7 / 52
姉弟
しおりを挟む
十五歳になり、物語が近付いているのも分かる。
地下街の子供が上層部の貴族に拾われる事がある。
身寄りがない子は珍しくなく、一人で生きていく事は難しくそのまま…という事もある。
貴族はその中で気に入った子供を拾ったりしている。
良くて養子として迎えられ、悪い場合は酷い目に遭うと聞いた事がある。
貴族に拾われるのは珍しい事で、それだけで地下街で噂は広まる。
セレナという身寄りがない少女が貴族に養子として拾われた。
俺とリーナはその子に覚えがあった。
まだ始まってはいないが、ここまで来たんだなと窓を見つめる。
何も変わりがない道を人が歩いているのが見えた。
「なんで、あの子が…」
珍しくリーナが呟いていて、怒っているような顔をしていた。
リーナは何度かお呼ばれしているパーティー会場で会った少女が上層部に行くのが腹立たしいのだろう。
近くにいたからリーナが一番上層部に行きたいと思っていたのは分かっている。
でも、リーナのこの怒りはそれだけではない。
パーティー会場で一目惚れした少年は黒髪の少女に贈り物をしているのを目撃した。
それだけでもショックなのに、少女は同じ下層部出身だった。
同じ下層部出身で、黒髪の少女は身寄りがない…負けたのが信じられないようだ。
俺は詳しくリーナから聞いていない、全てはゲームの記憶を頼りにしている。
セレナが拾われたのは悪名高い伯爵家だった。
表向きは薬の売買をしているが、実は貴族向けに違法な薬を売っている。
魔法石がなくても魔法使いのように杖を使って魔法が使える筋肉を改造する。
これさえあれば人間の上、神になれると信じている貴族は多い。
しかしこの薬には恐ろしい副作用がある、ゲームの敵はリーナと俺だとするとセレナを拾った伯爵家は世界の敵だ。
セレナは後継者として呼ばれた他に、後に騎士団長になる彼と親しいのも理由だ。
ヒロインは悪に染まらず好きな人と悪と立ち向かう物語。
俺とリーナは物語を盛り上げる存在でしかない。
姉だから、リーナにはセレナ達の事は忘れてほしい気持ちでいっぱいだ。
関わっても何もいい事なんてない、リーナだって可愛いんだからきっと素敵な人と巡り合える。
……俺は、未練がましくて恋愛をする気にはなれないけど…
「お姉ちゃん、そろそろセレナさんの事は忘れよう、ね?」
「私はこの国で一番の幸せになりたいの!お姫様になるんだから」
「でも、今のままじゃ幸せにはなれないよ…ずっと引きずってたら素敵な人にきっと巡り合えないよ」
「もう会ってるわ!アルフリード様のお嫁さんになるの!」
「あっ…お姉ちゃん!」
リーナは叫んで、勢いに任せて家を飛び出してしまった。
俺も慌ててリーナを追いかけるが、少し走ると見失ってしまった。
ゲームではこの時はまだリーナになにか起こる事はない。
今までがシナリオ通りなら、なにかが起こるのはリーナが十七歳になった時。
セレナは家の秘密を知り、追っ手から逃げていくと騎士団長に助けられて騎士団の兵舎でメイドとして働く事になる。
リーナも同じくメイドとして働くんだったっけ。
二人が友達になれるストーリーがあってもいいのにな。
ゲーム通りに進んでも、ここは現実の話だ。
来年俺は学校に通う、喧嘩するわけにはいかない。
俺がゲームの知識を持っているのはゲームを変える事が出来るという事だ。
リーナを助けないと、このままだと取り返しがつかない事になる。
俺が学校に通ったら家以外で滅多に会えなくなるから、今のうちにリーナには心変わりしてもらわないと…
「家の前で何やってるの」
「お姉ちゃん!帰ってくるの早いね、いや…無事で何より」
「何年ここに住んでると思ってるの、まぁもうすぐ貴族の仲間入りするけど」
いつもの調子を取り戻したから、また喧嘩しないように口を紡いだ。
家に帰ると、部屋に戻ろうとするリーナを引き止めた。
リーナは嫌そうな顔をしつつも、気になるのか足を止めてくれた。
リーナは騎士団長以外に気になる人はいないのかな。
ゲームではなかったが、もしかしたら他にもいるのかもしれない。
騎士団長を好きになっても、きっとヒロインしか好きにならない。
それだけなら俺が口出す事はないが、そのせいでリーナは可笑しくなり最悪の結末を迎える。
茶髪に触れながら退屈そうなリーナに口を開いた。
「お姉ちゃんは学校で好きな人いない?」
「なんで?」
「え?だって学校には貴族の息子とかいるじゃん」
騎士団長は姉の三歳上だから学校は卒業している。
俺とリーナが通う学校は上層部にある子供なら誰でも通える大きな学校。
十六歳から通えて十八歳で卒業する高校のようなものだ。
学校に通う前に基本な知識はそれぞれの家庭で学び、この学校では専門的な知識を学ぶ。
貴族の子も地下街の子も、この時は同じ学生。
理由がないと地下街の人間は上層部に行く事が出来ないが、子供なら学校に通う理由として初めて上層部を知る。
リーナは母の付き添いでパーティーに呼ばれたから初めてではない。
普通の人は大人になったらもう行く事が出来ない、楽しかった記憶は悲しい記憶になる。
地下街の子供が上層部の貴族に拾われる事がある。
身寄りがない子は珍しくなく、一人で生きていく事は難しくそのまま…という事もある。
貴族はその中で気に入った子供を拾ったりしている。
良くて養子として迎えられ、悪い場合は酷い目に遭うと聞いた事がある。
貴族に拾われるのは珍しい事で、それだけで地下街で噂は広まる。
セレナという身寄りがない少女が貴族に養子として拾われた。
俺とリーナはその子に覚えがあった。
まだ始まってはいないが、ここまで来たんだなと窓を見つめる。
何も変わりがない道を人が歩いているのが見えた。
「なんで、あの子が…」
珍しくリーナが呟いていて、怒っているような顔をしていた。
リーナは何度かお呼ばれしているパーティー会場で会った少女が上層部に行くのが腹立たしいのだろう。
近くにいたからリーナが一番上層部に行きたいと思っていたのは分かっている。
でも、リーナのこの怒りはそれだけではない。
パーティー会場で一目惚れした少年は黒髪の少女に贈り物をしているのを目撃した。
それだけでもショックなのに、少女は同じ下層部出身だった。
同じ下層部出身で、黒髪の少女は身寄りがない…負けたのが信じられないようだ。
俺は詳しくリーナから聞いていない、全てはゲームの記憶を頼りにしている。
セレナが拾われたのは悪名高い伯爵家だった。
表向きは薬の売買をしているが、実は貴族向けに違法な薬を売っている。
魔法石がなくても魔法使いのように杖を使って魔法が使える筋肉を改造する。
これさえあれば人間の上、神になれると信じている貴族は多い。
しかしこの薬には恐ろしい副作用がある、ゲームの敵はリーナと俺だとするとセレナを拾った伯爵家は世界の敵だ。
セレナは後継者として呼ばれた他に、後に騎士団長になる彼と親しいのも理由だ。
ヒロインは悪に染まらず好きな人と悪と立ち向かう物語。
俺とリーナは物語を盛り上げる存在でしかない。
姉だから、リーナにはセレナ達の事は忘れてほしい気持ちでいっぱいだ。
関わっても何もいい事なんてない、リーナだって可愛いんだからきっと素敵な人と巡り合える。
……俺は、未練がましくて恋愛をする気にはなれないけど…
「お姉ちゃん、そろそろセレナさんの事は忘れよう、ね?」
「私はこの国で一番の幸せになりたいの!お姫様になるんだから」
「でも、今のままじゃ幸せにはなれないよ…ずっと引きずってたら素敵な人にきっと巡り合えないよ」
「もう会ってるわ!アルフリード様のお嫁さんになるの!」
「あっ…お姉ちゃん!」
リーナは叫んで、勢いに任せて家を飛び出してしまった。
俺も慌ててリーナを追いかけるが、少し走ると見失ってしまった。
ゲームではこの時はまだリーナになにか起こる事はない。
今までがシナリオ通りなら、なにかが起こるのはリーナが十七歳になった時。
セレナは家の秘密を知り、追っ手から逃げていくと騎士団長に助けられて騎士団の兵舎でメイドとして働く事になる。
リーナも同じくメイドとして働くんだったっけ。
二人が友達になれるストーリーがあってもいいのにな。
ゲーム通りに進んでも、ここは現実の話だ。
来年俺は学校に通う、喧嘩するわけにはいかない。
俺がゲームの知識を持っているのはゲームを変える事が出来るという事だ。
リーナを助けないと、このままだと取り返しがつかない事になる。
俺が学校に通ったら家以外で滅多に会えなくなるから、今のうちにリーナには心変わりしてもらわないと…
「家の前で何やってるの」
「お姉ちゃん!帰ってくるの早いね、いや…無事で何より」
「何年ここに住んでると思ってるの、まぁもうすぐ貴族の仲間入りするけど」
いつもの調子を取り戻したから、また喧嘩しないように口を紡いだ。
家に帰ると、部屋に戻ろうとするリーナを引き止めた。
リーナは嫌そうな顔をしつつも、気になるのか足を止めてくれた。
リーナは騎士団長以外に気になる人はいないのかな。
ゲームではなかったが、もしかしたら他にもいるのかもしれない。
騎士団長を好きになっても、きっとヒロインしか好きにならない。
それだけなら俺が口出す事はないが、そのせいでリーナは可笑しくなり最悪の結末を迎える。
茶髪に触れながら退屈そうなリーナに口を開いた。
「お姉ちゃんは学校で好きな人いない?」
「なんで?」
「え?だって学校には貴族の息子とかいるじゃん」
騎士団長は姉の三歳上だから学校は卒業している。
俺とリーナが通う学校は上層部にある子供なら誰でも通える大きな学校。
十六歳から通えて十八歳で卒業する高校のようなものだ。
学校に通う前に基本な知識はそれぞれの家庭で学び、この学校では専門的な知識を学ぶ。
貴族の子も地下街の子も、この時は同じ学生。
理由がないと地下街の人間は上層部に行く事が出来ないが、子供なら学校に通う理由として初めて上層部を知る。
リーナは母の付き添いでパーティーに呼ばれたから初めてではない。
普通の人は大人になったらもう行く事が出来ない、楽しかった記憶は悲しい記憶になる。
254
あなたにおすすめの小説
シナリオ回避失敗して投獄された悪役令息は隊長様に抱かれました
無味無臭(不定期更新)
BL
悪役令嬢の道連れで従兄弟だった僕まで投獄されることになった。
前世持ちだが結局役に立たなかった。
そもそもシナリオに抗うなど無理なことだったのだ。
そんなことを思いながら収監された牢屋で眠りについた。
目を覚ますと僕は見知らぬ人に抱かれていた。
…あれ?
僕に風俗墜ちシナリオありましたっけ?
既読無視の年下幼馴染みの部屋に行ったら、アイドルグッズだらけだった。しかも推しは俺
スノウマン(ユッキー)
BL
国民的アイドルの朝比奈 春人(あさひな はると)はいつもラインを既読無視する年下の幼馴染、三上 直(みかみ なお)の部屋をとある理由で訪れる。すると部屋の中はアイドルのグッズだらけだった、しかも全部春人の。
『幼馴染の弟ポジジョン×国民的アイドルのお兄さん』になる前のドタバタコメディです。
ゲーム世界の貴族A(=俺)
猫宮乾
BL
妹に頼み込まれてBLゲームの戦闘部分を手伝っていた主人公。完璧に内容が頭に入った状態で、気がつけばそのゲームの世界にトリップしていた。脇役の貴族Aに成り代わっていたが、魔法が使えて楽しすぎた! が、BLゲームの世界だって事を忘れていた。
贖罪公爵長男とのんきな俺
侑希
BL
異世界転生したら子爵家に生まれたけれど自分以外一家全滅という惨事に見舞われたレオン。
貴族生活に恐れ慄いたレオンは自分を死んだことにして平民のリオとして生きることにした。
一方公爵家の長男であるフレドリックは当時流行っていた児童小説の影響で、公爵家に身を寄せていたレオンにひどい言葉をぶつけてしまう。その後すぐにレオンが死んだと知らされたフレドリックは、以降十年、ひたすらそのことを悔いて生活していた。
そして十年後、二人はフレドリックとリオとして再会することになる。
・フレドリック視点は重め、レオン及びリオ視点は軽め
・異世界転生がちょいちょい発生する世界。色々な世界の色々な時代からの転生者の影響で文明が若干ちぐはぐ。
・世界観ふんわり 細かいことは気にしないで読んでください。
・CP固定・ご都合主義・ハピエン
・他サイト掲載予定あり
難攻不落の異名を持つ乙女ゲーム攻略対象騎士が選んだのは、モブ医者転生者の俺でした。
一火
BL
――聖具は汝に託された。覚醒せよ、選ばれし者
その言葉と共に、俺の前世の記憶が蘇る。
あれ……これもしかして「転生したら乙女ゲームの中でした」ってやつじゃないか?
よりにもよって、モブの町医者に。
「早く治癒魔法を施してくれ」
目の前にいるのは……「ゲームのバグ」とまで呼ばれた、攻略不可能の聖騎士イーサン!?
町医者に転生したものの、魔法の使いをすっかり忘れてしまった俺。
何故か隣にあった現代日本の医療器具を「これだ」と手に取る。
「すみません、今日は魔法が売り切れの為、物理で処置しますねー」
「……は!?」
何を隠そう、俺は前世でも医者だったんだ。物理治療なら任せてくれ。
これが後に、一世一代の大恋愛をする2人の出会いだった。
ひょんな事から、身体を重ねることになったイーサンとアオ。
イーサンにはヒロインと愛する結末があると分かっていながらもアオは、与えられる快楽と彼の人柄に惹かれていく。
「イーサンは僕のものなんだ。モブは在るべき姿に戻れよ」
そして現れる、ゲームの主人公。
――……どうして主人公が男なんだ? 女子高生のはずだろう。
ゲーム内に存在し得ないものが次々と現れる謎現象、そして事件。この世界は、本当にあの乙女ゲームの世界なのだろうか?
……謎が謎を呼ぶ、物語の結末は。
――「義務で抱くのは、もう止めてくれ……」
――結局俺は……どう足掻いてもモブでしかない。
2人の愛は、どうなってしまうのか。
これは不器用な初恋同士と、彼らの愉快な仲間たちが織り成す、いちばん純粋な恋の物語。
性技Lv.99、努力Lv.10000、執着Lv.10000の勇者が攻めてきた!
モト
BL
異世界転生したら弱い悪魔になっていました。でも、異世界転生あるあるのスキル表を見る事が出来た俺は、自分にはとんでもない天性資質が備わっている事を知る。
その天性資質を使って、エルフちゃんと結婚したい。その為に旅に出て、強い魔物を退治していくうちに何故か魔王になってしまった。
魔王城で仕方なく引きこもり生活を送っていると、ある日勇者が攻めてきた。
その勇者のスキルは……え!? 性技Lv.99、努力Lv.10000、執着Lv.10000、愛情Max~~!?!?!?!?!?!
ムーンライトノベルズにも投稿しておりすがアルファ版のほうが長編になります。
異世界転移して美形になったら危険な男とハジメテしちゃいました
ノルジャン
BL
俺はおっさん神に異世界に転移させてもらった。異世界で「イケメンでモテて勝ち組の人生」が送りたい!という願いを叶えてもらったはずなのだけれど……。これってちゃんと叶えて貰えてるのか?美形になったけど男にしかモテないし、勝ち組人生って結局どんなん?めちゃくちゃ危険な香りのする男にバーでナンパされて、ついていっちゃってころっと惚れちゃう俺の話。危険な男×美形(元平凡)※ムーンライトノベルズにも掲載
元執着ヤンデレ夫だったので警戒しています。
くまだった
BL
新入生の歓迎会で壇上に立つアーサー アグレンを見た時に、記憶がざっと戻った。
金髪金目のこの才色兼備の男はおれの元執着ヤンデレ夫だ。絶対この男とは関わらない!とおれは決めた。
貴族金髪金目 元執着ヤンデレ夫 先輩攻め→→→茶髪黒目童顔平凡受け
ムーンさんで先行投稿してます。
感想頂けたら嬉しいです!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる