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第二章 もう絶対に離しませんからね、先輩!
説得
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「気持ちは嬉しいのですが……あの父にそんな弱味があるとはとても……」
「でもやるだけやってみたら? どうせタダだし」
「ええ……あなた一体どんなコネを持っているんですか……」
「その情報屋と知り合いなの」
「なんか……凄いですね……」
何故か絶句する凍牙。
ていうかよくよく考えたら麗紗は黒萌情報屋の事を知っている訳だし凍牙もそこを知っているかもしれない。
流石に無料では使えないだろうけどね。
ちょっと一応聞いてみるか。
「因みにその情報屋っていうのは黒萌情報屋ね。知ってるよね?」
「えっ!? そこの事だったんですか!? まさか琥珀さんあなたお嬢様の件で強請ったんじゃ……!」
「いやいや向こうが勝手にお詫びにって……」
「強請りと大して変わらないじゃないですかー! 何をしてるんです!」
凍牙がグラグラと私の体を揺らす。
あれはしょうがなかったんだよ。うん。
決して強請ってはない。
「はあ……まああの父をどうにか出来るのであれば藁にも縋りましょう……琥珀さん、どうか黒萌情報屋で父の弱味を掴んで下さい!」
「ああ……手段は選んでいられないからね。あと凍牙、実は私もお願いがあるんだけど……」
「な、何ですか……」
私の言葉に身構える凍牙。
それは流石に私も傷付くからやめろ……。
「別に大した事じゃないよ。あのさ……麗紗に私が毎日毎日家に行かなくてもいいでしょってやんわりと言ってくれない? 私一人じゃ聞いてくれるか怪しいし……」
「なるほど……もちろん構いませんがお嬢様なら普通に言えば分かってくれると思いますよ?」
「いやでも人数が欲しいっていうか……」
「分かりました、いいですよ」
「よしっ! じゃあ早く屋敷に行こっ!」
「ええ」
私達はそうして屋敷へと歩き出した。
凍牙はさっきまでの荒れていた様子からまたいつもの調子に戻っていた。
*
*
*
「琥珀先輩~! 遅いですよもう!」
「ごめんちょっと用事があって……」
屋敷に着くと麗紗が私を出迎えた。
約束の時間に遅刻した事にぷりぷり怒りながら私の体をぽかぽかと叩く麗紗。
「用事って……私はもう待ち切れなかったんですからね……」
麗紗はブツブツとそう呟きながら私の腰に腕を回して抱き着いた。
えっ……ちょ……。
最初にあの事を言おうと思ったのに凄く話を切り出しにくい。
この子まさかわざとやってるのか……? だとしたらとんでもない策士だ。
「あ、あの……一旦離れて貰っても……」
「嫌です……今日はずっとこのままがいいです……」
遅刻って言っても十分くらいなんだけど……。
何このずっと何年も出張とかで家に帰ってこなかった彼氏を受け止める彼女みたいな反応は!
いつも通り困っていると、凍牙が麗紗をやんわりと止めようとした。
「お、お嬢様……琥珀さんが困りますから離れて下さい……」
「嫌よ。……そういえば凍牙、あなた何で先輩と一緒に来たの? まさかやっぱり……用事っていうのもそういう事なのね……」
「いえそれはありません」
「また即答しやがったなこの野郎! あと麗紗、凍牙はそこでばったり会っただけだよ。あとお願いだからいい加減離れて……」
「琥珀先輩がそう言うなら信じます」
麗紗はそこでようやく私を解放してくれた。
ここで言わないと絶対流されると思った私はすかさず麗紗に切り出した。
「それよりさ……麗紗、ここに来るのは楽しいんだけど……流石に毎日来るのは……」
「うーん……それならここに住むというのはどうですか!? 行く手間が省けますよ! 学校はちょっと遠くなりますけど、千歳が車で送ってくれますから!」
「いやそういう事じゃなくて……色々勉強とかもあるっていうか……それで流石に毎日は来れないんだよ……」
「じゃあここで勉強会しましょうよ! 千歳が私の勉強を見てくれているんですけど、すっごく分かりやすいんですよ!」
「あと親の言い訳もそろそろ無くなってきたっていうか……」
「じゃあ今度ご挨拶に行きますね!」
「それはお願いだからやめて……」
駄目だこの子やっぱり会話が通じない……。
言い方の問題なのか?
「お嬢様……琥珀さんの都合もありますし……」
「あなたは黙ってなさい」
「さ、差し出がましい事を申しました……」
頼みの綱の凍牙も完全に黙らせられちゃったよ!
もう本当どうしたらいいんだろう……。
「あら? どうしたの~? 夫婦喧嘩?」
「やだ~千歳、私が琥珀先輩とそんな……」
「千歳、勘弁して……」
そんな時、絶妙なタイミングで千歳がやってきた。
夫婦だと? ふざけんな!
そう内心ムカついていると……。
「それより麗紗ちゃん……ちょっと琥珀ちゃん借りてもいいかしら? この子の能力の事で急用があるの」
「!?」
「えっ……嫌よ。後にして」
「ふーん、もし琥珀ちゃんの能力が暴走して琥珀ちゃんが怪我をするような事があっても知らないわよ麗紗ちゃん?」
「……っ! 分かったわ、好きにして」
「はーい♪ 行きましょ琥珀ちゃん!」
「あ、ああ……じゃあ行ってくるね麗紗」
「はい」
急に出てきたと思ったらあの麗紗を曲げさせただと……!
千歳凄いな……。流石は研究者って感じだ。
ぶっちゃけ凍牙より扱いを分かってるんじゃないかな?
そうして私は千歳に研究室へと連れて行かれた。
「でもやるだけやってみたら? どうせタダだし」
「ええ……あなた一体どんなコネを持っているんですか……」
「その情報屋と知り合いなの」
「なんか……凄いですね……」
何故か絶句する凍牙。
ていうかよくよく考えたら麗紗は黒萌情報屋の事を知っている訳だし凍牙もそこを知っているかもしれない。
流石に無料では使えないだろうけどね。
ちょっと一応聞いてみるか。
「因みにその情報屋っていうのは黒萌情報屋ね。知ってるよね?」
「えっ!? そこの事だったんですか!? まさか琥珀さんあなたお嬢様の件で強請ったんじゃ……!」
「いやいや向こうが勝手にお詫びにって……」
「強請りと大して変わらないじゃないですかー! 何をしてるんです!」
凍牙がグラグラと私の体を揺らす。
あれはしょうがなかったんだよ。うん。
決して強請ってはない。
「はあ……まああの父をどうにか出来るのであれば藁にも縋りましょう……琥珀さん、どうか黒萌情報屋で父の弱味を掴んで下さい!」
「ああ……手段は選んでいられないからね。あと凍牙、実は私もお願いがあるんだけど……」
「な、何ですか……」
私の言葉に身構える凍牙。
それは流石に私も傷付くからやめろ……。
「別に大した事じゃないよ。あのさ……麗紗に私が毎日毎日家に行かなくてもいいでしょってやんわりと言ってくれない? 私一人じゃ聞いてくれるか怪しいし……」
「なるほど……もちろん構いませんがお嬢様なら普通に言えば分かってくれると思いますよ?」
「いやでも人数が欲しいっていうか……」
「分かりました、いいですよ」
「よしっ! じゃあ早く屋敷に行こっ!」
「ええ」
私達はそうして屋敷へと歩き出した。
凍牙はさっきまでの荒れていた様子からまたいつもの調子に戻っていた。
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「琥珀先輩~! 遅いですよもう!」
「ごめんちょっと用事があって……」
屋敷に着くと麗紗が私を出迎えた。
約束の時間に遅刻した事にぷりぷり怒りながら私の体をぽかぽかと叩く麗紗。
「用事って……私はもう待ち切れなかったんですからね……」
麗紗はブツブツとそう呟きながら私の腰に腕を回して抱き着いた。
えっ……ちょ……。
最初にあの事を言おうと思ったのに凄く話を切り出しにくい。
この子まさかわざとやってるのか……? だとしたらとんでもない策士だ。
「あ、あの……一旦離れて貰っても……」
「嫌です……今日はずっとこのままがいいです……」
遅刻って言っても十分くらいなんだけど……。
何このずっと何年も出張とかで家に帰ってこなかった彼氏を受け止める彼女みたいな反応は!
いつも通り困っていると、凍牙が麗紗をやんわりと止めようとした。
「お、お嬢様……琥珀さんが困りますから離れて下さい……」
「嫌よ。……そういえば凍牙、あなた何で先輩と一緒に来たの? まさかやっぱり……用事っていうのもそういう事なのね……」
「いえそれはありません」
「また即答しやがったなこの野郎! あと麗紗、凍牙はそこでばったり会っただけだよ。あとお願いだからいい加減離れて……」
「琥珀先輩がそう言うなら信じます」
麗紗はそこでようやく私を解放してくれた。
ここで言わないと絶対流されると思った私はすかさず麗紗に切り出した。
「それよりさ……麗紗、ここに来るのは楽しいんだけど……流石に毎日来るのは……」
「うーん……それならここに住むというのはどうですか!? 行く手間が省けますよ! 学校はちょっと遠くなりますけど、千歳が車で送ってくれますから!」
「いやそういう事じゃなくて……色々勉強とかもあるっていうか……それで流石に毎日は来れないんだよ……」
「じゃあここで勉強会しましょうよ! 千歳が私の勉強を見てくれているんですけど、すっごく分かりやすいんですよ!」
「あと親の言い訳もそろそろ無くなってきたっていうか……」
「じゃあ今度ご挨拶に行きますね!」
「それはお願いだからやめて……」
駄目だこの子やっぱり会話が通じない……。
言い方の問題なのか?
「お嬢様……琥珀さんの都合もありますし……」
「あなたは黙ってなさい」
「さ、差し出がましい事を申しました……」
頼みの綱の凍牙も完全に黙らせられちゃったよ!
もう本当どうしたらいいんだろう……。
「あら? どうしたの~? 夫婦喧嘩?」
「やだ~千歳、私が琥珀先輩とそんな……」
「千歳、勘弁して……」
そんな時、絶妙なタイミングで千歳がやってきた。
夫婦だと? ふざけんな!
そう内心ムカついていると……。
「それより麗紗ちゃん……ちょっと琥珀ちゃん借りてもいいかしら? この子の能力の事で急用があるの」
「!?」
「えっ……嫌よ。後にして」
「ふーん、もし琥珀ちゃんの能力が暴走して琥珀ちゃんが怪我をするような事があっても知らないわよ麗紗ちゃん?」
「……っ! 分かったわ、好きにして」
「はーい♪ 行きましょ琥珀ちゃん!」
「あ、ああ……じゃあ行ってくるね麗紗」
「はい」
急に出てきたと思ったらあの麗紗を曲げさせただと……!
千歳凄いな……。流石は研究者って感じだ。
ぶっちゃけ凍牙より扱いを分かってるんじゃないかな?
そうして私は千歳に研究室へと連れて行かれた。
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