巻き込まれて死亡?!神様、責任とってくださいね?

紅子

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えっ?!半身と言われても・・・・

隣国ルクセンバルグ王国の王都に着いて3日。《肉追い人》とは、着いて早々に別れた。帰る日までダンジョン巡りをして、資金を調達するそうだ。張り切って出掛けていったさ。目標があるって素晴らしい!

「サイカ。明日の会議はあなたも参加してくださいね」

私は、この3日間、馬車に施した魔法陣の改良点を洗い出していた。魔石の効率をもう少しよく出来そうでホクホクしている。一日中走らせて、半年を8月くらいに延ばせそうだ。それに必要なかった箇所は省略して簡素化を図った。スッキリした!

「分かった。昼からだっけ?ギルドに行けばいい?」

「いえ。午前中も行くところがあります。騎士団であの者たちの処遇のことを話し合う予定です。ここで待ち合わせて行きましょう」

「私、必要ないと思う」

「サイカは狙われた当事者ですから、一度は出向く必要があります。ひとりで行きますか?」

「是非ご一緒させてください!」

私を拐かすつもりだった9人は、次の街で衛兵に引き渡し、この国の王立騎士団に引き渡してもらうよう、副ギルド長が説明していた。国家間の事件に発展するからと。知らせを聞き、すっ飛んできたその街の領主様は、真っ青な顔をして引き受けていた。とても憐れだった。今回の事件は、隷属させられていたことなども鑑みた裁きがされる予定だが、余罪もあり、時間が掛かりそうなのだ。クライスターの罪を証言することで、更に刑は軽くなるだろう。司法取引ってやつ?証言、するかな?




翌日は、快晴。実に清々しい朝だ。高級な宿だけあって、朝食も申し分ない。宿代がギルド持ちでこんなにいい宿に泊まっていいのかな?

「そう言えば、クライスター様も捕縛されましたよ。抵抗したようですが、ご当主様によって騎士団に引き渡されたとか」

そっか!とりあえず、目的は果たしたよね。シーアーバンスに帰っても、もう付き纏われることはない。

「こっちに来るの?」

「いいえ。今頃は、家宅捜索をしているでしょうから、証人としてあの者たちをあちらに送ることになりそうです。ほら、着きましたよ」

立派な建物の前で、私たちは立ち止まった。ここが、ルクセンバルグ王国王立騎士団の本部である。

「でかい。この辺りの優雅な風景をぶち壊してる」

質実剛健で堅牢な佇まいのそれは、周りの景色から大きく浮いている。私の発言には副ギルド長も苦笑しか出てこないようだ。

「まあ、存在感がある分、この辺りの治安はすこぶるいいですよ」

でしょうね。

「さて、昨日も言っておいた通り、余分なもの魔法陣は持ってきていませんね?」

コクコクと首を縦に振った。余計な腹は探られたくない。隣にいるヴィーグに全部預けてある。従魔であるヴィーグを宿には置いておけない野放しには出来ないから、連れてこない選択肢はない。まして、陰になんて入れられなかった。副ギルド長は、私の耳に鑑定を阻害する魔道具があるのを確認して、建物の中に足を踏み入れたのだった。

「お待ちしておりました。私は、マイヨール。第3騎士隊の隊長を務めます。今回のことは、我が隊が担当しているため、お見知りおきを。後ほど、騎士団長と副団長もお見えになると連絡を受けています」

「私は、シーアーバンスの魔法ギルドの副ギルド長レンフール。こっちは、ギルド員のサイカ」

ペコリと頭を下げる私を見て、マイヨールは、なんでこんな新人が一緒なんだ?と訝しげな顔をしている。

「んっんん。サイカは、この事件の被害者です」

「あ、ああ。失礼しました。控え室に移動しましょう」

今度は、なんでこんな子供が狙われたんだ?と不思議そうにしながらも、マイヨールは控え室に案内してくれた。そこで待つこと数分。ばたばたと慌ただしい音がして、扉が開かれた。

「遅くなって、申し・・・・」

黒い騎士服に身を包んだ美丈夫が、謝罪の言葉の途中で硬直した。耳と尻尾の毛が逆立って、尻尾に至ってはピンッ!とこれ以上ないくらいに立っている。

「ん?どうした?」

後ろから現れた濃灰色の騎士服を身に着けたでっかい美青年が、怪訝な顔で美丈夫の肩を叩いている。美丈夫の頭3つ分くらいはデカい。横幅もそれに見合うくらいある。

「は?え?なんで?ここに?」

「おい?大丈夫か?」

私たちは、来てすぐに挙動不審になったその美丈夫の様子をポカンと眺めることしか出来ない。

ガゴン!

「ぅぐがっっっ!」

「いい加減、正気に戻れ!アホが」

美青年の怒声が響いた。その前に響いた物騒な音は、彼が美丈夫の脳天をかち割る音だった。その現場を目の当たりにして、その痛さを想像してしまい、顔が歪む。

「すまん。半身がここにいたことに驚いて、正気を失った」

あの威力をもろともしない彼の頭はどうなっているのだろう。石頭過ぎる。

「「「は?!半身?」」」

半身とはなんぞや?私は、インストールされた情報を検索した。

半身・・・・魂の片割れ。獣人、エルフ、龍人にのみ居る存在。何時何処で出逢えるかも、この世界にいるのかすら分からない唯一無二の相手。手放せば、狂い死ぬこともある。特に大型の獣人は、半身を求める本能が強く、喪った状況によっては、半狂乱になり手がつけられない。

げっ。なんて厄介な存在なんだ。美丈夫は、間違いなく大型の獣人。でも、片割れだなんてどうしたら分かるのかな?

・・・・本能でビビッと惹かれる。

なんて曖昧な。憐れみを込めて副ギルド長をそっと伺い見た。バッチリと目が合う。え?なんで?

「サイカ。私ではありませんよ。私には既に半身がいますから」

私の考えていることが何故、分かったんだろう?と不思議な顔をすれば、副ギルド長は、溜め息を大きくひとつ吐いて、視線を私から未だ扉のところにいる2人に移した。

「改めまして。私は、シーアーバンスの魔法ギルドの副ギルド長レンフール。こちらは、ギルド員のサイカ」

「サイカです」

ん・・・・?ここにいる人の中で、あの人と会ったことがないのは・・・・。考えたくない。本能にビビッ!なんて何も感じなかったし!

『サイカ。こいつは、以前、シーアーバンスの実りの森にいたぞ。と言っても、随分距離が離れていたからな。サイカの視界には入っておらんかったが』

なんと!そんなこと言われても、全く身に覚えがない。

「俺は、この国の王立騎士団の副団長グレイモール。で、このお方は、騎士団長アダベルト王子。現国王の第4子だ」

うっわぁ。王子だって。大きさを無視すれば、美青年くんの方が王子っぽいし、騎士とか、ちょっとイメージが狂うんだけど。魔術師って言われる方がしっくりくる。美丈夫さんが団長なのは、ギルド長で見慣れている。魔法剣士ってこんな感じだよね。って、まあ、そんなことはどうでもいい。

「アダベルトだ。サイカのことは前に1度、シーアーバンスで見かけたことがある。その時は、距離がありすぎて、半信半疑だった。近々会いに行くつもりだったが、間違いなく、君は俺の半身だ」

そんなことを言われても。私は、返答に困って眉を下げ曖昧な表情で誤魔化した。

「そのことは後でふたりで話してくれ。今は、サイカを狙った暗殺者のことだ」

あの人たち、暗殺者って呼ばれてるんだ。なんか、気の毒。

「自供したんですよね?」

それぞれソファーに座り、彼らの行く末についての話し合いが始まった。

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