5 / 12
今までと違います?
今度は、侯爵家の令嬢だった。今までで一番高い爵位だ。そして、死に戻りの中で初めて兄が存在した。5歳離れた兄は私をとても可愛がってくれる。溺愛と言っても過言ではない。
「レイア、明日はお兄様と王宮だよ?ちゃんと用意しておいて」
「はい。アイリス様にお会いできますか?」
アイリス様は第1王子殿下の番だ。この国の公爵家のご令嬢であり、私よりも3歳年上で、殿下よりも2歳下になる。アイリス様はいつもニコニコとしていて優しくしてくださるから大好きだ。
「レイアはアイリス様が大好きだよね。お兄様とどっちが好きなのかな?」
「もちろん、お兄様ですわ」
ここは即答しておかねば、お兄様の機嫌が悪くなる。そうすると私はお兄様のご機嫌が直るまで、餌付けのごとくお菓子を口に運ばれたり、膝に乗せられてお兄様が満足するまで頬や髪にスリスリされたり、とにかくずっと構われ続けてヘトヘトになるのだ。そんなちょっぴり残念なお兄様にはちゃんと婚約者がいる。番ではないけれど、こちらが恥ずかしくなるほど仲が良い。
「ああ。レイアが可愛すぎる」
結局、お兄様に抱き締められスリスリされ続けて、紅茶が冷めてしまった。
翌日は、昼からお兄様と王宮へ行くべく、馬車に揺られている。私が王宮へ行くのはこれが初めてではない。お兄様は第1王子殿下の遊び相手という名の側近のひとりだから、私もお兄様によく連れて来られていたようだ。記憶ではそうなっている。今までの死に戻りでは、ウィリアム殿下の番を見つけるお茶会以外で王宮を訪れたことはなかった。明らかに違いが出始めている。これがどう影響するのか?今回こそは肉体の寿命まで生きてみたい。
王宮に到着すると、兄の友人であり第1王子殿下の側近のひとりであるクラウスが待っていてくれた。この人もこの死に戻りで初めて会うひとりだ。我が家に頻繁に来ては幼い頃から私と遊んでくれていたようだ。
「久しぶりだな、レイ」
クラウスはとっても強面で頑丈そうな身体の持ち主だ。私は小さい頃から見知っているからなんとも思わないが、ご令嬢からは凶悪な熊のようだと恐れられている。そんなクラウスは騎士を目指して日々鍛練しているから、ますます熊に磨きがかかっているのだが、本人は気付いているのだろうか?
「クラウス!」
私は両手を万歳してクラウスに抱っこをねだった。私はクラウスの抱っこが好きだったりする。お兄様たちよりも頭ひとつ分大きいクラウスの縦抱っこは安定感があり、目線が一気に高くなって景色が変わる。
「レイは相変わらず軽いな。ちゃんと食えよ?」
「食べてるよ!もう!女の子に体重の話しはダメよ、クラウス」
「はは。それはすまんな」
全く悪いと思っていない口調だ。
「レイアはもう少し淑女のお勉強がいるようだね?」
「え・・・・。だって、だって、クラウスに抱き上げてもらうと景色が違うんですもの!」
確かに、10歳の女の子はお父様やお兄様といった家族以外の男性に抱き上げられることなんてない。
「まあまあ、ローランド。レイはまだ10歳なんだし。番や婚約者がいるわけでもないんだから」
「そうそう。それに、お兄様がクラウスよりも大きくなってくれればいいのよ。そうしたらクラウスではなくて、お兄様にお願いするわ」
無理でしょうけど。
そんな他愛のない話ができるのもきっと今だけだ。私はもうすぐ11歳になる。第2王子殿下は14歳で番避けの装飾品を身に付け、婚約者もいる。第3王子殿下は11歳。きっと来年には番を探すためのお茶会が開かれるはずだ。
「ハァ」
思わず溜め息が出てしまった。
「どうした、レイ?」
「なんでもないよ」
心配そうに私を見るクラウスに笑顔を向けた。クラウスは見かけと違い、とても優しくて細やかな人なのだ。こんな人に想われるご令嬢は幸せだと思う。
「やっといらしたわね」
第1王子殿下の執務室を訪ねるとアイリス様が待ち構えていた。
「アイリス様♪」
私はいそいそとクラウスから降りると、アイリス様がかっさらうように私をぎゅっと抱き締めた。
「う~ん♪やっぱりレイアは可愛いわね」
アイリス様は見事なふんわりとした金髪に菫色の瞳をしたビスクドールのような容姿をしている。口さえ開かなければ、その儚げな様子に手を差し伸べたくなる。そう、話さなければ・・・・。
「全く遅いわよ!クラウス!ローランド!いつまで待たせるのよ!可愛いレイアとの時間が減るじゃない!」
アイリス様は決して物静かな方ではない。そして、私を可愛いと言う時点で審美眼も狂っていると思う。私は、確かに貴族だからある程度顔立ちは整っているけど、茶金の髪に茶色の瞳というどちらかというと十人並みの容姿だ。
「こら、アイリス。レイアを独り占めするのはよくないな。レイアは本当に可愛いな。俺の妹になって王宮で暮らそう?」
今度は、アイリス様から第1王子殿下に場所が変わった。第1王子殿下とアイリス様は番にもかかわらず、私に関してはお互いに嫉妬を全くしない。いや、違う意味でお互いに牽制し合ってはいるが・・・・。
「あら、素敵な提案ね!是非そうしなさいな」
「なぁっっっ!レイアは僕の妹です!何処にもやりません!」
次はお兄様か。ちょっと力加減が・・・・。く、苦しい。少し息が上がってきたところで天の助けが入った。クラウスがひょいっとお兄様の腕の中から私を抱き上げてくれたのだ。
「ありがとう、クラウス」
「ローランド、レイが窒息しそうだったぞ?」
「ごめんよ、レイア~」
今回の死に戻りは何故か周りに愛され過ぎている気がする。どうかこの幸せな時が少しでも長く続きますように。
「レイア、明日はお兄様と王宮だよ?ちゃんと用意しておいて」
「はい。アイリス様にお会いできますか?」
アイリス様は第1王子殿下の番だ。この国の公爵家のご令嬢であり、私よりも3歳年上で、殿下よりも2歳下になる。アイリス様はいつもニコニコとしていて優しくしてくださるから大好きだ。
「レイアはアイリス様が大好きだよね。お兄様とどっちが好きなのかな?」
「もちろん、お兄様ですわ」
ここは即答しておかねば、お兄様の機嫌が悪くなる。そうすると私はお兄様のご機嫌が直るまで、餌付けのごとくお菓子を口に運ばれたり、膝に乗せられてお兄様が満足するまで頬や髪にスリスリされたり、とにかくずっと構われ続けてヘトヘトになるのだ。そんなちょっぴり残念なお兄様にはちゃんと婚約者がいる。番ではないけれど、こちらが恥ずかしくなるほど仲が良い。
「ああ。レイアが可愛すぎる」
結局、お兄様に抱き締められスリスリされ続けて、紅茶が冷めてしまった。
翌日は、昼からお兄様と王宮へ行くべく、馬車に揺られている。私が王宮へ行くのはこれが初めてではない。お兄様は第1王子殿下の遊び相手という名の側近のひとりだから、私もお兄様によく連れて来られていたようだ。記憶ではそうなっている。今までの死に戻りでは、ウィリアム殿下の番を見つけるお茶会以外で王宮を訪れたことはなかった。明らかに違いが出始めている。これがどう影響するのか?今回こそは肉体の寿命まで生きてみたい。
王宮に到着すると、兄の友人であり第1王子殿下の側近のひとりであるクラウスが待っていてくれた。この人もこの死に戻りで初めて会うひとりだ。我が家に頻繁に来ては幼い頃から私と遊んでくれていたようだ。
「久しぶりだな、レイ」
クラウスはとっても強面で頑丈そうな身体の持ち主だ。私は小さい頃から見知っているからなんとも思わないが、ご令嬢からは凶悪な熊のようだと恐れられている。そんなクラウスは騎士を目指して日々鍛練しているから、ますます熊に磨きがかかっているのだが、本人は気付いているのだろうか?
「クラウス!」
私は両手を万歳してクラウスに抱っこをねだった。私はクラウスの抱っこが好きだったりする。お兄様たちよりも頭ひとつ分大きいクラウスの縦抱っこは安定感があり、目線が一気に高くなって景色が変わる。
「レイは相変わらず軽いな。ちゃんと食えよ?」
「食べてるよ!もう!女の子に体重の話しはダメよ、クラウス」
「はは。それはすまんな」
全く悪いと思っていない口調だ。
「レイアはもう少し淑女のお勉強がいるようだね?」
「え・・・・。だって、だって、クラウスに抱き上げてもらうと景色が違うんですもの!」
確かに、10歳の女の子はお父様やお兄様といった家族以外の男性に抱き上げられることなんてない。
「まあまあ、ローランド。レイはまだ10歳なんだし。番や婚約者がいるわけでもないんだから」
「そうそう。それに、お兄様がクラウスよりも大きくなってくれればいいのよ。そうしたらクラウスではなくて、お兄様にお願いするわ」
無理でしょうけど。
そんな他愛のない話ができるのもきっと今だけだ。私はもうすぐ11歳になる。第2王子殿下は14歳で番避けの装飾品を身に付け、婚約者もいる。第3王子殿下は11歳。きっと来年には番を探すためのお茶会が開かれるはずだ。
「ハァ」
思わず溜め息が出てしまった。
「どうした、レイ?」
「なんでもないよ」
心配そうに私を見るクラウスに笑顔を向けた。クラウスは見かけと違い、とても優しくて細やかな人なのだ。こんな人に想われるご令嬢は幸せだと思う。
「やっといらしたわね」
第1王子殿下の執務室を訪ねるとアイリス様が待ち構えていた。
「アイリス様♪」
私はいそいそとクラウスから降りると、アイリス様がかっさらうように私をぎゅっと抱き締めた。
「う~ん♪やっぱりレイアは可愛いわね」
アイリス様は見事なふんわりとした金髪に菫色の瞳をしたビスクドールのような容姿をしている。口さえ開かなければ、その儚げな様子に手を差し伸べたくなる。そう、話さなければ・・・・。
「全く遅いわよ!クラウス!ローランド!いつまで待たせるのよ!可愛いレイアとの時間が減るじゃない!」
アイリス様は決して物静かな方ではない。そして、私を可愛いと言う時点で審美眼も狂っていると思う。私は、確かに貴族だからある程度顔立ちは整っているけど、茶金の髪に茶色の瞳というどちらかというと十人並みの容姿だ。
「こら、アイリス。レイアを独り占めするのはよくないな。レイアは本当に可愛いな。俺の妹になって王宮で暮らそう?」
今度は、アイリス様から第1王子殿下に場所が変わった。第1王子殿下とアイリス様は番にもかかわらず、私に関してはお互いに嫉妬を全くしない。いや、違う意味でお互いに牽制し合ってはいるが・・・・。
「あら、素敵な提案ね!是非そうしなさいな」
「なぁっっっ!レイアは僕の妹です!何処にもやりません!」
次はお兄様か。ちょっと力加減が・・・・。く、苦しい。少し息が上がってきたところで天の助けが入った。クラウスがひょいっとお兄様の腕の中から私を抱き上げてくれたのだ。
「ありがとう、クラウス」
「ローランド、レイが窒息しそうだったぞ?」
「ごめんよ、レイア~」
今回の死に戻りは何故か周りに愛され過ぎている気がする。どうかこの幸せな時が少しでも長く続きますように。
あなたにおすすめの小説
番認定された王女は愛さない
青葉めいこ
恋愛
世界最強の帝国の統治者、竜帝は、よりによって爬虫類が生理的に駄目な弱小国の王女リーヴァを番認定し求婚してきた。
人間であるリーヴァには番という概念がなく相愛の婚約者シグルズもいる。何より、本性が爬虫類もどきの竜帝を絶対に愛せない。
けれど、リーヴァの本心を無視して竜帝との結婚を決められてしまう。
竜帝と結婚するくらいなら死を選ぼうとするリーヴァにシグルスはある提案をしてきた。
番を否定する意図はありません。
小説家になろうにも投稿しています。
全てを疑う婚約者は運命の番も疑う
夏見颯一
恋愛
疑ってかかる婚約者は全てを疑ってかかる。
タイトル通りです。
何かが起こっているようで、疑った所為で結果的には何も起きなかった。そんな話です。
5話+番外編。
【彼の両親の運命】だけは死にネタです。ご注意下さい。
一話完結型。
運命の番の話を書いてみたかったので書いてみました。
番に関して少し独自解釈があります。
今、私は幸せなの。ほっといて
青葉めいこ
ファンタジー
王族特有の色彩を持たない無能な王子をサポートするために婚約した公爵令嬢の私。初対面から王子に悪態を吐かれていたので、いつか必ず婚約を破談にすると決意していた。
卒業式のパーティーで、ある告白(告発?)をし、望み通り婚約は破談となり修道女になった。
そんな私の元に、元婚約者やら弟やらが訪ねてくる。
「今、私は幸せなの。ほっといて」
小説家になろうにも投稿しています。
忌むべき番
藍田ひびき
恋愛
「メルヴィ・ハハリ。お前との婚姻は無効とし、国外追放に処す。その忌まわしい姿を、二度と俺に見せるな」
メルヴィはザブァヒワ皇国の皇太子ヴァルラムの番だと告げられ、強引に彼の後宮へ入れられた。しかしヴァルラムは他の妃のもとへ通うばかり。さらに、真の番が見つかったからとメルヴィへ追放を言い渡す。
彼は知らなかった。それこそがメルヴィの望みだということを――。
※ 8/4 誤字修正しました。
※ なろうにも投稿しています。
愛があれば、何をしてもいいとでも?
篠月珪霞
恋愛
「おいで」と優しく差し伸べられた手をとってしまったのが、そもそもの間違いだった。
何故、あのときの私は、それに縋ってしまったのか。
生まれ変わった今、再びあの男と対峙し、後悔と共に苦い思い出が蘇った。
「我が番よ、どうかこの手を取ってほしい」
過去とまったく同じ台詞、まったく同じ、焦がれるような表情。
まるであのときまで遡ったようだと錯覚させられるほどに。
龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜
クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。
生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。
母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。
そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。
それから〜18年後
約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。
アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。
いざ〜龍国へ出発した。
あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね??
確か双子だったよね?
もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜!
物語に登場する人物達の視点です。
愛を語れない関係【完結】
迷い人
恋愛
婚約者の魔導師ウィル・グランビルは愛すべき義妹メアリーのために、私ソフィラの全てを奪おうとした。 家族が私のために作ってくれた魔道具まで……。
そして、時が戻った。
だから、もう、何も渡すものか……そう決意した。
貴方は私の番です、結婚してください!
ましろ
恋愛
ようやく見つけたっ!
それはまるで夜空に輝く真珠星のように、彼女だけが眩しく浮かび上がった。
その輝きに手を伸ばし、
「貴方は私の番ですっ、結婚して下さい!」
「は?お断りしますけど」
まさか断られるとは思わず、更には伸ばした腕をむんずと掴まれ、こちらの勢いを利用して投げ飛ばされたのだ!
番を見つけた獣人の男と、番の本能皆無の人間の女の求婚劇。
✻ゆるふわ設定です。
気を付けていますが、誤字脱字などがある為、あとからこっそり修正することがあります。