忘れられた姫と猫皇子

kotori

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探し物 2

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「どうだった?」
 ランディがそう聞くと、グリッグは笑った。笑ってるけど怒ってるみたいで、ちょっと怖い……。

「あの二人を動かしているのは、やはりラムズ公爵夫人とその娘だな」
 それを聞いてランディは鼻を鳴らした。

「どうしてフェリシアのドレスを脱がせようとしたんだ」
「フェリがこの頃新しいドレスを着ているから気になったんだろうな。奪ってこいとでも言われたんだろう」
「なに?」
 ランディの背中が逆立つ。
 そしてグリッグはまた笑った。今度はちょっと意地悪そうだ。

「アイツらには見ることも触ることもできねえからな」
 ランディの尻尾が膨れた。
「だからフェリの着てたドレスを持っていこうとしたのか」
「だろうな」
 ランディはチッと舌を鳴らした。
 しかしグリッグはそんなランディを見て
 「皇子、あれはよかったぜ」と言った。
 そして嬉しそうな顔をすると
「俺もアイツらによく効く風を送ってやったからな、今頃動けなくなってるだろうよ」
 と言った。
 ランディはそれを聞くと尻尾を振り回した。
 
 なんだか二人、いつもより仲が良さそう……。
 でも、よく効く風って……。
 フェリはちょっとドキドキした。グリッグはそんなことも出来るんだと思ったのだ。
 
 するとグリッグは、フェリの髪に手を伸ばした。頭を撫でて乱れた髪を直してくれる。
「大丈夫か?」
「うん、大丈夫だよ」
 
 それをランディがすぐ隣でじっと見上げていた。
 グリッグは、そのランディの方をちらっと見ると、フェリの手を取って優しく口づけした。
「可哀想に……」

 グリッグがこんなことをするのは初めてなので、フェリはちょっと戸惑った。
「グリッグ……?」

 するとランディが急にジャンプして、またフェリの肩の上に飛び乗った。
「それで、私が人に戻れるという話はどうなった?」
 さっきまで、その話はそれほど興味がなさそうだったのだけれど……、やはりそうだよね。早く人に戻りたいんだ。
 フェリは心の中で頷いた。
 ランディ、私が必ず見つけ出すからね。

「ああ……、それな」
 グリッグはちょっと考え込んだ。
 でもあんまり興味無さそうに見える。

「きっと……前にエイディーン様が残していった宝石だろうな。それもエイディーン様の魔力がこもった……」
 魔力! 
 フェリはまたドキドキした。グリッグはさっきの引き出しを眺めると、
「でもこれじゃないなあ」
 と言った。
「もう持っていかれてしまってるのか?」
 ランディがそう言うと、顔を上げた。
「ああ、そうかも」
「公爵夫人──」
「か、その娘かな」

 それを聞くと、初めてフェリの心の中に怒りのようなものが湧いてきた。
 ランディを元の人に戻せるかもしれない、そんな大事なもの。
 それを勝手に持っていったの?
 私の物なのに。
 私のお母さんの物なのに!

「私が探してくる」
「は?」
「行ってくる。私のだったら覚えているかもしれないし」
「いや、それは無理でしょ」
 珍しくグリッグとランディが声を揃えて言った。

「大丈夫だよ、場所は教えてもらうけど、私、わりに忍び込むのは上手……」
 そこまで言ってフェリはハッとしてランデイを見た。そう、忍び込んでいたのはランディ……ランドル皇子の宮だった。
 と、ランディの目がキラッとして笑ったように見えた。
「そうだな、忍び込むのがうまいし、絶対捕まらなかったよな」
 フェリは飛び上がった。
「え! あ、あの……ランディ……」
 まさか……。
「……知ってたの……?」
「もちろん」
 ランディはそう答えた。また笑っているように見える。猫って笑うっけ? とにかく、
「だ、だから、ね? 私……うまいから……」
 するとグリッグが口を挟んだ。

「フェリ」
「な、なに」
「それはな、フェリが上手いんじゃなくて、キラキラのおかげだ」
「え? キラ、キラ?」
「そう。まあアビと言うか、キラキラっていうか」
「え?」

 するとアビが嬉しそうにくるくる回った。
「そう! そう! フェリを隠してあげたの!
 それから皇子の宮へ行くときも妖精の通り道を使ったの!」
「ええ?」
「私、もう弱い光にしかなれなかったけど、でもそのくらいは出来たのよ」
 アビは得意そうにくるくる回った。

「フェリ、お前皇子宮へ行くのにいつもどのくらいかかってたんだよ」
「え……と、往復で一時間くらい……?」
 グリッグはクスッと笑った。
「あのなあ」
 そこから呆れたような、面白がっているような顔をする。
「普通に歩いて行ったら、フェリの脚では行くだけで半日はかかるな」
「え? ええ? 半日? そうなの?」
 フェリが驚くと、アビは「そう! そう!」とくるくる回った。
 それからランディの前で止まると、
「皇子」と言った。
 
「フェリはずっと皇子に会いたくて。皇子に一目会いたくて通ってたの。あんまり一生懸命だったから、助けてあげた……」
 
「わぁぁぁぁ! アビ!」
 
 フェリは悲鳴をあげてアビの話を遮った。 
「とにかく、そこに行ってみようよ、持っていかれたんなら、私、探してみたい」
 
「……」
 グリッグは答えない。
 
「アビも一緒ならいいでしょ? ね?」
「うーん」
 グリッグが顔をしかめた。
「そうだなあ……。俺が行ってフェリは留守番と思ってたんだけど……んー……」
 
「私も行こう」
 ランディが言った。
「え、皇子も?」
「要らねえよ」
「行く」
「わー」
 ということで、グリッグとランディ、フェリとアビでラティーシャのいる公爵邸に行くこととなった。
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