美しく優秀な次女がいるのなら、私は必要ありませんよね? 〜家を捨てた私は本当の姿に戻り、追いかけてきた皇子と街で暮らす〜

夜野ヒカリ

文字の大きさ
23 / 57
2章 街で幸せに

23 エピローグ

しおりを挟む



 今、私は街の外れにある教会の一室で純白のドレスを纏い、人を待っています。

 ──あの日から半年程の時が流れ、今日は私とウィルの結婚式です。

 私が待っているのは言わずもがな、ウィリアム様もとい、ウィルです。
 アスラート帝国の結婚式は新郎新婦が揃って入場するので、そろそろウィルが来ると思うのですが、、


 ……半年の間に色々あって、ウィルに敬語で話すのは禁止になりました。どうしても距離を感じてしまうらしく、寂しかったようです。
 ……もし敬語で話してしまったら、人前であろうと、どこであろうとウィルからの、、キ、キスが降ってくるので必死になって慣れました。
 すっかり敬語を使わなくなった私に、ウィルは嬉しそうですがどこか残念そうにしています、、まったく……。
 ウィルも大分、街の好青年といった柔らかい雰囲気になって、口調も少し変わりました。

 それと、マチルダさんを“お母さん”と呼ぶようになりました! ウィルも“義母さん”と呼んでいます。

 私は、目立つプラチナブロンドを隠すために栗色の鬘を被るようになったのですが、皆さんからは似合うと言っていただけました。お母さんと同じ髪色です!
 私の偽りのない姿を多くの方が知ってくれていますし、不要の騒ぎを避けるために自分で望んで被っているので、以前のように嫌だとは感じません。
 今日は折角の結婚式ということで鬘は被っておりませんが。

 そして、一番変わったのは私がカトル公爵になったことです!
 皇帝陛下から継承に関する書簡が届いた際、家を出た私には相応しくないとお返事したのですが、受け入れていただけませんでした。
 理由は分かっています。

 ……直系が次ぐ場合はあまり気にされないのですが、遠縁が継ぐとなると本当にその家の血を引いていることを示す証が必要となるのです。
 つまり、カトル公爵家の証であるプラチナブロンド、又は青銀の瞳を持っている必要があるのですが、その条件を満たす人が帝国内に3人しかおらず、私以外の2人はかなりの遠縁で隔世的に遺伝したようです。

 その2人の家の爵位は共に伯爵であり、家格もほぼ同じであるため、私が辞退した場合には揉めることになってしまいます。
 無用な争いを避けるためにも直系の私の籍を戻すのが一番だと言うことになりました。
 もちろん、ウィルには“ウィル・カトル”、、私の配偶者として公爵家に入ってもらいます。

 ……どうやら、皇帝陛下は最初からこのようにするつもりだったらしく、私に届いた書簡を見たウィル様も『読めない方だ』とおっしゃっていました。
 全帝国民に向けて死亡を発表してしまったので表舞台に出ることは出来ませんが、公爵となった者の配偶者が籠りっきりになるわけにはいかないという事で、社交は影武者の方に協力してもらうことになりました。
 ウィルは大変不満そうでしたが……。

 そのウィルの身分は、公爵となる私の隣に立つ者が平民では示しがつかないという事で皇帝陛下が“亡国の王族の末裔”という噂を流してもらいました。
 そんな事実はありませんが、亡国であれ、現在は平民であれ、血筋は王族となれば直接的に非難されることはないでしょう。 
 それでも噂の真偽は探られてしまいますが、そこは陛下が協力してくださるらしいです。嘘を大きな声で言うわけにはいかないので、あくまでそのように接するというだけですが。


 ……私達は今でも身分をかくしてお母さんの食堂で働いています。というか生活の拠点はお母さんの食堂で、二日に一回程、公爵家に赴いて仕事をするという形です。
 屋敷の者も寂しそうですし、公爵がこれでは問題もあるかと思いましたが、あまり良い思い出のある場所ではなかったので。


 ………あの後、お母様も私を虐待した罪で逮捕されてしまいました。鞭や棒まで使ったという事で悪質という判断が成され、25年間の強制労働を命じられたみたいです。
 お父様は私が出ていってからずっと無理のある運営をしていたみたいで、違法なことにまで手を伸ばしていたため、牢へ入れられました。刑期は78年、、この国の平均寿命は65歳なので41歳のお父様には終身刑であることを意味します。
 そして、ミラは修道院に送られました。
 学園ではカトル公爵家の権力で教員を脅して好評価を得ていたようです。

 バラバラになって罰を受ける家族を思うとやはり、胸が痛みます。

 “私が家を出なければ”と考えるのは間違っていると分かっているのですが、、いくら私を忌み嫌っていたとは言っても血の繋がった家族ですから。


 家族が私を疎んでいた理由ですが、美への執着が強いお母様は娘である私への劣等感、ミラは自分が幼い頃からの常態化によって常識が欠如してしまっていた故に、明確な理由がないみたいです。
 
 それと、お父様ですが、私の祖父である先代公爵とその姉への恐怖心があったそうです。どちらも私が生まれる前に亡くなってしまっていましたが、早くに母を亡くしたお父様はその二人に厳しく躾られたようです。そのためにその二人を連想させる髪と瞳を持つ私を遠ざけたかったようです。一度、面会する機会があったのですが、その際に吐き捨てるように言われました。

 仕事を押し付けようとしたことについても、『お前ごときにやらせてやっているのだ』という態度を崩しませんでした。

 ……長年苦しめられてきたのです。たとえ、謝られたとしても赦すことは出来ませんが、最後くらい娘への情を見せてもらいたかったです……。
 でも、お父様も苦しんでいたということは分かりました。鏡に映った自分でさえ怖かったと言っていたので、お祖父様と大伯母様が余程厳しい方達だったのでしょう。

 そして、私の元婚約者だったリック様は帝国東方にある子爵家に婿入りすることになったようです。私達の年代で婚約者が決まっていない方は少ないので、年の合う方がその方しかいなかったようで……。
 リック様にはその方を幸せにしてあげてほしいものです。


 ───と、かなり考え込んでしまいましたね。
 今日は大切な日なのですから、しっかりしなくてはいけませんね。

「リーナ、入ってもいいか?」

「ウィル? えぇ、準備は終わったから大丈夫よ」

 部屋に入ってきたウィルは銀糸の刺繍の入った落ち着いた青色のタキシードを纏っていました。
 もちろん、私の瞳を表現しています、、少し恥ずかしいですね。

「ウィル……本当にお似合いになっています! すごく素敵ですっ!」

「ありがとう……リーナも女神みたいに綺麗だ、、結婚できるなんて本当に嬉しい、夢みたいだ」

 ウィルの頬が薄く染まりまっています。
 きっと、私の顔も同じようになっているでしょう。

「でも、敬語は禁止だよ? ははっ、久しぶりに使ったね」

「! 今はダメっ、せっかくのお化粧が崩れちゃう……」

「『』ね、、分かってるさ」

「~~ッウィル!」



「─── そろそろ時間だ。式場に移動しよう」

 ウィルが私に向けて差し出した手に私の手を重ねます。
 
 愛する人と並んで歩くことができる幸せを感じながら足を進めると、礼拝堂へと続く扉に行き着きました。
 この向こうではお母さんをはじめ、お世話になった方々が待っています。
 待機していた方が扉を開けようとしていますが、そなの前に、伝えなければなりませんよね?


「──ウィル、私、、とっても幸せです」







《完》



~~~~~~~~

 これにて本編完結です!
 ここまで読んでくださった皆様、本当にありがとうございます
(。゜°´∀`°  ゜。)

 皆様の思い描いた最後になっているでしょうか?
 もし、「こんな最後が良かった」等の意見がございましたら“アナザーストーリー”の番外編として書かせていただきます!
 出来る限り頑張りますのでそういった意見も是非どうぞ!

 この後はいくつか番外編を投稿していきます!
 明日、投稿するのは結婚式の裏側と結婚式直後のお話です(^^)

 この話で紹介程度になってしまった、皆様お待ち(?)のリーナの元家族のその後は明後日となります!

 
 引き続きよろしくお願いしますm(__)m     





 


しおりを挟む
感想 132

あなたにおすすめの小説

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。

くま
恋愛
「すまない、アデライトを愛してしまった」 「ソフィア、私の事許してくれるわよね?」 いきなり婚約破棄をする婚約者と、それが当たり前だと言い張る姉。そしてその事を家族は姉達を責めない。 「病弱なアデライトに譲ってあげなさい」と…… 私は昔から家族からは二番目扱いをされていた。いや、二番目どころでもなかった。私だって、兄や姉、妹達のように愛されたかった……だけど、いつも優先されるのは他のキョウダイばかり……我慢ばかりの毎日。 「マカロン家の長男であり次期当主のジェイコブをきちんと、敬い立てなさい」 「はい、お父様、お母様」 「長女のアデライトは体が弱いのですよ。ソフィア、貴女がきちんと長女の代わりに動くのですよ」 「……はい」 「妹のアメリーはまだ幼い。お前は我慢しなさい。下の子を面倒見るのは当然なのだから」 「はい、わかりました」 パーティー、私の誕生日、どれも私だけのなんてなかった。親はいつも私以外のキョウダイばかり、 兄も姉や妹ばかり構ってばかり。姉は病弱だからと言い私に八つ当たりするばかり。妹は我儘放題。 誰も私の言葉を聞いてくれない。 誰も私を見てくれない。 そして婚約者だったオスカー様もその一人だ。病弱な姉を守ってあげたいと婚約破棄してすぐに姉と婚約をした。家族は姉を祝福していた。私に一言も…慰めもせず。 ある日、熱にうなされ誰もお見舞いにきてくれなかった時、前世を思い出す。前世の私は家族と仲良くもしており、色々と明るい性格の持ち主さん。 「……なんか、馬鹿みたいだわ!」 もう、我慢もやめよう!家族の前で良い子になるのはもうやめる! ふるゆわ設定です。 ※家族という呪縛から解き放たれ自分自身を見つめ、好きな事を見つけだすソフィアを応援して下さい! ※ざまあ話とか読むのは好きだけど書くとなると難しいので…読者様が望むような結末に納得いかないかもしれません。🙇‍♀️でも頑張るます。それでもよければ、どうぞ! 追加文 番外編も現在進行中です。こちらはまた別な主人公です。

いや、無理。 (完結)

詩海猫(8/29書籍発売)
恋愛
細かいことは気にせずお読みください。 もはや定番となった卒業パーティー、急に冷たくなって公の場にエスコートすらしなくなった婚約者に身に覚えのない言い掛かりをつけられ、婚約破棄を突きつけられるーーからの新しい婚約者の紹介へ移るという、公式行事の私物化も甚だしい一連の行動に、私は冷めた瞳をむけていたーー目の前の男は言い訳が終わると、 「わかってくれるだろう?ミーナ」 と手を差し伸べた。 だから私はこう答えた。 「いや、無理」 と。

冤罪で退学になったけど、そっちの方が幸せだった

シリアス
恋愛
冤罪で退学になったけど、そっちの方が幸せだった

夫と愛し合った翌朝、一方的に離縁されました【完結保証】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
美しい公爵夫人マルグリートは、冷徹な夫ディートリヒと共に、王国の裏で密かに任務をこなす“悪女”。 だがある日、突然夫から離婚を言い渡される。しかもその裏には、平民の愛人の存在が──。 失意の中、王命で新たな婚約者・エルンストと結ばれることに。 どうやら今回の離婚再婚は、王家の陰謀があるよう。 「悪女に、遠慮はいらない」 そう決意した彼女は、華やかな舞踏会で王に真っ向から言い放つ。 「わたくし、人の家庭を壊しておきながら悪びれない方に、下げる頭は持っていませんの。  王族であられる前に、人におなりくださいませ。……失礼」 愛も、誇りも奪われたなら── 今度はこの手で、すべてを取り戻すだけ。 裏切りに燃える、痛快リベンジ・ロマンス! ⚠️本作は AI の生成した文章を一部に使っています。タイトル変えました。コメディーです。主人公は悪女です。

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします。

樋口紗夕
恋愛
公爵令嬢ヘレーネは王立魔法学園の卒業パーティーで第三王子ジークベルトから婚約破棄を宣言される。 ジークベルトの真実の愛の相手、男爵令嬢ルーシアへの嫌がらせが原因だ。 国外追放を言い渡したジークベルトに、ヘレーネは眉一つ動かさずに答えた。 「国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします」

悪役断罪?そもそも何かしましたか?

SHIN
恋愛
明日から王城に最終王妃教育のために登城する、懇談会パーティーに参加中の私の目の前では多人数の男性に囲まれてちやほやされている少女がいた。 男性はたしか婚約者がいたり妻がいたりするのだけど、良いのかしら。 あら、あそこに居ますのは第二王子では、ないですか。 えっ、婚約破棄?別に構いませんが、怒られますよ。 勘違い王子と企み少女に巻き込まれたある少女の話し。

処理中です...