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160「酒買ってきた奴が何言ってんだよ」
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「あー、そっちが先だったか」
「お待たせしました」
エイダールとイーレンが合流場所につくと、飲み物を調達して来ると言って別行動を取っていたブレナンが先に到着していた。隣にはケニスもいる。
「飲み物には揚げ時間が無いからな」
当然だろうとブレナンは笑い、エイダールとイーレンに、持っていた瓶を手渡す。
「え、お酒ですか?」
手渡された物がどこからどう見ても酒瓶で、イーレンは困惑する。
「酒は苦手だったか?」
体質的に飲めないのだろうかと、ブレナンは尋ねる。
「いえ、そういう訳ではありませんが、まだ勤務時間内ですので」
昼休憩中ではあるが午後からも仕事はある、飲酒はまずい。
「それなら大丈夫だろう、そんな強い酒じゃないし、みんな水みたいに飲んでるぞ」
冒険者基準では水だ、とブレナンは続けるが。
「でもお酒ですよね」
イーレンはそんな基準を認める訳にはいかない。
「遠征だと普通にワイン空けたりしてんだから、気にしなくていいだろ」
エイダールは気にしない派らしい。
「それは、水だと持ち運んでいるうちに腐ってしまうような長期遠征での話ですが?」
「ここまで来てんだから、遠征気分で飲めば」
「無茶言わないでください、ここは外れとはいえ、王都内です」
冒険者ギルドは騎士団本部から距離があるものの、それでも王都内の移動でしかない。遠征気分になるのは難しい。
「そんなに気になるなら、水を出してやってもいいけど。もしくは後で酒精を抜くか」
どちらもエイダールには簡単な作業である。
「酒精を抜く? 飲む前に沸騰でもさせんのか?」
酒精を飛ばす方法としてブレナンが思いつくのはそれくらいである。
「いや、別に沸騰させなくても、俺は酒精だけ選り分けられるから」
今すぐ酒瓶の中身を水にすることも出来るし、その方が作業的には簡単なのだが。
「けど、飲む前に抜いたら味が変わるだろ? 美味しく飲んだ後で酒精だけ、こう、体内からちょちょいっと」
エイダールは、ふわりと掬いあげるような手の動きを見せる。
「では、食事の後で抜いてください」
イーレンは、後で抜くを選択した。美味しくいただくという部分には賛成らしい。
「この二つの包みの中身が肉です」
まずは食事にしようということで、イーレンは紙袋から揚げ物の入った包みを取り出し、近くにあった比較的平らな石の上に置いた。
「それと、これ美味そうだったから、ついでに買ってきた」
エイダールも、同じ石の上に小さな籠を置く。
「ん、蒸した芋か」
ブレナンが籠の中を覗き込んだ。ほくほくに蒸し上がった芋が、ごろごろと入っている
「美味そうだろ? ベーコンと合うって聞いたからそっちも買った」
エイダールはさっと塊のベーコンを出す。
「完全に酒のつまみじゃねえか」
「酒買ってきた奴が何言ってんだよ」
「ぶはっ、そう言われればそうだな」
エイダールに突っ込み返されたブレナンが吹き出す。
「随分と仲が良いというか、気が合う方のようですね」
イーレンは驚きを隠せない。積極的に友人を作りに行くことの少ないエイダールにしては珍しく親し気である。
「そうか? 知り合ったのは一週間くらい前なんだが……いや、初めて会ったのは二週間くらい前か」
エイダールは記憶を掘り起こす。ケニスに指名依頼を出しに冒険者ギルドに行った時、声を掛けられた覚えがある。
「そうそう、あの時はケニスに何の用かと思って声掛けたんだよな。ちゃんと名乗り合ったのが一週間前だな」
ブレナンも同意する。鳥型の魔獣討伐の見学に行った日である。
「考えてみれば、会うのもまだ三度目か」
エイダールは、意外だなあという顔をした。知り合ってからの日の浅さを考えると、なかなかの馴染みっぷりっである。
「この間のが濃かったからだろう。というか、あれ、あんたがいなかったら詰んでたし、それを思うと巡り合わせって奴だよなあ」
百体以上の魔獣に追い掛けられるという、生死の境を潜り抜けるような経験をしたので、ブレナンの方は何となく仲間意識が強くなっている。
「そうだな、もともとはユランが弓使いのケニスと知り合ったのがきっかけだから、不思議なもんだよな」
人の縁とはそんなものである。
「会ったのが三度目って……」
イーレンは一瞬口をぱくぱくとさせるが。
「まあ、君は友人が少ないので、気の合う人は大事にした方がいいかな。今後もよろしくお願いしますブレナンさん」
「お前にそんな心配をされる覚えはねえぞ」
勝手によろしくされたエイダールは言い返すが。
「ちょっと変わってるが気はいい奴なのに、友達少ないのか?」
ブレナンに真顔で問われて目を逸らす。
「そりゃまあ多くはないけど」
「ある程度の社会性はあるのですが、基本的な言動が粗雑なので、繊細な人は耐えられなくて」
少なくとも貴族社会向きではないのだと、イーレンが補足する。
「成程」
「納得すんなよ」
エイダールはブレナンの足をがしがしと蹴りつけた。
「お待たせしました」
エイダールとイーレンが合流場所につくと、飲み物を調達して来ると言って別行動を取っていたブレナンが先に到着していた。隣にはケニスもいる。
「飲み物には揚げ時間が無いからな」
当然だろうとブレナンは笑い、エイダールとイーレンに、持っていた瓶を手渡す。
「え、お酒ですか?」
手渡された物がどこからどう見ても酒瓶で、イーレンは困惑する。
「酒は苦手だったか?」
体質的に飲めないのだろうかと、ブレナンは尋ねる。
「いえ、そういう訳ではありませんが、まだ勤務時間内ですので」
昼休憩中ではあるが午後からも仕事はある、飲酒はまずい。
「それなら大丈夫だろう、そんな強い酒じゃないし、みんな水みたいに飲んでるぞ」
冒険者基準では水だ、とブレナンは続けるが。
「でもお酒ですよね」
イーレンはそんな基準を認める訳にはいかない。
「遠征だと普通にワイン空けたりしてんだから、気にしなくていいだろ」
エイダールは気にしない派らしい。
「それは、水だと持ち運んでいるうちに腐ってしまうような長期遠征での話ですが?」
「ここまで来てんだから、遠征気分で飲めば」
「無茶言わないでください、ここは外れとはいえ、王都内です」
冒険者ギルドは騎士団本部から距離があるものの、それでも王都内の移動でしかない。遠征気分になるのは難しい。
「そんなに気になるなら、水を出してやってもいいけど。もしくは後で酒精を抜くか」
どちらもエイダールには簡単な作業である。
「酒精を抜く? 飲む前に沸騰でもさせんのか?」
酒精を飛ばす方法としてブレナンが思いつくのはそれくらいである。
「いや、別に沸騰させなくても、俺は酒精だけ選り分けられるから」
今すぐ酒瓶の中身を水にすることも出来るし、その方が作業的には簡単なのだが。
「けど、飲む前に抜いたら味が変わるだろ? 美味しく飲んだ後で酒精だけ、こう、体内からちょちょいっと」
エイダールは、ふわりと掬いあげるような手の動きを見せる。
「では、食事の後で抜いてください」
イーレンは、後で抜くを選択した。美味しくいただくという部分には賛成らしい。
「この二つの包みの中身が肉です」
まずは食事にしようということで、イーレンは紙袋から揚げ物の入った包みを取り出し、近くにあった比較的平らな石の上に置いた。
「それと、これ美味そうだったから、ついでに買ってきた」
エイダールも、同じ石の上に小さな籠を置く。
「ん、蒸した芋か」
ブレナンが籠の中を覗き込んだ。ほくほくに蒸し上がった芋が、ごろごろと入っている
「美味そうだろ? ベーコンと合うって聞いたからそっちも買った」
エイダールはさっと塊のベーコンを出す。
「完全に酒のつまみじゃねえか」
「酒買ってきた奴が何言ってんだよ」
「ぶはっ、そう言われればそうだな」
エイダールに突っ込み返されたブレナンが吹き出す。
「随分と仲が良いというか、気が合う方のようですね」
イーレンは驚きを隠せない。積極的に友人を作りに行くことの少ないエイダールにしては珍しく親し気である。
「そうか? 知り合ったのは一週間くらい前なんだが……いや、初めて会ったのは二週間くらい前か」
エイダールは記憶を掘り起こす。ケニスに指名依頼を出しに冒険者ギルドに行った時、声を掛けられた覚えがある。
「そうそう、あの時はケニスに何の用かと思って声掛けたんだよな。ちゃんと名乗り合ったのが一週間前だな」
ブレナンも同意する。鳥型の魔獣討伐の見学に行った日である。
「考えてみれば、会うのもまだ三度目か」
エイダールは、意外だなあという顔をした。知り合ってからの日の浅さを考えると、なかなかの馴染みっぷりっである。
「この間のが濃かったからだろう。というか、あれ、あんたがいなかったら詰んでたし、それを思うと巡り合わせって奴だよなあ」
百体以上の魔獣に追い掛けられるという、生死の境を潜り抜けるような経験をしたので、ブレナンの方は何となく仲間意識が強くなっている。
「そうだな、もともとはユランが弓使いのケニスと知り合ったのがきっかけだから、不思議なもんだよな」
人の縁とはそんなものである。
「会ったのが三度目って……」
イーレンは一瞬口をぱくぱくとさせるが。
「まあ、君は友人が少ないので、気の合う人は大事にした方がいいかな。今後もよろしくお願いしますブレナンさん」
「お前にそんな心配をされる覚えはねえぞ」
勝手によろしくされたエイダールは言い返すが。
「ちょっと変わってるが気はいい奴なのに、友達少ないのか?」
ブレナンに真顔で問われて目を逸らす。
「そりゃまあ多くはないけど」
「ある程度の社会性はあるのですが、基本的な言動が粗雑なので、繊細な人は耐えられなくて」
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「納得すんなよ」
エイダールはブレナンの足をがしがしと蹴りつけた。
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