混(線)の処女

月琴そう🌱*

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第三章 Sweetness and light

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   クスクスクス……

 くすぐったいのは、最初のうちだけ。
素肌を重ねて笑い合うなんて、こんな特別幸せに感じる事なんて他に知らない。
これまでの年月を一緒に笑い合って、お互いの笑い声を聞いて一緒に太陽の光りを浴びてそうして得た今のこのカタチだと思う。
俺の不安は自分はひとりなのかもしれないという、お前の手を見失い迷子になったように感じていたから。
けれどやっぱりお前は、俺のそばにいてくれた。
 
 俺たちは何も生み出さない。
けれど彼に対する噴き出すようなこの感情は、何も生み出しはしないとは思えない。
それを誰からも何からも、意味はない間違っていると言われたくない。
必ず何か意味があるはずだと信じてる。

 俺たちはカラダが邪魔になる時と、カラダを超える時がある。
そのふたつは俺たちの〝自然〟に必要な事で、ふたりでそれを確かめてそうしながら自分の存在も許したり愛したりするんだ。



  ねえ旺汰 オレの事、感じてるでしょ オレがここにいるって事が、旺汰には意味があったって事だよね オレはそれが分かっただけでも良かったって それだけでも嬉しいって……今気付いた

  そうだな……そうだな虹生 俺はこんなにお前を 感じているよ
  
  一緒に行こうよ

  ……一緒にな……

  ずっと……

  ……ずっと……



 俺たちはずっと一緒だった。この先もいつまでもお前と一緒にいたい。



 虹生は俺に自分を預けきり、カラダ一杯で応えてくれる。
肩の上で熱っぽい息を漏らし、手だけがしっかり意思を持って俺を確かめている。
抑える事が出来ない溢れた気持ちは、閉じられている瞼の隙間から滲む光りになる。
お前に飲み込まれてしまいたい。
内側から来る自分の波に圧され、彼の髪に顔を埋めた。


 少し前までの迷いは、今日で消えた。
もう、自分だけしかいない暗闇の不安を感じない。
寂しくて、寒くて そんな時に真っ先に見つけたい手は、ちゃんと自分のそばにあったと分かったから。



  だい……好き……  だよ…… 虹 生……

  オ……  も……

  ナ……

  もう少しだから……
  もう少しだ……


  ほら   見えて来たよ



  見えて来た

                        
                        
                        
                眩しい・・・・・






 
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