転生後推しが俺の執事になっていました

チヒロ

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四十五

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「……リギアはもう戻って来ません……
家族が倒れたなんて嘘で……もうここにはいません……」

「……どうして…」

「…先程…魔法の威力が強い人の子どもは優秀な魔法使いになるとリギアは話していたと思います。……つまり、彼は魔法協会に政治利用されたんですよ。彼をさらい、婿に迎え子どもをなす…相手の方も魔法の威力が強い人であれば子どもはそれは素晴らしい魔法使いになるはず……」

「……断ることはできないんですか」

「……難しいでしょう……魔法界に背いたとなれば今まで関わってきた人々を魔法の力で透視し皆殺しにする人たちですよ……リギアにそんな事をできる強さはありません……」

「…………そんな…」

「魔法界のすることは残酷だ!こんなの卑怯だ!私の家族まで奪っておいて…今度は親友を差し出せと?酷い!酷すぎる!」

嗚咽を吐き怒気を強めるユグナを見ていると心が苦しくなる。……家族?まさか家族って…

「あの…家族って…」

「そうです。私は嘘をついていました。実は私は医療魔法だけでなく子どもの頃から威力の強い魔法が使えていました。ある時、ふと思ったんです。実の両親はなぜ私を孤児院に置いていったんだろうと…十五の時…すでに養父達から愛情をもらっていたのにも関わらず気になり両親を透視したんです。

私の勘違いだった…置いていったなんて…

私の実の両親はすでに息を引き取っていました。牢の中でずっと私を想ってくれていたようなのです。私は過去の場面まで透視しました。……黒光るマントを纏った男が私の両親を連れて行ったようなのです。マントの男は『子どもが渡せないのならお前らを殺す!』と言い実の両親を殺しました。……家族を奪い、親友まで奪っていくなんて!」

震える背中に手を当てることしかできない。
俺はこんな事しかできない。

ヨークとアオが無言でユグナを抱きしめる。
全員の嗚咽がきこえる。酷い夜だった。



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