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新しい人生
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目覚めの悪い夢を見た。
その世界で俺には優しい恋人がいたが、同時に心に残る別れ方を引きずっていた。
すっきりした別れ方をすれば良かったのに、俺は逃げたんだ。
直接聞くのが怖くて、面と向かって顔が見えなかった。
話し合わないといけなかった、もう後悔しても遅いけど。
話し合いで彼の気持ちが変わるとは思っていない。
決めた事は絶対に曲げるような人ではない。
それにキスをしていたのは遠目でも彼だとすぐに思った。
あんなに存在感がある顔は見た事がない、兄弟がいない限り。
彼は自分の家を話したがらないから無理に聞いたりはしなかった。
俺はあれから何年経っても、受け入れられないのは可笑しいよな。
もう病弱な俺ではない、あの時の俺は病気で死んだ。
生まれ変わったんだ、彼のいないこの世界に…
よくテレビで見る大企業のニュースで幸せそうな彼の姿を見る事はない。
嬉しいはずなのに、気持ちが晴れる事はない。
嫌な奴だな、俺は…好きな人の幸せを願えないなんて…
「ユート、こっちとこっちどっちがいい?」
「え、えーっと…こっち」
「じゃあこっちにしよ!」
姉は俺の前に来て、二着の白と青のドレスを見せてきた。
どちらでも似合うと思うが、色が付いた方がいいかと思って青のドレスを指差した。
すると迷いなく姉は青のドレスを椅子に置いて白のドレスを手に取って自分の部屋に向かった。
もう決まっていたならなんで俺に聞いたのだろうか。
いつも通りの姉を見ると安心する、昨日とは違い変わったのは俺だけだ。
夢で前世の記憶を思い出して、俺は全てを思い出した。
もう六歳なのに、どうしてという気持ちが強い。
今更思い出したところで、俺にはどうする事も出来ない。
そこまで俺の心の奥深くに残っていたって事なのかな。
この世界は前世に住んでいた国とは違い、西洋のような国だ。
名前はユート、下層部と呼ばれる地下街に住んでいる。
地下街は治安がよろしくなく、盗みは日常的に行われていて他にも血生臭い事件もそう珍しくはない。
俺は四人家族で地下街の端の治安がマシくらいの住宅街に住んでいる。
姉のリーナはいつか上層部に住んで、王子様と結ばれる事を夢見ている。
上層部は貴族街で、俺達のような地下街の人間は嫌悪されていると聞いた事がある。
俺も外に怯えて過ごす必要がなくなるなら何処にでも行きたい。
でも、必死に働いても貴族は血筋だから難しい。
窓を見ると、光が差さない地下街は外灯だけで照らす。
危ないからと家の前でしか出かけるのを許されていない。
大人になっても地下街を自由に歩けるわけではない。
治安が悪いところは大人になっても変わらない。
リーナはドレスを着て何処に行くつもりなんだろう。
ここでおしゃれをして行く場所なんてあっただろうか。
窓から離れて、台所で食器を洗っている母に近付いてみる。
「お母さん、何処かに行くの?」
「お得意様にパーティーでお呼ばれされたのよ、ユートも行く?」
「俺は、おしゃれな服とか持ってないから」
「あらそうね、ユートの服も作っておくべきだったわね」
母は仕立て屋の仕事をしていて、お客さんは地下街だけではなく噂を聞いた貴族達もいる。
リーナのドレスも母の手作りだ、おしゃれとかよく分からない俺は普通にラフなシャツとズボンだけでいいと思っている。
父は商人で世界を回っているから滅多に家に帰ってこないから二人だけで行くのだろう。
俺は一人で留守番だけど、記憶を思い出した今…気持ちは十八歳になった。
留守番くらい出来る、家を出なければなんという事もない。
おしゃれをしたリーナと母を見送って、俺は自分の部屋に入った。
身だしなみを整える大きな鏡の前に立って髪を弄る。
昨日までは何とも思わなかったが、この顔見た事あるな。
そう思うとリーナも見た事があるが、何処で見たんだろう。
それは生まれ変わった今ではなく、生まれる前の世界で見た気がする。
茶髪の普通の顔の少年、茶髪に腰まで長いロングヘアーの少女。
名前はユートとリーナで、下層部に住む姉弟。
俺がいた世界とは違うから、見たならフィクションの世界だろうか。
テレビをあまり見た事がない、記憶があるとしたらゲーム。
彼に似た人とあの子に似たヒロインにばかり引っ張られていて、他のキャラクターの記憶が薄い。
その中でもヒロインに意地悪をしていた少女を思い出した。
お姫様になる事を夢見ていて、弟に頭がお花畑と言われていた。
下層部出身で少女は美しい少年と出会い、恋に落ちる。
必死にか弱い少女を演じていたが、ヒロインに想いを寄せている事を知り陥れるために弟と力を合わせてヒロインに攻撃を仕掛ける。
その間にヒロインを好きになった弟はヒロインを脅して自分のものにしようとする。
結局どのルートの結末も姉弟が酷い目に遭って終わる。
その結末は酷いもので、国外通報や地下街強制労働をさせられて、最悪死んでしまう。
酷い事をしていたから罰を受けるのは当然だが、生まれ変わっても絶対にこの二人になりたくない。
ゲームを実写化したらこんな顔になるかなと思う顔が目の前にある。
いや、そんな事あるわけない…トラウマが勝手にそう思わせるだけだ。
リーナだって今パーティーに向かってるけど、まさかな。
鏡の向こうからこちらを見つめる顔を眺める。
このキャラクターって、ほんのり前世の俺に似てるのは気のせいかな。
頬を引っ張ってみても痛いだけで、何も変わらない。
とりあえずお腹が減ったから、母が作り置きした夕飯を食べよう。
電子レンジがないこの世界では、火起こしの石を擦って原始的な方法で火を付けて鍋のものを温める。
上層部にはかざすだけで火が出る魔法石があるって聞いたけど本当かな。
滅多に取れない石だからお金がある貴族にしか買えない。
そういえばゲームでも貴族達が石を使って魔法を使っていた気がする。
いや、いやいやいや…この世界はゲームの世界じゃないって思わないと…
また逃げているけど、結末を知っていたら逃げたくもなる。
0.1%でも否定出来る事があれば俺は認めたくない。
だって、もしこの世界がゲームの世界だとしたら俺はどうすればいいんだ。
魂は違っても彼のそっくりなキャラクターがいて、あの少女にそっくりなヒロインを好きになる。
上層部で行われる事だとしても、いつか見てしまう事がある。
まだ未練がましいな、もう俺の恋は終わっているのに…
その世界で俺には優しい恋人がいたが、同時に心に残る別れ方を引きずっていた。
すっきりした別れ方をすれば良かったのに、俺は逃げたんだ。
直接聞くのが怖くて、面と向かって顔が見えなかった。
話し合わないといけなかった、もう後悔しても遅いけど。
話し合いで彼の気持ちが変わるとは思っていない。
決めた事は絶対に曲げるような人ではない。
それにキスをしていたのは遠目でも彼だとすぐに思った。
あんなに存在感がある顔は見た事がない、兄弟がいない限り。
彼は自分の家を話したがらないから無理に聞いたりはしなかった。
俺はあれから何年経っても、受け入れられないのは可笑しいよな。
もう病弱な俺ではない、あの時の俺は病気で死んだ。
生まれ変わったんだ、彼のいないこの世界に…
よくテレビで見る大企業のニュースで幸せそうな彼の姿を見る事はない。
嬉しいはずなのに、気持ちが晴れる事はない。
嫌な奴だな、俺は…好きな人の幸せを願えないなんて…
「ユート、こっちとこっちどっちがいい?」
「え、えーっと…こっち」
「じゃあこっちにしよ!」
姉は俺の前に来て、二着の白と青のドレスを見せてきた。
どちらでも似合うと思うが、色が付いた方がいいかと思って青のドレスを指差した。
すると迷いなく姉は青のドレスを椅子に置いて白のドレスを手に取って自分の部屋に向かった。
もう決まっていたならなんで俺に聞いたのだろうか。
いつも通りの姉を見ると安心する、昨日とは違い変わったのは俺だけだ。
夢で前世の記憶を思い出して、俺は全てを思い出した。
もう六歳なのに、どうしてという気持ちが強い。
今更思い出したところで、俺にはどうする事も出来ない。
そこまで俺の心の奥深くに残っていたって事なのかな。
この世界は前世に住んでいた国とは違い、西洋のような国だ。
名前はユート、下層部と呼ばれる地下街に住んでいる。
地下街は治安がよろしくなく、盗みは日常的に行われていて他にも血生臭い事件もそう珍しくはない。
俺は四人家族で地下街の端の治安がマシくらいの住宅街に住んでいる。
姉のリーナはいつか上層部に住んで、王子様と結ばれる事を夢見ている。
上層部は貴族街で、俺達のような地下街の人間は嫌悪されていると聞いた事がある。
俺も外に怯えて過ごす必要がなくなるなら何処にでも行きたい。
でも、必死に働いても貴族は血筋だから難しい。
窓を見ると、光が差さない地下街は外灯だけで照らす。
危ないからと家の前でしか出かけるのを許されていない。
大人になっても地下街を自由に歩けるわけではない。
治安が悪いところは大人になっても変わらない。
リーナはドレスを着て何処に行くつもりなんだろう。
ここでおしゃれをして行く場所なんてあっただろうか。
窓から離れて、台所で食器を洗っている母に近付いてみる。
「お母さん、何処かに行くの?」
「お得意様にパーティーでお呼ばれされたのよ、ユートも行く?」
「俺は、おしゃれな服とか持ってないから」
「あらそうね、ユートの服も作っておくべきだったわね」
母は仕立て屋の仕事をしていて、お客さんは地下街だけではなく噂を聞いた貴族達もいる。
リーナのドレスも母の手作りだ、おしゃれとかよく分からない俺は普通にラフなシャツとズボンだけでいいと思っている。
父は商人で世界を回っているから滅多に家に帰ってこないから二人だけで行くのだろう。
俺は一人で留守番だけど、記憶を思い出した今…気持ちは十八歳になった。
留守番くらい出来る、家を出なければなんという事もない。
おしゃれをしたリーナと母を見送って、俺は自分の部屋に入った。
身だしなみを整える大きな鏡の前に立って髪を弄る。
昨日までは何とも思わなかったが、この顔見た事あるな。
そう思うとリーナも見た事があるが、何処で見たんだろう。
それは生まれ変わった今ではなく、生まれる前の世界で見た気がする。
茶髪の普通の顔の少年、茶髪に腰まで長いロングヘアーの少女。
名前はユートとリーナで、下層部に住む姉弟。
俺がいた世界とは違うから、見たならフィクションの世界だろうか。
テレビをあまり見た事がない、記憶があるとしたらゲーム。
彼に似た人とあの子に似たヒロインにばかり引っ張られていて、他のキャラクターの記憶が薄い。
その中でもヒロインに意地悪をしていた少女を思い出した。
お姫様になる事を夢見ていて、弟に頭がお花畑と言われていた。
下層部出身で少女は美しい少年と出会い、恋に落ちる。
必死にか弱い少女を演じていたが、ヒロインに想いを寄せている事を知り陥れるために弟と力を合わせてヒロインに攻撃を仕掛ける。
その間にヒロインを好きになった弟はヒロインを脅して自分のものにしようとする。
結局どのルートの結末も姉弟が酷い目に遭って終わる。
その結末は酷いもので、国外通報や地下街強制労働をさせられて、最悪死んでしまう。
酷い事をしていたから罰を受けるのは当然だが、生まれ変わっても絶対にこの二人になりたくない。
ゲームを実写化したらこんな顔になるかなと思う顔が目の前にある。
いや、そんな事あるわけない…トラウマが勝手にそう思わせるだけだ。
リーナだって今パーティーに向かってるけど、まさかな。
鏡の向こうからこちらを見つめる顔を眺める。
このキャラクターって、ほんのり前世の俺に似てるのは気のせいかな。
頬を引っ張ってみても痛いだけで、何も変わらない。
とりあえずお腹が減ったから、母が作り置きした夕飯を食べよう。
電子レンジがないこの世界では、火起こしの石を擦って原始的な方法で火を付けて鍋のものを温める。
上層部にはかざすだけで火が出る魔法石があるって聞いたけど本当かな。
滅多に取れない石だからお金がある貴族にしか買えない。
そういえばゲームでも貴族達が石を使って魔法を使っていた気がする。
いや、いやいやいや…この世界はゲームの世界じゃないって思わないと…
また逃げているけど、結末を知っていたら逃げたくもなる。
0.1%でも否定出来る事があれば俺は認めたくない。
だって、もしこの世界がゲームの世界だとしたら俺はどうすればいいんだ。
魂は違っても彼のそっくりなキャラクターがいて、あの少女にそっくりなヒロインを好きになる。
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