君の悲劇を終わらせる〜廻る世界で再び出会う〜

夜野ヒカリ

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6章 全ての始まりと終わり

61 エピローグ

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 あの建国記念パーティーから二年半の月日が流れた。

 あのあと、カイル兄様に僕達について話したらとても驚いていた。
 そんなカイル兄様は平民のカイとして、イライザと名を変えたレイラと共にレイ伯爵領の小さな街で暮らしている。

 本当は、多くの貴族の精神を操っていたレイラは国家反逆罪で処刑されなければならないし、レイラはそれを受け入れていて、自分も同罪だと考えるカイル兄様も同刑を求めていた。
 それに猛反対したのが、僕とイル、僕の両親、あと国王陛下。レイラの境遇を考えるとただ処刑して終わりっていうのはあまりに酷だろうって。
 まぁ、国王が反対の時点で刑は執行されないけど、それでもと渋った二人に僕とイルが『生きて償え』と言って、レイラの刑は秘密裏に行われたことに、カイル兄様は病死したことにした。
 二人とは手紙でやり取りをしていて、月に何度か届く手紙には、幸せだということと感謝の言葉が必ず綴られていた。

 僕はといえば、最高神になっても相変わらず伯爵家の次男として学園に通っている。まぁ、カイル兄様が病死したことになって、次期伯爵としての勉強もしているから最高学年になってからはほとんど行けてないけど。
 ………次期伯爵になってから僕の机を囲む令嬢達はさらに多くなった。まぁ、それも今年イルが入学したことによって大分減ったけどね。
 それで、サリー嬢は罪人逃走の手引きをしたとして修道院に送られた。その罪人であるレイラに大きな罰を与えてないから、罪を小さくしてもよかったらしいんだけど、ミスト男爵が『娘は精神を患っています』って。
 ………レイラに協力した理由が、イルを排除してもらって自分が僕の婚約者になるためだったらしい。何故そうなったのか………。
 兵が聴取しても『ラストル様は!?』しか言わないという事で僕が面会に言ったんだけど、『迎えに来てくれたんですね!』だよ?  
 僕がいくらサリー嬢のことは何とも思っていないって言っても『大丈夫です、こんなところで言えないのは分かってます! 素敵なデートを用意してくれてるんですよね?』だし。はっきり言って引いた。見張りの兵もね。
 精神じゃなくて、頭に問題があるんじゃないかな?



 それと、僕とイルも人間として生活している。
 ………イルはルミティフィーネであった時に呪いで殺されたけど神としての魂が消滅するのは自分の意思なくしてはありえない。名を捨てて人間になるとか、人間に転化するとかね。
 まぁ、それで僕とイルはずっと神であり、これまで死んでしまったのも呪いが絡んでいたからみたい。

 あぁ、神といえば、トルマトスは名前を捨てて本当に〝トーマス〟になった。少し前に『これでカミラと結婚出来るよ~』と嬉しそうに報告してくれた。カミラ様も『人前でくっつかないでくださいませ』と言いながら嬉しそうだったし、、うん、幸せそうでよかった。

 グレイトスは人間に化けただけの状態のままみたいだけど、将来的に〝グレン〟になってオパールと結ばれる気がする。この間もオパールがもうアタックしててグレンも満更じゃなさそうだったし。家族でオパールだけ知らないのもと思ってあの話をしたんだけど、その話をして以来、オパールがグレイトスにかなり懐いている。
 あぁ、犯罪と思う無かれ。神は自分で容姿を変えられるし、精神はその容姿に引っ張られるから、オパールに合わせた年齢で人間になれると思う。実際、少しずつ若返ってる。今はもう30代前半くらいに見える。自分の娘と自分より年上だった腹心の寄り添う様子に、父様はすっごく複雑そうだけどね。
 レイ伯爵家の屋敷の使用人達は僕達の異常さに気が付きつつも深くは追求しないでくれている。本当にいい人達だ。

 うん、グレイトスもトルマトスも神としてかなり長い時を過ごしたし、生の終着点を見つけたのかな?

 最高神になった僕はまだ神であり続けなければならないけど、しばらく、、100年くらいかな?は人間として容姿を変えつつ暮らしていこうと思う。




「ファーラストレイトス様、ルミティフィーネ様がいらっしゃいましたよ」

「もう、グレン……普通にしてよ」

 グレイトスはたまにからかってくる。まぁ、グレンもたまにしてたけど。
 それと、イルはあれからずっとレイ伯爵家で暮らしている。
 サン侯爵家の人は……わだかまりは解けたんだけど、、侯爵は家庭に無関心、夫人は今更イルに対してどう接していいか分からないって感じだっから。花嫁修業って言えば変ではないし。
 娘が二人ともいなくなってしまったサン侯爵家はなぜかトーマスが継ぐみたい。何故そうなったかは知らない、、というか、考えないようにしている。


「ラス? 何を考えてるの?」

「あぁ、何でもないよ。ただ、、幸せだなって」

「フフっ、そうね。とっても幸せだわ」

「それで、、どうしたの?」

「あっ、今日学園で陛下に会ったんだけど、今度新設する魔術師団の代表、、というか、団長をやるようラスにお願いしてほしいって言われて………」

「僕はまだ学生なのに? ………というか、陛下は何で学園に?」

「さ、さぁ? もうすぐ学園を卒業するし、そのままどうかって。あと、新しい算術の教本を作ってくれって先生達が、、」

 魔術師団………。
 あのあと、陛下と父様の人選による信頼出来る人達に、魔術を習得している僕達が指導を行った。魔術が使えた方が有事の時に便利だしね。それで、、その指導した人達をメンバーとした魔術師団っていうのを設けることになったんだけど……。僕が代表か………。あっ、魔術を使えた人の割合は前にいた世界より少し多いくらいだったよ。習得にかかる時間も対して変わらなかったから、父様とグレン、アルがすごかっただけみたい。………グレンは認識がないとはいえ神だったから、おかしくはないのか?


「まぁ、検討してみるよ。あっ、算術の教本については任せて。この世界の学術の発展は急務だと思うからね」

「フフフ、そうね」








 長く続いた悲劇はようやく幕を閉じ、新たな物語が始まった。希望の光に溢れた物語が。

 後世に神であったと言い伝えられる一人の少年の手によって、その世界が大きく動くことになるが、それはまた別のお話である。







《完》






~~~~~~~~~


 ようやく完結です!
 最後までお付き合いくださり、ありがとうございました!

 新作として、
『美しく優秀な次女がいるのなら、私は必要ありませんよね? ~家を捨てた私は本当の姿に戻り、追いかけてきた皇子と街で暮らす~』
 という短編のお話を執筆中です。
 内容はタイトル通りです!
 最後まで書いてからの投稿になると思いますので、時間がかかるかと思いますが、よろしければ覗いてみてください!!
 
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感想 4

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みんなの感想(4件)

MIKOTO
2021.05.28 MIKOTO

素晴らしい作品をありがとうございます!!
次の更新を楽しみに待ってます♪((o(´∀`)o))ワクワク♬

2021.05.28 夜野ヒカリ

MIKOTO様
感想、ありがとうございます\(^^)/
今後も楽しんで頂けるよう、頑張ります(^-^ゞ

解除
ミックス
2021.02.27 ミックス

頑張ってください!
応援してます(σ≧▽≦)σ

2021.02.27 夜野ヒカリ

ミルキー様
応援ありがとうございます(^^)
これからも楽しんでいただけたるよう、頑張ります(^-^ゞ

解除
存在しない人

頑張ってください応援しています!!!

2021.02.24 夜野ヒカリ

藤崎 桃華 様

ありがとうございます
("⌒∇⌒")
今後も楽しんでいただけると
嬉しいです\(^^)/

解除

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