14 / 153
第一章
若かりし狂王の本音
しおりを挟む
《sideブライド・スレイヤー・ハーケンス》
我は生まれながらの強者であった。
歳を重ねるごとに気づくのだ。我は他者とは違う。あまりにも強く優秀であり、他を凌駕するだけの力を持っている。
誰かが我を狂人の皇子ブライド・スレイヤー・ハーケンスなどという者がいるが、狂人、変人、奇人、良いではないか。
他者とは違った能力を持ち、それを如何なく発揮する。
平凡でつまらない者たちよりも面白い人生を生きている。素晴らしいことだ。
確かに我は幼少期から他者を圧倒するカリスマ性と、絶対強者としてのオーラを発揮していた。
あれは十歳の時だったか? 我は帝国軍の訓練場を訪れた。
そこで、帝国最強の騎士と呼ばれる剣聖と戦った。
流石の我も最初は勝つことができなかった。だが、面白かった。負けるということは、相手を打ち負かした際の喜びは、勝ってしまった時の何倍も楽しい。
だからこそ、毎日のように大人たちに混じって訓練に明け暮れた。
十五歳になった時、再び剣を交えることになった。
「全力を出さないならば、貴様の命の価値はない」
そう告げて、本気で戦わせた。結果は、我の勝利であった。
五年の歳月をかけて、我は帝国最強の剣聖に剣で勝った。なんと心地よく甘美なことか。
戦いの後、訓練場の全員が跪き、畏怖と称賛を込めて「皇帝の剣」と口にしてきた。
帝国では、あるしきたりがある。
「皇子が成人の儀で王獣を討伐する」
古い伝統だが、面白い。
我は十五歳の成人の儀で、王獣を討伐しなければならない。
最近では形式だけで、我が兄上殿は騎士達精鋭の軍隊が討伐に向かって弱った王獣にとどめを刺した。
獰猛な魔獣を制圧したと言っていた。
だが、我は一人で十分だ。
獅子型の王獣を倒して帰還して、王獣の心臓を父上へ差しあげたのだ。
「この心臓を捧げ、我が父上への忠誠を証明します」
皇帝や貴族たちは喜んでくれていたが、一部の者たちからは「何故そこまで冷徹で残酷なのか」と恐れられたものだ。
我と同等の魔獣と仕留めている者などいないであろう。我以上となれば、ドラゴンしか有り得ぬのだからな。
年齢を重ねる。剣術だけでなく、戦略戦術、魔術にのめりこんでいった我は単に冷酷に恐怖だけで人を統治するだけではダメだということに気づいた。
「帝国は弱き者によって腐敗しつつある。力や能力ある者たちによって正さなければならない」
我、思想を持ち、自らが帝国の象徴として導かねばならぬ。
そう、この世は弱肉強食、強い者が生き、弱い物は虐げられる。だが、弱い者であっても能力がある者は存在する。
それを埋もれさせるのは勿体無いのではないか?
我にそう思わせる出来事があった。
「おい、小僧。貴様の名前はなんという?」
「アイク」
それは我が武勇を高めるため、魔物との戦いを繰り広げながら、各地を回っている時のことであった。
歳は我に近く、田舎の農村にいた子供があろうことか、我の剣を弾いて見せたのだ。
「アイクか、貴様は剣の才能がある。我が貴様を見出してやろう! 我の元に来い」
「あんたについていけば腹一杯飯を食えるのか?」
「ああ、約束しよう」
「ならついていく」
アイクはメキメキと剣術の腕を上達させた。我が五年かかって倒した剣聖を一年で倒してしまった。
もちろん成長したからだということもあるが才能の差を感じる。つまりは、人はそれぞれに秀でた才能があり、全てに優れた我が、一芸でも才能がある者を率いたならどうなる? 大陸統一も夢ではないのだ。
だからこそ、我は才能があるという者達がいれば、自ら足を運ぶようになった。
アイクを護衛につけて、多くの配下を手に入れた。
そんなある日だ。公爵家の変人について噂を聞いたのは……。
「我が弟は、属性魔法の才能はありませんでしたが、素晴らしい研究者であり、変人ですよ」
楽しそうに変人について語ったのは、フライ・エルトールの兄である。エリック・エルトールだった。奴は公爵家の次期当主であり、是非とも我が陣営にスカウトしたい人物だった。
スカウトに向かった際に、弟自慢をして、ならば連れてこいと言ったが、我と同じ歳であり、学園で会うから楽しみにしていろという。
では、実際にあったフライ・エルトールとはどのような人物なのか?
答えは、面白い……だ。
我は入学式の時から、威圧を放ち続けている。ある程度の強者や、魔力量を有している者ならば耐えられる程度の威圧。
それに対して、ミルティ王国のアイスは文句をつけてきた。気分を悪くした者が多くいたと。
当たり前だ。我は強者をふるいに掛けていたのだ。
さらに、アイスが因縁をつけてきた野次馬には、入学式以上の威圧を放った。それはもう殺気であり、我の殺気を受けて、平気な顔をしていられるものはアイクぐらいだと思っていた。
実際にアイスは、顔を曇らせて言葉を途中で切って立ち去っていく。
つまらない。
そう思っていると、一人の生徒が平気な顔をして我を見ていた。
「うん? 貴様、何を見ている」
連れている女達も、冷や汗をかいているが、意識を保てていることに感嘆する。
「お初にお目にかかります。ブライド・スレイヤー・ハーケンス様。帝国公爵家フライ・エルトールにございます」
「むっ、なるほど。貴様が、公爵家の変人か」
「変人?」
こやつはエリックが自慢していた変人か、我が挑発をしても、ニッコリと微笑みを浮かべている不気味なやつだ。
不意に女がフライを頼るような素振りを見せた。これはいい。この女を使ってフライを怒らせてみよう。
「それにしてもどちらの女も上玉であるな。魔力量も相当に多い」
我は、フライの服の袖を掴んだ女に手を伸ばそうとした。
しかし、次の瞬間、バシッ?!
我の手は払いのけられていた。見えなかった。威圧に平気な顔をしただけではない。こやつは我やアイクと同じか、それ以上の戦力を持っている。
「申し訳ない。彼女は兄の婚約者なのです。手を出さないでいただきたい」
「ほう、くくく、そうかそうか。フライ、お前に問おう。我の下に着く気はないか?」
才ある者を我は愛する。フライは才能があり、またそれを自分で理解している。面白い男だ。
「ないですね。僕は誰の下にもつきません」
「くくく、ますます面白いぞ! いつか、お前を従わせてやる。ではな」
学園生活はつまらないと思っていたが、面白い男に二人も出会えた。
今までのやり取りを、もう一人、見ている者がいた。
其奴のことは後日スカウトするとしよう。
今日は気分がいい。久しぶりに、アイクと共に狩りにでも行きたい気分だ。
我は生まれながらの強者であった。
歳を重ねるごとに気づくのだ。我は他者とは違う。あまりにも強く優秀であり、他を凌駕するだけの力を持っている。
誰かが我を狂人の皇子ブライド・スレイヤー・ハーケンスなどという者がいるが、狂人、変人、奇人、良いではないか。
他者とは違った能力を持ち、それを如何なく発揮する。
平凡でつまらない者たちよりも面白い人生を生きている。素晴らしいことだ。
確かに我は幼少期から他者を圧倒するカリスマ性と、絶対強者としてのオーラを発揮していた。
あれは十歳の時だったか? 我は帝国軍の訓練場を訪れた。
そこで、帝国最強の騎士と呼ばれる剣聖と戦った。
流石の我も最初は勝つことができなかった。だが、面白かった。負けるということは、相手を打ち負かした際の喜びは、勝ってしまった時の何倍も楽しい。
だからこそ、毎日のように大人たちに混じって訓練に明け暮れた。
十五歳になった時、再び剣を交えることになった。
「全力を出さないならば、貴様の命の価値はない」
そう告げて、本気で戦わせた。結果は、我の勝利であった。
五年の歳月をかけて、我は帝国最強の剣聖に剣で勝った。なんと心地よく甘美なことか。
戦いの後、訓練場の全員が跪き、畏怖と称賛を込めて「皇帝の剣」と口にしてきた。
帝国では、あるしきたりがある。
「皇子が成人の儀で王獣を討伐する」
古い伝統だが、面白い。
我は十五歳の成人の儀で、王獣を討伐しなければならない。
最近では形式だけで、我が兄上殿は騎士達精鋭の軍隊が討伐に向かって弱った王獣にとどめを刺した。
獰猛な魔獣を制圧したと言っていた。
だが、我は一人で十分だ。
獅子型の王獣を倒して帰還して、王獣の心臓を父上へ差しあげたのだ。
「この心臓を捧げ、我が父上への忠誠を証明します」
皇帝や貴族たちは喜んでくれていたが、一部の者たちからは「何故そこまで冷徹で残酷なのか」と恐れられたものだ。
我と同等の魔獣と仕留めている者などいないであろう。我以上となれば、ドラゴンしか有り得ぬのだからな。
年齢を重ねる。剣術だけでなく、戦略戦術、魔術にのめりこんでいった我は単に冷酷に恐怖だけで人を統治するだけではダメだということに気づいた。
「帝国は弱き者によって腐敗しつつある。力や能力ある者たちによって正さなければならない」
我、思想を持ち、自らが帝国の象徴として導かねばならぬ。
そう、この世は弱肉強食、強い者が生き、弱い物は虐げられる。だが、弱い者であっても能力がある者は存在する。
それを埋もれさせるのは勿体無いのではないか?
我にそう思わせる出来事があった。
「おい、小僧。貴様の名前はなんという?」
「アイク」
それは我が武勇を高めるため、魔物との戦いを繰り広げながら、各地を回っている時のことであった。
歳は我に近く、田舎の農村にいた子供があろうことか、我の剣を弾いて見せたのだ。
「アイクか、貴様は剣の才能がある。我が貴様を見出してやろう! 我の元に来い」
「あんたについていけば腹一杯飯を食えるのか?」
「ああ、約束しよう」
「ならついていく」
アイクはメキメキと剣術の腕を上達させた。我が五年かかって倒した剣聖を一年で倒してしまった。
もちろん成長したからだということもあるが才能の差を感じる。つまりは、人はそれぞれに秀でた才能があり、全てに優れた我が、一芸でも才能がある者を率いたならどうなる? 大陸統一も夢ではないのだ。
だからこそ、我は才能があるという者達がいれば、自ら足を運ぶようになった。
アイクを護衛につけて、多くの配下を手に入れた。
そんなある日だ。公爵家の変人について噂を聞いたのは……。
「我が弟は、属性魔法の才能はありませんでしたが、素晴らしい研究者であり、変人ですよ」
楽しそうに変人について語ったのは、フライ・エルトールの兄である。エリック・エルトールだった。奴は公爵家の次期当主であり、是非とも我が陣営にスカウトしたい人物だった。
スカウトに向かった際に、弟自慢をして、ならば連れてこいと言ったが、我と同じ歳であり、学園で会うから楽しみにしていろという。
では、実際にあったフライ・エルトールとはどのような人物なのか?
答えは、面白い……だ。
我は入学式の時から、威圧を放ち続けている。ある程度の強者や、魔力量を有している者ならば耐えられる程度の威圧。
それに対して、ミルティ王国のアイスは文句をつけてきた。気分を悪くした者が多くいたと。
当たり前だ。我は強者をふるいに掛けていたのだ。
さらに、アイスが因縁をつけてきた野次馬には、入学式以上の威圧を放った。それはもう殺気であり、我の殺気を受けて、平気な顔をしていられるものはアイクぐらいだと思っていた。
実際にアイスは、顔を曇らせて言葉を途中で切って立ち去っていく。
つまらない。
そう思っていると、一人の生徒が平気な顔をして我を見ていた。
「うん? 貴様、何を見ている」
連れている女達も、冷や汗をかいているが、意識を保てていることに感嘆する。
「お初にお目にかかります。ブライド・スレイヤー・ハーケンス様。帝国公爵家フライ・エルトールにございます」
「むっ、なるほど。貴様が、公爵家の変人か」
「変人?」
こやつはエリックが自慢していた変人か、我が挑発をしても、ニッコリと微笑みを浮かべている不気味なやつだ。
不意に女がフライを頼るような素振りを見せた。これはいい。この女を使ってフライを怒らせてみよう。
「それにしてもどちらの女も上玉であるな。魔力量も相当に多い」
我は、フライの服の袖を掴んだ女に手を伸ばそうとした。
しかし、次の瞬間、バシッ?!
我の手は払いのけられていた。見えなかった。威圧に平気な顔をしただけではない。こやつは我やアイクと同じか、それ以上の戦力を持っている。
「申し訳ない。彼女は兄の婚約者なのです。手を出さないでいただきたい」
「ほう、くくく、そうかそうか。フライ、お前に問おう。我の下に着く気はないか?」
才ある者を我は愛する。フライは才能があり、またそれを自分で理解している。面白い男だ。
「ないですね。僕は誰の下にもつきません」
「くくく、ますます面白いぞ! いつか、お前を従わせてやる。ではな」
学園生活はつまらないと思っていたが、面白い男に二人も出会えた。
今までのやり取りを、もう一人、見ている者がいた。
其奴のことは後日スカウトするとしよう。
今日は気分がいい。久しぶりに、アイクと共に狩りにでも行きたい気分だ。
280
あなたにおすすめの小説
転生先は上位貴族で土属性のスキルを手に入れ雑魚扱いだったものの職業は最強だった英雄異世界転生譚
熊虎屋
ファンタジー
現世で一度死んでしまったバスケットボール最強中学生の主人公「神崎 凪」は異世界転生をして上位貴族となったが魔法が土属性というハズレ属性に。
しかし職業は最強!?
自分なりの生活を楽しもうとするがいつの間にか世界の英雄に!?
ハズレ属性と最強の職業で英雄となった異世界転生譚。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~
ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。
食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。
最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。
それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。
※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。
カクヨムで先行投稿中!
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる