36 / 49
その名は酔いどれのアタ!
しおりを挟む
「ありちゃん、あたけ、この後なにも予定がなければ焼肉にでも行かないか?」
「えっ!?いいのか!!?」
「うっす!先輩!あたし肉が大好きっす!!特上カルビ食っちゃいたいっす!」
「よかった。じゃ、俺の奢りで皆で食べようじゃないか」
「ええ~っ!!でもなんだよ急に、ずいぶん気前がいいじゃんかよ!」
「まあ、俺はリーダーだしな、これは皆の歓迎会みたいなもんだ」
「たかし!俺たち三人、出会ってから結構経っちゃってるよ!」
あたけは飛び跳ねて喜びたい気分だった。
すっかり上機嫌のありちゃんは飛び跳ねるどころか、喜びのあまり激しく側転しながら猛烈なスピードで床を転げ回っている。
「あ!ありちゃん!痛っ、いててっ、痛いよ、ありちゃん!」
「やったぁ~!たのしみっす!ににに肉肉~!」
「もう、やめ……ぐああぁあっ!」
あたけが涙を流しているのは、ありちゃんの側転で巻き上げられた埃が目に飛び込みんだからではない。
彼女が転がり回った衝撃で散らかされたダンボールがこめかみにヒットしたからでもない。
そう、嬉しかったからだ。
あたけには野望があった。
女の子にモテるという、まるでナメクジが銀河の果てを目指そうと志すような、壮大な野望が。
だが……。
たかしとありちゃんの仲は特別だ。
そんな二人の間にあたけは入り込めないのではないかと思い始めていたところだったのだ。
(この俺が、ありちゃんと一緒にご飯を食べに行くことが出来る!)
ありちゃん、俺は君の先輩だけどよかったら一緒にご飯でも行かない?
その一言がこれまで言い出せなかったあたけには千載一遇のチャンスなのだ!
「やったあ!!たのしみっす!!」
ありちゃんは転がり回っていた勢いそのままにたかしの肩に飛び乗ると、ジャージ越しにもわかるほど大きな胸でたかしの頭を挟み込んでいた。
そんな二人のじゃれ合いを見て表情を凍りかせるものの、すぐにぎくしゃくした不自然な笑顔を浮かべるあたけ。
「肉肉肉、肉肉肉肉、肉肉肉~♪(肉の唄 作詞作曲:とってもかわいいありちゃん)」
ありちゃんのご機嫌な歌声も今のあたけの耳には入らない。
彼の耳に届くのは自分の心臓の音だけだ。
(落ち着け……たかしはありちゃんのことをかわいい後輩としか思ってないはずだ、だからきっと大丈夫なはずだ……)
たかしはアホみたいに強い上に高身長のイケメンだ。
ありちゃんがたかしのことを好きになってしまうのは当然だし、仕方がないと言えよう。
(……けど、だからってたかしがありちゃんのことを好きになるかは別問題だ)
「二人とも何か希望はあるか?この近くだと焼肉の店は『本格和牛の肉孝行』と『焼肉屋びばぐりる』と『ジャンジャン』の三つがあるけど」
「うっす!先輩!あたし飲み放題があるとこがいいっす!」
「それならびばぐりるにするか」
たかしの言葉にあたけはごくりと喉を鳴らす。
(そう……希望だ。希望はまだ残ってる。たかしがかっこいいからって、あいつがありちゃんのことを好きになるかどうかは別問題のはずだからな)
ビルから出ると油のようなどろりとした空に砂糖を塗したような安っぽい夜景が広がっていた。
たかしの肩の上で体を揺らしながらご満悦な様子のありちゃんをじっと見るあたけ。
(はあ、ありちゃんってやっぱり滅茶苦茶かわいいよな……)
まず身長が185センチくらいあるのがもう確定でかわいいし……顔もヤバいくらいに美人だし……性格だって明るいし……。
おっぱいもお尻もめちゃくちゃ大きくて……。
脚とか太股とかっていうかほとんどお尻だし、鍛え抜かれた筋肉をまろやかな脂肪で包み込んだ太股の間にはきっと夢と希望が……。
はあ~、ありちゃんありちゃんありちゃん……。
「あ!先輩、あたしサワー系飲みたいっす!」
「ありちゃんのサワー……濃いめのサワー……」
「何をぶつぶつ言ってるんだあたけ。お前って酒は大丈夫だったか?」
「え!?あ、ああ!もちろんだ!大好物だよ!酔いどれのアタって呼んでくれよ!」
「へ?あ、ああ……」
こいつはさっきから何をニヤニヤしてんだ?
たかしは困惑するように首を捻るものの、どうせろくでもないことだろうとすぐに視線を前に戻して歩き出す。
一方あたけは、たかしとのやりとりなんてもはや上の空だ。
こんなことを考えているのがバレたら女の子に嫌われちゃうよ!と自分に言い聞かせてみるものの……たかしの歩みに合わせてありちゃんの大きな尻がもこもこと揺れているのを見ていると、すぐに色んなことがどうでもよくなってくる。
「へへ……へっへっ……」
もはやあたけの脳内は吸血鬼とは思えないような下品な妄想と願望に埋め尽くしていた。
「……悪いなみんな、俺も本当はもっと早くこういう食事に参加したかったんだが、支部を立ち上げたばかりで……いや、こんな話は着いてからにしようか」
「うっす!早くカルビとハラミが食べたいっす!タン塩をやっつけるのはあたしに任せて欲しいっす!」
「よし、じゃあ予約を取るから少し待っていてくれ」
そう言ってありちゃんを肩車したままスマホを操作するたかしをぼーっとした目で眺めるあたけ。
ありちゃんの100キロを優に超える巨体を首だけで軽々と支え、平然と歩くその姿はもはや美男美女のトーテムポールだ。
今さら驚くことでもないかも知れないが、どういう体幹をしていればそんなことが出来るのか?
たかしのように強くなれば、あんな風にありちゃんのことを支えてあげられるのだろうか?
(俺も……)
俺だって……そう、たかしみたいに。
「うっす!そうだ、せんぱい」
ありちゃんがたかしの肩の上で何かを思い出したように口を開く。
「どうした?」
「今日はみんなの話、いっぱい聞きたいっす!先輩たちがどんな生活送ってきたか、あたし知りたいっす!」
「……ああ、俺も皆の話が聞きたい」
目を細めて嬉しそうに改めてたかしは言う。
「俺たちはチームだからな」
そうこうしているうちに三人は目的の建物の前に辿り着く。
あたけの心中では不安と期待、そして嫉妬が燃え上がりつつ合った。
そう、それはまるで肉を炙る炭火のように……。
「えっ!?いいのか!!?」
「うっす!先輩!あたし肉が大好きっす!!特上カルビ食っちゃいたいっす!」
「よかった。じゃ、俺の奢りで皆で食べようじゃないか」
「ええ~っ!!でもなんだよ急に、ずいぶん気前がいいじゃんかよ!」
「まあ、俺はリーダーだしな、これは皆の歓迎会みたいなもんだ」
「たかし!俺たち三人、出会ってから結構経っちゃってるよ!」
あたけは飛び跳ねて喜びたい気分だった。
すっかり上機嫌のありちゃんは飛び跳ねるどころか、喜びのあまり激しく側転しながら猛烈なスピードで床を転げ回っている。
「あ!ありちゃん!痛っ、いててっ、痛いよ、ありちゃん!」
「やったぁ~!たのしみっす!ににに肉肉~!」
「もう、やめ……ぐああぁあっ!」
あたけが涙を流しているのは、ありちゃんの側転で巻き上げられた埃が目に飛び込みんだからではない。
彼女が転がり回った衝撃で散らかされたダンボールがこめかみにヒットしたからでもない。
そう、嬉しかったからだ。
あたけには野望があった。
女の子にモテるという、まるでナメクジが銀河の果てを目指そうと志すような、壮大な野望が。
だが……。
たかしとありちゃんの仲は特別だ。
そんな二人の間にあたけは入り込めないのではないかと思い始めていたところだったのだ。
(この俺が、ありちゃんと一緒にご飯を食べに行くことが出来る!)
ありちゃん、俺は君の先輩だけどよかったら一緒にご飯でも行かない?
その一言がこれまで言い出せなかったあたけには千載一遇のチャンスなのだ!
「やったあ!!たのしみっす!!」
ありちゃんは転がり回っていた勢いそのままにたかしの肩に飛び乗ると、ジャージ越しにもわかるほど大きな胸でたかしの頭を挟み込んでいた。
そんな二人のじゃれ合いを見て表情を凍りかせるものの、すぐにぎくしゃくした不自然な笑顔を浮かべるあたけ。
「肉肉肉、肉肉肉肉、肉肉肉~♪(肉の唄 作詞作曲:とってもかわいいありちゃん)」
ありちゃんのご機嫌な歌声も今のあたけの耳には入らない。
彼の耳に届くのは自分の心臓の音だけだ。
(落ち着け……たかしはありちゃんのことをかわいい後輩としか思ってないはずだ、だからきっと大丈夫なはずだ……)
たかしはアホみたいに強い上に高身長のイケメンだ。
ありちゃんがたかしのことを好きになってしまうのは当然だし、仕方がないと言えよう。
(……けど、だからってたかしがありちゃんのことを好きになるかは別問題だ)
「二人とも何か希望はあるか?この近くだと焼肉の店は『本格和牛の肉孝行』と『焼肉屋びばぐりる』と『ジャンジャン』の三つがあるけど」
「うっす!先輩!あたし飲み放題があるとこがいいっす!」
「それならびばぐりるにするか」
たかしの言葉にあたけはごくりと喉を鳴らす。
(そう……希望だ。希望はまだ残ってる。たかしがかっこいいからって、あいつがありちゃんのことを好きになるかどうかは別問題のはずだからな)
ビルから出ると油のようなどろりとした空に砂糖を塗したような安っぽい夜景が広がっていた。
たかしの肩の上で体を揺らしながらご満悦な様子のありちゃんをじっと見るあたけ。
(はあ、ありちゃんってやっぱり滅茶苦茶かわいいよな……)
まず身長が185センチくらいあるのがもう確定でかわいいし……顔もヤバいくらいに美人だし……性格だって明るいし……。
おっぱいもお尻もめちゃくちゃ大きくて……。
脚とか太股とかっていうかほとんどお尻だし、鍛え抜かれた筋肉をまろやかな脂肪で包み込んだ太股の間にはきっと夢と希望が……。
はあ~、ありちゃんありちゃんありちゃん……。
「あ!先輩、あたしサワー系飲みたいっす!」
「ありちゃんのサワー……濃いめのサワー……」
「何をぶつぶつ言ってるんだあたけ。お前って酒は大丈夫だったか?」
「え!?あ、ああ!もちろんだ!大好物だよ!酔いどれのアタって呼んでくれよ!」
「へ?あ、ああ……」
こいつはさっきから何をニヤニヤしてんだ?
たかしは困惑するように首を捻るものの、どうせろくでもないことだろうとすぐに視線を前に戻して歩き出す。
一方あたけは、たかしとのやりとりなんてもはや上の空だ。
こんなことを考えているのがバレたら女の子に嫌われちゃうよ!と自分に言い聞かせてみるものの……たかしの歩みに合わせてありちゃんの大きな尻がもこもこと揺れているのを見ていると、すぐに色んなことがどうでもよくなってくる。
「へへ……へっへっ……」
もはやあたけの脳内は吸血鬼とは思えないような下品な妄想と願望に埋め尽くしていた。
「……悪いなみんな、俺も本当はもっと早くこういう食事に参加したかったんだが、支部を立ち上げたばかりで……いや、こんな話は着いてからにしようか」
「うっす!早くカルビとハラミが食べたいっす!タン塩をやっつけるのはあたしに任せて欲しいっす!」
「よし、じゃあ予約を取るから少し待っていてくれ」
そう言ってありちゃんを肩車したままスマホを操作するたかしをぼーっとした目で眺めるあたけ。
ありちゃんの100キロを優に超える巨体を首だけで軽々と支え、平然と歩くその姿はもはや美男美女のトーテムポールだ。
今さら驚くことでもないかも知れないが、どういう体幹をしていればそんなことが出来るのか?
たかしのように強くなれば、あんな風にありちゃんのことを支えてあげられるのだろうか?
(俺も……)
俺だって……そう、たかしみたいに。
「うっす!そうだ、せんぱい」
ありちゃんがたかしの肩の上で何かを思い出したように口を開く。
「どうした?」
「今日はみんなの話、いっぱい聞きたいっす!先輩たちがどんな生活送ってきたか、あたし知りたいっす!」
「……ああ、俺も皆の話が聞きたい」
目を細めて嬉しそうに改めてたかしは言う。
「俺たちはチームだからな」
そうこうしているうちに三人は目的の建物の前に辿り着く。
あたけの心中では不安と期待、そして嫉妬が燃え上がりつつ合った。
そう、それはまるで肉を炙る炭火のように……。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ママはヤンママ女子高生! ラン&ジュリー!!
オズ研究所《横須賀ストーリー紅白へ》
キャラ文芸
神崎ラン(♂)の父親の再婚相手は幼馴染みで女子高生の高原ジュリー(♀)だった。
ジュリーは金髪美少女だが、地元では『ワイルドビーナス』の異名を取る有名なヤンキーだった。
学校ではジュリーは、ランを使いっ走りにしていた。
当然のようにアゴで使われたが、ジュリーは十八歳になったら結婚する事を告白した。
同級生のジュリーが結婚するなんて信じられない。
ランは密かにジュリーの事を憧れていたので、失恋した気分だ。
そう言えば、昨夜、ランの父親も再婚すると言っていた。
まさかとは思ったが、ランはジュリーに結婚相手を聞くと、ランの父親だと判明した。
その夜、改めて父親とジュリーのふたりは結婚すると報告された。
こうしてジュリーとの同居が決まった。
しかもジュリーの母親、エリカも現われ、ランの家は騒然となった。
至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件
こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる