亡国の王子の復讐

朝日

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囚われた少年

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――それは、まだイリスが九歳のときだった。

当時、サイの国は戦争真っ最中で、城内の人間は日々情報が伝わることに恐怖を覚えていた。戦ったのは隣国、カモーア。屈強の国と周辺の王家からは恐れられていた。

とは言え、イリスが住まう国、サイも負けてはいなかった。


過去の因縁を含めていつ戦争になるか分からなかった両国は、国境付近の小さな争い事が、本格的な戦争を招いてしまった。やがて大きな荒波になって国を揺るがすことになる。


第二王女として生まれたイリスにとって、身近にいた大事な人たちが死んでいくのは何よりもつらかった。


「お父さま……っ、バスタが陥落したって!」

知らせを聞いたイリスは真っ先に父ブレイヴのもとに駆け付けた。各大臣と会議をした後のようで、ちょうど部屋から出るところだった。


「イリス……またお前は伝書を盗み見したのか。そんな泣きそうな顔をするな。大丈夫だ、被害は最小限に抑え早々と撤退した」

それでも犠牲になった人がいる。その帰りを心配して待っている人もいるのにと、イリスの目に涙が浮かぶ。


「……どう、して…戦争なんかするのっ!誰も望んでいないのに!」

周りの人はざわっと空気を震わせた。しかし積み重なった感情と交錯する不安に押し潰されそうだったイリスは耐えきれずに大きく叫んでいた。


「黙りなさい。これは大人の問題だ、子供が口を挟む事じゃない。もうすぐ稽古の時間だろう。そんなことをしている暇があるのならば、さっさと動きなさい」

「けれど……!」

「何度言わせれば気が済むんだ、これ以上私を怒らせるな」


王の威厳。誰よりも高貴で神聖な、この国の象徴であるお父さま。親子という間柄なのに、到底手の届かないところにいる人。私情を押し殺して冷徹と言われても大事な国を護ろうとしている。

それが王という存在であり、胸の内に秘めるのは残酷なまでの決断力と自己犠牲……イリスは絶対的な存在感を感じ、虚しく言葉を失った。


「イリス。返事は?」

畏怖を投げかけるその瞳に、もう逆らうことは出来なかった。


それから数ヶ月後、戦況は芳しくない状態だった。毎日、胸が苦しくて息が出来ないほどの痛みがイリスの心の中で巣食っていた。


しかし侍女の一言を聞けば、その状況は一転したようだった。


「姫様っ!わが軍がカモーアを滅ぼしたそうです!!」

サイに古くから謳われる曲の、とてつもなく難しい第十三章をピアノで練習していたら、息を切らせて目を輝かせる侍女が飛び込んできた。

イリスはその頃、こっそり抜け出しては真剣を持って影で稽古していた。騎士団の中にも知り合いがたくさんいて気がつけば共に過ごすようになるのが当たり前になっていた。


「こらマーリ、はしたないことはおよしなさない。姫様がいるのですよ」

城内では礼儀にうるさい古株のロズが呆れた顔をして注意をする。しかし、イリスはそれどころではなかった。説教を始めようとしたロズを後ろにやって、涙声で確認する。


「ほんとう!?ああ、よかったぁ!これ以上みんなが苦しまなくて済むわ……!」

「敵の国王を倒し、昨日王都を滅したとのご報告!わが軍の勝利です!」

「倒、し?まさか……」

イリスは嫌な予感が満ちて、ずきっと胸が抉られたように心が痛む。


「ええ、忌わしきカモーアの王族を殲滅させました。イリス様のお知り合いが大殊勲ですよ!確か、まだ幼い王子が側にいたそうですが」

「なんですって……!?その子まで殺してしまったの?」

この戦いの終止符を打つためには、どちらかの王が倒れなければいけない。分かっていたけど、泣きたくなった。ここまで肥大化した戦争に決着をつけることに甘えは許されない。どちらが必ず打撃を受けるのは必然。


「いえ、それは後のカモーアの反感を買うとの御考えで殺すことはなくなりました。今日中にでも捕虜として城内に参るそうですよ」

「……そう、なの」

自分よりも小さな子だときく。戦争になる前、両国の合同の晩餐会で姿を見せたことがある。

確か幼いながらでも動作の一つ一つが凛々しく、洗練された人形のように美しかった。その時受けた印象は強烈なもので、同世代とは思えないほどに大人びていた子だった。






 「――イリス、喜べ。カモーアを滅ぼして、見事我が騎士団が勝利したぞ!」

いつもより機嫌がいいイリスの父ブレイヴは、王の玉座で高笑いをしていた。イリスを呼び、戦果を語り、自分の国の素晴らしさを語る。何時間にわたる話だった。


「お父さま、このたびはおめでとうございます……」

イリスにとっては喜ばしい事だったが、どんより気分は下がっていた。カモーア側でも亡くなった人は多いはず。自分の国だったらと思うと本当に恐ろしい。それでも、騎士の皆が国のために命をかけて一生懸命戦ってくれたことが嬉しかった。

姉であるフローラは同盟国に嫁いでいる。ゆえに今城内にいる王の娘は、イリス一人だけだった。


「イリスが嬉しいだろうと思ってな、戦利品を持ってやったぞ」

「戦利、品……?」


戦利品と聞いた途端に、イリスの中で胸を騒がす音が響く。ドクンドクンと雷鳴のように高鳴る心臓にイリスの全身が少し揺れ動く。

イリスの父が家来の者に顎を示すと、さっと消えていく。そして、一人の少年が、鎖に繋がれてこの部屋に入ってきた。鮮やかな銀色の髪はぐしゃぐしゃにされ、みずほらしい恰好でふらりゆらりと歩いてくる。


本来ならば美しく着飾って、堂々たる王家の象徴として、輝いていただろうに。


「なんて、ことを……っ」

イリスはその痛々しい姿に目を覆いたくなった。思わず口に手を当て、一歩下がる。


「憎きカモーアの国の王子、ディルだ。見るだけでおぞましい銀の髪をしている。どうだ?見かけは子供だが顔はいい。イイ玩具になるだろう?」


すぐさま駆け寄ると、ディルと呼ばれた少年はゆっくりと顔を上げる。それが、戦後のディルとの初対面だった。


瞳は何も映してはいないように虚ろだった。しかし、父を見る目は明らかに憎しみに満ちていた。視線が合った瞬間、イリスはバチッと電撃のようなものを感じる。童話から出てきたように綺麗な顔は、生気がないほどに歪んでいた。


「……玩具、と言いましたか?」

イリスの中で静かな怒りが燃え上がり、ぶるぶると震えた。頼りなく揺れる肩に力が入る。


「こんなにも、怪我をして……傷つけられたのね」

殴られた痕のある少年の頬をなぞると、イリスは鎖に繋がれた手で思いっきりぶたれた。


「イリス様!!」

周りにいた騎士の皆が一斉に剣を向ける。途端に冷たい空気が広がり、緊迫したものが流れていった。

少年ははぁはぁっ……と上下に息切れをしてイリスを射殺すように見つめてくる。あらん限りの憎しみを込めて。じんじんと痛みを訴えるイリスの頬はしだいに赤くなってくる。


しかし、イリスは場違いにも、

――綺麗な目だと、思った。


「手出しは無用よ!剣を下ろしなさい!」

普段こんな大きな声を張り上げたことのないイリスが、腹の底から声を出して制止を促す。少年はびくりと肩を動かして、訝しげにイリスの方を睨んできた。


「しかし……!」

騎士達はイリスのためを思って、尚も口を挟む。


「下ろしなさいと、言っているの」

ゆっくりと、強く、言葉を落とす。皆にこれ以上人を傷つけてほしくない、そんな思いを込めて。普通ではない迫力に申し訳ありません、と頭を下げる騎士達。

父であるブレイヴは、試すようにイリスを見つめる。


「……お名前は?」

少年の近くに足を折り曲げて座る。イリスの長い髪が空気にふわりと揺れて、自分の視界の奥に入った。少年は答える気がないようで、鎖が取れたらいつでも飛びかかれる態勢に入っている。


「私はイリス。イリス・サイ。この国の第二王女よ」

「………」

微かに震えている体に目がいくと居た堪れなくなって、ぎゅっと包み込むように抱きしめた。


「――っ!!」

目を見開いた少年がじたばたと暴れる。縛られている鎖がイリスの肌に食い込み、引っかき傷になるのが分かった。それでもイリスは離れようとはしなかった。鼓膜の奥で剣を構えている騎士達を目で抑えると、絞り出すように言った。


「……つらい目に、あったわね。自分の国からも、家族からも切り離されて……」

この子に降りかかったことを考えると、イリスは心が凍っていくようだった。


「お前に……何が分かる…っ!」


初めてそばで聞いた少年の声は怒りと憎しみが交ざり、猛獣のように荒々しかった。イリスは次に何かされるか分かったまま、悲しそうに視線だけを落とす。その瞬間、少年はイリスの肩を思いっきり噛んだ。痛みが波紋のように広がっていくが、今はまったく気にならない。


「……もう大丈夫。大丈夫よ」

そう、出来るだけ優しく、口を開く。
 

「イリス様!!」

もう我慢できないと、イリスの近くにいた一人の騎士が少年の首目掛けて剣を下ろす。しかしその刹那の時を切り裂いて、イリスは少年を庇うように動いた。


ギリギリで騎士は気付き、慌てて別方向に剣を向ける。ガツンと鈍い音が響いて不気味な静寂が広がった。呆然とした少年は、放心状態で口を開いていて、歯にはイリスの血が滲んでいた。

周りは息を飲んで見守る中、ブレイヴだけが楽しそうな表情をしていた。


「――イリスよ。お主は穢れたカモーアの王族を庇うというのか?」

地を這うような低い声で、ぞっとする笑みを浮かべながら静かに問う。さすがにイリスにも冷や汗が浮かんで、心臓が痛くなった。しかし、これだけは譲れなかった。


「ええお父さま。彼は穢れてなどいません、私たちのような人間です。例え生まれ育った国は違おうとも、命はみんな平等です」

言葉に力が入って、少年を抱きしめる。カタカタを震えるのはお互い同じだった。


「面白い。イリスが言う命が奪われたのはそいつの王族のせいだぞ」

「話が別です。この子は何の罪もありません。まだほんの子供ですよ…亡くなった両親の事も忘れてはいないでしょう」

叫んでいるうちに腕の中にいる銀色の髪が当たる。イリスの噛まれた皮膚は少し変色していた。


「ふ……イリスが私に歯向かうのも久しぶりだな。ちょっと悪戯をしてみようか」

「!?」

その言葉にイリスは少年を守るように後ろにやった。もう一度噛みついてくるかと思ったが、気にしている余裕などなかった。


「衛兵。この薄汚れた少年の身ぐるみを剥いでしまえ。イリスは抑えつけろ。動かすなよ」 

「お父さま!?」

イリスは耳を疑い、動揺してブレイヴを見る。しかし、弧を描く三日月形は肯定を示していた。この国の君主に逆らえるはずもなく、苦しそうな顔をした騎士は、すぐさま動いた。


「どうかおやめくださいお父さま!お気に障ってしまったのなら私が謝ります!その少年を傷つけないで!お願いです!」

泣きながら叫んだが、お許しください……と呟いた騎士はイリスの身を拘束する。構わずに左右に体を揺らして暴れるが、ぐっと抑えつけられる。体術を習っておけばよかったと今更イリスは後悔した。


「可愛い娘が泣くのもソソられるものだな。さすがは国一の美姫と称えられることはある」

くすりと笑って、動けないイリスの涙を拭きとり、ぺろりと舐めた。ぞわっとした感覚がイリスの背中に広がっていく。


「何をおっしゃっているのです!正気ですか!」

目の前にいる人が父だとイリスは思えなかった。


「やめ……っ、離せ!触れるな!」

荒々しい声を出して少年が暴れている。イリスを抑えつけている騎士がごくん、と喉を鳴らす音が聞こえた。


銀髪を揺らして、羞恥のためか真っ赤になって涙を浮かべている。どんどんと彼が身につけているものが脱がされていく――。

思わず息を飲んでしまう程、綺麗な体が見える。イリスは何も出来ずに、ただ見ているだけしかできなかった。叫んでも、抗っても、どうすることもできない。 


「は……顔だけじゃなく体も美しいとはな。しなやかな腕と、ほどよくついた筋肉…艶やかだな。カモーアの王族も我らと劣らず綺麗なようだ。心は別だが」

周りを見ると、騎士たちまでもが雄の目をして少年を見ている。不完全な理性にしがみついて、ぐっと耐えているかのように。イリスは血の気が引いた。


「何を悠長なことを……!早く外しなさい、動けないわ!」

後ろにいる騎士に命令しても、離してくれない。王は絶対なのだと思い知らされる。


「そこで大人しくしているんだイリス。お前は最近反抗気味だからな、大人というものを見せてやろう」

一歩一歩近づいて、薄っすら笑う。


「近寄るな汚らわしい!!カモーアの敵め!」

少年は精一杯の勇気を総動員して叫ぶが、声は震えてかすれている。完全に裸になった少年は足を押さえられ、どしんと座らされた。そんな姿を見て、か弱い兎を相手にするかのように追い詰める父ブレイヴが、イリスには恐ろしくて仕方なかった。


「汚らわしい?それはこの塊の事か?」

一瞬にして少年の顔とイリスの顔が蒼くなる。


「やめて、お父さま――…っ!」

何をしているのと目を見開いたイリスは今まで以上に暴れる。


「う、わぁぁ……っ!」

少年は叫び声を上げて、ポタリと涙を流していた。

 
「どうだ?世界で一番憎い相手に自分のコレを握られている気分は?我らサイの目の前で全裸になり、あられもない姿をさらけ出しているのだ。生きることをやめたくなるくらい屈辱的だろう?」

ブレイヴが挑発するようにぴんっと指で突くと、先頭を二本の指で捏ねる。その反動で、少年が軽く口を開けたが必死に声を押し殺す。この場にいる騎士達が少年を凝視して、熱を帯びた視線を送っていた。


「や、やめて。そんなことを……!」

唯一の女であるイリスはぼろぼろと涙を零して、小刻みに震えていた。


「やめろっ!やめ…っ汚い触れるな…!」

少年は湿った息を零し、大きく首を振って現実を否定している。この世の地獄を見ているような目をしていた。


「それにしても妖艶だな、とんでもない色気だ。散々弄んでから殺そうと思ったがやめようか?もしくは愛しいイリスのペットにしようか?」

すっと裸体をなぞり、桃色の乳首を押し潰す。く、と声を漏らす少年の吐息にイリスの心臓が加速を強める。イリスを抑えている男は股間に何か突き出たものを出して感じていた。


「このっ……殺してやる!偉大な父を奪い、母を連れ去り弄んで…っ!大事な者たちを死に至らしめたお前を、地獄の果てまで呪い殺してやる!」

少年は迫力に満ちた金切り声を上げ、ギリリと歯ぎしりして睨む。その激しさにイリスは身が竦む心地だった。


「ほう、では今すぐ実行してみろ。何も出来なかったお主がどうやって私を殺すのだ?」

「死してもお前だけは許さない!何度辱めを受けようが、俺は屈しない!カモーアの名にかけて!」

「おお、それは面白い。しかし体は素直のようだな。見ろ、この盛り上がったモノを」

「――っ!!」


萎えているソレが、びくんびくんと脈打っている。少年は自分の性器を信じられないように見ていた。全員の目がソレに集中し、バチっと電流を浴びせたような刺激を受けて、カタカタと震えと共に揺れている。


「この人数に見られているのだ。感じないわけがないだろう?ヒクヒクともの欲しそうにしているぞ?」

「で、でたらめを言うな……!これは、お前が触れたから!」

動揺して頭を振っている少年を、イリスは呆然としていた。今まで意識したことがなかったモノをまじまじと見せつけられ、恐ろしいものを感じていた。何、何が起こっているの?と頭が真っ白になって混乱し、イリスの顔の筋肉が強張っていく。


「人のせいにするとは勝手な王族だ!見ろイリス!これが男というモノ、実に単純なのかがよくわかるだろう?ふはははっ、こいつは将来大物になるぞ」

そして父ブレイヴが立ち上がり、靴で繊細な性器を踏みつけてぐりぐりと押しつける。その瞬間、空気を切り裂くような声が部屋に広がった。


「いやあああぁ!もう、もうやめて……っ!お父さま!私が、私が、悪かったの!ごめんなさい許して!」

目の前がぼやけてちゃんと見えない。しかし、イリスの視界には苦しそうな少年の顔だけはうつっていた。


「殺せ……!父上を切ったようにひと思いに殺せっっ!」

銀の瞳は生気を吸い取られたかのように虚ろだった。


あぁ……どうすれば、今すぐ少年を助けられる?

痴態を見せものにされて真っ赤な顔をして耐えている少年を、どうしたら救える?何でもいい、私が犠牲になっても。これ以上の悲劇を、見ていられない。そんな自問を巡らせる。色んな可能性を頭に広げて、イリスはいつもの冷静さを欠け、こう叫んでいた。 


「お父さま!わ、私の玩具としてその人を生かしておいてくださったのでしょう!?ならば、私が飼います。きちんと面倒を見て好きなようにさせます!」

少年は驚いてイリスを見る。飼うなんて、人間の道徳に反している。しかし今はこう言うしか彼を救える手立てはないと判断したイリスは強い瞳をくずさなかった。

周りの人間がイリス様…とかすれ声で呟き、驚きながら見ているのが視線で伝わってくる。


「……イリス、気に入ったのか?気に入らねば私が奴隷として育てようかと思案していたのだが」

ふむ、と娘に目にやり、惜しいなと呟く。


「嫌ですっ、それは私のもの!玩具として今日から育てます!もしお父さまのものになるなら、私はお城から出ていきます!」

ぐっと睨みつけて、唇を噛んだ。


「はははっ!そこまでして欲しいのか、この人形を?使い道ならいくらでもある。麗しい王子が気に入ったようだな」

「欲しいです」

例え相手が自分の父だろうとも、一歩も譲る気はなかった。ここで引き下がれば少年は家畜同然の扱いを受けてしまう。そんな目には合わせたくなかった。何としてでも助けたかった。


「はっ強気だな、イリスよ。ならば、私の靴を舐めて懇願するといい。ねだり方は教わっていないだろうが、可愛かったら許してやろう」


イリスは目を開いて父を見る。靴を舐める事は絶対服従を誓うときと同じ事。屈辱的な行為であるのは周知の事情だった。 


「陛下それは!」「姫様に対する侮辱ですよ!」恐れ多いと思っても味方してくれる騎士の温かさは本当にうれしかった。しかしここまで来て逃げるなど、イリスの選択肢にはない。


「口を慎め、それこそ王に対する侮辱だと分からんか」

「――分かりました、お父様」


イリスは後ろに拘束していた騎士にほどくように指示して、父の側に歩いていき、凛と立つ。長い睫毛を伏せると、静かに足をついた。嘘だろ……と背後で呟くのが聞こえる。そう、それほど愚かなことで。仮にも一国の王女が、誰かに服従の意を示す。王族の中では考えられないことだった。


イリスは肩が震えてどうしようもなかった。だが自分のプライドなんてどうでもよかった。


ただ、幾重にも絡まる感情がぎゅうぎゅうと胸を締め付ける。元々、戦争なんか引き起きなければこんなことにはならなかった。誰かが傷つくことも、誰かが涙することもなかった。 止めることも出来ず、 傍観者でしか関わることが出来なかった歯がゆさに胸が苦しくなる。


おずおずと出した舌は緊張のためか薄い唾液が交わっていた。少年と一瞬目があったが、その時間がとても長い気がした。そして、何の味もしないピカピカの靴を一舐めする。かたい感触しか感じずに、次に頭に思い浮かんだ言葉をゆっくりとなぞる。


「――…大好きな大好きなお父さま。我が儘な娘のたった一つのお願いです、その少年を私に預けて下さいな。恥辱にまみれる以上の扱いで、お父さまを満足させましょう」


すがるように、もとめるように父を見た。その視線がどう映っていようが関係ない。込み上げる涙をぬぐおうとはせずに、唇を震わせてイリスは懇願した。


「……っ」

予想以上のねだり方だったのか、父ブレイヴは小さな声を漏らして一歩下がった。誰かの息を飲む音が多発する。イリスは自分の不細工な顔が少しでも心に響くように眉を下げて頭を垂らした。

ねだり方なんて知らない。この他に思いつきそうにもない。王族が懇願し頭を下げるなど、あり得ない。他国の王族が聞いたら嘲り、晩餐の笑い話のネタにするだろう。


「なん、で――……」

王族だった少年にもその常識は分かるようで、信じられないものを見るような目で呆然と呟く。


「……よ、よかろう。そこまでするのならこの奴隷をお前にやる」

半分放心状態の父は、小さく言うと、イリスに手を伸ばした。何かされる――と思ったが、機嫌を損なわせることがないように素直に応じた。


「ふ、いつの間にこんな誘い方を覚えたイリス。不覚にも勃ちそうになったぞ」

「勃……つ?」

未だ性教育をされていないイリスには何の事か分からなかった。


「興奮するということだ。さぁ、奴隷で好きなように遊ぶといい。自室に戻るか?」

そうして、いつもの父に戻った。イリスはほっと安心して、頬をすりよせる。


「はいお父さま。大好きです」

「は、可愛い奴だ。今日は悪戯がすぎてしまったな、すまん」

「いえ……」

一刻も早く少年に着るものを――…それしか頭になく、自室に戻るまでの記憶は飛んでいた。




 「ロズ、湯沸かしの準備を。急ぎなさい。他の人はこの子に着る服を用意してくれる?あと清潔な布も」

自室に戻ったイリスは焦って侍女を呼び出し、テキパキと指示をしていた。鎖に繋がれた少年は至るところに傷を負っていた。食い込んだ鎖によってさらにひどくなっている。

未だに裸体でいることに屈辱で震えたまま、恨めしそうにイリスをにらみつける。両手で赤い性器を隠して、少年は銀の目を涙で濡らしていた。


「この真昼間からどうしてですか。姫様にそんな趣味がおありだったなんて……」

ロズは文句を垂れている。いつもの仕事を放り出してここに来ているのだから無理もない、でも。


「早く動いて!小言は後にしてちょうだい。可哀想に……まだ震えているわ」

泣きそうになって少年の体を抱きしめると、またバコンッと鎖で繋がれた手で殴られ、激しく拒否された。姫様!と悲鳴を上げて侍女が近寄ってくる。


「大丈夫よ、これくらい。それよりも準備を急いで」

「しかし、肩にもお怪我をされています!この子が噛んだのでは……?」

「お願い、私の事なんかいいから、早く」


再度言うと侍女は何か言いたそうにしたが、しぶしぶ動いてくれた。イリスはベットのシーツを引っ張り、少年に被せると、一時の間だけ裸体を隠せる。鎖を解こうとして背中に手をやるが、少年の肌が汗によってするっと滑る。ひっと声を上げたけど、鎖を解こうと作業を続ける。


「離せよ!このっ、この……!王族のお前なんかっ……お前なんか、っ!死ねばいい!」

「ごめんなさい。私に触れられるのは嫌だと思うけれど、もう少しだけ我慢でして……ね?いい子だから」

「触るな!ころ、殺してやる」

尚も暴れてきて、鎖の結合部に手が届かない。じたばたと二人で絡み合い、イリスはどうにもならない少年を止めるため、ある行動に出た。自分よりも体の小さい少年の頭を固定すると、顔を突き出して、激しく唇を重ねる。柔らかい感触を感じる暇もなく、鎖を解こうと躍起になった。


「んむ…っ!な、に……を…むむ…っ!」

「う、ん…っふ……痛!」


舌を噛まれ、頬を切られ、顔をぶつけられても、何とか落ち着かせた。イリスよりも年が低いのにとても力は強かった。やっと鎖が取れる頃にはイリスは髪がぐしゃぐしゃでドレスがはだけていた。戦場から逃げてきたかのようだ。


「取れた――…っ!」

がちゃっといい音がして、少年に自由が生まれる。ぽかんとして少年が自分の手を見つめ、イリスは安心したように息をついて鎖を落とした。疲れた顔でゆっくりと上体を起こし、イリスはやんわりと微笑みかける。少年を包むシーツがびりびりに破れ、意味を失くしている。


「大丈夫、貴方に危害を加えるつもりはないわ。 まず、汚れや泥を流しましょう。もうすぐ呼びに来るか――」


その時だった。



「――っ!」

少年がイリスの首を絞めつけてきた。いきなりのことに反応が遅れると、どんっと背中が濡れた床にぶつかる。酸素が吸えなくなり、肺が活動を鈍らせる。イリスは必死で口を開けて、何とか息を吸い込もうとする。冷たい手がイリスの首に手をかけていった。


「おのおのと生かしやがってっ!どうせ、俺を辱めいいように扱うんだろう!ならばお前を殺して死んでやる!」

冗談ではなかった。本当に殺すような言い方。自分よりも幼い少年の激情に触れ、イリスの心が大きく揺さぶられた。


「やめ、て……あなたに人を……殺して、ほしく……ない」

生に執着し、震える手で、少年の手を重ねた。祈るように見つめると、戸惑ったように少年は少し力を緩める。


「憎い、憎い……!お前なんか、消えてしまえばいい!」

絶叫と言ってもいいくらいの叫びが薄く聞こえる。おぼろげな意識が感じとるのだから、とても大きかったはずだった。


「姫様……?貴様、何をしている!!」

ロズが慌てて駆けつけ、少年を突き飛ばした。がっと声を上げて地面に落下する音が響く。強い痛みが走ったのか、少年がううっと唸るのが分かる。イリスはけほけほと息を吐き出し、苦しそうに瞳を閉じた。


「姫様、大丈夫ですかッ?おのれ、カモーアめっ……!よくも姫様をこんな目に!」

血走った目を光らせ、一歩少年に近づく。本気になったロズは殺しかねない。イリスはロズの足を掴むと、弱弱しく首を振った。


「だめ、ロズ……けほっ!やめ、やめて……」

息が出来ない。心臓が悲鳴を上げる。ぐるぐると血が巡る。イリスは苦しみながら言った。


「許せません!今すぐにでも排除すべきです!」

「やめなさい、私が許さないわ!ロズ、あの子の……様、子を」

必死の剣幕におされたのか、ロズは落ち着きを取り戻す。優しく抱きしめてくれると、息が整うまでそばにいてくれた。そしてイリスが立ち上がり、ふらっと揺れる足で少年の元に近づいた。

一筋キラリと光る涙を流し、少年は横を向いて、倒れていた。生気のないその顔に、イリスの中でやるせなさがうねりを上げて襲いかかってくる。


「……ごめんなさい、ごめんなさいっ、貴方の大事な人を……滅ぼしてしまった…」


そう言って、その場に崩れ落ちる。何の反応も示さない少年の体に触れようと手を動かした。感情のない脱殻のように、瞳は色を失くしていた。抵抗する気もないようで、好きにしろ……と渇いた口が動く。


「ロズ。もう、大丈夫だから……私がこの子を洗うわ。待機してくれる……?」

「姫様っ!」

「お父さまに言ったわ。この子は、私のものだと。何も、悪くないの。王族だというだけで……何かがあったら全ての責任を私が負うわ。だからお願い」

「……分かり、ました…」

イリスは頷くと、少年の体を抱き寄せて、体を洗い流す為に、歩いていった。

 

「……ごめんね、シーツ、脱ぐからね?」

イリスは壊れ物を扱うように優しく触れる。そうしてするっとシーツが落ちていった。少年は何も言わない。ただ、羞恥に耐えながら違う咆哮に目を向けているだけだった。

イリスはドレスのまま湯浴みに上がり、蒸気が立つ部屋の中で温かい水を流した。赤い筋がいくつもあり、ぼろぼろの体がそこにはあった。男子の体を見たことがなくても、ただこの子を綺麗に……とイリスは無言のまま手だけが動く。


「ひどい。こんなに傷を負って……」

ゆっくりと座らせると、がたん、と少年の体が崩れ、イリスに圧し掛かってくる。抵抗する力も出ないようで、小刻みに震えていた。イリスは胸の痛みに耐えながら清潔な布で拭いていくと、黙って見ていた少年が静かに怒りを込めて言い放った。


「……綺麗に、してから……俺を…弄ぶのか?奴隷のように、体を、触れ……」

「そんなことしない。お父さまのような趣味はないもの。貴方の体にだって興味はないわ」

そう言って、イリスが柔らかいお尻を拭くと、少年はブルッと体を揺らし、息を荒くさせた。


「ふざけたことを……!喜んで父親の足を舐めたくせに!」

「貴方を助けるためなら、何だってしたわ。あんな悲惨な光景なんて見たくないもの」

だから何?と言い返す。


「なん、だと……?」

少年は耳を疑うように、自らの意志で視線を合わせてきた。


「……私の国が犯したことを、許してなんて言えない。許してほしいなんて思ってない。それほどのことを、してきたもの。だから、貴方に出来ることなら何でもするわ」

「おまえ……何で…」

言葉が出ないように、少年はじっとイリスを見ている。


「――どうしたら、分かってくれる?もちろん、今までのように豪華な暮らしは出来ないけれど、貴方が望むならそれなりに対応するわ」


本気だった。


「お、俺に触れるのも……嫌なくせに!本当は後で玩具のように遊ぼうって魂胆……」

「嫌なんかじゃない。貴方だって同じ人間よ」


イリスは悲しげな顔をして少年の性器に目をやった。痛々しく負傷してブランと下がっている。少し膨らんだソレをイリスは優しく撫でた。やめろ!とまた顔を殴られる。イリスは自分が何回殴られたか数えるのも忘れてしまった。


「触れるな!お前なんか消えろ!敵の手にかかるなら自分で死…」

この気持ちを分かってもらえるなら、何だってする。イリスは苦しそうに目を細めて見つめる。


「――っ!」


舌を噛みちぎろうとした少年にイリスは咄嗟にキスをした。血が出ている舌の味が染み込み、角度を変えて何度も阻止する。歯がぶつかり合い、上唇が触れ、尚も激しく抵抗した。ぴちゃぴちゃと唾液が絡む音が響き、空気に溶けていく。


「はぁっ……ん、うっ!」

熱い吐息が絡み合う。イリスは必死になって押さえ付けようとした。少年は動揺したように訳が分からなくなって戸惑う。

 
 「は、はっはぁ……っ!」

二人とも激しい息切れを起こした。綺麗な銀の瞳を揺らしながらイリスを見つめる少年には混乱の色が現れていた。ぺたんと双方の体が垂れる。いつの間にかイリスが上に、少年を下へ馬乗りになっていた。イリスは押し倒したのにも気づいていなかった。

ドレスは悲惨な状態ではだけ、イリスの白くて長い足が伸びている。陶器のように艶やかに透明感を漂わせるイリスは、この時から大人の色気を放っていた。

イリスはぺしっと水が弾き、少年の顔の横に手を置く。びくっと肩を動かすけれど、気にしていられない。


「……死ぬなんて、許さないわ。折角、せっかく生きていてくれたのに。貴方はカモーアの王族でしょう?生きていれば、復讐だってできるわ」

「――っ!」

少年は、見えない衝撃にぶち当たったように反応する。


「貴方のお父さまお母さまのことは気の毒だけど、もう……どうにもできないのよ。どれだけ思っても還ってくることはないの」

そう言うイリスの目には今にも零れ落ちそうな涙が浮かんでいた。


「なら、私を殺すくらい強くなって、殺したいほど憎い私に復讐すればいい。憎しみを糧にして、いつか私を手にかけなさい」

「……な、にを。正気か?」

「正気じゃないと言わないわ。いい……?今日の日を忘れないで。誓うの、決して死なないと。私の首は貴方のものよ」

「………」


「だから、死ぬだなんて……言わないで…」

お願いよ……と顔を沈めて、少年の首に絡みついた。嗚咽をはきだし、小さく泣き崩れる。イリスの金髪が広がり、少年の肌にちくちくと突き刺さる。


「………復讐」

おぼろげに呟いて、少年は高い天井を見た。


「それでも、この国には……復讐をしないで…都合のいい話だって分かってるわ。だけど、私の大事な存在なの。何に代えても、大切な……存在なの」

イリスは絞り出すように頼み込んだ。


「……俺は、大切なものをすべて破壊された」

そうして、ゆっくりと視線が交わる。そこから体を縛り付けるような強さを感じて、イリスは胸が詰まった。


「……そうね。その憎しみを全て私に向けたらいい。あらゆる感情をぶつけたらいい。貴方のそばにいて、逃げないから…」


「――…誓うか?」

泣きそうな顔で、だけど決意したように、少年は尋ねる。もしここで頷けば、いつか彼は私を殺すだろう。だけど、それでもいい。生きたいと願ってくれるのなら。


「ええ……」

目元を緩めて、イリスは静かに笑った。そう言うと、少年はぐっと堪えるようにきつく目を閉じた。手で顔を覆って唇を噛みながら、長く深く息を吐く。


「俺はディル……ディルだ。好きに呼べ」

ディルはそっぽ向いて、ごろんと横になる。涙を流しているのを見られたくないのか、顔を合わせようとしない。


「え、お名前?ディルと呼んでもいいの?」

いきなりのことで驚いたが、イリスの胸に希望が芽生えた。天から降り注ぐ光のように感じる。


「勝手にしろ。どうせお前は俺を飼うんだろ。飼い犬の名くらい、自分で考えろ」

ディルが冷たく言うと、体を起して背中を向ける。


「飼うだなんて……貴方をペットみたいに扱う気はないわ、ディル。ね、こっちを向いて。まだ洗い流してないの」

そうだ終わっていないと思い出し、ぐいっと引き寄せる。しかしつるんと滑って、体の安定を失ってしまう。


「な――…」

嘘だろ…と思ったディルは、流されるまま体が動いていく。


「わあっ痛い……ん?」

もくもくと上がる湯気が邪魔で見えなかったが、目の前には……ディルの足があった。視線を上げていくと、ぶつかるのは性器。間近に広がると、ディルはかっと顔を赤くして、勢いよく距離をとった。


「み、見るな…っ」

男でもなく女であるイリスに見られ、ディルは恥ずかしさで大きく叫んだ。


「……待って、じっとしていて。ちょっと赤くなってる」

気になったイリスはむくりと起き上がり、近くに寄って、注意深く観察した。少し血がついてる……痛そう。お尻を付けるディルの間に割って入ると、さわりと触れて様子を窺った。


「やめろ、ばか…ッ痛!」

ディルは熱の漏れた息を漏らし、思いっきり睨んでいる。羞恥に染まる紅潮した顔にイリスは子供ながらにドキンとした。なんて艶のある表情をするのだろうと、つられてイリスまで顔が赤くなった。


「……もう、いいだろ。頼むから…その、服を、着せてくれ…」

さすがに裸でいるのは困るようで、右に左に視線を泳がせる。


「あ、そうね!待って、すぐに体を拭くもの用意するからっ」

頼ってくれたのが嬉しくて、イリスは満面の笑みで駆けていく。そうしたらまたずるんと滑って尻もちをつく。なのにすぐ起き上がるとうきうきとしながら、侍女のもとに走っていった。


「――……イリス・サイ…」

ディルはその後ろ姿を見ながらぼんやりとその名を呟いて、ぐっと手を握った。

 




―――――――

――――――

―――――

――――



貴方を守れるのなら、何だってするわ。


国を滅ぼされ、血の繋がった家族を殺され、絶望の海に身を投げいれた貴方を、私はどうやったら救える?その激しい怒りを宿した銀の瞳は、どんな風に私を映しているの?

歴史ある王族の王子として生まれたのに……望まぬ争いに巻き込まれ、プライドも粉々にされ、生きる希望も失った。人として当然の権利を、私が、壊した。殺したいほど、憎い。貴方はそう思っているはず。果てる事のない怒りを秘めて今日も私の名を呼ぶのね。


……ねぇ。全ての憎しみを私にぶつけて。迷うことなく、貴方の感情の激流へ、私をいざなって。

私は、貴方が最も憎むべき王族の姫。ずっと側にいて、貴方が私の息の根を止めるのを待っているから。

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