麗紗ちゃんは最狂メンヘラ

吉野かぼす

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最終章 最狂の愛

あなたの最高のかわいさを

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 全身全霊を懸けて、双剣に八重染琥珀を注ぎ込む。
 双剣が影を焼き尽くすような光を放つ。

 体も、焼けてしまいそうだ。

「愛してるよぉ!」
「大好きですっ!」

 眩い斬撃を放ち、麗紗を愛で包み込む。
 麗紗はその愛に刃で応える。

 何回も、何回も何回も。

「「すきっ! すきすきすきすきすきすきすきすきすきっ!!!」」

 あつい。あついあついあついあついあつい。
 麗紗と愛を交わすほどに、私の体が、私の命が燃え盛る。

 それはきっと麗紗もだ。
 刃からそれが伝わってくる。

「あああああぁぁああああぁあああぁああああぁああいしてる」
「あああぁあああああぁああああぁあああぁあああああすきぃ」

 最後の力を振り絞って、双剣に愛の炎を滾らせ振るう。
 麗紗も、純白の刃に愛を込め振り下ろした。

「「すきぃ! すきすきすきすきぃ! すきすきすきすきすきすきすきぃぃぃ!!!」」

 愛の炎を宿した双剣と愛が籠った純白の刃が業火を散らす。
 やがて二つの愛は爆ぜ、すべてを出し尽くした私達は倒れた。

「があっ……!」
「ぐうっ……!」

 八重染琥珀がもう出ない……! 
 体内の起素も、空気中の起素も全部使い果たしたのか……! 

 でも、でもまだ決着が付いてない。
 能力が出せなくなっても、私はまだ戦える。

 愛する人のためなら。
 あなたもそうでしょ? 麗紗! 

 私は、震える体を叩き起こして立ち上がる。
 麗紗も、ボロボロの体を引きずって立ち上がる。

 そして、私達は同時に拳を構えた。

「す、きっ!」

 壊れるくらい力を籠めて、体中が上げる悲鳴を掻き消して殴る。
 麗紗の右頬に私の拳が入った。

「があっ……す……すきぃ!」
「ごふっ……!」

 麗紗の右拳が、私の腹に入り込む。
 内臓が潰れる感覚を味わう。

 苦しい。すごく苦しい。
 でもこれはそれだけ麗紗が私を愛してくれてるって証拠なんだ。

 だから私もそれに応えて、もっと愛を注ぐんだ。
 麗紗に、突きを入れる。

 麗紗から、突きをもらう。麗紗に、また突きを入れる。
 血みどろを味わいながら私は目に焼き付ける。

 拳を振るう麗紗の、この上ない美しさを。

「ああああああああ……ああっ!!!」
「やああああああああ……あああっ!!!」

 喉が枯れるくらい叫びながら、私達は殴り合う。
 痛みと愛しさに酔いしれながら、何度も何度も何度も。

 気が遠くなるくらいの時間、そうやって私達は闘った。

 意識が遠のいているせいで実際にはどれくらいの時間だったか分からないけど。

 ついに、その時はやってきた。
 限界を超えた限界の末の、決着の時が。

 血塗れで息を切らしながら、私達は最後の突きを放った。

「「すき……っ!」」

 腕をぐんと伸ばして、拳をぶつけあう。
 お互いの拳が顔に入った。

 私達は、一斉に地面に倒れた。

「あっ――」
「うっ――」

 もう指先ひとつも、動かせない。
 私の体はそう言っていた。

 でもそれは私の台詞じゃない……! 
 感覚の無い手足を無理矢理叩き起こす。

「あああ……! あああああああああああああああああっ!!!」

 動けっ……! 動けよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ! 

「動きなさいよ……っ! ああああああああああああああっ!!!」

 麗紗も、立ち上がろうと足掻いている。
 ああ……麗紗、やっぱりあなたはかわいいよ……。

 見ているだけで幸せになれる。仕草ひとつひとつに心が躍る。
 言葉一つで心が弾む。触れれば幸せに包まれる。

 認めさせたい。
 あなたの、最高のかわいさを! 

「ああああああああああ――がああああああああああああああああああああっ!!!」

 私は、砂利を踏みしめて立ち上がった。
 麗紗の笑顔を力に変えて。

 そして拳を天高く突き上げた。
 これは、麗紗が世界一かわいいことの証明。

 命を懸けてするべき私の使命。
 きっと私の人生は、この瞬間の為にあったんだろう。

「ぐうっ……!」

 立ち上がりかけて倒れてしまう麗紗。
 これで、決まりだ。


 麗紗は、世界一かわいい。


「私の勝ちだよ……麗紗」
「はは……琥珀先輩は強かったです……」

「麗紗も、強かったよ」

 麗紗が笑って、私も笑う。

「麗紗の方が美人、わかった?」
「……はいはい分かりましたよー!」

「ぷっ!」

 頬を膨らませて拗ねる麗紗は、あまりにも子供っぽくて。
 そこがやっぱりかわいかった。

「琥珀先輩!」
「ふふっ、なに?」

 麗紗に、声を掛けられる。
 はっきりと大きな声で。

「勝負には負けても……私は琥珀先輩のこと、世界一愛していますからね!」
「ありがとう……! 私も麗紗のこと、世界一愛してるよ!」

 愛を交わして、血だらけの体で麗紗に抱き着く。
 幸せな気持ちが込み上げ、私の全身を優しく包み込んだ。






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