混(線)の処女

月琴そう🌱*

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最終章 混線の処女

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 彼に入って行く自分が、肩に巻き付いている彼の腕からも伝わって来る。
自分と向き合う場面が、こんな時に来るとは思いもしなかった。
今までの自分は、ただ迷い負けていた。けれど今度は迷わないから。
彼がカラダを張って教えてくれた。

 指切りげんまんか……


「クッ……」
「だ、大丈夫?」
「ごめん……大 丈夫……」

 と彼は笑った顔を俺に見せ、俺の肩にある自分の腕のチカラを緩めた。
謝る事なんてしなくていいのに。
こんな時まで、気を使わなくてもいいのに。
けれど俺はもう、お前のそんなやさしさに甘えたままでいないから。

「止まるな旺汰 オマエはそんなもんじゃないだろう」

 彼の方が辛いはずだ。なのに、励まされてばかり。
でも謝らないよ 謝らないから 今日は……。

「もっと……もっとだ旺……オレに……クッ……」



 さっき――

「 あ! 」

 いつか虹生がここに来る途中のコンビニで買い、そのまま俺の所に置かれていたコンドームの箱を見た彼はこどものような顔をした。
これを買ったその時は、きっとただの好奇心だった。

「へ~こうなってるんだ着けてあげるよ」
「ちょっちょっと待って」
「なに?どうしたの?」
「一度抜いてからと」
「クスッ分かった」

 そう返事をした彼の行動は素早く、迷いがなかった。
俺の脚の間に滑り込み、俺はその感覚にすぐに昇り詰めそうになる。

「―!! ナナッ……アッ待っ……ア……やっ アッ……ちょっ……やっ……アッ あ!出っ……」


『・・・・・・・』


 その後、彼に遠慮がひとつもない、大笑いをされたんだ。
初めて彼が俺をキスで含んでくれたのに、それに酔い浸る事さえ出来なかった短過ぎる一幕だった。
呆気なく終了してしまった出来事に、不安も混ざった。
そんな俺を見て、虹生の笑い声はまた大きくなった。

「アッハッハッハッハッごめん ハーハッハッハッ」
「……そんな笑うなよ……お前、酷いヤツだな」
「悪い……アーッハッハッハッハッ」

 虹生の唇は、溢れた雫で艶を作っていた。それを指で掬い舐めて

「どうだった?気持ち良かった?」
「う、うん……」
「クス またしてあげる」
「……う、うん……」
「クスクスクス」
「……もう笑うなよ……」
「だって……悪い……あ、着ける?」
「あっイイ……自分でやる」

 俺がコンドームを着けている間、彼は窓に向けてその箱をかざし見ていた。

「この箱きれいだよな……晴れてたらもっときれいに見えるのに」
「……パケ買い?」
「クスッそう、正にパケ買いだ これ買った日、晴れだったって覚えてる キレイだなって手に取って見たくなった そして店から出て、外でまた見た…… ホラ……反射すると虹色が浮かんで見えるだろ?」
「外で?」
「うん」 
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