として建てられたのだが、二千十六年に「北菓楼札幌本館」として生まれ変わったそうだ。
中に入ると、歴史を感じながらもスタイリッシュなデザインの内装になっている。一階部分は販売スペースになっていて、おかきやチョコレート、シュークリームなどが豊富に揃っていた。
私と親友は二階のカフェに行った。そこに繋がる階段が、ルーブル美術館のようにおしゃれだ。あの階段を見るためだけに来店しても損ではないだろう。
早速私たちはスウィーツと飲み物を頼んだ。
私はチョコレートケーキとシフォンケーキ(ソフトクリーム添え)、そして紅茶。
さてさてここのソフトクリームは果たしてどんな味なのかな? と私は挑発的な目でソフトクリームをすくい、口に入れる。
ふむ、庶民的な甘さで悪くない。子どもにも大人にも愛される味だ。
シフォンケーキはふわっふわで一瞬でなくなった。あんなにふわふわだったらほぼ空気だ。カロリーゼロだ。うまい空気だなオイ。
チョコレートケーキは、まあ普通だ。よくある味だった。
しかし「北菓楼」は値段が安い。コンビニスウィーツより安いんだから困ったもんだ。北海道の物価は一体どうなっているんだ。キレちらかしそうだ。
うまい空気を胃いっぱいに吸い込んで満足した私は、店内を見渡した。
天井が高い店内の壁のいくつかには、壁いっぱいの本棚が埋め込まれている。美女と野獣の、野獣がベルにプレゼントした図書館のようなイメージだ。あそこまでビッシリではないが。
紙媒体の本が好きな私は、黄ばんだ紙束に囲まれて幸せだった。
近くで子どもが大きなパフェを食べていた。
それを見ていたらお腹が空いてきた。
私と親友は一度ホテルに戻り、昨日購入した白ワインとイカスミチーズをつまみながら休憩した。
こうしてぼうっと時間を過ごすのも悪くない。ほんの少し疲れていたのか、このなんでもない時間を親友と過ごせたのが幸せだった。
ちなみに、北海道から帰ってきた私は、お土産として購入した「北菓楼」のおかき「北海道開拓おかき」を我慢できずに自分で食べてしまった。驚くほどうまかった。
「北海道開拓おかき」とは、七日間にもわたる工程を経て作られる手の込んだおかきであり、熟成や乾燥の仕方で味や風味が変化することを最大限に活かした最強のおかきだ。素材も良質な北海道のものにこだわっている。
私は五種類のおかきが一袋ずつ入った詰め合わせを購入し、五人にお土産として渡すつもりだった。
味は標津秋鮭、函館いか、枝幸帆立、えりも昆布、増毛甘エビ。
どうだ。どれも小難しいネーミングで漏れなくうまそうだろう。私は未だに読み方が分からない。
どの味もサクッと明快な噛み応え、しかし硬すぎないほろろ感。海鮮の味がほどよくまぶされたそれは、一度食べ出したら止まらない。サイズ感も手に取りやすいので、気軽にぽんぽん口に放り込んでしまう。
私はおかきはそこまで好んで食べないのだが、こればっかりは止められなかった。
一瞬でなくなった。もっと買っておけばよかったと後悔した。
そして友人たちへのお土産はなくなった。ごめん。
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