ブラック企業のおっさんが天使と悪魔の力を駆使して地球を救う話 〜ギャンブルなんて二度とせんわ!賭けてもええで!〜

真星 紗夜

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Re01.ループしてる気がするんやが……

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 ワイは真っ暗なボロアパートでいつも通り六時前に目を覚ました。

「ふぁ~ぁ。 眠ぃけど、今日も頑張るか……。
 って、危なっ! アラームかけ忘れとるやんけ!」

 今日は一月一日の日曜日、休日出勤二日目や。
 そして、ワイの四十歳の誕生日や。

 当たり前の事やけど、一応言っとくで?
 社会人っちゅうのは平日に頑張って五日間働くと、二日間の休日出勤ができるんや。
 ワイはこれを二十二年間繰り返しとる。
 
「腹減ったし、黒糖パンにバターでも塗って食うか。
 とりま、ニュース見なきゃやな」

 別に時事ネタが好きな訳ではないんやが、クソ上司がニュース見ろ見ろうっさいねん。

『元旦!朝からお笑い結果発表ォォォォ!
 我々、ダウンタウ――』

 ――ピッ!

『昨日、結婚を発表した大物YonTuberヨンチューバーjamu_gameジャムゲームさんについてのニュースです。
 予定されております結婚式の参加者は――』
 
 結婚なんて、ワイには縁のない話やで……。

「はぁ……、ワイは楽しくパチが打てればええねん。
 ほな、今日もブラック企業に行ってきますか」

 ワイの会社は正真正銘のブラック企業なんやが、そのブラック度と言ったら、あの歩くメラニン色素こと松崎しげろうも真っ青になるレベルの黒さなんやで。

 ◇ 

 ――黒糖製菓(株)――

 ようやく会社の看板が見えたで……!
 このペースなら余裕でソシャゲのガチャを引きながら朝の準備が出来るはずや!

 ワイの朝は会社の玄関にあるタイムカードを無視して中に入るところから始まる。
 忘れとる訳やないで?
 八時になったら切りに行くんや。

「おはようございま~す……」

 誰もいない事務所に生気の抜けた声で挨拶をした。

「鈴香部長が来る前に、新作のデザートのレシピでも考えておくか……」

 そう、ワイの仕事は製菓会社でのデザートの開発や。
 特にやりたい仕事でもなかったんやが、成り行きで入社して二十二年間作り続けてるプロや。
 


 しばらくレシピ作成をしてから、タイムカードを切りに玄関に来た。
 
「はぁ、しんど……。
 一時間半もタダ働きしとるで、ワイ……」

 ワイが席に戻ると、ガチャっと事務所のドアが開いて鈴香部長が入ってきた。

「鈴香部長、おはようございます」

「おお、サビ残くん。おっは~」

 サビ残くんってのは、俺の会社でのアダ名や。
 別に毎日サービス残業しとるからって訳やないで?
 錆田斬鉄さびたざんてつ、略してサビザンや。

 だがな、今年こそ元日は絶対にサビ残しないで帰らせてもらうで……!
 元日だけ“回る”パチ屋、ワイはずっと昔から知っとんねん。
 ワイも「ユニコォォォン!」って叫んで絶頂したいんや……!
 

「ねぇ、サビ残くん。 あの件、どうなってる?」

「いや、あの件ってどの件っすか?」

「チッ……あの件よ、あの件!」

 なんや鈴香部長も分かってへんやないか。
 まあ、毎朝のご挨拶みたいなやり取りやからもう慣れたけどな。

「あー、もしかして松崎しげろうとのコラボ黒糖アイスの件っすか?
 あれなら先月、鈴香部長からOKもらったじゃないすか」

「え? そんなのOKした記憶ないわよ!
 もう一回レシピ見せなさい!」

 はい、よくあるパターンやね。
 もう少し発言に責任持ってくれや。

 はぁ……、新入社員でも入ってこねぇかな。
 妥協して中途のおっさんでも全然構わへんで。

 と思ったが、ワイの会社はもうずっと求人募集は出してないらしく、ワイが一番下っ端なんや。

 そんなこんなで今日一日の仕事は、松崎しげろうコラボ黒糖アイスの作り直し。
 当たり前のように今年の元日もサビ残確定やで……。
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