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第32話:1年3組 初風 絆(3)
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放課後、僕は事前に伝えた通り、旧旧校舎への渡り廊下で初風と待ち合わせした。
「あっ、縁人先輩!」
「ごめん遅くなって。ちょっと担任に、怒られちゃって・・・。」
「今朝の件、ですか?」
「うん・・・。」
終礼が済んだ後、僕は今朝学校を遅刻したことで、眺先生から軽くお説教されたのだった。
しかし、「攻略方法が根本的から間違ってるからそんなことになるんだ。」ってのは絶対趣旨が違くないか?
まさか先生自身が同じゲームのヘビーユーザーだとは思わなかった。
しかも僕が夜更かしの原因となったクエストをものの20分で終わらしたなんて・・・。
プレイヤー間でも「運営のレベル設定ミス」とまで批判ブーブーだったのに。
とまあ、教育者とは思えないようなお叱りを受けながらも同じゲームのプレイヤーとして大きな敗北感を味わったことで、僕の心情は悔しさと納得のいかなさでいっぱいになった。
「縁人先輩?」
「えっ?ああうん、ごめん。それじゃ、行こっか。」
色々悶々とした頭を起こされ、僕は初風を『お悩み相談クラブ』の部室まで案内した。
外を見ると、まだしとしとと雨が降り続けている。
梅雨なのだろうから仕方のないことなんだろうけど、少しの間でいいから晴れてほしいものだ。
この天候が後3週間以上も続くと思うと、どうにも気分が滅入る。
「そういえばさ、どうでもいいことなんかもしれないけど・・・。」
「はい?」
「初風はさ、なんで僕のことを縁人先輩って呼ぶの?」
「ええっと、それは、私が1年だからですけど。」
「でもさ、去年の冬に死んだって話したよね?だったら僕と同学年じゃないの?」
「だからですよ。進級せずに死んじゃったのですから私は1年のままなんです。まぁ言ってしまえば、留年したことと同じってことですよ。」
同じ学年が変わらないことでも、留年と死去は全く違うんじゃないか?
でもあっけらかんと答える初風を見ると、今のコイツにとっては死んだことと留年したことは同じなのだろう。
死んだ後となると、そこまで割り切れるものなのだろうか?
さて、そうこう考える内に、僕と初風は『お悩み相談クラブ』の部室に到着したみたいだ。
「ここが僕たちの部室。あのさ、今から入るけど、驚かないでくれよな・・・。」
「何がですか?」
「ああ、うん・・・。何でもない。」
多分また部屋の中散らかりまくってんだろうなぁ・・・。
この間心堂会長が来た時に片付いたから元通りになってほしくないんだけど。
部室がまた前みたいに見るも無惨な現状になっていないことを僅かに祈りながら僕は部室のドアを開けた。
そこで見たのは、お互いに向かい合ってトランプを額に当てて睨み合っている賽原と魅守部長だった。
「さぁどうします魅守部長?そっちのカード、かなり弱そうですけどぉ。」
「フッ、もうその手には乗らないぞ!!今度こそ私が勝つ番だ!」
「そうですか・・・。それじゃあカードオープンと行きましょうよ。」
「ああ!せ~の!!」
パッ!!
「ええうあ!?なっ、何故だ!?何故また負けた!!?」
「残念でしたね魅守部長。こういうのはね、ただ単に駆け引きをするだけじゃなくて、運と度胸も大事ってことですよ。それでは、約束通り、そこのオレ○頂きます。」
「くっ、クソォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!」
「あの~、盛り上がってるトコすみませんが。」
「あっ、櫟先輩。お疲れ様です。」
「なして2人してインディアンポーカーでお菓子取り合ってんの?」
「いや~普通に勝負するだけじゃ面白くないと思ってな。私がルール教えたんだが、流那君の成長があまりにも速くてな・・・。これで負けるの4回目だよ。」
そんだけ負けがかさんでるのに、よく止めようと思わないな。
よく見たら賽原の方お菓子でいっぱいじゃんか。
「櫟先輩もどうです?コテンパンにしてやりますよ。」
「僕はいいよ。それより相談者を連れてきましたよ、魅守部長。」
「むっ!縁人君が相談者を連れてきたのか?」
「いやぁねぇ~櫟先輩!部室に女連れ込むなんて。ねぇねぇ君、この男になんかされそうになったらすぐさま私にいいな?一発で人生終わらせてやるからよ。」
「そんなことあるかいッッッ!!!」
「イテッ!!」
あまりにも人聞き悪いことを抜かす賽原の頭上に、僕は渾身のチョップを食らわした。
「おっ、オホン!それで、君は?」
「はっ、初めまして!1年3組の初風 絆です。」
「つなぎ?」
「はい!絆って書いて“つなぎ”です。両親は、“出会った人との絆をいつまでも大切にしてほしい。”という意味でつけたって言ってました。」
「人との絆かぁ・・・。なんだか縁人君と、名前の意味合いが似てる気がするな。」
「まさか・・・名前を聞いて狙い撃ちしたってことですか、櫟先輩!?」
「だから違うって言ってんだろうが!!」
ホントにコイツは思い込みが激しくて困る。
いや、ただの悪ノリか・・・。
◇◇◇
「それで、絆君の相談内容というのは?」
席に着いた初風と魅守部長の間には賽原がインディアンポーカーで稼ぎに稼いだお菓子が並べられていた。
賽原は「私が苦労して手に入れた戦利品なのにぃ~!!」と泣いていたが知るかっ。
魅守部長の後ろの棚のガラスで自分のカード見てインチキしてたクセに。
「はい。実は、ある人を探してほしくて。」
「ある人?」
「幼稚園の時に私が見た、サックス奏者の男の子なんですが・・・。」
「サックス奏者?」
「私小さい頃は、よく両親と一緒に同い年の子が出てる楽器のコンクールを見に行くのが楽しみだったのですが、あるコンクールで見かけたサックスを吹く男の子の演奏がとっても素敵で。何というか、自分と同じで小さい身体ながらも波のように穏やかで、それでいて心を跳ねさせるような軽快な音色も自然と出せていて・・・。私、その子に感銘を受けて小、中で吹奏楽部に入ってサックスを吹き始めたんです。この高校では、入部試験に落ちてできなかったんですけど・・・。」
僕も元吹奏楽部員だったから知ってるけど、この高校の吹部は入部の際に自分が経験した楽器を使っての試験が設けられている。
これがまぁ厳しくて、僕の時は10人受けたけど受かったのは僕を含めた2人だけだった。
もしかしたらその時、僕は初風を見かけたのかもしれない。
そう考えると、何とも不思議な巡り合わせだった。
「私、成仏する前にどうしてももう一度あの子の演奏が聴きたいんです。だからお願いです!一緒にその子を探して下さい!!」
テーブルに頭をこすりつける勢いでこうべを垂れる初風に、魅守部長は困ったように額を掻いた。
「絆君の頼みはよく分かった。しかし、こうも情報が少ないとなると・・・。」
その通りだ。
心堂会長の時は、家が名家ですぐさま情報が手に入ったが、初風の場合は名前も住んでいる場所も一切不明な正体不明の人物だ。
そのような人物を探し出すなんて、大海原でたった一つの貝殻を探すことと同義だった。
「無茶なお願いだというのは分かっています。ですが、情報が全くないというわけではないんです。」
「というと?」
「そのコンクールが開かれた地域のことは覚えてるんです。」
「どこかね、そこは?」
「新天橋開発地区です。」
「それは本当か?」
「はい!はっきりそう記憶しています。」
初風の言葉を聞き、少し希望が見えてきた。
何故ならその地域には、大きな音楽ホールが一つあり、上手く行けばそこの記録からその人物の名前だけでも判明するかもしれないからだ。
あとはその名前を持つ人物を地道に探していけば・・・。
「よし、分かった。明日の放課後にみんなでコンクールが開かれたホールに行ってみよう。バスで大体20分ほどの場所だからさほど手間もかからないだろう。」
「ありがとうございます!!」
相談した結果、親身になってくれると分かり、初風の表情が一気に明るくなった。
「それで、縁人君に一つ提案があるのだが・・・。」
「はい、何ですか?」
「絆君の担当を、やってはもらえんだろうか?」
「たっ、担当!?何でですか!?」
「前回の心堂会長の件もそうだが、縁人君には相談者に寄り添うことに長けているらしい。なので絆君の傍に付いて彼女の力になってもらいたい。それに絆君は君が見つけた相談者だろう?だからここはいい機会なのかもしれんと思ってな。」
たっ、確かに初風は僕が見つけてきたのだから、僕が面倒を見るのが筋ってものなんだろうけど・・・。
それに、魅守部長の口ぶりからすれば、僕もしかして買われているってこと?
そうだったら、嬉しいんだけど・・・。
「どうかね?やってくれるか?」
「う~ん・・・。分かりました。どこまでできるかどうか分かりませんが、ひとまず精一杯やってみます!」
「ありがとうな。では早速、絆君を今夜預かってはくれないか。」
「あっ、預かる?それは、僕の家でってことですか?」
「他にどこがある?」
まっ、マジか・・・。
まさか今晩コイツを僕の家に入れるってこと!?
いや、別にイヤってわけじゃないんだけど、でも、なんか・・・。
「初、風・・・。初風はそれでいいのか?別にイヤだったら・・・。」
「私は構いませんけど?友達の男の子の家に泊まったことありますし。」
「そっ、そっか・・・。りょ、了解しました。」
参ったな~。
妹以外の女子を家の中に入れるなんてしたことないからなぁ~。
家族には視えないから妙な誤解されることはないだろうけど。
うわぁ~めちゃくちゃ緊張するわぁ~!!
「櫟先輩、何をソワソワしてるんですか?」
「へっ?」
「みなまで言わなくても分かります。どうやってリードしようか、今から思案してるんですよね?」
「お前今日ソレ系の話題ばっかだなッッッ!!!」
決めた。
賽原だけは僕の家に入れんとこ。
最悪破滅させられるかもしれないから・・・。
「あっ、縁人先輩!」
「ごめん遅くなって。ちょっと担任に、怒られちゃって・・・。」
「今朝の件、ですか?」
「うん・・・。」
終礼が済んだ後、僕は今朝学校を遅刻したことで、眺先生から軽くお説教されたのだった。
しかし、「攻略方法が根本的から間違ってるからそんなことになるんだ。」ってのは絶対趣旨が違くないか?
まさか先生自身が同じゲームのヘビーユーザーだとは思わなかった。
しかも僕が夜更かしの原因となったクエストをものの20分で終わらしたなんて・・・。
プレイヤー間でも「運営のレベル設定ミス」とまで批判ブーブーだったのに。
とまあ、教育者とは思えないようなお叱りを受けながらも同じゲームのプレイヤーとして大きな敗北感を味わったことで、僕の心情は悔しさと納得のいかなさでいっぱいになった。
「縁人先輩?」
「えっ?ああうん、ごめん。それじゃ、行こっか。」
色々悶々とした頭を起こされ、僕は初風を『お悩み相談クラブ』の部室まで案内した。
外を見ると、まだしとしとと雨が降り続けている。
梅雨なのだろうから仕方のないことなんだろうけど、少しの間でいいから晴れてほしいものだ。
この天候が後3週間以上も続くと思うと、どうにも気分が滅入る。
「そういえばさ、どうでもいいことなんかもしれないけど・・・。」
「はい?」
「初風はさ、なんで僕のことを縁人先輩って呼ぶの?」
「ええっと、それは、私が1年だからですけど。」
「でもさ、去年の冬に死んだって話したよね?だったら僕と同学年じゃないの?」
「だからですよ。進級せずに死んじゃったのですから私は1年のままなんです。まぁ言ってしまえば、留年したことと同じってことですよ。」
同じ学年が変わらないことでも、留年と死去は全く違うんじゃないか?
でもあっけらかんと答える初風を見ると、今のコイツにとっては死んだことと留年したことは同じなのだろう。
死んだ後となると、そこまで割り切れるものなのだろうか?
さて、そうこう考える内に、僕と初風は『お悩み相談クラブ』の部室に到着したみたいだ。
「ここが僕たちの部室。あのさ、今から入るけど、驚かないでくれよな・・・。」
「何がですか?」
「ああ、うん・・・。何でもない。」
多分また部屋の中散らかりまくってんだろうなぁ・・・。
この間心堂会長が来た時に片付いたから元通りになってほしくないんだけど。
部室がまた前みたいに見るも無惨な現状になっていないことを僅かに祈りながら僕は部室のドアを開けた。
そこで見たのは、お互いに向かい合ってトランプを額に当てて睨み合っている賽原と魅守部長だった。
「さぁどうします魅守部長?そっちのカード、かなり弱そうですけどぉ。」
「フッ、もうその手には乗らないぞ!!今度こそ私が勝つ番だ!」
「そうですか・・・。それじゃあカードオープンと行きましょうよ。」
「ああ!せ~の!!」
パッ!!
「ええうあ!?なっ、何故だ!?何故また負けた!!?」
「残念でしたね魅守部長。こういうのはね、ただ単に駆け引きをするだけじゃなくて、運と度胸も大事ってことですよ。それでは、約束通り、そこのオレ○頂きます。」
「くっ、クソォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!」
「あの~、盛り上がってるトコすみませんが。」
「あっ、櫟先輩。お疲れ様です。」
「なして2人してインディアンポーカーでお菓子取り合ってんの?」
「いや~普通に勝負するだけじゃ面白くないと思ってな。私がルール教えたんだが、流那君の成長があまりにも速くてな・・・。これで負けるの4回目だよ。」
そんだけ負けがかさんでるのに、よく止めようと思わないな。
よく見たら賽原の方お菓子でいっぱいじゃんか。
「櫟先輩もどうです?コテンパンにしてやりますよ。」
「僕はいいよ。それより相談者を連れてきましたよ、魅守部長。」
「むっ!縁人君が相談者を連れてきたのか?」
「いやぁねぇ~櫟先輩!部室に女連れ込むなんて。ねぇねぇ君、この男になんかされそうになったらすぐさま私にいいな?一発で人生終わらせてやるからよ。」
「そんなことあるかいッッッ!!!」
「イテッ!!」
あまりにも人聞き悪いことを抜かす賽原の頭上に、僕は渾身のチョップを食らわした。
「おっ、オホン!それで、君は?」
「はっ、初めまして!1年3組の初風 絆です。」
「つなぎ?」
「はい!絆って書いて“つなぎ”です。両親は、“出会った人との絆をいつまでも大切にしてほしい。”という意味でつけたって言ってました。」
「人との絆かぁ・・・。なんだか縁人君と、名前の意味合いが似てる気がするな。」
「まさか・・・名前を聞いて狙い撃ちしたってことですか、櫟先輩!?」
「だから違うって言ってんだろうが!!」
ホントにコイツは思い込みが激しくて困る。
いや、ただの悪ノリか・・・。
◇◇◇
「それで、絆君の相談内容というのは?」
席に着いた初風と魅守部長の間には賽原がインディアンポーカーで稼ぎに稼いだお菓子が並べられていた。
賽原は「私が苦労して手に入れた戦利品なのにぃ~!!」と泣いていたが知るかっ。
魅守部長の後ろの棚のガラスで自分のカード見てインチキしてたクセに。
「はい。実は、ある人を探してほしくて。」
「ある人?」
「幼稚園の時に私が見た、サックス奏者の男の子なんですが・・・。」
「サックス奏者?」
「私小さい頃は、よく両親と一緒に同い年の子が出てる楽器のコンクールを見に行くのが楽しみだったのですが、あるコンクールで見かけたサックスを吹く男の子の演奏がとっても素敵で。何というか、自分と同じで小さい身体ながらも波のように穏やかで、それでいて心を跳ねさせるような軽快な音色も自然と出せていて・・・。私、その子に感銘を受けて小、中で吹奏楽部に入ってサックスを吹き始めたんです。この高校では、入部試験に落ちてできなかったんですけど・・・。」
僕も元吹奏楽部員だったから知ってるけど、この高校の吹部は入部の際に自分が経験した楽器を使っての試験が設けられている。
これがまぁ厳しくて、僕の時は10人受けたけど受かったのは僕を含めた2人だけだった。
もしかしたらその時、僕は初風を見かけたのかもしれない。
そう考えると、何とも不思議な巡り合わせだった。
「私、成仏する前にどうしてももう一度あの子の演奏が聴きたいんです。だからお願いです!一緒にその子を探して下さい!!」
テーブルに頭をこすりつける勢いでこうべを垂れる初風に、魅守部長は困ったように額を掻いた。
「絆君の頼みはよく分かった。しかし、こうも情報が少ないとなると・・・。」
その通りだ。
心堂会長の時は、家が名家ですぐさま情報が手に入ったが、初風の場合は名前も住んでいる場所も一切不明な正体不明の人物だ。
そのような人物を探し出すなんて、大海原でたった一つの貝殻を探すことと同義だった。
「無茶なお願いだというのは分かっています。ですが、情報が全くないというわけではないんです。」
「というと?」
「そのコンクールが開かれた地域のことは覚えてるんです。」
「どこかね、そこは?」
「新天橋開発地区です。」
「それは本当か?」
「はい!はっきりそう記憶しています。」
初風の言葉を聞き、少し希望が見えてきた。
何故ならその地域には、大きな音楽ホールが一つあり、上手く行けばそこの記録からその人物の名前だけでも判明するかもしれないからだ。
あとはその名前を持つ人物を地道に探していけば・・・。
「よし、分かった。明日の放課後にみんなでコンクールが開かれたホールに行ってみよう。バスで大体20分ほどの場所だからさほど手間もかからないだろう。」
「ありがとうございます!!」
相談した結果、親身になってくれると分かり、初風の表情が一気に明るくなった。
「それで、縁人君に一つ提案があるのだが・・・。」
「はい、何ですか?」
「絆君の担当を、やってはもらえんだろうか?」
「たっ、担当!?何でですか!?」
「前回の心堂会長の件もそうだが、縁人君には相談者に寄り添うことに長けているらしい。なので絆君の傍に付いて彼女の力になってもらいたい。それに絆君は君が見つけた相談者だろう?だからここはいい機会なのかもしれんと思ってな。」
たっ、確かに初風は僕が見つけてきたのだから、僕が面倒を見るのが筋ってものなんだろうけど・・・。
それに、魅守部長の口ぶりからすれば、僕もしかして買われているってこと?
そうだったら、嬉しいんだけど・・・。
「どうかね?やってくれるか?」
「う~ん・・・。分かりました。どこまでできるかどうか分かりませんが、ひとまず精一杯やってみます!」
「ありがとうな。では早速、絆君を今夜預かってはくれないか。」
「あっ、預かる?それは、僕の家でってことですか?」
「他にどこがある?」
まっ、マジか・・・。
まさか今晩コイツを僕の家に入れるってこと!?
いや、別にイヤってわけじゃないんだけど、でも、なんか・・・。
「初、風・・・。初風はそれでいいのか?別にイヤだったら・・・。」
「私は構いませんけど?友達の男の子の家に泊まったことありますし。」
「そっ、そっか・・・。りょ、了解しました。」
参ったな~。
妹以外の女子を家の中に入れるなんてしたことないからなぁ~。
家族には視えないから妙な誤解されることはないだろうけど。
うわぁ~めちゃくちゃ緊張するわぁ~!!
「櫟先輩、何をソワソワしてるんですか?」
「へっ?」
「みなまで言わなくても分かります。どうやってリードしようか、今から思案してるんですよね?」
「お前今日ソレ系の話題ばっかだなッッッ!!!」
決めた。
賽原だけは僕の家に入れんとこ。
最悪破滅させられるかもしれないから・・・。
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