美しく優秀な次女がいるのなら、私は必要ありませんよね? 〜家を捨てた私は本当の姿に戻り、追いかけてきた皇子と街で暮らす〜

夜野ヒカリ

文字の大きさ
53 / 57
続編

初めてのお茶会③(ソフィア視点)

しおりを挟む


「さっそくですが、私の息子を紹介させてくださいませ」

 コール伯爵夫人に促されて一歩前に出る男の子。……恥ずかしがっているのかしら? 少し俯き加減で、頬にも赤身が差している。

「は、初めてお目にかかります。 コール伯爵が次男、 オリバー・コールと申します!  えっと、よ、よろしくお願いします!」

「ふふっ、自己紹介をありがとう。 私はカトル公爵家当主のリーナ・カトル。貴方のお母様とお友達だから、そんなに緊張しなくても大丈夫よ」

「あ、ありがとうございます……!」

 オリバー様は優しく微笑んだお母様に、顔をさらに赤くしている。これは……

「初めまして、コール伯爵令息。私はウィリアム・アストラ・カトル。カトル公爵の夫という立場だが、個人としてはアストラ伯爵位を所有している。閣下と呼ぶ者が多いが、好きなように呼んでくれ」

 お父様は笑顔を浮かべながらコール伯爵令息と握手を交わしている。……だけど、どこか迫力のある笑顔のような気がするわ。まったく、大人気ないわね。

 お父様のアストラ伯爵位は、お父様が皇家を出てお母様と結婚する時に授かったもの。 だから、ミドルネームにアストラ伯爵としての名前をもっていらっしゃるの。カトル公爵領の隣にアストラ伯 爵としての領地も授かっているから、そちらの領に出向かれて数日間不在になるということもあって、少し……本当に少しだけど寂しいと感じることがある。

 普段はカトル公爵の夫として諸々の対応をしてい らっしゃるお父様だけれど、貴族としての集まりの際にはアストラ伯爵としての立場の方が重くなるから、そちらの立場に立って対応することもある。……なかなかに難しい立場だと思う。

「さぁ、 二人も挨拶を」

「はい、お母様。 ……僕はカトル公爵家の長男、エリオット・カトルと申します。 同い年のオリバ一様とは今後も関わる機会が多くなるかと思いますので、仲良くしていただければ嬉しいです」

「カトル公爵家の長女、ソフィア・カトルと申します。兄のエリオット共々よろしくお願いいたします」

 エルは紳士の礼を、私はカーテシーをしてコール伯爵夫人と、コール伯爵子息に挨拶をする。

「わぁ……」

「丁寧な挨拶をありがとうございます。お二人とも10歳とは思えない美しい礼ですわね……オリ バーも私も感嘆してしまいましたわ」

「お褒めいただきありがとうございます」

 エルに合わせて頭を少し下げる。……ふふっ、今までたくさん練習してきたカーテシーがこうして褒めてもらえて嬉しいわ。いっぱい練習してきてよかった。

「皆様が会場に入られた時かからお聞きしたいと思っていたのですが、カトル公爵家の皆様は今日のお洋服の色を揃えていらっしゃるのですね?」

「えぇ、そうなのです。家族みんなでというのはおかしいでしょうか?」

「いいえ!とっても素敵ですわ。……貴族であると、家族としての絆が希薄になってしまいがちですが、カトル公爵家の皆様からは仲の良さが伝わってきますわ。ふふっ、私達も今度やってみようかしら?」

 改めて自分達が着ているドレスを見る。コール伯爵夫人が言っていたように、今日は家族みんなで色を揃えた服を着ているの!
 揃えた色はカトル公爵家の象徴である青銀色と白金色。

私とお母様のドレスは形こそ違うけれど、 色は同じだし、刺繍も同じ意匠のものが施されている。お父様とエルは青銀色の上着に白金色のアスコットタイを合わせたという感じ。

 ……私は他の貴族家については歴史や構成員について知っているだけで、家族仲なんかはよく知ら ないけれど、やっぱり全ての家で家族の仲のが良い訳ではないのね……貴族であっても何かあった時に支え合うのが家族であると思うのに……

 

「──つい長話をしてしまいましたわね。 皆様は、この後も他の方々との挨拶があるでしょうから、失礼しますわ。また後でお話ししましょう」


 しばらく話をした後でコール伯爵夫人は軽く頭を下げて去っていった。……オリバー様とは挨拶以外で話ができなかったけど、挨拶回りが一通り終わったらまた時間があるでしょうから、その時に話してみましょう。

 お父様の様子に少し萎縮してしまったみたいだから、その事も謝らないと……と思っていると、エルも同じように感じていたみたい。

「お父様。オリバー様に対して少し大人気なかったのではありませんか?」

「うん?  あぁ、そう見えてしまったか……」
 
 苦笑しているお父様を見るに、他にも理由があったのかしら? てっきり、オリバー様がお母様に向ける視線が気に入らなかったのだと思ったのだけど……

「……挨拶が終わったら、彼ともう一度話をしてあげてくれ。彼には色々な人と関わるということが必要だ」

「? わかりました。私自身、もう一度話してみたいと思っていましたので」

「……ソフィー、もちろん僕も一緒で大丈夫だよね?」

「えぇ、私の方からお願いしたいわ。やっぱり少し緊張してしまって……。 あっ! 話しは変わりますが、みんなで服の色を揃えてよかったですね」

「ふふっ、そうね」

「そうだな」

「僕もあのように言ってもらえて嬉しかったです」

 服という形で家族仲を目に見えるようにするというのはいいものね。絆を再確認できるもの。
 また家族でお揃いのドレスを着たいわ!











~~~~~~~~

 詠んでくださりありがとうございます(*^^*)

 オリバー君が幼いのか、 エルとソフィーが早熟な のか、その両方なのか……私の十歳はオリバー君みたいな感じでした!


しおりを挟む
感想 132

あなたにおすすめの小説

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。

くま
恋愛
「すまない、アデライトを愛してしまった」 「ソフィア、私の事許してくれるわよね?」 いきなり婚約破棄をする婚約者と、それが当たり前だと言い張る姉。そしてその事を家族は姉達を責めない。 「病弱なアデライトに譲ってあげなさい」と…… 私は昔から家族からは二番目扱いをされていた。いや、二番目どころでもなかった。私だって、兄や姉、妹達のように愛されたかった……だけど、いつも優先されるのは他のキョウダイばかり……我慢ばかりの毎日。 「マカロン家の長男であり次期当主のジェイコブをきちんと、敬い立てなさい」 「はい、お父様、お母様」 「長女のアデライトは体が弱いのですよ。ソフィア、貴女がきちんと長女の代わりに動くのですよ」 「……はい」 「妹のアメリーはまだ幼い。お前は我慢しなさい。下の子を面倒見るのは当然なのだから」 「はい、わかりました」 パーティー、私の誕生日、どれも私だけのなんてなかった。親はいつも私以外のキョウダイばかり、 兄も姉や妹ばかり構ってばかり。姉は病弱だからと言い私に八つ当たりするばかり。妹は我儘放題。 誰も私の言葉を聞いてくれない。 誰も私を見てくれない。 そして婚約者だったオスカー様もその一人だ。病弱な姉を守ってあげたいと婚約破棄してすぐに姉と婚約をした。家族は姉を祝福していた。私に一言も…慰めもせず。 ある日、熱にうなされ誰もお見舞いにきてくれなかった時、前世を思い出す。前世の私は家族と仲良くもしており、色々と明るい性格の持ち主さん。 「……なんか、馬鹿みたいだわ!」 もう、我慢もやめよう!家族の前で良い子になるのはもうやめる! ふるゆわ設定です。 ※家族という呪縛から解き放たれ自分自身を見つめ、好きな事を見つけだすソフィアを応援して下さい! ※ざまあ話とか読むのは好きだけど書くとなると難しいので…読者様が望むような結末に納得いかないかもしれません。🙇‍♀️でも頑張るます。それでもよければ、どうぞ! 追加文 番外編も現在進行中です。こちらはまた別な主人公です。

いや、無理。 (完結)

詩海猫(8/29書籍発売)
恋愛
細かいことは気にせずお読みください。 もはや定番となった卒業パーティー、急に冷たくなって公の場にエスコートすらしなくなった婚約者に身に覚えのない言い掛かりをつけられ、婚約破棄を突きつけられるーーからの新しい婚約者の紹介へ移るという、公式行事の私物化も甚だしい一連の行動に、私は冷めた瞳をむけていたーー目の前の男は言い訳が終わると、 「わかってくれるだろう?ミーナ」 と手を差し伸べた。 だから私はこう答えた。 「いや、無理」 と。

冤罪で退学になったけど、そっちの方が幸せだった

シリアス
恋愛
冤罪で退学になったけど、そっちの方が幸せだった

夫と愛し合った翌朝、一方的に離縁されました【完結保証】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
美しい公爵夫人マルグリートは、冷徹な夫ディートリヒと共に、王国の裏で密かに任務をこなす“悪女”。 だがある日、突然夫から離婚を言い渡される。しかもその裏には、平民の愛人の存在が──。 失意の中、王命で新たな婚約者・エルンストと結ばれることに。 どうやら今回の離婚再婚は、王家の陰謀があるよう。 「悪女に、遠慮はいらない」 そう決意した彼女は、華やかな舞踏会で王に真っ向から言い放つ。 「わたくし、人の家庭を壊しておきながら悪びれない方に、下げる頭は持っていませんの。  王族であられる前に、人におなりくださいませ。……失礼」 愛も、誇りも奪われたなら── 今度はこの手で、すべてを取り戻すだけ。 裏切りに燃える、痛快リベンジ・ロマンス! ⚠️本作は AI の生成した文章を一部に使っています。タイトル変えました。コメディーです。主人公は悪女です。

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします。

樋口紗夕
恋愛
公爵令嬢ヘレーネは王立魔法学園の卒業パーティーで第三王子ジークベルトから婚約破棄を宣言される。 ジークベルトの真実の愛の相手、男爵令嬢ルーシアへの嫌がらせが原因だ。 国外追放を言い渡したジークベルトに、ヘレーネは眉一つ動かさずに答えた。 「国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします」

悪役断罪?そもそも何かしましたか?

SHIN
恋愛
明日から王城に最終王妃教育のために登城する、懇談会パーティーに参加中の私の目の前では多人数の男性に囲まれてちやほやされている少女がいた。 男性はたしか婚約者がいたり妻がいたりするのだけど、良いのかしら。 あら、あそこに居ますのは第二王子では、ないですか。 えっ、婚約破棄?別に構いませんが、怒られますよ。 勘違い王子と企み少女に巻き込まれたある少女の話し。

処理中です...