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第三章 Sweetness and light
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どうしても感じる、彼と自分との間の気持ちのズレ。
後ろ暗さを感じていないわけではない。
そんな事よりも自分に芽生えてしまった感情に、こんなに翻弄されそして不安になる。
彼が自分に寄り添ってくれているのは、ちゃんと分かってる。けど……けど……
もっと俺の事を咬むようにしてでもそばにいて欲しい。
アザが出来たって、血が出たっていいんだ。
トモダチ以上の、もっとしっかりした証が欲しい。
そうしたらもっと強くなれるのに……。
◇ ◇ ◇
何でもない事がある日突然、そうじゃなくなってしまったように感じる事がある。
気のせいとか、その日の気分、体調、そういうものが影響したりする事は確かにある。
けれどそんな事ではない、自分の知らない間に風で動いてしまったような違和感を感じる。
ある小さな事がなぜか気になる。相手からの妙な不自然さ。
見過ごしそうなトゲはやがて自分の周囲から空気が刺さるように感じ、周りが急に自分の事を安っぽい値を付け出したように感じ始めた。
その時の体調も良くなかったのだろうか。
少し前にあった一泊の宿泊研修の時、明日は帰宅という自由行動のタワーのエレベーターの中で貧血を起こした虹生は、扉が開いた真っ先に先に到着していた俺に倒れ込んで来た事があった。
それを面白がり写真に撮る者がいて、その時の画像がある事ない事の遊びに使われているようだった。
先日のおかしな話に、さらに拍車を掛けてしまったらしい。
彼はどちらかと言えば、後方から周りの様子を伺うようなタイプ。
自分を前に出して行こうとするタイプではない。
けれど本人にそのつもりがなくても、どこにいても人目を惹いてしまう彼の容姿は虹生自身意図していない事にも、存在を薄れさせるものではなかった。
それが余計に都合良く、陰で心ない者からの遊びにされてしまっているようだった。
彼が気にしている〝オンナのよう〟だの、もっと品の良くない言葉も聞こえて来ていた。
そこに俺の名も聞こえていたが、なぜか虹生ほど言われは酷くなかった。
お前は何も悪い事はしていない。
この濁った空気は、その内何でもなかったように、風が吹いて飛ばされたように消える。
きっと だから 俺がずっとそばにいるから。お前を守ってあげるから……。
「放っておけばいいんだよ」
「……」
普段、中身のないただの噂話に彼はこんなに気を落としたりはしない。
口に出す事もしない。黙ってその場を凌ぐ姿勢は昔から。
「……ごめん……巻き込んだな……ヘンな事に……」
「なにが?」
「……」
「俺は別に何も気にしてないよ」
「ねえ旺汰オレ……」
「ん?」
「……いや……何でもない……」
おかしな話だが、こんな事が迷う自分を少しだけ強くしてくれたように思う。
虹生には申し訳ないと思いつつ、だから余計に彼の支えにならなければ。
そう思った。
「あんまり考え過ぎるなって」
後ろ暗さを感じていないわけではない。
そんな事よりも自分に芽生えてしまった感情に、こんなに翻弄されそして不安になる。
彼が自分に寄り添ってくれているのは、ちゃんと分かってる。けど……けど……
もっと俺の事を咬むようにしてでもそばにいて欲しい。
アザが出来たって、血が出たっていいんだ。
トモダチ以上の、もっとしっかりした証が欲しい。
そうしたらもっと強くなれるのに……。
◇ ◇ ◇
何でもない事がある日突然、そうじゃなくなってしまったように感じる事がある。
気のせいとか、その日の気分、体調、そういうものが影響したりする事は確かにある。
けれどそんな事ではない、自分の知らない間に風で動いてしまったような違和感を感じる。
ある小さな事がなぜか気になる。相手からの妙な不自然さ。
見過ごしそうなトゲはやがて自分の周囲から空気が刺さるように感じ、周りが急に自分の事を安っぽい値を付け出したように感じ始めた。
その時の体調も良くなかったのだろうか。
少し前にあった一泊の宿泊研修の時、明日は帰宅という自由行動のタワーのエレベーターの中で貧血を起こした虹生は、扉が開いた真っ先に先に到着していた俺に倒れ込んで来た事があった。
それを面白がり写真に撮る者がいて、その時の画像がある事ない事の遊びに使われているようだった。
先日のおかしな話に、さらに拍車を掛けてしまったらしい。
彼はどちらかと言えば、後方から周りの様子を伺うようなタイプ。
自分を前に出して行こうとするタイプではない。
けれど本人にそのつもりがなくても、どこにいても人目を惹いてしまう彼の容姿は虹生自身意図していない事にも、存在を薄れさせるものではなかった。
それが余計に都合良く、陰で心ない者からの遊びにされてしまっているようだった。
彼が気にしている〝オンナのよう〟だの、もっと品の良くない言葉も聞こえて来ていた。
そこに俺の名も聞こえていたが、なぜか虹生ほど言われは酷くなかった。
お前は何も悪い事はしていない。
この濁った空気は、その内何でもなかったように、風が吹いて飛ばされたように消える。
きっと だから 俺がずっとそばにいるから。お前を守ってあげるから……。
「放っておけばいいんだよ」
「……」
普段、中身のないただの噂話に彼はこんなに気を落としたりはしない。
口に出す事もしない。黙ってその場を凌ぐ姿勢は昔から。
「……ごめん……巻き込んだな……ヘンな事に……」
「なにが?」
「……」
「俺は別に何も気にしてないよ」
「ねえ旺汰オレ……」
「ん?」
「……いや……何でもない……」
おかしな話だが、こんな事が迷う自分を少しだけ強くしてくれたように思う。
虹生には申し訳ないと思いつつ、だから余計に彼の支えにならなければ。
そう思った。
「あんまり考え過ぎるなって」
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