美しく優秀な次女がいるのなら、私は必要ありませんよね? 〜家を捨てた私は本当の姿に戻り、追いかけてきた皇子と街で暮らす〜

夜野ヒカリ

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続編

初めてのお茶会⑤(エリオット視点)

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「違う……?」

「あ……っも、申し訳ありません! お二人のすごさに驚いていただけで、変な意味はまったくありませんっ」

 まるで自らを皮肉るような表情で『僕とは全然違う』と呟いたオリバー様は、その意味を捉えかねている僕とソフィーを見て、慌てたように、変な意味ではないと言う。……まずは彼の言う『違う』の意味を捉える必要がありそうだ。

「オリバー様に悪意がないということはわかっています。……けど、『違う』というのは、どのような意味でしょう?」

「……僕は落ちこぼれですから。お二人のような十分な教養がありません」

 僕の問いに俯きながら答えるオリバー様は、自分に対する自信が消失してしまっているように見える。

「? オリバー様の態度を不快に感じたということはありませんし、十分な教養があると思いますけど……」

「いいえっ、お二人は僕と同い年とは思えない優雅さや気品がありますっ、兄上だって………!」

 なるほど……なんとなく分かった。
 きっと、オリバー様は常に優秀なお兄さんと比べられてきたのだろう。そして、そうした見方をしていたのは母であるコール伯爵夫人ではないと思う。
 さっき初めてあった人だけど、自らの子を比較して優劣をつけたり、それによって子を苦しめたりはしない人だと思う。

「……オリバー様はお兄さんと自分を比べてしまっているのですね?」

「……比べてくるのは僕自身ではなく僕の周りです」

「でも、他人が勝手にしているそれを気にして傷付いてしまっているのは貴方自身でしょう?」

「っ、気にしないなんて、出来るはずがないじゃないですか! 僕だって努力しているんですっ! でも……!」

 ソフィーは、オリバー様を煽るような言葉を重ねる僕を不安そうに見ている。意図は察してくれているみたいだけど、関係を拗れさせてしまう言動だから心配になってしまったみたいだ。

 当然というべきか、オリバー様は僕の煽るような言動に声を荒らげたけど、会場である庭園の端で話しており、他の人達もそれぞれ話に夢中になっていたため、こちらの異変に気が付いた人はいないようだ。……いや、お父様とお母様は気が付いているかな? こっちに視線を送っている。

 ……オリバー様の気に障ることを言ってしまったけど、彼には内で燻っている感情をを吐き出す必要があると思う。
 そしてそれは、関係が薄く、同じ子供である僕やソフィーだからこそ引き出すことが出来るはず。 
 母親であるコール伯爵夫人には相談しにくく、他人で現役の公爵、伯爵であるお母様とお父様にも自分の相談なんて出来ないだろうから。

 お父様が話してあげてほしいと言っていたのはこういう意味だと思う。きっと、コール伯爵夫人から相談を受けていたのだろう。

「──完璧なお二人に僕なんかの気持ちが分かるはずありませんっ!……あっ……」

「お気になさらず。煽るようなことを言ってしまって申し訳ありませんでした。ですが、オリバー様のお気持ちを聞くことが出来てよかったです」

「はい。お一人で抱え込むというのは苦しいことですもの。人間、自分の中で感情の処理をしようとしてしまいますが、実際には困難なことです。私だって、よく兄に愚痴を言っているのですよ?」

 堪えきれなくなった感情を僕達に向けたところで、ハッとしたように顔色を悪くしたオリバー様にフォローを入れる。
 ソフィーも僕に倣って、気にしていないことを伝え、苦笑気味で自身の話をしている。

「カトル公爵令嬢のような方でも?」

「ふふっ、私だってオリバー様と同い年の人間ですもの、愚痴くらい言います」

「そう、なのですね……」

 公爵令嬢であるソフィーにも、自分と同じようなところがあると聞いたオリバー様は、少し驚いた顔をしている。

「私達でよろしければお話を聞かせてくださいませんか?」

「ありがとうございます。……ですが、僕なんかのことでお二人を煩わせるのはやはり……」

「煩わしいなんてありません。言ってしまうと、僕達はオリバー様と仲良くなりたいだけなのです」

「えっ? 僕と? なぜ……」

「オリバー様が優しくて信頼のおける人物であると、そう感じたからです」

「僕もそのように感じています。……直感的な話なってしまいますが、妹の直感は外れたことがないのですよ? もちろん、僕の直感も」

 あっ、折れてくれたみたいだ。
 食い下がる僕達に、少し気が緩んだようで、険しかった表情が幾分か和らいだ。

「……では、聞いていただけますか?」












~~~~~~~~

《補足》
 少し前に「よほど仲が良くないと名前で呼び合わない」というように書きましたが、それは生家を出る、もしくは爵位を継いだ貴族の話で、エリオットやソフィアくらいの年齢の子供は普通に名前で呼び合います!
 “仲が良くないと”とは言っても、貴族は表面上の仲でしかなくても名前で呼び合うことが多いでしょうけど( ̄▽ ̄;)

 学園で仲が良かったり、同派閥の家だったりすると大人になっても名前で呼び合うと思っていただければと思います_(..)_


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