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せつなときずな 14
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「せつなときずな」 14
独りで終わらせるのか、それとも相談すべきなのか、刹那は2日間だけ迷った。
それ以上引き延ばさなかったのは、早目に決断しなくてはならないという焦り、遅くなると取り返しがつかなくなるような、不明瞭な不安に耐えきれなかったからだ。
相談するのであれば、母親のサキなのか、もし本当に妊娠しているとすればその父親の林公彦なのか、どちらに先に話すべきなのか。
サキなら、どんな言葉が返ってくるのだろうか。
林なら、その事実を受け止めてくれるのか。
受け止めてくれたとしても、刹那にどんな選択を求めるのか。
何か一つの選択をとっても、その先にまた別の選択が枝分かれしていく。
苦しく、悩ましいというのは、幾重にも覚悟と決断が待っているからに他ならない。
自分はまだ高校生で、あとわずかで18になるとしても未成年で、自分が知ってる範囲では、そのような環境にいて望まない妊娠に至った人は知らない。
読んだことはないが、まるで下世話なケータイ小説のような顛末に、まさか自分自身が陥るなどと微塵も考えたことがなかった。
だから、浅はかなんだ。
考えていないから、こうなったんだ…
悩んだところで、本当は最初にどうするのかは心の中で決まっていた。
認めたくはなかったけど、お母さんに話すしかない。
認めたくはないのだけれど、自立したいと思っていたその存在に、自分は依存しているのだ。
その日の夕食は、刹那の好きなジェノベーゼのパスタだった。
勿論、食欲など有りはしない。
「お母さん」
刹那はフォークを途中で置くと、食事中にも関わらず、サキに告白しようとした。
「大事な話があるの。怒らないで聞いて」
サキは普段、家飲みはあまりしない方だが、パスタの時はワインを嗜む。
黙って刹那を見たサキは、グラスを口に運んだ。
「まさか、子どもができたとか、そんな話じゃないよね?」
サキの直感じみた言葉に、刹那は言葉をつなぐことができず、自分でも驚いたのだが、勝手に涙が頬を伝ってしまった。
泣く女は嫌いだ。
人前で泣く女はもっと嫌いだ。
そして、世界で一番泣き顔を見られたくない人の前の涙なんて、もう最悪だ。
「そうかぁ…」
サキはグラスを置いて席を立つと、ハンカチを持ってきて刹那の手に握らせた。
「お母さんさ、刹那は、お母さんと違って頭がいいし、しっかりしてるから油断しちゃったんだよね。
ちゃんと避妊するように言えば良かった。
刹那、ごめんね」
「そんな…お母さん、悪い訳じゃないし」
刹那はしゃくりあげながら、自分の感情の行き場がわからなくなった。
「お母さん…私、どうしたらいい?」
サキは両手を組んだ上に小さな顔を乗せたまま、しばらく黙って刹那を見ていた。
「刹那、それはあなたが決めることだから。
お母さんが言うことじゃないよ。
刹那が望むようにしなさい。
お母さんにできることが何かはわかんないけど、刹那のためにできることはするから。
先ずは明日、一緒に病院に行こ」
刹那は、その短い自分の人生で一番困難な場面で、母親としてほとんどリスペクトしてこなかったサキから、「母親らしさ」として今までの不足分を一気に返してもらったような気持ちになった。
「刹那、食べるのよ。
辛い時は美味しいものを食べる。
そして、笑う。
笑えなかったら泣けばいい」
そう言うと、サキは刹那のパスタを温め直しにキッチンへ向かった。
サキの後ろ姿を目で追いながら、やさしさは同情の中に在りはしないんだと、刹那は涙を拭った。
独りで終わらせるのか、それとも相談すべきなのか、刹那は2日間だけ迷った。
それ以上引き延ばさなかったのは、早目に決断しなくてはならないという焦り、遅くなると取り返しがつかなくなるような、不明瞭な不安に耐えきれなかったからだ。
相談するのであれば、母親のサキなのか、もし本当に妊娠しているとすればその父親の林公彦なのか、どちらに先に話すべきなのか。
サキなら、どんな言葉が返ってくるのだろうか。
林なら、その事実を受け止めてくれるのか。
受け止めてくれたとしても、刹那にどんな選択を求めるのか。
何か一つの選択をとっても、その先にまた別の選択が枝分かれしていく。
苦しく、悩ましいというのは、幾重にも覚悟と決断が待っているからに他ならない。
自分はまだ高校生で、あとわずかで18になるとしても未成年で、自分が知ってる範囲では、そのような環境にいて望まない妊娠に至った人は知らない。
読んだことはないが、まるで下世話なケータイ小説のような顛末に、まさか自分自身が陥るなどと微塵も考えたことがなかった。
だから、浅はかなんだ。
考えていないから、こうなったんだ…
悩んだところで、本当は最初にどうするのかは心の中で決まっていた。
認めたくはなかったけど、お母さんに話すしかない。
認めたくはないのだけれど、自立したいと思っていたその存在に、自分は依存しているのだ。
その日の夕食は、刹那の好きなジェノベーゼのパスタだった。
勿論、食欲など有りはしない。
「お母さん」
刹那はフォークを途中で置くと、食事中にも関わらず、サキに告白しようとした。
「大事な話があるの。怒らないで聞いて」
サキは普段、家飲みはあまりしない方だが、パスタの時はワインを嗜む。
黙って刹那を見たサキは、グラスを口に運んだ。
「まさか、子どもができたとか、そんな話じゃないよね?」
サキの直感じみた言葉に、刹那は言葉をつなぐことができず、自分でも驚いたのだが、勝手に涙が頬を伝ってしまった。
泣く女は嫌いだ。
人前で泣く女はもっと嫌いだ。
そして、世界で一番泣き顔を見られたくない人の前の涙なんて、もう最悪だ。
「そうかぁ…」
サキはグラスを置いて席を立つと、ハンカチを持ってきて刹那の手に握らせた。
「お母さんさ、刹那は、お母さんと違って頭がいいし、しっかりしてるから油断しちゃったんだよね。
ちゃんと避妊するように言えば良かった。
刹那、ごめんね」
「そんな…お母さん、悪い訳じゃないし」
刹那はしゃくりあげながら、自分の感情の行き場がわからなくなった。
「お母さん…私、どうしたらいい?」
サキは両手を組んだ上に小さな顔を乗せたまま、しばらく黙って刹那を見ていた。
「刹那、それはあなたが決めることだから。
お母さんが言うことじゃないよ。
刹那が望むようにしなさい。
お母さんにできることが何かはわかんないけど、刹那のためにできることはするから。
先ずは明日、一緒に病院に行こ」
刹那は、その短い自分の人生で一番困難な場面で、母親としてほとんどリスペクトしてこなかったサキから、「母親らしさ」として今までの不足分を一気に返してもらったような気持ちになった。
「刹那、食べるのよ。
辛い時は美味しいものを食べる。
そして、笑う。
笑えなかったら泣けばいい」
そう言うと、サキは刹那のパスタを温め直しにキッチンへ向かった。
サキの後ろ姿を目で追いながら、やさしさは同情の中に在りはしないんだと、刹那は涙を拭った。
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