巻き込まれて死亡?!神様、責任とってくださいね?

紅子

文字の大きさ
36 / 36

エピローグ

しおりを挟む
シーアーバンス周辺の所属が、クレイガー王国からルクセンバルグ王国になって1年が過ぎた。領主は、アダベルトの2番目の兄であるダイナントが務めている。一応、私たちにも打診はあったんだけど、領主夫人なんて重責はいらない。だって、宴とか夜会とか参加必須なんだよ?あんな駆け引きなんてムリムリ。まあ、国王陛下も私が承知するとは思っていなかったし、貴族たちに私を会わせる気はなかったようだ。そのお蔭で、私たちは、相変わらずシーアーバンスでのんびりとしている。嘘です。ホカホカとヒエヒエの登録が1年を経過してすぐに、王太子殿下からの要請で加湿と除湿の魔法陣を固定魔法陣に登録させられた。噂が広がりすぎて、収拾がつかなくなったのだ。各所からの要望が凄いことになったらしい。

足のトラブル水虫に効果があるなら、なるべく早く公開してくれと王立騎士団だけでなく辺境や各国の騎士団や衛兵たち、魔法ギルドに至るまで毎日のように要望が届く。その上、王妃様や王太子妃のもとにはご婦人方から肌の潤いが増すのなら、どうにか手に入らないかと問い合わせが殺到している」

王太子殿下は頭を抱えていたが、それこそ自業自得というもの。それでも、ホカホカとヒエヒエが1年を過ぎるまでは待ってもらった。そして・・・・。

「・・・・サイカ。もう少し待てませんか?」

ここでも頭を抱えられた。

「ムリです。これでも、ホカホカとヒエヒエが1年過ぎるまで待ってもらったんです。王都の魔法ギルドで、とも言われたんです。でもね、稼ぎ時でなんでしょ?」

馬車はともかく、ホカホカとヒエヒエは、凄かった。1月程でその有用性が知れ渡り、暑い地方と寒い地方からだけでなく、温かい物は温かく、冷たい物は冷たく食べたい王侯貴族や飲食店からも依頼が殺到した。使い捨てな分、数がいる。ギルドは来る日も来る日もてんてこ舞いだった。それが漸く終わったのだ。

「そうですが、そうなんですが」

「諦めようよ。今回も出来るだけ簡単にしたから。初級寄りの中級でいけるから!」

既に大量の依頼が発生すると、この時点で分かっている。

「諦めろ、レンフール。馬車のようなことにはならん」

「除湿は、靴の中敷きの下に敷いて、半年。毎日魔力を流すことで、清潔に保てるようになってる。除湿器にするなら魔石を使用して5年。魔石の等級は4。加湿器も同じ。美容に使うのなら、布製にして10回使えるようにした」

「・・それは、4つの魔法陣になるのでは?」

「・・・・そうかも。ちょっと違うだけなんだけど」

「それでも、同じでないなら、別々の登録になります」

マジか。横にいるアダベルトを見た。

王太子に相談する」

そんなもの、別々で登録すればいいと、そんなことで連絡を寄越すな!と叱られた。私が有名なのは今更だから、2つが4つになったところでたいした違いはないらしい。そんな訳ないと思うが、王太子殿下に逆らうなど出来るはずもなく、即座に4つ登録した。まあ、その後のギルドは言わずもがなの大忙し。事前に大量に両方の魔法陣を渡しておいたが、焼け石に水だったようだ。領主であるダイナントも増え続ける魔法師たちの対応でてんてこ舞いらしい。治安維持が大変だとぼやいていた。私とアダベルトのもとにも沢山の襲撃者がやってくるけど、身に着けた転移の魔法陣で容赦なく王城のあの牢へと送り込んでいる。さっきもふたり送られていった。

「毎日毎日、鬱陶しすぎる」

「仕方ないだろう。狙われるのは想定済み。これさえ身に着けていれば、勝手に自滅してくれるんだから生活に支障はない」

そうなんだけど。むう。私の精神衛生によくない。胎教にも悪いと思う。

「ちょっと避難したい」

「分かった。少し早いが、王城の離れに滞在できるように手配する。そこなら、余程でなければ襲撃されないだろう」

そう。私は今、妊婦なのだ。だから、余計に神経質にはなっている。産まれるまでは、あと2月程だろうか。子供がある程度大きくなるまでは、そこで生活することになった。我が子の安全には代えられない。いつ結婚したかって?でき婚だよ!獣人にはよくあることみたい。妊娠に気付いてすぐに婚姻の届けを出した。そうしないと末席でも王族として認められなくなるらしい。すると、安全面で格段に劣ることになると聞いたら、すぐに届けるよね!我が子、大事。結婚式は、産後半年を目安に進めている。今の体型だとドレスひとつ作れない。貴族との接点をなるべく作らないためにも身内のみの式になる予定だ。ありがたい。

「3日後にルトの実家に帰るから、暫く来れなくなる」

ギルドには一応連絡をしに来た。

「そうね。そろそろ、準備した方がいいわね。分かった。帰ってきたら、また、連絡して」

「りょーかい」

ナーサリーと別れの挨拶をしていると、副ギルド長がぬっと顔を出した。

「出産まで暇を持て余すでしょうから、除湿の魔法陣の量産をお願いしますね?できれば、加湿の魔法陣も。除湿器と加湿器は、後回しで構いませんよ」

依頼の優先順位の確認と念押しの為に、態々顔を見せたようだ。死相が出ているその顔に免じて、出産前後を除く毎日100枚くらいならと請け負うことにした。隣でアダベルトが不満顔をしているが、その程度なら1時間とかからない。その後、領主館にも寄り、王城ヘと転移した。







程なくして・・・・・・。

「ふぎゃ~!!!」

私は、元気な男の子を産んだ。かわいい狼さんだ。アダベルトの兄弟の中では、2人目の狼族になる。名前は、フィンセント。お義父様国王陛下に名付け親になってもらった。王太子殿下のお子様と一緒に毎日やってくる。他の孫たちを蔑ろにしているわけではないのだが、やはり、同族はかわいいのかもしれない。・・・・違った。3番目のお義兄様のお子様は、天使族の女の子で、「お祖父ちゃま怖い!」と泣かれてしまうらしい。そのせいで、近寄れず遠くからこっそりと覗いているのだとか。トゥッティーナお義姉様からこっそりと教えてもらった。不憫すぎる。今、王城には、この3人の孫がいる。将来、一緒に遊んだりするのだろうか。

ヴィーグとふたりでやって来たこの世界は、今は、こんなにも賑やかになった。アダベルトを鬱陶しく思ったこともあったけど、今はこの現実幸せを与えてくれて感謝している。アダベルトが半身でよかった。向こうの世界では、きっとこんな幸せは手に入らなかっただろう。そう思うと、ここの神様にも自然と感謝の念が浮かんでくる。


《ちゃんと寿命まで心残りなく生きてくださいね》


うん。それが神様の願いだよね。私も永遠を流離うなんてごめんだ。アダベルトとヴィーグがいてくれるなら、きっと大丈夫。孫に見送られてこの世界を去って行ける。フィンセントとアダベルトが楽しそうに遊ぶ姿を見て、そう確信出来た日だった。






~END~













最後までお読みいただき、ありがとうございました\(^o^)/
しおりを挟む

この作品は感想を受け付けておりません。

あなたにおすすめの小説

異世界に喚ばれた私は二人の騎士から逃げられない

紅子
恋愛
異世界に召喚された・・・・。そんな馬鹿げた話が自分に起こるとは思わなかった。不可抗力。女性の極めて少ないこの世界で、誰から見ても外見中身とも極上な騎士二人に捕まった私は山も谷もない甘々生活にどっぷりと浸かっている。私を押し退けて自分から飛び込んできたお花畑ちゃんも素敵な人に出会えるといいね・・・・。 完結済み。全19話。 毎日00:00に更新します。 R15は、念のため。 自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)

前世で孵した竜の卵~幼竜が竜王になって迎えに来ました~

高遠すばる
恋愛
エリナには前世の記憶がある。 先代竜王の「仮の伴侶」であり、人間貴族であった「エリスティナ」の記憶。 先代竜王に真の番が現れてからは虐げられる日々、その末に追放され、非業の死を遂げたエリスティナ。 普通の平民に生まれ変わったエリスティナ、改めエリナは強く心に決めている。 「もう二度と、竜種とかかわらないで生きていこう!」 たったひとつ、心残りは前世で捨てられていた卵から孵ったはちみつ色の髪をした竜種の雛のこと。クリスと名付け、かわいがっていたその少年のことだけが忘れられない。 そんなある日、エリナのもとへ、今代竜王の遣いがやってくる。 はちみつ色の髪をした竜王曰く。 「あなたが、僕の運命の番だからです。エリナ。愛しいひと」 番なんてもうこりごり、そんなエリナとエリナを一身に愛する竜王のラブロマンス・ファンタジー!

面倒くさがりやの異世界人〜微妙な美醜逆転世界で〜

蝋梅
恋愛
 仕事帰り電車で寝ていた雅は、目が覚めたら満天の夜空が広がる場所にいた。目の前には、やたら美形な青年が騒いでいる。どうしたもんか。面倒くさいが口癖の主人公の異世界生活。 短編ではありませんが短めです。 別視点あり

騎士団寮のシングルマザー

古森きり
恋愛
夫と離婚し、実家へ帰る駅への道。 突然突っ込んできた車に死を覚悟した歩美。 しかし、目を覚ますとそこは森の中。 異世界に聖女として召喚された幼い娘、真美の為に、歩美の奮闘が今、始まる! ……と、意気込んだものの全く家事が出来ない歩美の明日はどっちだ!? ※ノベルアップ+様(読み直し改稿ナッシング先行公開)にも掲載しましたが、カクヨムさん(は改稿・完結済みです)、小説家になろうさん、アルファポリスさんは改稿したものを掲載しています。 ※割と鬱展開多いのでご注意ください。作者はあんまり鬱展開だと思ってませんけども。

せっかく傾国級の美人に生まれたのですから、ホントにやらなきゃ損ですよ?

志波 連
恋愛
病弱な父親とまだ学生の弟を抱えた没落寸前のオースティン伯爵家令嬢であるルシアに縁談が来た。相手は学生時代、一方的に憧れていた上級生であるエルランド伯爵家の嫡男ルイス。 父の看病と伯爵家業務で忙しく、結婚は諦めていたルシアだったが、結婚すれば多額の資金援助を受けられるという条件に、嫁ぐ決意を固める。 多忙を理由に顔合わせにも婚約式にも出てこないルイス。不信感を抱くが、弟のためには絶対に援助が必要だと考えるルシアは、黙って全てを受け入れた。 オースティン伯爵の健康状態を考慮して半年後に結婚式をあげることになり、ルイスが住んでいるエルランド伯爵家のタウンハウスに同居するためにやってきたルシア。 それでも帰ってこない夫に泣くことも怒ることも縋ることもせず、非道な夫を庇い続けるルシアの姿に深く同情した使用人たちは遂に立ち上がる。 この作品は小説家になろう及びpixivでも掲載しています ホットランキング1位!ありがとうございます!皆様のおかげです!感謝します!

疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!

ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。 退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた! 私を陥れようとする兄から逃れ、 不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。 逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋? 異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。 この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?

『異世界転生してカフェを開いたら、庭が王宮より人気になってしまいました』

ヤオサカ
恋愛
申し訳ありません、物語の内容を確認しているため、一部非公開にしています この物語は完結しました。 前世では小さな庭付きカフェを営んでいた主人公。事故により命を落とし、気がつけば異世界の貧しい村に転生していた。 「何もないなら、自分で作ればいいじゃない」 そう言って始めたのは、イングリッシュガーデン風の庭とカフェづくり。花々に囲まれた癒しの空間は次第に評判を呼び、貴族や騎士まで足を運ぶように。 そんな中、無愛想な青年が何度も訪れるようになり――?

勘違いで嫁ぎましたが、相手が理想の筋肉でした!

エス
恋愛
「男性の魅力は筋肉ですわっ!!」 華奢な男がもてはやされるこの国で、そう豪語する侯爵令嬢テレーゼ。 縁談はことごとく破談し、兄アルベルトも王太子ユリウスも頭を抱えていた。 そんな折、騎士団長ヴォルフがユリウスの元に「若い女性を紹介してほしい」と相談に現れる。 よく見ればこの男──家柄よし、部下からの信頼厚し、そして何より、圧巻の筋肉!! 「この男しかいない!」とユリウスは即断し、テレーゼとの結婚話を進める。 ところがテレーゼが嫁いだ先で、当のヴォルフは、 「俺は……メイドを紹介してほしかったんだが!?」 と何やら焦っていて。 ……まあ細かいことはいいでしょう。 なにせ、その腕、その太もも、その背中。 最高の筋肉ですもの! この結婚、全力で続行させていただきますわ!! 女性不慣れな不器用騎士団長 × 筋肉フェチ令嬢。 誤解から始まる、すれ違いだらけの新婚生活、いざスタート! ※他サイトに投稿したものを、改稿しています。

処理中です...