アス・メニー・タイムズ

追憶

　まだ夜が明けきってない彼者誰時かわたれどきに
　嫌味のように明るくぼんやりと顔出す太陽をが視界の隅に現れた事さえ気づけずにいるのか

　動かない体を伸ばせていないはずの腕をあの子に向けて、必死に無意味なのにそれでもなお伸ばそうと徐々に霞んで消えていく自分の意識に抵抗しながら
　ただ必死に視野に移るあの子に向ける

　たった2~3秒は彼にとっては無限に続くような絶望感や無力感が彼を襲う



　そして







ピピピピピピピピッ

　寝静まっていたはずの意識に、騒々そうぞうしいだけの高い音が聞こえる



　無視しても眠気を邪魔しただひたすらなり続ける目覚ましを止めるために、寝起きで霞む目を開け気だるい体をゆっくりと起こし目覚ましを止める

　7:30

　___学校に行く準備をしないと___

　そう思い最後の眠気を飛ばすために窓のカーテンを勢いよく開ける開ける

　「...........あれ」


　何かを忘れたような虚無感が一瞬彼を襲ったが
　まるで何も無かったかのように直ぐに消え去る
　苦しいような悲しいようななんとも言えない感情を気づいているのに知らないふりをしてただ空を見上げる
　きっと何かを忘れていることを自覚しながらゆっくりと自室の部屋の扉に手をかけた