美しく優秀な次女がいるのなら、私は必要ありませんよね? 〜家を捨てた私は本当の姿に戻り、追いかけてきた皇子と街で暮らす〜

夜野ヒカリ

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1章 街へ

9 本当の彼女(ウィリアム視点)

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(ウィリアム視点)


 父上にあの嘆願をしてから1ヶ月が経ち、私の死亡が発表がされた。
 自分が願ったとはいえ、多くの人を騙すのは心が痛む……。

 さて、、城を出てきたはいいが、リーナ嬢はどこにいるだろうか……? 
 この一ヶ月、派手に動くわけにも行かず、全く調べることが出来なかった。
 リーナ嬢がどこにいるのか、全く分からず、手掛かりもない……まぁ、長期戦は覚悟の上だ。何年かかって、その時彼女がどうしていようと彼女が幸せでいるのならそれでいいんだ。

 まずは、カトル公爵家周辺の街を探すとしよう。


* * *


 一ヶ月前と同じように3日かけてカトル公爵領に来た。

 リーナ嬢は公爵令嬢だったから、カトル公爵家を出たとしてもすぐには遠くまで行かないと思うのだが、、

 ん?……何処からかいい匂いがするな……そういえば、まだ昼食を済ませていなかったか、、
 食事をしながら、リーナ嬢に関する情報を集めるのも良いかもしれないな。食堂には多くの人が訪れるため情報も集まりやすいしな。


 時間が遅いから、開いている店はないと思ったが、開いている食堂を見つけた。

「すまない……まだ営業しているか?」

 食堂に入ると私と同じ年頃に見える美しい女性が、もう一人の女性と話していた。

「す、すいません……今ちょうど終了したんです……?」

 やはり、遅かったか………。
 しかし、彼女の声に聞き覚えがある気がするのだが……?

「ウィ、ウィリアム、様………ですか?」

 何故、私を知っているんだ?
 まだ、社交界デビューをしていなかったから、私を知っている者は、城に出入りしていた者と、同じ時期に学園に通っていた者しかいないはずなのに………。

「いや、人違いでは……」

 ───いやっ!
 この声は、、それに青銀に輝くあの瞳は……!!

「っっ!その声、もしかしてリーナ嬢か?」

「は、はい、私はリーナですが、、」

 やはり!!
 私の見知っているリーナ嬢とは髪色も異なっているが、間違いない!

「あの、何故───」


 ───ギュッ


 こんなに早く見つけられるとは………! まさに運命の導きだ。
 思わず抱き締めてしまった。


「ウィ、ウィリアム様!?」

「あっ、す、すまない!」

「い、いえ……」

「───アンタはリーナの知り合いかい?」

 さっき、リーナ嬢と話していた女性か……。
 関係はよく分からないが、カトル公爵家を出た彼女を守ってくれていたのだろう。この食堂の女将といったところか?

「はい。ウィリアム様ですよね? あの……亡くなったとお聞きしたのですが、、」 

 もうここまで噂が広まっていたのか、、リーナ嬢に心配をかけてしまっただろうか……? 

「あぁ、リーナ嬢に会うために父上に頼んで急病で死んだことにしてもらったのだ」

「なんだ、そういうことかい!アンタがリーナに優しくしてくれてたっていう第二皇子様かい」

「はい、正確には“第二皇子”ですが……」

 この女性に私のことを話していたということは、リーナ嬢は私のことを少しは意識してくれていたと考えていいだろうか?
 

「いえ、ウィリアム様……何故、私などに会いに?」

 自分の顔が熱くなるのを感じる。

「………きだったからだ」

「はい?」

「……ずっと、リーナ嬢のことを慕っていたんだ」

 今言うべきことではないと分かっているが、早く気持ちを伝えておかないと、誰に奪われるか分からない、、
 今の彼女はそれほどまでに美しい………。
 リーナ嬢を見た男は全員、彼女に惚れるだろう。

「……あの頃の私は目を隠す程に前髪が長い陰気な女だったはずですが……?」

「私は人を外見で好きになったりしない! 今も昔も、君は変わらずに前を向いている。周囲に押し潰されることなく自分でいようとしている。私はそんな君を好きになったんだ」

「あ、ありがとうございますっ……」

とはいえ、何故あんな格好をする必要があったのだ?

 今のリーナ嬢の髪色はプラチナブロンドで、父であるカトル公爵と同じだ、、学園でも今の姿をしていれば、あんな酷いことを言われなかっただろうに……。

「……リーナ嬢の本来の髪色や肌は今のものだろう? こんなに美しいのに、学園に通っていた頃は何故隠していたんだ? 普通にしていれば、君もあそこまで悩むことはなかっただろう?」

「母と妹からの指示でした。父からも『見るに耐えない』と……本人たちは指示したことを忘れてしまったようですが、、」

 ………公爵家を訪れた時に考えてはいたが、本当だったなんて、、しかも自分たちが言ったことを忘れるなんてな、、

「そうか、辛かっただろう……。ところで──」


「───アンタたち、アタシがいることを忘れてないかい?」

 っっ!
 私としたことがリーナ嬢に会えたことが嬉しすぎて周りを見ることが出来ていなかったようだ。

「マチルダさん!すみませんっ」

 ……この女性はマチルダというのか、、
 後で、リーナ嬢についての話を聞きたいが……。

「まぁ、いいさ。久しぶりの再会なんだろう? それで、皇子様もここに住むかい?それとも宿でも取ってあるのかい?」

「いや、この街に来たばかりで宿は取っていないませんが……リーナ嬢もここに住んでいので?」

 もともとリーナ嬢を探して回るつもりだったからその時々で宿を探すか、野宿をしようと思っていた。

「は、はい、私は一ヶ月程前からお世話になっています」

「見ての通り、リーナには食堂の手伝いもしてもらっててね。今じゃすっかりここの看板娘さ!」

「そうかですか、、迷惑でないのなら、頼みたい」


 こうして私は、食堂に泊めてもらうことになった。
 それにしても、探し初めてすぐに見つかるとは、、神に感謝するしかないな。


* * * 


 夜、リーナ嬢が眠った頃に食堂に行くと、マチルダ殿が待っていた。
 合図などは出せなかったのだが………。

「待っていてくださり感謝します……マチルダ殿?」

「マチルダでいいよ……アンタが話を聞きにくると思ったからねぇ、、言葉遣いはなっちゃいないと思うが、許しておくれよ?」

「もちろん、大丈夫です。……リーナ嬢は家族からの指示で容姿を変えていたと言っていましたが、どういうことか知っていますか?」

 予想はついているが、確認しないことには憶測でしかない。

 私が知らない彼女がいるのなら、それを知り、彼女に寄り添いたい ────





~~~~~~~

 読んでくださりありがとうございます!
 感想もたくさんいただけて嬉しいです(≧∇≦)

 送っていただいた感想には作者基準で〝ネタバレを含む〟をチェックしています。私が返信する内容にネタバレかなって思うものがある時にもつけておりますので、お気を悪くされていたらすみませんm(__)m
 ……普通にチェックし忘れてしまうこともあるのですが(´-ω-`)

 皆様からの感想が本当に励みになります!!

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