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何故?何故こんなことに?
わたくしは誰からも愛され、誰よりも大切にされなければならないのよ?だってそうでしょう?わたくし以上に美しく優れた者などどこを探してもいないのですもの。
なのに!お姉様のせいよ。そうよ!すべてお姉様が悪いのよ!
わたくしは到底相応しくはない薄暗くじめじめした牢に入れられる原因となった双子の姉シュシュに憎しみを向けた。
わたくしは、リルアイゼ・ローズテリア。今を誇るグランダ侯爵家の令嬢であり、ローズテリア王国の第3王子妃であり、そして・・・・女神の愛し子だ。なのに!なのになのに!!!あの女!容姿、美貌、愛嬌、魔力、能力、知性、全てがわたくしより数段劣る、いいえ、足元にも及ばないくせに!わたくしがあの女をお姉様と呼ぶのも、あの女の無能さが際立つからよ。フフフ。産まれたときからあの女はわたくしの踏み台なのよ。それ以外にあの女に価値なんてないわ。お父様もお母様もお祖父様やお祖母様だってわたくしの言うことは何でも聞いてくださったし、何をしても褒めてくださったわ。そうよ。わたくしは、この世界で誰よりも愛されて、羨望の眼差しを受けるのに相応しい唯一の女性なのよ。
カツカツカツカツ
「リルアイゼ嬢」
久し振りに名前を呼ばれて顔をあげると、そこには、王太子殿下とお兄様が格子を挟んだ向かい側に立っていた。
ガタン!
「早くここから出しなさい!わたくしは女神の愛し子ですのよ。このように扱われる謂れはないわ!」
わたくしは格子を握り締めて目の前にいるふたりを睨み付けた。
「リル・・・・」
お兄様は悲しそうにわたくしを見つめた。そのような目で見られる謂れはないわ。
「君の処分が決まったよ」
処分?処分て何よ?わたくしは愛し子としての使命を全うするだけよ!
「わたくしは女神の愛し子です。女神様以外の方から処分など出来ませんわ」
「リル、君は」
「ライナス」
何か言おうとしたお兄様の言葉を王太子殿下が遮った。
「君には、極北にある修道院に行ってもらう」
しゅうどういん・・・・。修道院!
「フン!その様なところ、お姉様が行けばいいのではなくて?」
「嫌なら、処刑だ。毒杯を煽ってもらう。本来なら公開処刑だが、それだとシュシュ嬢に知られるからな。君の死を望まない彼女を無闇に傷つけたくはない。明日、係りの者が来る。それまでに決めておけ」
シュシュですって?!あんな女を気遣う必要なんてありませんわ!それにわたくしを処刑する?!何を言っているの?この男は!
「リルアイゼ。昨日、父上は西の鉱山に、母上は南の修道院に送られたよ。私たちは、どうしてこうなってしまったんだろうね。私も・・シュシュも・・・・家族を愛していたのに」
そのお父様とお母様を見捨てたのはお兄様ですのよ。そのお兄様の涙にどれ程の価値があるのかしら?わたくしが泣いたらお父様とお母様はさぞ喜んでくれるでしょうね。
「わたくしは、わたくし以外を愛したことなどありませんわ。お姉様のことはずっと大嫌いですのよ?同じお腹の中にいたと思うだけで吐き気がしますわ。わたくしの引き立て役の癖に、普通がいいだなんて、わたくしをあまりにバカにしてますわ。美しくて何が悪いというの?わたくしほどの美しさを持った女性はおりませんわ。わたくしは、わたくしに相応しいものを求めているだけですの。自分に正直に生きているだけですわ。女神の愛し子だって、わたくし以外の誰がなれるとお思い?それなのに!!!普通を望んだお姉様が女神の愛し子?あり得ないわ!!!なれるはずないのよ!あんな無能に!無能なお姉様は幸せになんてなってはいけないのよ!」
お兄様も王太子殿下も呆気にとられている。わたくしは少し興奮したせいかハァハァと息が荒くなった。
「リルはシュシュをそんなふうに見ていたんだね」
「ええ。お姉様と似たような洋服や靴なんて恥ずかしくて履けませんでしたわ。あんな、なんの役にも立たないお姉様に新しい服や靴を与えるなど無駄なことをさせないために、全てわたくしのために誂えさせていたのに。お兄様が余計なことをなさるから」
「リルアイゼには充分与えられていただろう?」
「あら、豚に真珠と言う諺をご存じなくて?ですから、わたくしが身につけて差し上げていたのですよ?そんなことはどうでもいいですわ。さっさとここからわたくしを出しなさい。そうすれば、温情くらい与えてあげますわよ?」
そう、わたくしは最高の女性でいなくてはならないのよ。
「ハァ。ここまで酷いとはな。ライナス。無理だと分かっただろう?」
「ああ。無理を言ってすまなかった」
お兄様は最後にわたくしと目を合わせ「愛していたよ、リル」と言うと、振り返ることなくふたりはわたくしをこの薄汚い場所に残して去って行った。翌日、わたくしは有無を言わさず、盃を賜ることになった。魔力を封じられたわたくしの抵抗など何の意味もなさなかった。
~END~
最後までお読みいただき、ありがとうございました\(^o^)/
わたくしは誰からも愛され、誰よりも大切にされなければならないのよ?だってそうでしょう?わたくし以上に美しく優れた者などどこを探してもいないのですもの。
なのに!お姉様のせいよ。そうよ!すべてお姉様が悪いのよ!
わたくしは到底相応しくはない薄暗くじめじめした牢に入れられる原因となった双子の姉シュシュに憎しみを向けた。
わたくしは、リルアイゼ・ローズテリア。今を誇るグランダ侯爵家の令嬢であり、ローズテリア王国の第3王子妃であり、そして・・・・女神の愛し子だ。なのに!なのになのに!!!あの女!容姿、美貌、愛嬌、魔力、能力、知性、全てがわたくしより数段劣る、いいえ、足元にも及ばないくせに!わたくしがあの女をお姉様と呼ぶのも、あの女の無能さが際立つからよ。フフフ。産まれたときからあの女はわたくしの踏み台なのよ。それ以外にあの女に価値なんてないわ。お父様もお母様もお祖父様やお祖母様だってわたくしの言うことは何でも聞いてくださったし、何をしても褒めてくださったわ。そうよ。わたくしは、この世界で誰よりも愛されて、羨望の眼差しを受けるのに相応しい唯一の女性なのよ。
カツカツカツカツ
「リルアイゼ嬢」
久し振りに名前を呼ばれて顔をあげると、そこには、王太子殿下とお兄様が格子を挟んだ向かい側に立っていた。
ガタン!
「早くここから出しなさい!わたくしは女神の愛し子ですのよ。このように扱われる謂れはないわ!」
わたくしは格子を握り締めて目の前にいるふたりを睨み付けた。
「リル・・・・」
お兄様は悲しそうにわたくしを見つめた。そのような目で見られる謂れはないわ。
「君の処分が決まったよ」
処分?処分て何よ?わたくしは愛し子としての使命を全うするだけよ!
「わたくしは女神の愛し子です。女神様以外の方から処分など出来ませんわ」
「リル、君は」
「ライナス」
何か言おうとしたお兄様の言葉を王太子殿下が遮った。
「君には、極北にある修道院に行ってもらう」
しゅうどういん・・・・。修道院!
「フン!その様なところ、お姉様が行けばいいのではなくて?」
「嫌なら、処刑だ。毒杯を煽ってもらう。本来なら公開処刑だが、それだとシュシュ嬢に知られるからな。君の死を望まない彼女を無闇に傷つけたくはない。明日、係りの者が来る。それまでに決めておけ」
シュシュですって?!あんな女を気遣う必要なんてありませんわ!それにわたくしを処刑する?!何を言っているの?この男は!
「リルアイゼ。昨日、父上は西の鉱山に、母上は南の修道院に送られたよ。私たちは、どうしてこうなってしまったんだろうね。私も・・シュシュも・・・・家族を愛していたのに」
そのお父様とお母様を見捨てたのはお兄様ですのよ。そのお兄様の涙にどれ程の価値があるのかしら?わたくしが泣いたらお父様とお母様はさぞ喜んでくれるでしょうね。
「わたくしは、わたくし以外を愛したことなどありませんわ。お姉様のことはずっと大嫌いですのよ?同じお腹の中にいたと思うだけで吐き気がしますわ。わたくしの引き立て役の癖に、普通がいいだなんて、わたくしをあまりにバカにしてますわ。美しくて何が悪いというの?わたくしほどの美しさを持った女性はおりませんわ。わたくしは、わたくしに相応しいものを求めているだけですの。自分に正直に生きているだけですわ。女神の愛し子だって、わたくし以外の誰がなれるとお思い?それなのに!!!普通を望んだお姉様が女神の愛し子?あり得ないわ!!!なれるはずないのよ!あんな無能に!無能なお姉様は幸せになんてなってはいけないのよ!」
お兄様も王太子殿下も呆気にとられている。わたくしは少し興奮したせいかハァハァと息が荒くなった。
「リルはシュシュをそんなふうに見ていたんだね」
「ええ。お姉様と似たような洋服や靴なんて恥ずかしくて履けませんでしたわ。あんな、なんの役にも立たないお姉様に新しい服や靴を与えるなど無駄なことをさせないために、全てわたくしのために誂えさせていたのに。お兄様が余計なことをなさるから」
「リルアイゼには充分与えられていただろう?」
「あら、豚に真珠と言う諺をご存じなくて?ですから、わたくしが身につけて差し上げていたのですよ?そんなことはどうでもいいですわ。さっさとここからわたくしを出しなさい。そうすれば、温情くらい与えてあげますわよ?」
そう、わたくしは最高の女性でいなくてはならないのよ。
「ハァ。ここまで酷いとはな。ライナス。無理だと分かっただろう?」
「ああ。無理を言ってすまなかった」
お兄様は最後にわたくしと目を合わせ「愛していたよ、リル」と言うと、振り返ることなくふたりはわたくしをこの薄汚い場所に残して去って行った。翌日、わたくしは有無を言わさず、盃を賜ることになった。魔力を封じられたわたくしの抵抗など何の意味もなさなかった。
~END~
最後までお読みいただき、ありがとうございました\(^o^)/
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