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4章 学園〜対策〜
30 約束
しおりを挟むイルはあの記憶を持っているのか?
「イ、イル…………今から変なこと、聞くよ……?」
ダメだ………声が震える、、、、
多分、イルも同じようなことを考えてるよね………?
「イルには、別の世界の記憶があったりする?」
「ラス、、も…?」
あぁ、君はあんなに辛い記憶を持って、この世界を生きていたのか…………………あの女のすぐそばで…………!!
全ての記憶はないとしても、一番酷かった、、あの世界の記憶があるのは確実だ……………!
────────ギュッ
「ごめんね……! イル、、」
だんだんと目に涙を溜めていくイルを抱き締める。
辛かったよね………痛かったよね………
君を守れなくて、あんな魔術に惑わされて君を裏切って、、、謝っても許されない………!
「ラス…………ふぅっ、う、うぅぅ、、うわぁああ」
君はこんなにも辛い思いを溜め込んでいたんだね………僕たちを許さなくっていいから、、この世界では……………………
―――――――――――――――――
二人で泣いた、、、、
イルはどの世界でも、ほとんど泣かなかった………
今までの分もたくさん泣いて、辛い思いを吐き出して欲しい……………
「グスッ………ラスは前世で私の……こ、恋人だった?」
「………君の恋人だったのに、あの女の魔術に惑わされて、君を裏切った、、最低な男だ………」
「そんな事ない!」
「貴方は魔術に抵抗してたってあの人も言ってた! それよりも私が死んだ後、大丈夫だったの? あの人は貴方を殺しに行くって………!」
「僕は………あの時、背中に矢を受けてしまったけど、君の側で死ねたから満足だった」
本当は、彼女を守れなかった後悔でいっぱいだったけど、彼女を腕に抱いて死ねた満足感も確かにあった。
「それに、僕は他の世界でも…………」
「他の世界? 今、貴方は私を守ってくれているじゃない……」
─────やっぱり、イルには一つの記憶しかないんだね……………それでいい。あんな辛い記憶たちは、、僕が、自分の贖罪として覚えていればいいんだ。
「───この世界でも、イルに辛い思いをさせてるでしょ?」
「確かに、前世を思い出した5歳の頃はとても辛かった………でも、ラスにあった日から、この世界が明るくなったわ! 貴方からの手紙が支えだった!!」
また、涙が溢れてきちゃう……辛いのはイルなのに………
「ラス………いいんだよ? 自分を攻めないで。この世界で一緒に幸せになろう?」
僕も幸せになっていいのかな………?
「ラス、私は一人で幸せになるより、二人で幸せになりたいの」
「…………………うん」
僕は、僕たちと君との誓いを果たして、君と幸せに生きたい……………
「約束ね?」
「うん、、約束する。二人で、今度こそ幸せになろう!」
しばらく二人で笑いあった。
顔には涙の跡が残っているけど、晴れ晴れした気分だった。
「ラス、〈聖〉属性の魔力の人を見つけたって言ってたけど、誰なの?」
「王太子のアルバート殿下だよ。〝特殊属性〟だから一人しか見つかってないけど、この世界の人は魔術を使える人が多いみたいなんだ」
「この世界の人ってことは、誰かに魔術を教えたの?」
「うん…………僕の父様と、父様付き執事のグレン、国王陛下の3人に前世を話した…………今世のあいつは侯爵令嬢で、僕は伯爵家の次男………一人で君を守れる自信がなかったんだ……………」
「私を守るために、最善を尽くしてくれてるってことでしょう」
君は本当に優しいな─────
「………それで、父様とグレンには魔術を教えたんだ。父様は〈風〉で、グレンは〈水〉なんだけど、、二人とも5分かからずに魔力を感じて、教えた日のうちに魔術を使いこなしてたんだ」
「そ、それは……凄いわね」
「イルは今でも、〈空間〉属性の魔術が使えるんだよね?」
「えぇ」
「何かあったら、魔術を使って逃げるんだ、、必ず、僕が助けに行くから」
「…………分かったわ」
「────そろそろ、行かなきゃ」
随分、時間が経ってしまった…………
「そうね…………そろそろ戻らないと、レイラ様に怪しまれちゃうよ」
「うん、、また来るからね!」
笑顔で頷くイルに世を向け、部屋を出る。
―――――――――――――――――
サロンに戻る途中の廊下にある鏡に映った自分を見る。
…………目の腫れ、どうしよう、、、、
涙の跡は大分薄くなったから大丈夫だと思うけど、目が真っ赤だ………
なんとか誤魔化すか、、、、
「ただいま戻りました」
「あら、ラストル! 随分遅かったですわね」
「えぇ、前回よりもキツく言っておきました」
「本当に助かりますわ!」
「ラストル、ご苦労だったな。………………目赤くないか?」
「…………レイラ様に迷惑を掛ける愚か者にアレルギー反応が出まして」
笑って言えば、誤魔化せるか?
無理があるよな!?
「それはそうですよ! オパールでもアレルギー反応が出ると思います。ラストルお兄様、ご苦労様でした」
………………オパール、ありがとう
でも、以前のオパールはそんな酷いことは言わなかったのに、、、、
それから1時間くらい、4人でお茶を飲みながら話をした。
「レイラ、名残惜しいけど、そろそろ帰るよ」
「そうですか………寂しいですわ」
「レイラ様、また来ますよ」
イルに会うためだけど!
「オパールもまた来ます!」
―――――――――――――――――
「それでは、お気を付けてお帰りくださいな」
こうして、サン侯爵家をあとにした。
レイ伯爵家に戻ったら、父様とレイラ様の魔術解術に関する相談をしよう。
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