87 / 153
第三章
覚悟の説得!
しおりを挟む
《side セシリア・ローズ・アーリントン》
決して後悔をしない生き方を私は選んでみせる。
そう心に誓いながら、私は学園都市にやってきた。
それは、今この場でも変わらない。
フライ・エルトール様の屋敷の扉をくぐった。
アーリントン公国の未来のため、そして私自身の想いを叶えるため、ここに来ることを決めました。
クラウン・バトルロワイヤルのパートナーとして、フライ様を説得すること。それが私の目的です。
ですが、胸の奥で静かに高鳴る鼓動は別の感情も含んでいます。
それが何であるかは、自分でも分かっているのです。けれど、それを表に出すわけにはいきません。
今の私は、アーリントン公国の公女として、フライ様の力を借りるためにここにいるのですから、クラウン・バトルロワイヤルは、他国の勇者たちが競い合う場でもあります。
そこで力を示すことで、公国はここにあると他国に示すことができるのです。
メイドに案内されて客間に通されると、紅茶が差し出されました。優雅に香る紅茶の湯気を見つめながら、私は深呼吸をします。
「大丈夫、私はできるわ……」
そう自分に言い聞かせた直後、客間の扉が静かに開きました。
「エリザベート様?」
「よくぞおいでくださいました。セシリア様」
「どうしてあなたが?」
「当然です。我々ユーハイム家と、エリトール家は家族のようなものですから、フライ様が来るまでの相手はわたくしがさせていただきますわ」
彼女は、エリック様の婚約者だというのに、フライ様との関係を何かと邪魔してくるので、少しだけ苦手に思っています。
お茶会でも彼女と私はライバルのような関係になってしまう。
目立つ花は二輪あると目移りしてしまうのです。
「それで? どういうつもりでこちらに? 事と次第によっては、フライ様にお会いする前にお帰りいただくかもしれません」
「……クラウン・バトルロワイヤルで、フライ様が活躍するお姿を見たくはありませんか?」
「なっ!? 見たいですわ!」
私は一手目に最も彼女が望むであろう言葉を投げかけた。
「しかし、フライ様はあまり表に出ることを良しとしておりません。残念ながら、活躍を見ることはできませんわ」
「ですから、我々が協力するのはいかがでしょうか?」
「協力? どうするのです?」
「決まっています、私がフライ様をパートナーとして、口説きます。その援護射撃をエリザベート様にお願いしたいのです」
無策でここにやってきたわけじゃない。フライ様は、自分と関わりにない他人に対しては無関心な方です。
ですが、自分が大切にされている方々、特にエリザベート様、アイリーン様の言葉はちゃんと聞いてこられました。
つまりは、将(フライ様)を射抜くためには、馬(エリザベート様)を味方に向けるのが最善手なのだ。
「分かりました。あなたの言動や動向を見させていただきます」
「お任せください」
第一関門は突破した。
次は、フライ様本人を説得しなければならない。
しばらく談笑していると、現れたのは、紛れもなく私が待ち望んだフライ・エルトール様です。
「お待たせしました、公女セシリア嬢」
彼の穏やかな声に、私は微笑みを浮かべながら立ち上がる。
「それで、今日はどのようなご用件で?」
フライ様の言葉に、私は視線を向けます。
「実は……フライ様にお願いがあって参りました。クラウン・バトルロワイヤルで私のパートナーとなっていただきたいのです」
その言葉に、フライ様が少しだけ驚いたような表情を見せた。そして、その隣でエリザベート様がわずかに目を細めた。
「それは素晴らしい目標ですが、僕は……そのような舞台に立つのは得意ではないんです。それに、あなたには他にも相応しいパートナーがいるのでは?」
「いえ、フライ様でなくてはなりません」
私は即座に否定し、真っ直ぐにフライ様を見つめました。ここは折れてはいけません。押して、押して、押しまくるのです!
「お恥ずかしい話を聞いていただけますか?」
「ええ、差し支えがなければ」
「では、失礼します。実は、学園都市に入学した理由として、私はお婿さんを探しにきました」
彼が驚いたようにこちらを見つめます
「私は、本当にあなたと共に戦いたいのです。あなたの力が必要です。どうか、私にその機会をください」
その場の空気がピンと張り詰める。エリザベート様の視線が冷たく私を見つめる中、私は決して目を逸らさなかった。
「セシリア嬢……」
フライ様が困惑した様子で言葉を紡ぐ。それを見て、私はさらに言葉を重ねた。
「フライ様、私はあなたをただの戦力として見ているわけではありません。あなたの人柄、その力強さ、そして何より……あなたがどんな時でも周りの人々を笑顔にする、その魅力を私は信じています」
その言葉に、フライ様の瞳が少しだけ揺れ動いた。
「それほどまでに僕に期待を……?」
「ええ、フライ様。私はあなたと共に勝利を掴みたい。そして、出来れば未来を共に歩きたいと思っております」
どさくさに紛れて、告白に近い言葉を選んでしまいました。ですが、フライ様が素敵だからいけないのです。
ただ、エリザベート様の反応は意外でした。エリック様の婚約者なのに、まるで、フライ様の婚約者のように嫉妬を向けてこられました。
「もしかしたら何かあるのかもしないわね。情報は公国の命とも言えるわ。しっかりと調べないと」
屋敷を出て、深呼吸をします。
「これでよかった……」
なんとかフライ様に協力を取り付けることができました。
その理由は、エリザベート様が参加するなら、守らなくちゃいけないからだそうです。
悔しさがありますが、それでもチャンスを頂けたので、必ずフライ様とお近づきになりたいです!!
「私の覚悟は止まりませんから、覚悟してくださいね。フライ様!」
私はもう一度、エルトール家の屋敷を振り返って一礼しました。
決して後悔をしない生き方を私は選んでみせる。
そう心に誓いながら、私は学園都市にやってきた。
それは、今この場でも変わらない。
フライ・エルトール様の屋敷の扉をくぐった。
アーリントン公国の未来のため、そして私自身の想いを叶えるため、ここに来ることを決めました。
クラウン・バトルロワイヤルのパートナーとして、フライ様を説得すること。それが私の目的です。
ですが、胸の奥で静かに高鳴る鼓動は別の感情も含んでいます。
それが何であるかは、自分でも分かっているのです。けれど、それを表に出すわけにはいきません。
今の私は、アーリントン公国の公女として、フライ様の力を借りるためにここにいるのですから、クラウン・バトルロワイヤルは、他国の勇者たちが競い合う場でもあります。
そこで力を示すことで、公国はここにあると他国に示すことができるのです。
メイドに案内されて客間に通されると、紅茶が差し出されました。優雅に香る紅茶の湯気を見つめながら、私は深呼吸をします。
「大丈夫、私はできるわ……」
そう自分に言い聞かせた直後、客間の扉が静かに開きました。
「エリザベート様?」
「よくぞおいでくださいました。セシリア様」
「どうしてあなたが?」
「当然です。我々ユーハイム家と、エリトール家は家族のようなものですから、フライ様が来るまでの相手はわたくしがさせていただきますわ」
彼女は、エリック様の婚約者だというのに、フライ様との関係を何かと邪魔してくるので、少しだけ苦手に思っています。
お茶会でも彼女と私はライバルのような関係になってしまう。
目立つ花は二輪あると目移りしてしまうのです。
「それで? どういうつもりでこちらに? 事と次第によっては、フライ様にお会いする前にお帰りいただくかもしれません」
「……クラウン・バトルロワイヤルで、フライ様が活躍するお姿を見たくはありませんか?」
「なっ!? 見たいですわ!」
私は一手目に最も彼女が望むであろう言葉を投げかけた。
「しかし、フライ様はあまり表に出ることを良しとしておりません。残念ながら、活躍を見ることはできませんわ」
「ですから、我々が協力するのはいかがでしょうか?」
「協力? どうするのです?」
「決まっています、私がフライ様をパートナーとして、口説きます。その援護射撃をエリザベート様にお願いしたいのです」
無策でここにやってきたわけじゃない。フライ様は、自分と関わりにない他人に対しては無関心な方です。
ですが、自分が大切にされている方々、特にエリザベート様、アイリーン様の言葉はちゃんと聞いてこられました。
つまりは、将(フライ様)を射抜くためには、馬(エリザベート様)を味方に向けるのが最善手なのだ。
「分かりました。あなたの言動や動向を見させていただきます」
「お任せください」
第一関門は突破した。
次は、フライ様本人を説得しなければならない。
しばらく談笑していると、現れたのは、紛れもなく私が待ち望んだフライ・エルトール様です。
「お待たせしました、公女セシリア嬢」
彼の穏やかな声に、私は微笑みを浮かべながら立ち上がる。
「それで、今日はどのようなご用件で?」
フライ様の言葉に、私は視線を向けます。
「実は……フライ様にお願いがあって参りました。クラウン・バトルロワイヤルで私のパートナーとなっていただきたいのです」
その言葉に、フライ様が少しだけ驚いたような表情を見せた。そして、その隣でエリザベート様がわずかに目を細めた。
「それは素晴らしい目標ですが、僕は……そのような舞台に立つのは得意ではないんです。それに、あなたには他にも相応しいパートナーがいるのでは?」
「いえ、フライ様でなくてはなりません」
私は即座に否定し、真っ直ぐにフライ様を見つめました。ここは折れてはいけません。押して、押して、押しまくるのです!
「お恥ずかしい話を聞いていただけますか?」
「ええ、差し支えがなければ」
「では、失礼します。実は、学園都市に入学した理由として、私はお婿さんを探しにきました」
彼が驚いたようにこちらを見つめます
「私は、本当にあなたと共に戦いたいのです。あなたの力が必要です。どうか、私にその機会をください」
その場の空気がピンと張り詰める。エリザベート様の視線が冷たく私を見つめる中、私は決して目を逸らさなかった。
「セシリア嬢……」
フライ様が困惑した様子で言葉を紡ぐ。それを見て、私はさらに言葉を重ねた。
「フライ様、私はあなたをただの戦力として見ているわけではありません。あなたの人柄、その力強さ、そして何より……あなたがどんな時でも周りの人々を笑顔にする、その魅力を私は信じています」
その言葉に、フライ様の瞳が少しだけ揺れ動いた。
「それほどまでに僕に期待を……?」
「ええ、フライ様。私はあなたと共に勝利を掴みたい。そして、出来れば未来を共に歩きたいと思っております」
どさくさに紛れて、告白に近い言葉を選んでしまいました。ですが、フライ様が素敵だからいけないのです。
ただ、エリザベート様の反応は意外でした。エリック様の婚約者なのに、まるで、フライ様の婚約者のように嫉妬を向けてこられました。
「もしかしたら何かあるのかもしないわね。情報は公国の命とも言えるわ。しっかりと調べないと」
屋敷を出て、深呼吸をします。
「これでよかった……」
なんとかフライ様に協力を取り付けることができました。
その理由は、エリザベート様が参加するなら、守らなくちゃいけないからだそうです。
悔しさがありますが、それでもチャンスを頂けたので、必ずフライ様とお近づきになりたいです!!
「私の覚悟は止まりませんから、覚悟してくださいね。フライ様!」
私はもう一度、エルトール家の屋敷を振り返って一礼しました。
108
あなたにおすすめの小説
転生先は上位貴族で土属性のスキルを手に入れ雑魚扱いだったものの職業は最強だった英雄異世界転生譚
熊虎屋
ファンタジー
現世で一度死んでしまったバスケットボール最強中学生の主人公「神崎 凪」は異世界転生をして上位貴族となったが魔法が土属性というハズレ属性に。
しかし職業は最強!?
自分なりの生活を楽しもうとするがいつの間にか世界の英雄に!?
ハズレ属性と最強の職業で英雄となった異世界転生譚。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
無能と追放された俺の【システム解析】スキル、実は神々すら知らない世界のバグを修正できる唯一のチートでした
夏見ナイ
ファンタジー
ブラック企業SEの相馬海斗は、勇者として異世界に召喚された。だが、授かったのは地味な【システム解析】スキル。役立たずと罵られ、無一文でパーティーから追放されてしまう。
死の淵で覚醒したその能力は、世界の法則(システム)の欠陥(バグ)を読み解き、修正(デバッグ)できる唯一無二の神技だった!
呪われたエルフを救い、不遇な獣人剣士の才能を開花させ、心強い仲間と成り上がるカイト。そんな彼の元に、今さら「戻ってこい」と元パーティーが現れるが――。
「もう手遅れだ」
これは、理不尽に追放された男が、神の領域の力で全てを覆す、痛快無双の逆転譚!
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
扱いの悪い勇者パーティを啖呵切って離脱した俺、辺境で美女たちと国を作ったらいつの間にか国もハーレムも大陸最強になっていた。
みにぶた🐽
ファンタジー
いいねありがとうございます!反応あるも励みになります。
勇者パーティから“手柄横取り”でパーティ離脱した俺に残ったのは、地球の本を召喚し、読み終えた物語を魔法として再現できるチートスキル《幻想書庫》だけ。
辺境の獣人少女を助けた俺は、物語魔法で水を引き、結界を張り、知恵と技術で開拓村を発展させていく。やがてエルフや元貴族も加わり、村は多種族共和国へ――そして、旧王国と勇者が再び迫る。
だが俺には『三国志』も『孫子』も『トロイの木馬』もある。折伏し、仲間に変える――物語で世界をひっくり返す成り上がり建国譚、開幕!
男女比1対5000世界で俺はどうすれバインダー…
アルファカッター
ファンタジー
ひょんな事から男女比1対5000の世界に移動した学生の忠野タケル。
そこで生活していく内に色々なトラブルや問題に巻き込まれながら生活していくものがたりである!
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる