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うお~!あんたリーダーの鑑だよ!

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「あの、リーダー!質問なんですけど、邪神様から頂ける財宝というのは誰を捧げても同じものなんでしょうか?」

「む……?」

こいつは何を言ってるんだと言わんばかりのハゲの表情、そしてハゲは首を掻きながら口を開く。



「アタケよ、お前は何が言いたい?」

「いやだって、貧相な俺よりも脂がのったデブの方がどう考えたって食べ応えがあるじゃないすか?そっちのデブを捧げた方が邪神様の報酬だって増えるんじゃないかって思ったんすよ」

「…………」



俺がそう言うと小太りに視線が集中した。

ハゲもみんなも、それもそうだな、と言わんばかりだ。
うろたえた小太りが間抜けな声を上げる。



「なっ!なんで、お、俺を見るんだよ!おかしいでしょ!?生贄にするためにその荷物持ちを雇ったんでしょうが!」

小太りの言葉でそういやそうだったな、とばかりに俺に視線が集中する。



「いやでもリーダー、財宝ってどういうものなんですか?これだけの荷物の上に手分けして持ち帰れるようなものなんでしょうか?」

「……財宝は財宝だ。荷物も不要な物ならここに捨て、財宝は分担して持ちかえれば問題なかろう」

「そうだそうだ!役立たずはとっとと生贄になってしまえ!」
「荷物持ちの小僧!あんたさえ死ねばすべて上手くいくんだよ!」

「やかましい!話しているのは俺だ!」



モブたちが話に割り込もうとするとハゲがぎろりとにらみつける。
おお、なんかこれ楽しいな。こいつらすげえバカだぜ~。

俺はわざとらしく肩を落とし、ため息をついてみせた。



「それで十分かもしれないっすね。俺みたいな役立たずの命を捧げたんじゃ手に出来るのはお宝どころかガラクタでしょうし」

「お前に何がわかると言うのだ?」



ハゲはイラついたように斧槍でダンジョンの床を突くと俺をにらみつける。
けどな、そんなもんに怯むアタケ様じゃないぜ~!何しろ今の俺はハゲにもらった強そうな鎧を装備しているからな~!



「リーダー、俺に教えてください。邪神様から財宝を受け取れる機会は何度あるんです?本当に財宝の内容はご存知ないんですか?」

「……」

ハゲは人差し指で自分の頭を叩きながら考えるしぐさをする。

「……財宝は財宝だ。古文書には、何度までとかは……しかし……」

どうやらハゲ本人も何かがおかしいと感じ始めているようだ。
おっし、ここでもう一押しだ!

「ほらあ!生涯にたった一度きりでもおかしくないはずですよ!てことはですよ?俺みたいなチンケな魂を捧げて、せっかくのチャンスを台無しにしていいのかってことですよ!」



俺の言葉にたじろいだハゲはつるつるした頭を手の腹で擦ると息を吐いた。

「……確かに、たった一度だけならば……お前の言うことにも一理あるかもしれん……」

「「……」」



そしてハゲがにらむような鋭い目つきで周囲を見渡すと、モブたちは恐れ戦き後ずさる。

「だがアタケよ!だからと言ってお前を生贄をしないと決まったわけではないぞ!!」

そう言うとハゲは斧槍を持ち上げ、迷いを振り切るように石突きで床をごちんと叩く。



「お前にはわからんだろうが、我らは苦楽を共にした仲間なのだ!」

まさにリーダーの鑑だぜ。
周囲のモブたちからは安堵の吐息が漏れた。
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